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PC-9801FAとは

 PC-9800シリーズで初めて Intelの 32ビット x86 CPUの 486 (後の i486DX) を搭載したモデルは、1990年 9月発売の PC-H98 model100 (ハイパー 98) という PC-9800シリーズの中でハイレゾモード搭載のハイエンドモデルでした。このハイレゾモードとは、MS-DOSや Windows 3.1で利用できる 1120 x 750ドット 4096色中 16色の画面モードのことです。ハイパー 98では、初めはオプションでしたが新たに 256色の画面モードが追加されていました。ただし、このモードではノーマルモード時とメモリマップが異なるため、PC-9801型番と互換性が少なくノーマルモード専用のソフトウェアやボードが使えません。PC-H98は高速で負荷の低いバスマスタ転送に対応の 32ビット NESAバスを搭載していましたが、非常に高価でディスプレイ等のコネクタの殆どが PC-9801型番と互換性が無かったので一般には普及しませんでしたが、企業や CADの分野では人気が有りました。

 それに遅れること一年半、1992年 1月に PC-98ノーマルモード専用モデルでは初めて 486 (i486SX) を搭載したモデルとして PC-9801FAが登場しました。「i486SXTM搭載、前面ファイルスロット採用であらゆるオフィスユースに対応。これが次の主流を行く、ハイスタンダードマシン PC-9801FA新登場。」 というキャッチコピーで登場しました。ちなみに、PC-9801FSと PC-9801FXは 1992年 5月に発売され、エントリーモデルの PC-9801FXも i386SXに移行したので 286機がラインナップから消えました。

NEC PC-9800シリーズ 32ビットパソコン PC-9801FA 5インチ FDDモデル NEC PC-9800シリーズ 32ビットパソコン PC-9801FA 3.5インチ FDDモデル

 ちょうどこの後に NECのロゴが現在のものに変わりました。このため当時のカタログを見ると PC-9801FAは旧ロゴ、PC-9801FS/ FXは新ロゴと同じ PC-9801Fシリーズでもカタログではロゴが混在しています。

キャッチコピーが示す通り、ファイルスロットという 5インチベイサイズのスペースに CD-ROMドライブや FDD、MO、カードリーダライタといったカートリッジタイプの機器を必要に応じて交換できる先進的な機構を搭載し、フロントマスクを外すとメモリはもちろん コプロセッサや HDDカートリッジを交換できるという凝った作りのマシンです。当時はデスクトップパソコンと言えば本体の上に重い CRTモニタを置くのが一般的だったのでメンテナンスが楽でした。このファイルスロットは 98MATE (A MATE) シリーズに受け継がれましたが、一般のモデルでは鍵でフロントマスクをロックする事が出来ないので、一部ではメモリの盗難などが有ったらしく A MATEでは HDDカートリッジの交換のみが可能となっています。

 PC-9801FAでは、5インチ FDDモデルと 3.5インチ FDD モデルの 2タイプが用意されています (下表参照)。
 しかし、1992年当時、価格の安い PC/AT互換機では、i486DX 25MHzが主流となっており、PC-98ユーザーも同クラスのパソコンの発売が期待されていましたが、これに該当する 98は ハイパー 98シリーズという標準価格で 100万円を超える極めて高価で巨大なマシンのみで、コストの高いファイルスロットの採用とのトレードオフやラインナップの為に性能差を付けるにしても普及機の最上位モデルで i486SX 16MHzと性能を抑え過ぎたところも有り、ノーマルモード専用機の PC-98ユーザーの失望から EPSON製 PC-98互換機への離反を招きました。その後のバブル崩壊、PC/AT互換機の安売り攻勢 (コンパックショック) とあいまって今日の PC-98衰退の運命を決定付けました。(T_T)/~~

 PC-9801FA以降の PC-98はコストダウンを重視し HDDに IDE I/Fと類似の物を採用といった PC/AT互換機に近い構成に変化していきます。そう言った意味では PC-9801FAは、ある意味で最後の PC-9801型番ともいえます (※ 個人の感想です)。

 PC-9801Fシリーズのラインナップは次の通りです。

型番 CPU メモリ FDD HDD 標準価格 (税別)
PC-9801FA2 i486SX 16MHz 1.6MB 5インチ 2HDタイプ x2 オプション 458,000円
PC-9801FA5 SCSI 40MB 578,000円
PC-9801FA7 SCSI 100MB 648,000円
PC-9801FA/U2 3.5インチ 2HDタイプ x2 オプション 458,000円
PC-9801FA/U5 SCSI 40MB 578,000円
PC-9801FA/U7 SCSI 100MB 648,000円
PC-9801FS2 i386SX 16MHz 1.6MB 5インチ 2HDタイプ x2 オプション 348,000円
PC-9801FS5 SCSI 40MB 468,000円
PC-9801FS7 SCSI 100MB 538,000円
PC-9801FS/U2 3.5インチ 2HDタイプ x2 オプション 348,000円
PC-9801FS/U5 SCSI 40MB 468,000円
PC-9801FS/U7 SCSI 100MB 538,000円
PC-9801FX2 i386SX 12MHz 1.6MB 5インチ 2HDタイプ x2 オプション 278,000円
PC-9801FX5 SCSI 40MB 398,000円
PC-9801FX/U2 3.5インチ 2HDタイプ x2 オプション 278,000円
PC-9801FX/U5 SCSI 40MB 398,000円

CPUとメモリ

● 搭載 CPU

 PC-9801FAが搭載している CPUは Intel製 32ビット x86 CPUの i486SX (16MHz) で、データキャッシュメモリを 8KB内蔵しています。データキャッシュメモリを CPUに内蔵したので、繰り返し演算では比較的低速なメモリにアクセスする回数が減り CPU内部で処理が完結するため、従来の i386DXより高速な処理を実現しています。

 なお、システムクロックが 16MHzなので、俗にいう 8MHz機に該当するため RS-232Cシリアルの通信速度は 9600bpsまでしか出ません。
 ちなみに、これを 5MHz機にするため 20MHz等にクロックアップすると、そのままでは、時計やキーボード、VRAM等に悪影響が出ます。対策もありますが、大改造になるのでお勧めしません。また、この機種ではベンチマークソフトを実行するとやや高めの値を示し正常に計測できないことがあります。

● コプロセッサ

 コプロセッサは Intel i487SX (NEC PC-H98-E04) に対応しています。コプロセッサは、現在の CPUの浮動小数点演算ユニットにあたり、CPUと共に動作して関数計算などを専門に担当します。当時は、CPU自体が非常に高価だったので、オプションになっていました。
 i486DXでは仕様が変わりコプロセッサも CPUに内蔵する事になったので、i487SXは i486SXにコプロセッサを内蔵したものつまりは i486DXと同一のものです。唯一の違いは、i487SXの方には、元の CPUを停止させるための制御ピンが追加されているのでピンが 1本多くなっています (詳細は後述)。

● メモリ

 メモリはノーマルで 1.6MB内蔵しており、フロントパネルを外してアクセスできるメモリ専用スロットでメモリボード (親亀ボード) 上にメモリサブボードで 13MB分増設し、合計で当時としては認識できる限界の 14.6MBまで増設できます。この機種以降アクセス速度の遅い Cバス用汎用メモリは不要になりました。
 ただし、これには若干問題があり、メモリ専用スロットで増設する際は増設に使うメモリは NEC独自仕様の 72ピン SIMM、PC-9801-61/ 61U/ 61Rまたは互換の 2MBの SIMMを使うので、最大まで増設しようとすると 14MB増設して、最後の 1MBを無視することになります。PC-9801FAでは、この余分なメモリを完全に無視できないので 15〜16MBあたりのメモリ空間を使うグラフィックアクセラレータ等の拡張ボードを増設すると、誤動作する事があるので注意が必要です。

 なお、形は似ていますが、72ピンの FP SIMMや EDO SIMMとは仕様が全く違うので使えません。挿すとメモリやマザーボードが壊れる恐れがあるので、保管の際には混ぜてしまわないようにしましょう。

● フロントアクセス

 このパソコンの最大の特徴として、筐体が大変凝った作りで簡単にフロントマスクが外せるため、そこからメモリやコプロセッサ、 HDDの増設、交換が簡単にできます。

補助記憶装置

● フロッピーディスクドライブ (FDD)

 FDDは PC-9801FA2、PC-9801FA5、PC-9801FA7には、VFO付きで 1MBと 640KB両対応の 5インチ 2HDタイプ (NEC製 FD1158D) が 2ドライブ搭載されています。
 フロントマスクを外しやすくする観点から従来の FD1155Dとは違いヘッドを下す際にはボタンを押し込むタイプになりました。これが曲者で FDメディアが完全に奥まで挿入されていない状態や、メディアを挿入しない状態で強く押し込むと奥で金具が曲がってしまい故障してしまいます。メディアを挿入する際には必ず「カチッ」という感触が有るまで奥に挿入した事を確かめてからボタンを押し込むようにしましょう。
 このドライブでは、ヘッドのシールドカバーが脱落する事はなくなりましたが、コンデンサの液漏れでヘッドを動かすモーターが誤動作を起こす事で有名です。

 一方、PC-9801FA/U2、PC-9801FA/U5、PC-9801FA/U7には、VFO付きで 1MBと 640KB両対応の 3.5インチ 2モードタイプ (NEC製 FD1138D) が 2ドライブ搭載されています。こちらのドライブも従来より小型軽量になり構造の単純化からメンテナンスがし易くなりました。不具合という不具合は有りませんが、経年劣化でモーターの軸が固着してしまったり、コンデンサの液もれで読み書きが不安定になる事例があります。

 ちなみに、PC-9801FAのドライブは FD1158や FD1138シリーズとしては特殊な VFO (簡単に言えばヘッドの微妙なずれからデータの読み書きを安定させる回路) 付きというものなので、代替品の入手が難しいです。同じ Fシリーズでも PC-9801FS/ FXは VFO無しの FD1158Cと FD1138Cなので流用はできません。

● ハードディスクドライブ (HDD: 固定ディスクドライブともいう)

 HDD搭載モデルでは、背面の専用 SCSIインターフェースボードスロットに NEC PC-9801FA-02相当の 55互換 SCSI I/Fボードが搭載され、SCSI仕様のカートリッジ式 HDDが 1ドライブ内蔵されています。容量は PC-9801FA5PC-9801FA/U5では 40MB (PC-9801-FA35相当、平均シーク時 25ms)、PC-9801FA7PC-9801FA/U7では 100MB (PC-9801-FA37相当、平均シーク時 19ms) です。活栓挿抜 (ホットスワップ) には対応していないので交換の際には電源を切る必要があります。
 なお、IDE I/Fは搭載していないので、A MATE用の IDEタイプの HDDは内蔵できません。

グラフィック、サウンド機能

● グラフィック機能

 グラフィック機能は、最大 640×400ドット 4096色中 16色で、EGC (Enhanced Graphic Cherger) により描画の高速化が図られています。

 また、PC/AT互換機とは異なり、JIS第1、第2水準の漢字 ROMを標準で搭載しているため、MS-DOSや BASIC上で高速な漢字表示が行えます。この点は PC-98機能の基本なので変更は有りません。

 なお、Windowsで多色で高解像度の画面を利用するためには、別途グラフィックアクセラレータボード (ウィンドウアクセラレータボード) を汎用拡張バス (Cバス) に増設する必要があります。特に、Windows95を使用する場合には標準の画面モードが非対応なので、グラフィックアクセラレータ機能の拡張が必須となります。

● サウンド機能

 PC-9801FAでは、YAMAHA YM2203C OPNチップを内蔵していて「PC-9801-26K」相当のサウンド機能 (FM 3和音、SSG 3和音、ノイズ 1音) を標準で搭載しています。

 ただし、残念ながら DOSゲームで必需品の ATARI (MSX) 仕様ジョイスティック用コネクタはありません。また、この内蔵音源は CPUを高速な物に交換したりすると、正常に鳴らなくなることが多いので、純正の「PC-9801-86」や、キュービジョンの「Wave Star」等のサードパーティー製 86互換ボードを増設しましょう。

 EMS方式のメモリを使用する場合は、サウンド BIOSと併用できない為に本体のセットアップメニューでサウンド BIOSを無効にします。本体内蔵音源を切り離すときは、ディップスイッチ 4番でサウンド機能を切り離します。

 ちなみに、音源チップである YAMAHA YM2203C (YM2608Bでも可能) のピン配置が分かっていれば、YM2203の足に直接 D-Sub 9pinオスコネクタを配線して増設する方法もあります。
 これでは 1個しか接続できません。また、YM2203を壊すかもしれないので、腕に自信のある方以外は ATARI仕様ジョイスティック用コネクタの付いた 86または互換の音源ボードを増設した方が、PCMも鳴るようになり安全です。(^ ^;;

インターフェースと拡張スロット

● 本体のコネクタ

位置 種類 形状
本体前部 キーボード ミニ Din 8pin
バスマウス D-Sub 9pin
本体後部 アナログディスプレイ D-Sub 15pin、24kHz対応
デジタル RGB、B/W出力 Din 8pin、モノクロモニタ出力と共用
LINE出力 モノラルミニジャック
1MB FDD I/F アンフェノールフルピッチ 50pin
RS-232Cシリアル I/F D-Sub 25pin、最高 9,600bpsまで対応 (T_T)
プリンタ I/F アンフェノールフルピッチ 14pin、双方向非対応
SCSI I/F HDDモデルのみ。SCSI仕様 (55互換、NECチェックあり)、アンフェノールハーフピッチ 50pin

 HDDモデルに搭載の PC-9801FA-02相当のボードは、NECベンダチェックが有ります。接続される SCSI機器のベンダ名の先頭三文字が NECまたは nECと返さない機器を接続するとビープ音のループで停止します。

 この中で特に PC-9821系とでは、バスマウス、アナログ RGB、プリンタのコネクタの形状が違い、別途、変換アダプタが必要になる場合があります。

 デジタル RGB、B/W出力の Din 8pinコネクタについて、6番ピンに誤挿入防止キーがあるので、通常の 8pinコネクタのケーブルを接続しようとしても接続できません。

● 拡張スロット

 汎用拡張スロット (Cバススロット) を 4スロット搭載しています。現在流通している Cバスボードでは、CPUやハードウェアに依存するボード以外、ほとんど全て使用可能ですが、特に PC-9801FAでは、一部の通信系のボード (モデム、LAN等) では正常動作せず、対応機種から外されている場合があります。

 この PC-9801FA/ FS/ FXでは、専用 SCSIインターフェーススロット (HDDモデルでは、PC-9801FA-02相当を実装済み) を搭載しています。一部のファイルスロット機器 (CD-ROMドライブ、HDD、MO) や HDDスロットに HDDを内蔵する際には、必ずこのスロットに対応した SCSIボードが必要になります。
 このスロットは Cバススロットの信号のほとんどが来ているので SCSIボード以外のボードも作れるのですが、サードパーティーからそのような製品が無く、唯一、玄人志向から SCSIスルーボードと メルコ (バッファロー) LGY-98J-T互換の NICが組み合わさった 「PK98-2SYUMORI (二種盛り)」が発売したのみでした。

● ファイルスロット

 この PC-9801FA/ FS/ FXでは、からファイルベイの前身?であるファイルスロットが付いており、CD-ROMドライブや HDD、MO (光磁気ディスク)、テープストリーマ、メモリカードリーダ/ ライタ、3.5または 5インチ FDDが内蔵でき、接続はコネクタで行われるためケーブルを繋が無くて良いので必要に応じて入れ替える事が出来ます。ただし、活栓挿抜 (ホットスワップ) には対応していないので交換の際には電源を切る必要があります。
 なお、A MATEファイルスロット用の 3モード対応 3.5インチ FDDである PC-FD321Fは、PC-9801FA/ FS/ FXでは正常動作しませんのでご注意ください。

本体ディップスイッチの設定

 内蔵 HDDの切り離し等の設定が画面上で設定できるソフトウェアディップスイッチを採用しています (電源投入後もしくは、リセットボタンを押してから [HELP] キーを押します)。
 それとは別に 8連のハードウェアディップスイッチが本体前面に有ります。それぞれ設定は以下のようになっています。赤い部分がデフォルトです。

スイッチ番号 機能 ON OFF
1 モニタの種類 専用高解像度モニタ 標準または、専用高解像度以外のモニタ
2 スーパーインポーズ機能 使用する 使用しない
3 メモリスイッチ初期化の設定 メモリスイッチの状態を保持する 起動時に初期化する
4 サウンド機能 使用しない 使用する
5 増設用3.5インチ固定ディスクドライブ接続ユニット PC-9801DA-35を接続する 使用しない
6 未使用 (常に OFF)
7 未使用 (常に OFF)
8 未使用 (常に OFF)

 セットアップメニューで「内蔵 FDD 1MB固定」にすると、DMAチャネル 3を開放することが出来ます。また、セットアップメニューで内蔵 SCSI I/Fの DMAチャネルを 1に変更出来ます。

 増設用3.5インチ固定ディスクドライブ接続ユニット「PC-9801FA-03」は、PC-9801RAや PC-9801DA対応の HDDユニットを接続するための (謎の) 装置です。SASI仕様の PC-9801DA-35を接続する場合に限ってディップスイッチを変更する必要があります。

 Dip SW左側のスイッチは、CPU動作周波数の切り替えスイッチです。設定と動作速度は以下の通りで、赤い部分がデフォルトです。

位置 電源ランプ CPU動作速度
緑色 i486SX 16MHz
中央 橙色 80386 20MHz相当
赤色 V30 8MHz相当

 V30エミュレーションモードでは、640KB以上のメモリは全て無視され 640KB固定になります。100%完全互換では無いので、V30を必要とするソフトウェアや拡張ボードでは、正常動作しない場合が稀にあるので注意が必要です。

 RS-232Cの通信設定、メモリの容量の変更、起動するドライブの順番変更、初期画面の色の変更などは、MS-DOSの「SWITCH.EXE」等でメモリスイッチの設定を変える必要があります。変更後は、SW 2-3を ONにしてメモリスイッチの状態を保持するに変更します。バックアップ電池が切れるとこの設定も消えます。
 特に RS-232Cでシリアル通信を行う場合は、必ず送信側と受信側で設定を合わせる必要があります。通信ができなかったりデータ化けする時は、RS-232C I/Fの故障を疑う前にまずこの点をチェックしましょう。常識ですが、念のため。(^ ^;;

● SCSIボードの設定

 HDD内蔵モデルに搭載されている PC-9801FA-02相当のボードの設定は以下の様になっています。8連ディップスイッチが 2組み、シャンパスイッチが 2個あります。通常は変更する必要は有りません。

スイッチ 番号 機能 ON OFF
SW1 1 ボードのSCSI ID番号
デフォルトは ON-ON-ON, ID= 7 (変更禁止)
1 0
2 2 0
3 4 0
4 割り込みレベル
INT0: OFF-OFF-OFF, INT1: ON-OFF-OFF
INT2: OFF-ON-OFF, INT3: ON-ON-OFF (デフォルト)
INT5: OFF-OFF-ON, INT6: ON-OFF-ON
5
6
7 DMAチャネル
DMA #0: OFF-OFF (デフォルト), 設定禁止: ON-OFF
DMA #2: OFF-ON, DMA #3: ON-ON
1 0
8 2 0
SW2 1 ROMメモリアドレスと本体機種の設定
ノーマルモード専用機: OFF-ON-ON-OFF-ON-ON-ON (デフォルト)
¥DC000h〜¥DDFFFh

ハイレゾモード対応機: OFF-ON-ON-OFF-ON-OFF-ON
¥DC000h〜¥DDFFFh (ノーマルモード時)
¥EC000h〜¥EDFFFh (ハイレゾモード時)
2
3
4
5
6
7
8 BIOS ROMアクセス 有効 無効
SW3SW4 I/Oポートアドレスの設定
01-0201-02 CC0h〜 CC4h
02-0301-02 CD0h〜 CD4h
01-0202-03 CE0h〜 CE4h
02-0302-03 CF0h〜 CF4h

● SCSIドライブの ID設定

 HDD内蔵モデルに搭載されている PC-9801FA-35/ 37相当の3.5インチ SCSI固定ディスクの ID設定は以下の様になっています。4連ディップスイッチが HDDカートリッジの本体正面向かって左側です。

スイッチ 番号 機能 ON OFF
SW1 1 SCSI ID番号
デフォルトは OFF-OFF-OFF, ID= 0
4 0
2 2 0
3 1 0
4 未使用 (常に ON)

CPUのパワーアップ

● はじめに

 さて、だいたい PC-9801FAのことが分かったところで CPUの換装です。と言いたいところですが、この PC-9801FAの CPUである i486SXはマザーボードにハンダで実装されているので簡単に外す事ができません。実は、PC-9801FAのマザーにもいくつか種類があり、知っている限りで大きくまとめると以下のようになります。

  前期型 後期型
型番 G8KZE G8KZEA
CPU PGA (剣山を裏返したようなタイプ) QFP (CPUの周りにピンが出ているタイプ)
BIOS ROM ソケット上に搭載、交換可 マザーにハンダ付け、交換不可
「15B1」シルクの表示 あり なし

今回の PC-9801FAのパワーアップの記事は全て前期型をもとにしています。なお、以前書いてあった PentiumODP5V (PODP5V)が載るソケットの記事は勘違いでした。PC-9801FAには無改造で PODP5Vを載せる事はできません。m(_ _)m

i486SXの PGAタイプと QFPタイプ

 では、どうするかと云うと CPUの脇にあるコプロセッサ用ソケットを使います。使うものは、CPUアクセラレータ、オーバードライブプロセッサ (ODP)、i486系 CPUを使います。
 この PC-9801FAに採用されている i486SX用のコプロセッサである i487SXは、従来のCPUを止めず CPUと協調して動作する 80386用のコプロセッサとは異なり、実は コプロセッサを内蔵した i486SXなので i486DXと同等です。全く同一かというとそうでもなく唯一の違いは、i487SXの方がピンが 1本多い点です。理由は i487SXが動作する際には、追加されたピンを使って元の i486SXを止めて代わりに i487SXが CPUとして動作します。なので、このコプロセッサ用ソケットには i487SXの他に、実は i486DXや i486DX2等がそのまま載ります。(^-^)

 各 CPUや ODPのスペックや機能などの詳細については、企画課の特別企画第 2回をご参照ください。

● i486系CPUと 486互換 CPU

 PC-9801FAのコプロセッサソケットには、コプロセッサ以外に 5V動作の i486および互換 CPUを載せる事が出来ますが、通常の CPUの場合は元々の i486SXを眠らせるための制御ピンが無いので、コプロセッサソケットに載せて電源を入れると画面が黒のままで「ピポ」音もせず正常動作しません。i487SX同様にマザーボードにコプロセッサソケットの CPUの使用を知らせる必要があります。方法は、コプロセッサソケットの左手前には「15B1」というシルク表示の有るジャンパの空きランドがあり、これにジャンパピンを半田付けしてショートポストでショートするとコプロセッサソケットに取り付けた CPUが動作するようになります。

 なお、iDX4や 486互換 CPUの AMD Am5x86P75、Cyrix Cx5x86については、動作する電圧が 3.3Vで i486SX/ DX/ DX2の 5Vと違うのでそのままでは載せられません。動作電圧を合わせるために電圧変換ソケット (通称:下駄) という物を CPUとソケットの間に挟めば載せられますが、PC-9801FAでは、直ぐ上にメモリボードが来るため物理的に載せられなかったり、スペースが狭いので熱が籠ったりして動作が不安定になるだけでなく、内蔵サウンド機能が正常動作しない、CPU内部で動作クロックを引き上げるクロックダブラーやクロックトリプラーとの相性が悪く BIOS処理のウェイト不足から FDDでシークエラーが出る (リトライすれば問題ない) と云った不具合が出るので、この様な不具合を解消した PC-9801FA対応の CPUアクセラレータの使用をお勧めします。

PC-9801FAに搭載できる CPUの代表例 (i487SXを除き動作保証無し)

メーカー 商品名 種類 クロック
倍率
動作
クロック
内部
キャッシュ
コプロセッサ 備考
Intel i487SX コプロセッサ 等倍 16MHz 8KB CPU内蔵 正式に対応
i486DX CPU 等倍 16MHz 8KB CPU内蔵 ジャンパピンの追加が必要
i486DX2 CPU 2倍 32MHz 8KB CPU内蔵 ジャンパピンの追加が必要
i486SX2 CPU 2倍 32MHz 8KB なし ジャンパピンの追加が必要
iDX4 CPU 3倍 48MHz 16KB CPU内蔵 ジャンパピンの追加、電圧変換下駄必須
AMD Am486DX CPU 等倍 16MHz 8KB CPU内蔵 ジャンパピンの追加が必要
Am486DX2 CPU 2倍 32MHz 8KB CPU内蔵 ジャンパピンの追加が必要、一部で電圧変換下駄必須
Am486SX2 CPU 2倍 32MHz 8KB なし ジャンパピンの追加が必要
Am486DX4 CPU 3倍 48MHz 8KB CPU内蔵 ジャンパピンの追加、電圧変換下駄必須
Am5x86P75 CPU 4倍 64MHz 16KB CPU内蔵 ジャンパピンの追加、電圧変換下駄必須、動作倍率の設定要
Cyrix Cx486DX2 CPU 2倍 32MHz 8KB CPU内蔵 ジャンパピンの追加が必要、一部で電圧変換下駄必須
Cx486DX4 CPU 3倍 48MHz 16KB CPU内蔵 ジャンパピンの追加、電圧変換下駄必須
Cx5x86 CPU 4倍 64MHz 16KB CPU内蔵 ジャンパピンの追加、電圧変換下駄必須、動作倍率の設定要

●オーバードライブプロセッサ (ODP)

 オーバードライブプロセッサ (ODP) はパソコンのパワーアップの方法として CPUアクセラレータの需要の多さに Intelが着目してパワーアップ用に製造した製品です。OverDriveは Intelの商標なので他社製品を ODPと呼んではいけません。
 ODPも i487SX同様に、コプロセッサソケットや Over Drive Readyソケットに搭載することで CPUの代わりに動作する仕組みなので、通常の CPUとは違いピンが 1本多いのですが、もう一つの製品として元々載っている CPUと交換できるように ODP (R) という物が有ります。Rは Replaceの略です。このタイプの ODPはピンの本数が通常の CPUと同数なので、コプロセッサソケットや ODPソケットに取り付けると正常動作しません。PC-9801FAの場合は、先述のように「15B1」というシルク表示の有るジャンパの空きランドにジャンパピンを半田付けしてショートポストでショートする必要があります。入手する際は CPU表面の刻印を良く確認しましょう。

 ODPの構造は、i486DX2相当のセラミックパッケージの CPUにヒートシンクや CPUクーラーが接着されたものです。DX4ODP、PentiumODPのように元々の CPUが 3V動作の物では電圧変換機構も搭載しています。

 ちなみに、Pentiumのオーバードライブプロセッサである PODP5V83 (83MHz) は i487SXに比べ外周分ピンが増えているので PC-9801FAのようなコプロセッサソケットに載せるためには、下駄を使って余分なピンを浮かせるか、全て切る必要があります。ただし、PC-9801FA特有の事情として iDX4の場合と同様に内蔵サウンド機能が正常動作しない、FDD周りに悪影響が出るのではっきり言ってお勧めできません。

ODPの例

メーカー 商品名 クロック
倍率
動作
クロック
内部
キャッシュ
コプロセッサ 備考
Intel ODP486SX 2倍 32MHz 8KB CPU内蔵 JBOXODP486SX20は正式に対応
ODP(R)486DX 2倍 32MHz 8KB CPU内蔵 ジャンパピンの追加が必要
DX2ODP 2倍 32MHz 8KB CPU内蔵 ODP486SXと同等品
DX2ODP(R) 2倍 32MHz 8KB CPU内蔵 ジャンパピンの追加が必要
DX4ODP 3倍 48MHz 16KB CPU内蔵 FDDに不具合が出る可能性あり
DX4ODP(R) 3倍 48MHz 16KB CPU内蔵 ジャンパピンの追加が必要、FDDに不具合が出る可能性あり
PODP5V83 2.5倍 40MHz 32KB CPU内蔵 余分なピンの処理が必要、FDDに不具合が出る可能性あり

● CPUアクセラレータ

 PC-9801FAに限らず PC-H98 model100の様な初期の 486機で CPU周りをパワーアップする場合には、FDD周りに不具合が出る事があるのでそのような欠点を克服した CPUアクセラレータの利用がお勧めです。メルコ (バッファロー) 製品の「HFA-16HG」ではソケット上でシステムクロックを 2倍に引き上げ CPUのコアクロックの 3倍の動作倍率と合わせて最大 6倍速 (96MHz) で動作し、サウンド機能や FDDの不具合も解決した製品も有ります。これらの製品で有ればマザーボードを改造する手間が省けます。

 PC-9801FA (i486SX機) に対応の CPUアクセラレータの代表例

メーカー 商品名 クロック倍率 動作クロック 搭載 CPU 内部キャッシュ コプロセッサ 価格
メルコ/ Buffalo HFA-16Qシリーズ 4倍 64MHz Intel i486DX2 8KB CPU内蔵 39,800円〜 29,800円
HFA-16Hシリーズ 6倍 96MHz Intel iDX4 16KB CPU内蔵 59,800円〜 44,800円

● ハイパーメモリ CPU

ハイパーメモリ CPU EUF-EP

 ここで自分が実際に PC-9801FAのパワーアップとして使用したものは、メルコ (バッファロー) 製のハイパーメモリ CPUシリーズである 8倍クロック (システムクロックをアクセラレータボード上で 2倍にし、さらに CPU内部で 4倍)の EUF-EP0Mと云う CPUアクセラレータです (仕様は以下の表参照)。
 しかも、この製品には同社のノートパソコン用メモリボードの ENLシリーズ用ソケットが二つ有り、PC-9801FA本体の最大搭載量の 14.6MBを越えるメモリを、追加で最大 78.6MB (14.6MB + 64MB) まで増設 (アッパー増設) できる優れ物です。
 また、PC-9801FA用の製品は FDD、内蔵 FM音源等への悪影響も対策済みです。この製品は残念ながら 1999年 4月現在生産が終了し、カタログから姿を消したので流通在庫のみです。欲しい方は急ぎましょう。2012年現在、中古での入手はほぼ絶望的です。

 ちなみに、1995年 11月当時メルコでは、Windows95発売を控え EUFシリーズの販売テコ入れ策として HFA-16Hシリーズの CPUアクセラレータユーザ向けに、EUF-Hシリーズに交換する有償アップグレードサービスを実施していました。金額はメモリ容量により 20,000円から 73,000円 (いずれも税込)で、翌年の 4月末まで行われていました。

PC-9801FA対応ハイパーメモリ CPU

メーカー 商品名 クロック倍率 動作クロック 搭載 CPU 内部キャッシュ コプロセッサ 価格
メルコ/ Buffalo EUF-H 6倍 96MHz Intel iDX4 16KB CPU内蔵  
EUF-EP 8倍 128MHz AMD Am486DX5 16KB CPU内蔵 29,800円

● ハイパーメモリ CPU、CPUアクセラレータの取り付け

 取り付けは非常に簡単です。本体前面両サイドに有るボタンを押しながらフロントマスクを手前に引いて外し、向かって左側に付いている金属製のカバーをネジを回して外すします。

 メモリを増設している場合はここでメモリボードを取り外します。また、コプロセッサの i487SXを取り付けていた場合は i487SXを取り外します。ルーフカバーを開けズに作業できますが外した方が作業が楽です。

 次ぎに、ハイパーメモリ CPUのような大型の CPUアクセラレータはソケットのレバーが邪魔になってそのままでは載せられないので、コプロセッサ用ソケットに CPUアクセラレータに付属の黒いソケットを取り付けて (次の画像左) レバーを下ろして固定します。
 続いて、CPUアクセラレータをソケットの上に (次の画像右) 取り付けます。取り付ける向きに注意してください。

黒いソケットの取り付け EUF-EPの取り付け

 取り付けた後にメモリボード、ルーフカバーやフロントマスク等を元通り取り付け、電源を入れて 「ピポッ」 (若干タイミングが速くなります) と鳴れば、まずは成功です。

 仕上げに ハイパーメモリ CPUの場合は付属の「EXキャッシュコントロールユーティリー」等をインストールすれば今までが嘘のようにとても高速に動作し、EUF-EP上に増設したメモリも認識されるようになります。いくら高速と言っても、新型のパソコンとは比較になりませんが、ノーマルの PC-9821Xa7位になら肩を並べられるかも知れません。

● ハイパーメモリ CPU搭載時の問題点

 ただし、注意点があります。i486SXと Am486DX5では CPUの内部キャッシュメモリの制御の仕様がライトバック方式に対応しているので、本来の性能を引き出すには必ずキャッシュコントロールユーティリティをインストールしなければなりません。ちなみに、キャッシュコントロールユーティリティをインストールしないと Am486DX5本来の力が発揮されず 同クロックの 486程度にパフォーマンスが落ちるだけでなく、動作が不安定になる事があります。そして、このキャッシュコントロールユーティリティは MS-DOS、Windows 3.1、Windows 95でしか動作しないので、インストールできない MS-DOS以外の OS (例えば、N88-BASICやソフトメーカー独自の OS) では、動作が若干不安定になる事があります (スピンディジー II等)。

 もう一つ注意点として、EUF-EPを使用した場合、拡張ボード等との相性により稀に正常動作しないことがあります。なお、自分の PC-9801FAや周辺機器では幸いその様なことはなかったのですが、一応ご注意ください。また、完全な安定動作を必要とする環境の場合は、メーカー推奨のコプロセッサである i487SXをお使いください。

● 結果

 最後に、コプロセッサ、CPUアクセラレータを使い、MS-DOS Ver 5.0A上でベンチマークを取ってみましたので参考にしてください。使用ソフトは、I-O DATAの「INSPECT Ver 1.03」です。

CPU 動作周波数 Dhrystone(点) Whetstone(点) 総合(点)
i486SX 16MHz 7957 なし 7900
i487SX (i486DX) 16MHz 7957 6748 9240
EUF-EP (Am486DX5 Cache無し) 128MHz 25862 35663 32920
EUF-EP (Am486DX5 Cache有り) 128MHz 63829 54229 9104

 メモリは、メルコ (バッファロー) 製 EFAで 12MB増設してあります。EUF-EPでは ENLで 64MB増設してありましたが、CPU性能測定では、メモリの量に関係なく結果はまったく同じでした。機器の構成については、電算機管理室の項を参照してください。感想としては、EUF-EPはキャッシュ無しでも速いですが、キャッシュ有りでは Am486DX5の本来の性能が出て桁違いに速くなりました。

 「INSPECT Ver 1.03」はシステムクロック 16MHzの PC-9801FAでは正常に測定できないようです。同じ i486SX (J) 16MHz搭載の PC-9801NS/Rでも同様な傾向が見られます。PC-9801FAのシステムクロックを 20MHzにクロックアップ改造すると 16MHz時よりも 20%程度低い数値になります。この改造本体に EUF-EPを取り付けると 160MHz動作になりますが、この条件で測定すると 160MHz動作に改造した PC-9801DA + EUD-HPとほぼ同じ数値が出ました。ですので、他機種と比較する場合に於いては、表の値より 20%低い数値で比較してください。

 数値が高めに出ているために正しくは比較できませんが、あくまで参考として、「INSPECT Ver 1.03」 のデータベースでは、ノーマルの PC-9821Af (Pentium 60MHz) が総合で 40000点です。ちなみに PC-9821Xa16/W30の MMXテクノロジ Pentium (P55C) 233MHz換装機で測定しようとすると測定不能の表示が出ました (^ ^;;)。Pentium 90MHz辺りが INSPECT 1.03の測定の限界のようです。

メモリの増設

● はじめに

 さて、CPUアクセラレータを使って首尾よく高速化したら、さっそく、メモリを増設しましょう。メモリの増設の仕方は、メモリ専用スロット、EUF-EP上のスロットの 2つの方法があります。他にも、Cバススロット用がありますがメモリアクセスが遅いので PC-9801FAのような 486以上の機種でプロテクトメモリを増設する用途にはお勧めしません。と言うよりやめたほうがいいです。

● メモリ専用スロット用メモリ

メルコ (バッファロー) 製 メモリ EFAシリーズ (4MB +8MB)

 まず、メモリ専用スロット用メモリでは、親亀ボードが必要になります。I-O DATA製の BA34シリーズやメルコ製の EFAシリーズがあります。どちらも PC-9801-61/ 61U/ 61R互換の 2MB SIMMで容量を PC-9801FAでは 13MBまで増やすことができますが、初めに述べたように問題があるので 12MB までにしておいたほうが良いでしょう。
 なお、I-O DATA製の BA34シリーズは、A MATEにも使いまわしができるので入手するのならこちらの方が有利かもしれません。
 ただし、残念ながら現在は全て生産終了で手に入れるには中古在庫を探すしか有りませんが、割と見つかりやすいです。99年 7月現在の相場は、2MB当たり 2千円程度です。

 ちなみに、PC-9801FA用のメモリボードは、保証外になりますが PC-9801BA/ BX、PC-9821Ae/ Ap/ Asでも流用可能です。

 PC-9801FA対応のメモリボード代表例

メーカー 型番 メモリ容量 (標準/ 最大) 補足 価格 (税別)
NEC PC-9801FA-01 2MB/ 13MB 2MBの PC-9801-61 SIMMを 6枚取り付け可能 45,000円
PC-9821A-B01 4MB/ 13MB 2MBの PC-9801-61 SIMMを 5枚取り付け可能 39,000円
メルコ / Buffalo EFAシリーズ 4MB〜8MB/ 13MB 2MBの PC-9801-61 SIMMを 5枚取り付け可能 19,800円〜49,800円
EABシリーズ 4MB〜12MB/ 13MB 2MBの PC-9801-61 SIMMを 5枚取り付け可能 19,800円〜72,800円
I-O DATA FA34 4MB〜14MB/ 13MB 2MBの PC-9801-61 SIMMを 5枚取り付け可能 28,000円〜83,000円
BA34 4MB〜14MB/ 13MB 2MBの PC-9801-61 SIMMを 5枚取り付け可能 19,800円〜83,000円

 I-O DATA製のメモリボードには機種設定用のシャンパ「F, M」があるものがあります。Fは 98FELLOW、Mが 98MATEの意味です。

 また、I-O DATA製のメモリボード「FA34」や「FS34」、「BA34」に付属している 「取り外さないでください」と表記の有る 72ピン SIMMに 4MBの「PIO-HEX-4M」と 8MBの「PIO-HEX-8M」が有りますが、8MBの物に限り保証外ですが 2MBの 61互換 SIMMとして流用できます。
 これらのメモリは、「BA34」等で 4MBを 8MBに交換したり、別のスロットに取り付けたりしても認識容量が増える事は有りません 4MBのスロットに 8MBの SIMMを取り付けても認識するのは 4MBまでです。アドレス線の配線が足りないか、SIMMスロット毎に最大認識容量が決め打ちになっているのかもしれません。

 PC-9801FA用メモリボードで使用できる NEC独自仕様の PC-9801-61と主な互換メモリモジュールです。使用されている DRAMチップは、1Mビットと 4Mビット、80nsと 70ns等がありますが、いずれも速度に違いは無く混在しても大丈夫です。中古品はジャンクで有れば一個あたり数百円で購入できます。

メーカー 型番 メモリ容量 補足 価格 (税別)
NEC PC-9801-61 2MB 100,000円
PC-9801-61U 2MB 1Mビットチップ 16個を両面に搭載 70,000円
PC-9801-61R 2MB 4Mビットチップ 4個を両面に搭載 20,000円
メルコ / Buffalo XMC-2000 2MB A〜 Dまで 4バージョンあり 6,000円
I-O DATA PIO-SIM61 2MB 6,000円

● ハイパーメモリ CPU用メモリ

メルコ (バッファロー) 製 メモリ ENLシリーズ (8MB)

 もう一つの方法は、EUF-EP等のハイパーメモリ CPU上のスロットで増設します。このスロットでは、ボード上でシステムクロックが 2倍になっているので、理論上 32MHzで高速に動作します。使えるメモリは、メルコ (バッファロー) 製で PC-9821Ld, Lt, Lt2, Ne3, Nd2, Na7, Nx, PC-9801 NL/A対応の ENLシリーズです。99年 1月現在、16MBタイプが生産終了となり 32MBタイプのみが販売中です。
 中古市場では、8MBや 16MBが主流で 32MBタイプはまだ多く出回ってないようでが、運よく見つけることができれば、3千円前後で買えると思います。

 なお、同じ対応機種のNEC製、PC-9821LD-B01/ B02/ B03/ B04や、I-O DATA製 Ld34シリーズ等では、ロットによって動くもの (EUF-EP上でメルコ製メモリかどうかチェックしているらしいのでこれに引っかからないもの) があるようですが、これは使えると言うだけで安定動作するかどうか分かりません。また、保証外になるので、素直に ENLシリーズを使いましょう。

 ちなみに、手もとの EUF-EPでは、NEC製 PC-9821LD-B04 (32MB) が動作しました。

 一応参考までに主な ハイパーメモリ CPUボードに搭載できる製品には以下の様なものがあります。補足は自分が実際に実験した結果です。全ての環境で同じ結果になるとは限りません。

メーカー 型番 メモリ容量 補足 価格 (税別)
メルコ / Buffalo ENLシリーズ 4MB〜 32MB ハイパーメモリ CPU正式対応
16MB 13,000円、32MB 25,000円に価格改定あり
24,800円〜172,800円
NEC PC-9821LD-B01 4MB ハイパーメモリ CPUで認識 NG 30,000円
PC-9821LD-B02 8MB ハイパーメモリ CPUで認識 OK 60,000円
PC-9821LD-B03 16MB ハイパーメモリ CPUで認識 NG 140,000円
PC-9821LD-B04 32MB ハイパーメモリ CPUで認識 OK 280,000円
I-O DATA Ld34シリーズ 4MB〜 32MB 16MB版は認識 OK。その他は不明
8MB 9,000円〜 32MB 19,000円に価格改定あり
24,000円〜172,000円
Logitec LSM-16C6FP 16MB ハイパーメモリ CPUで認識 OK

内蔵ハードディスクの換装

● はじめに

 PC-9801FA、PC-9801FS、PC-9801FXや A MATE、PC-H98model105には、NECの PC-9801FA-35 (40MB 平均シーク時 25ms) や PC-9801FA-37 (100MB 平均シーク時 19ms) 等の SCSIタイプの HDDが内蔵できます。FDDのみのモデルでは、SCSI専用スロットに PC-9801FA-02等の対応した SCSIボードの増設している必要があります。
 しかし、今となっては、100MBでは少な過ぎます。そこで、より大容量の HDDへの換装を試みました。換装できる HDDは PC-98または AT互換機用 (ただし、Mac用は駄目) で、SCSIコネクタが 50Pinのものなら大丈夫です。なお、購入の際には、設定の書かれたデータシートや固定用のねじ付きのものにした方が何かと便利です。

● HDD交換時の注意点

 交換するドライブは、古いタイプの物で大容量のドライブは、消費電力が高い物があります。極端に消費電力が高いドライブに交換すると、拡張ボードをフルに実装した状態では電力供給不足で HDDの動作が不安定になったり、電源ユニットが故障する事がありますのでご注意ください。交換して動作が怪しい時は外付けケースに入れて繋いでチェックしてみてください。そこで異常がない場合は、電源容量不足が考えられます。

 PC-9801FA-02ボードを使用している場合は、NECチェックがあるので注意が必要です。ドライブ単体でベンダ名を NEC (nEC) と返す製品はほぼ無いのでボードを交換するか、NEC製ドライブを使用する以外に回避する方法は有りません。

● 必要なパーツ

 自分が用意した物は、PC-9801FAを中古で買ったときから内蔵されていたロジテックの LHD-S100NP (NEC製ドライブ採用) という 100MB HDDユニットと IBM製 PC/AT機用純正オプションの SCSI-2対応、DFHS 1GB HDDです。注意としては、この方法だと基本的に本体の HDDアクセスランプがつかなくなります。なお、LED端子付きの HDDを用意し、本体のアクセスランプに直接繋げばなんとかなります。
 また、ICM製の PC-9801FA用内蔵 HDDだとケース (通称 SCSI籠) 側のインターフェイス基板が専用のものになっているらしく換装できないそうです。NEC純正の SCSI籠では側面のネジ穴の位置が最近の 3.5インチ HDDとは一致しません。

● 交換の手順

 まず、フロントマスクを外し、SCSI籠を取り出します。SCSI籠の前後合わせて 4本のねじを外して蓋を開け HDDを固定しているねじ 4本を外します。次に、HDDに繋がっている電源、SCSI、LED (これだけ前側にありました)の各コネクタを外し HDDを取り出します。IDセレクタは、HDDのジャンパに届かないので使っていません。LEDのコネクタは、細いビニール線で短く切れ易いので注意してください (経験者談 (T_T))。

 HDDを取り出したら、新しい HDDの設定をジャンパ等で行い、この HDDに電源、SCSI、LED (取り付け位置が分かる場合) の各コネクタを逆刺しに注意して取り付け、ねじで固定します。ここで、もう一度各コネクタ、設定等を確認します。良ければ、SCSI籠の蓋を閉じねじを締めます。そして、換装した HDDユニットを本体に取り付け本体の電源を入れ、SCSI BIOSで認識しているのが確認できればひとまず OKです。

● HDDの初期化

 あとは、FDから MS-DOSを起動し HDDを「FORMAT」コマンド等でフォーマットします。正常に初期化、領域確保が終われば終了です。これで容量が増えシーク時間も若干ですが短縮できます。

● アクセスランプの取りつけ

 通常は以上で終わりですが、 今回の IBM製 HDDには、LEDを接続する所があった (ここに LEDを直接付けるとアクセスの度に LEDが光る) ので、HDD側の LED端子に 2pinコネクタ付きケーブルを付け、本体側は、マザーボードからきているアクセスランプの信号線を外し極性に注意して、2pinコネクタ付きケーブルを付けてお互いをつなぎました。これでアクセスランプが点灯するようになりました。
 ちなみに、NEC製ドライブだと、HDDユニットのLEDコネクタが使えるので、配線しなおす必要がありません。

● おわりに

 最後に、今となっては、PC-9801FA、PC-9801FS、PC-9801FXや A MATE、PC-H98model105用の内蔵ハードディスク (SCSI籠) はすでに生産終了で、中古でもかなり手に入りにくくなっています。また、A MATEユーザーが血眼になって探しているので、売っていたとしても相場は数千円程と高いですが、見つけたらすぐに買ったほうが良いでしょう。

SCSIボードのスルー化 その 1

● はじめに

 PC-9801FAの特徴として SCSI専用スロットとファイルスロットを搭載している点は始めに述べました。このファイルスロット用周辺機器 (FDDユニットは除く) を使用する場合、FDDのみのモデルでは、SCSI専用スロットに対応する SCSIボードを増設しなければなりません。
 しかし、これに対応する SCSIボードは全て、CPUまたは DMA転送モードのものしかなく最新の SMIT転送の物に比べデータ転送速度は 1/4以下と非常に遅いです。

● スルー化とは

 そこで、その対策の一つとして挙げられるのが、「SCSIボードのスルー化」です。具体的にどういうことかと言うと SCSI I/F専用スロットの SCSIボードの BIOSを殺し(切り離す)、このボードを単なる SCSIケーブルにしてしまうということです。ただし、割り込み等リソースは消費します。(^ ^;;

 ちなみに、これを面倒なこともせず実現できるボードがあります。緑電子製の MDC-FA001や玄人志向製の二種盛り合わせ (PK98-2SYUMORI) というスルーボードです。後者は特に、メルコ (バッファロー) 製 LGYシリーズ互換の NICを搭載しています。これらは、外付け SCSIコネクタと SCSIスロットの間が結線されているだけのボードでこれなら安全にスルー化できます。
 これは、現在も A MATEユーザー中心に需要があたため、緑電子製品は 99年頃まで受注生産を続けていましたが、メーカーの撤退によりサポートと共に全て終了しました。当時の価格は、直販割引を利用すれば 11,840円 (税別) でした。一方、玄人志向製品の方は WPCイベント会場での販売で 9,800円 (税別) でした。高いか安いかはその人の判断に任せます。 (^ ^;;)

 ついでに言っておくと、両製品ともまず中古では出てきません。相場は一万円ぐらいでしょうか。出てきても、すぐに A MATEユーザーに捕獲されてしまいます。

● 必要なパーツとボードの設定

 さて、用意するものは、Cバス用 SCSIボード (I-O DATAの SC-98IIIシリーズ等) と SCSI専用スロット用 SCSIボード (NECの PC-9801A-E10等) です。そこで今回は、日本テクサの HA55BS3とロジテックの LHA-15FAで試みました。

ロジテック製 SCSIボード LHA-15FA

 始めに、この二つのボードの割り込み (INTまたはIRQ)、DMAチャネル、ROMアドレス、I/Oアドレスが競合しないようにディップスイッチで設定し、SCSI専用スロット側の BIOS ROMを切り離します (下表参照)。自分は、HA55BS3の設定は設定 4にし、LHA-15FAの方を変更しました。それぞれの変更方法は、取扱説明書を参照してください。

 ちなみに、LHA-15FAのディップスイッチ設定の機能は、PC-9821A-E10と同じです。

  HA55BS3 LHA-15FA
設定 設定4  
SCSI ID 7 5
割り込み(INT) INT 1 INT 3
DMAチャネル #3 #0
ROMアドレス DC000-DCFFF D4000-D4FFF
BIOS ROM ON OFF
I/Oアドレス 0CC0 0CD0

ディップスイッチ設定 (0:OFF 1:ON)

ボード HA55BS3 LHA-15FA
SW 1 10011 10111000
SW 2 01101111 01001110
SW 3 ON 1-2ショート
SW 4 ON 2-3ショート
SW 5 なし 2-3ショート

● ボードの取り付け

 設定が終わったら本体にそれぞれのボードを取り付けます。次に、Cバス SCSIボード→ SCSI機器→ SCSIスロット用ボードの順に接続し、本体の電源を入れます。外付け SCSI機器と内蔵 SCSI機器全てが IDスキャンの画面で認識されていれば、成功です。もし、認識されていない機器があったり、SCSIチェックが終わらなかったり、フリーズしたりなどと本体が正常に起動しないようなときは、もう一度ボード同士で設定の競合がないかどうか、SCSI ID等の設定、機器の接続を確認してください。

● 結果

 結果として、この構成では、MS-DOSではうまくいったものの両方のボードが Windows 95非対応 (実は、55互換なので PC-9801-55ボード用ドライバが使えます) だったため Windows 95ではどうしてもインストール中のハードウェアの設定で止まってしまい認識せず駄目でした (Windows95の SCSIポートドライバの問題も有る)。スルー化の状態でインストールすること自体間違ってはいますが。(^ ^;;

 また、SC-98IIIPと LHA-15FAでは、設定をいろいろ変えても SC-98IIIP側の DMAの表示が化けて止まってしまい、起動すらしませんでした。しかたないので、 LHA-15FAのみでインストールしたらインストールはすんなり終わりましたが、ファイルシステムが MS-DOS互換モードになってしまい、それ以降どうにもなりませんでした。(T_T)

 最後に、この場合ターミネーションはボードで行っているようなので特に気にすることはないようですが、まったく安全とも言い切れませんので、気になる方は、緑電子製の MDC-FA001をお使いください。

 こちらの記事も参考にどうぞ、スルー化の検証や SCSIボード関連の実験結果をまとめています。企画課 第4回 PC-98 Cバス SCSIボードの活用

SCSIボードのスルー化 その 2

● PC-9821A-E10

NEC製 SCSIボード PC-9821A-E10

 前項では、ボード自体が Windows 95非対応だったために、MS-DOSでは成功したものの Windows 95では失敗してしまいましたが、PC-9821A-E10が手に入ったので I-O DATA製の Fast SCSI対応で高速な SMIT転送の SC-98IIIPと PC-9821A-E10で試みました。PC-9821A-E10は、NEC製の 専用 SCSI I/Fボードスロット用の製品で、DMA転送モードと CPU転送モードをサポートしている PC-9801FA-02の後継ボードです。PC-9801-92互換なので NECチェックも有りません。
 このボードは、現在でも A MATEユーザー中心に需要があったので NECでは長いこと受注生産で製造を続けていました。こちらは、もちろん定価です (3万円ぐらい (滝汗))。中古で手に入れる方法もありますが、出たとしてもすぐ売れてしまうので中古で手に入れようという方は、こまめに探してみてください (相場 1,500〜 2,000円ぐらい)。インターネット上のフリーマーケットという手もあります。

● SCSIボードの設定

 前項と同様に、この二つのボードの割り込み (INTまたはIRQ)、DMAチャネル、ROMアドレス、I/Oアドレスが競合しないように設定しPC-9821、A-E10側の BIOS ROMを切り離しました (下表参照)。それぞれの変更方法は、取扱説明書を参照してください。

 ここで、PC-9821A-E10側の BIOS ROMを切り離しておかないと、Cバス SCSIボードの BIOS ROMを飛ばしてしまう (フラッシュ ROMタイプ) ことがあるので気をつけてください。BIOS ROMを飛ばしてしまうと、メーカー修理になる可能性があります。以前、これを故 ICM製の IF-2769でやりました。(T_T) 結局、なんとか書き戻すことはできましたが、あの時は血の気が引いてしまいました。(滝汗)

 なお、PC-9821Apや PC-9821An等でハイレゾモードを使用する環境では、ハイレゾモード側のローカルメモリアドレスも重ならないように変更する必要があるのでお忘れなく。

  SC-98IIIP PC-9821A-E10
SCSI ID 7 5
割り込み(INT) INT 1 INT 2
DMAチャネル #3 #0 (セットアップメニューで #1に変更可能)
ROMアドレス DC000-DCFFF D4000-D4FFF
BIOS ROM ON OFF
I/Oアドレス 0CC0 0CD0

 ディップスイッチ設定 (0:OFF 1:ON)。 SC-98IIIPの方は、起動時に [CTRL] + [GRPH] + [S] キーを押して呼び出すセットアップメニューで設定します。

ボード PC-9821A-E10
SW 1 10101000
SW 2 01001110
SW 3 1-2ショート
SW 4 2-3ショート
SW 5 2-3ショート

 PC-9821A-E10のマニュアルに記述がありませんが、SW2の設定はローカルメモリアドレスと機種の選択で次のようになっています。LHA-15FA等他の SCSIボードも大抵は同じです。

 PC-9821A-E10の他のディップスイッチ設定については PC-9821Ap2ネタの本体ディップスイッチ設定にあるSCSIボードの設定をご参照ください。

ローカルメモリアドレス (ノーマルモード) SW2-1 SW2-2 SW2-3
xD0000-xD1FFFH OFF OFF OFF
xD2000-xD3FFFH ON OFF OFF
xD4000-xD5FFFH OFF ON OFF
xD6000-xD7FFFH ON ON OFF
xD8000-xD8FFFH OFF OFF ON
xDA000-xDBFFFH ON OFF ON
xDC000-xDDFFFH (デフォルト) OFF ON ON
xDE000-xDFFFFH ON ON ON
ローカルメモリアドレス (ハイレゾモード) SW2-4 SW2-5
xE8000-xE9FFFH OFF OFF
xEA000-xEBFFFH ON OFF
xEC000-xEDFFFH (デフォルト) OFF ON
xEE000-xEFFFFH ON ON
機種の選択 SW2-6 SW2-7
ハイレゾモード対応機種 (デフォルト) OFF ON
その他の機種 ON ON

● SCSIボードの取り付け

 SC-98IIIPは、取り付けてからセットアップメニューで設定し、PC-9821A-E10は設定が終わったら本体にボードを取り付けます。次に、Cバス SCSIボード→ SCSI機器→ SCSI専用スロットボードの順に接続して本体の電源を入れます。外付け SCSI機器と内蔵 SCSI機器全てが IDスキャンの画面で認識されていれば成功です。もし、起動しなかったり、SCSIチェックで止ってしまったり、認識されていない機器があったりしたときは、もう一度ボードの設定に競合がないか、機器の接続や SCSI IDの被り、SCSIケーブルのインピーダンスを確認してください。

 特に古いケーブルでは、Fast-SCSI (SCSI-2) に対応していない物があります。対応しているかどうかは、ケーブルのインピーダンスの違いによるものですが、混在しているとデータ化けや誤動作の原因になります。

● 結果

 この構成では、MS-DOSと Windows 95両方で見事に成功しました。成功当時の SCSI機器の構成は、以下のようになっていました。

SCSI ID 種類 製造元 名称
0 外付け MOドライブ メディアインテリジェント MMO-640W
1 外付け HDD 日本テクサ Estate240 240MB
2 内蔵 HDD IBM DFHS 1GB
3 内蔵 CD-ROMドライブ NEC PC-CD60F
5 ボード NEC PC-9821A-E10
7 ボード I-O DATA SC-98IIIP

 最後に、やっぱり完全に安全と言い切れませんので、気になる方は、緑電子製のスルーボード MDC-FA001をご利用ください。

 こちらの記事も参考にどうぞ、スルー化の検証や SCSIボード関連の実験結果をまとめています。企画課 第4回 PC-98 Cバス SCSIボードの活用

● 追加として

 専用 SCSI I/Fボードスロット用のボードが、PC-9821A-E10の場合では、メルコ (バッファロー) 製の SMIT転送 SCSI-2ボード IFC-NN、ICM製の バスマスタ転送 SCSI-2ボード IF-2769と IF-2771、緑電子製の バスマスタ転送 SCSI-2ボード MDC-926Rsでも同じ設定でうまくいきました。結局のところ PC-9821A-E10で有れば、相手の Cバスボードは何でも大丈夫なようです。(^-^)

 一方、専用 SCSI I/Fボードスロット用のボードが PC-9821A-E10以外の場合、ICM製の IF-2560では玉砕。ロジテック製 LHA-15FAでは、SC-98IIIPとの組み合わせで玉砕。NEC製 PC-9801FA-02では、ボード自体に改造が必要だそうです。

Cバス SCSIボードで SCSI機器の内蔵 PC-9801FA編

● はじめに

 PC-9801FAに HDDや CD-ROMを内蔵する場合必ず必要になるのが、SCSI専用スロット用 SCSIボードです。例えば NEC製 PC-9801FA-02や PC-9821A-E10等です。しかし、今となってはこれらボードは、前項でも述べたように転送速度が遅く、手に入りにくい (受注生産をしている PC-9821A-E10を除く) です。そこで、これらのボードが手に入らない場合やスルー化ができない場合の内蔵方法として、ソフトバンク社刊 Oh!PCの 98年 2/5号の A MATEの記事を元にやってみました。
 ただし、この方法では、ファイルスロット用 CD-ROMや MOが使えなくなります。

● 必要なパーツ

 用意したものは次の通りです。

  1.  SCSI用の外付け →内蔵 (50pin) 変換ブラケット (なるべく小さいもので、内蔵コネクタが後ろ側に出ている物)
  2.  SCSI専用スロット用ボードの蓋の部分 (特に必要と言うわけではありません)
  3.  内蔵用 SCSIフラットケーブル (50pin)
  4.  PC-9801FA用内蔵 HDDユニット (電源確保のために使いました)
  5.  ターミネーション可能な SCSI HDD

● 取り付けの手順

 まず、変換ブラケットの金属製カバーを専用 SCSI I/Fボードスロット用ボードのものと交換します。無ければ、適当な大きさにプラスチックやアルミの板等を切って固定します。

 次に、PC-9801FA用内蔵 HDDの蓋を外し、中の HDDをターミネーション可能な SCSI HDDに交換し、ここへ、内蔵用 SCSIフラットケーブルを繋ぎます。HDD増設スペースから本体の外へいったんフラットケーブルを出し、専用 SCSI I/Fボードスロットのスペースに引き込み、変換ブラケットに繋げます。非常に狭いですがなんとか成ります。
 続いて、この変換ブラケットを本体に固定します。このスペースはけっこう狭いのでショートしないように気をつけてください。続いて、FA用内蔵 HDDの蓋を外したまま本体に取り付け本体のトップカバーとフロントパネルを取り付け、Cバス SCSIボード -> 外付け SCSI機器 -> 変換アダプタの順にデイジーチェーンして終わりです。電源を入れて全ての SCSI機器が認識されれば成功です。

● HDDの初期化

 なお、HDDを換装した場合は最後に、FDから DOSを起動し HDDを 「FORMAT」 コマンド等でフォーマットし、正常に初期化、領域確保が終われば成功です。これでも、HDDのパフォーマンスは Cバス SCSIボードに SMIT転送対応のもの等を使えば確実にアップします。

PC-9801FAで Windows 95

● はじめに

 ここまで、いろいろパワーアップを計ってきた PC-9801FAですが、スキャナーやデジカメのデータ取り込み用として Windows95化を試みました。この際に、Windows95対応のグラフィックアクセラレータと SCSIボードと最低 8MBのメモリ、500MBクラスの SCSI HDD、SCSI接続の CD-ROMドライブ等が必要です。もちろん MS-DOS Ver6.2 (最低 Ver5.0A以上であればできますが後でいろいろと面倒なことになります) とPC-9800シリーズに対応した製品版の FD版または CD-ROM版 Windows 95も必要です。

 なお、秋葉原のジャンク屋等で 2千円位で売られている OEM版 Windows95 (OSR 2.x) は、セットアップに執拗な「SETUP.EXE」等一部のファイルが無い為、何の役にも立ちませんのでご注意ください。また、FD版の場合、PC-9801FAの 3.5インチ FDDでは、1.44MBフォーマットは読めませんのでこれにも注意してください。
 ちなみに、ファイルスロット用、外付け増設用も駄目です。厳密には、外付け増設用 FDDでは一部の機種では MS-DOSでのみ専用のドライバを使えば可能です。しかし、Windows95では使えません。どちらの OSでも使える唯一の方法として、SCSI接続の SuperDiskという方法がありますが、ドライバのインストールが必要になり、起動も出来ないので要注意です。

● インストールにあたって

 手順ですが、前述のボードや機器を接続します。それ以外のインストールに必要のないボードは外しておいた方が良いようです。でないと途中のハードウェアチェックで止まって、先に進めなくなる事がよく起こります。HDDを MS-DOSの「FORMAT」コマンド等で初期化と領域確保を行い、システムを転送し BOOT可にします。ここで、画面の指示に従いって一旦電源を切り、再び電源を入れインストール先の HDDから MS-DOSを立ち上げます。CD-ROMドライブのドライバ (CD-ROM Extensions) をインストールし、CPUアクセラレータ等を利用している場合は、キャッシュコントロールユーティリティーもインストールし、再起動します。

 なお、MS-DOSのバージョンが 5.0Aの場合、5.0A付属の EMM386.EXE、HIMEM.SYSでは、インストール時にエラーが出て使えませんので、ご注意ください。不幸にも該当してしまった場合、修正版の Ver 5.0A-Hか、Ver6.2以降の EMM386.EXE、HIMEM.SYSと置き換えましょう。

● Windows95のインストール

 CD-ROM版では、Windows95インストール CD-ROMのパスに移動して SETUP.EXEを実行し、画面の指示にしたがっていけば、あっさりインストールできてしまいます。もし、FD版の場合は、HDDから起動して「Windows」等の名前でディレクトリを作り、そのディレクトリに FDメディアのファイルを全てコピーしてから HDD内の SETUP.EXEでセットアップを実行すれば OKです (CABSセットアップと同じ方法です)。

 なお、注意として、SCSIボードは必ず Windows95への対応を確認してください。対応していないとインストールできてもファイルシステム (「スタート」→「設定」→「コントロールパネル」→「システム」→「パフォーマンス」) で MS-DOS互換モードになってしまいパフォーマンスが落ちてしまいます。

 ちなみに、PC-9801FAに内蔵の 26互換音源や、PC-9801-26Kのサウンドボードは Windows95非対応ですが、Windows 3.1のドライバを使えば Windows95上で MIDI音源として FM音源を鳴らせるようになります。もっとも、FM 3音なので本当に音が鳴っているのを確認できる程度ですが。(^ ^;;

● 結果

 最後に、PC-9801FAはみごとに Windows 95化され、現在では LANで繋がっています。一応ベンチマークの結果を載せておきます。なお、DirectX5をインストールしてあります。笑ってしまうような結果ですが、重いアプリケーションを使わなければ意外と快適に使えます (^-^)。

★ ★ ★ HDBENCH Ver 2.610 ★ ★ ★
使用機種 PC-9801FA/U2
Processor Am5x86/WB/4x [AuthenticAMD family 4 model F step 4]
解像度 1024x768 256色(8Bit)
Display GA-98NB シリーズ (Cirrus Logic)
Memory 79,364Kbyte
OS Windows 95 4.0 (Build: 950)
Date 1999/ 1/24 19:35

SCSI = I-O DATA SC-98V(非PnPモード)

AB = IBM DFHSS1F !c Rev 1717
C = GENERIC NEC FLOPPY DISK
D = GENERIC NEC FLOPPY DISK
E = GENERIC NEC FLOPPY DISK
F = GENERIC NEC FLOPPY DISK
G = NEC CD-ROM DRIVE 4 M Rev 1.0

ALL 浮 整 矩 円 Text Scroll DD Read Write Memory Drive
2931 4457 6548 5505 684 2448 52 0 1775 1984 4536 A:10MB

 こちらは、CPUをいろいろ交換して取ったベンチマークです。上のデータとは解像度が違っていますが、普段はこの解像度で使っているのでご了承ください。

★ ★ ★ HDBENCH Ver 2.610 ★ ★ ★
使用機種 PC-9801FA/U2
Processor 486 [・family 0 model 0 step 0]
解像度 640x480 65536色(16Bit)
Display GA-98NB シリーズ (Cirrus Logic)
Memory 13,832Kbyte
OS Windows 95 4.0 (Build: 950)
Date 1999/ 1/31 16:21

SCSI = I-O DATA SC-98V(非PnPモード)

AB = IBM DFHSS1F !c Rev 1717
C = GENERIC NEC FLOPPY DISK
D = GENERIC NEC FLOPPY DISK
E = GENERIC NEC FLOPPY DISK
F = GENERIC NEC FLOPPY DISK
G = NEC CD-ROM DRIVE 4 M Rev 1.0

CPU ALL Text Scroll DD Read Write Cache Drive
i486SX 764 29 760 1217 281 676 77 0 1313 1763 472 A:10MB
i487SX (i486DX) 860 504 762 1195 311 884 77 0 1313 1833 512 A:10MB
EUF-EP (ENL無し、WB制御無効) 1360 1896 3464 1348 238 1066 81 0 1289 1497 1085 A:10MB
EUF-EP (ENL無し、WB制御有効) 2492 4321 6319 3414 545 2082 86 0 1340 1835 2599 A:10MB
EUF-EP (ENL 64M、WB制御無効) 2453 4124 6193 3934 294 1834 89 0 1326 1834 4047 A:10MB
EUF-EP (ENL 64M、WB制御有効) 2792 4400 6421 4872 603 2159 90 0 1792 2004 4276 A:10MB

 測定当時、メモリは、メルコ (バッファロー) 製メモリボード EFAで 12MB増設していました。動作クロックは EUD-EPでは 128MHzで、それ以外の CPUの動作クロックは全て 16MHzです。その時ついでに測定した起動時間を以下に示します。条件は、「Windows 95を起動しています」の表示が出てから、データを全てロードし終わって HDDのアクセスが止まるまでです。また、スタートアップには、メモ帳のようなツールしか登録していません。

CPU 起動時間
i486SX 1分 55秒
i487SX (i486DX) 1分 55秒
EUF-EP (ENL無し、ライトバック制御無効) 1分 26秒
EUF-EP (ENL無し、ライトバック制御有効) 1分 07秒
EUF-EP (ENL 64M、ライトバック制御無効) 1分 00秒
EUF-EP (ENL 64M、ライトバック制御有効) 0分 55秒

 現在の機器の構成については、電算機管理室の項を参照してください。感想としては、やっぱり EUF-EPなら起動も速いです。PC-9801FAはメモリ周りが遅いので、ハイパーメモリ CPU上のソケットに ENLでメモリを 64MBフルに増設してあると遅さをある程度カバーできることが分かりました。Windows95の動作に如何にメモリの増設が必要かという事が良く分かりました。(^-^)

GA-98NBシリーズの高速化

I-O DATA製 PC-98用グラフィックアクセラレーションボード GA-NBIV/98

 I-O DATA製の Cirrus Logic製のグラフィックチップ GD5434を搭載したグラフィックアクセラレーションボードの GA-98NBシリーズは Windows95で使う場合に説明書に載っていない隠し設定があります。この設定を弄ると描画が速くなります。説明書に載っていないため当然メーカー保証外ですので、全て自己責任でお願いします。また、うまくいかなくてもこちらに文句を言わないでください。m(_ _)m

 Windowsの Systemフォルダの中の system.iniの [IODATA_GA] セクションに MCLK=X (Xは整数) と記述して再起動します。

 これだけで速くなりますが、環境によって最適な数字が違ってきます。この数字を大きくし過ぎると、画面にゴミが出るようになります。また、下手をすると Windowsが起動しなくなったり、最悪ボードが壊れる可能性があるので注意して設定してください。

 ちなみに自分の環境では MCLK=8にするとゴミが出るので、普段は MCLK=5にしています。ベンチマークテストを実行すると次のようになりました。

★ ★ ★ HDBENCH Ver 2.610 ★ ★ ★
使用機種 PC-9801FA/U2
Processor Am5x86/WB/4x [AuthenticAMD family 4 model F step 4]
解像度 1024x768 256色(8Bit)
Display GA-98NB シリーズ (Cirrus Logic)
Memory 79,364Kbyte
OS Windows 95 4.0 (Build: 950)
Date 1999/ 1/28 11: 8

SCSI = I-O DATA SC-98V(非PnPモード)

AB = IBM DFHSS1F !c Rev 1717
C = GENERIC NEC FLOPPY DISK
D = GENERIC NEC FLOPPY DISK
E = GENERIC NEC FLOPPY DISK
F = GENERIC NEC FLOPPY DISK
G = NEC CD-ROM DRIVE 4 M Rev 1.0

  ALL Text Scroll DD Read Write Memory Drive
ノーマル 2931 4457 6548 5505 684 2448 52 0 1775 1984 4536 A:10MB
MCLK=5 2958 4402 6436 5785 653 2567 64 0 1757 2001 4273 A:10MB

 PC-9801FAの Windows 95の項とは、MCLK=5を追加した以外環境はまったく同じです。見比べるとスクロールが目立って上がっています。体感的にもスクロールは速くなっていました。

 ちなみに今では、GA-DRV4/98に換えてしまいました。(^ ^;;

FDD アクセスランプ の交換

 PC-9801FAに使われている 3.5インチ FDDの NEC製 FD1138Dをはじめとする FD1138C、FD1138Tは、φ3の赤色の LED (発光ダイオード)を使った有り触れた物です。そこで、LEDを緑色の物に変えようと思いました。この LEDは FDDの制御基板の黒い 2Pinのソケットに刺さっています。

FD1138系 FDDのアクセスランプ

 交換の方法としては、元から付いている LEDを外し 2Pinソケットに足の長さを揃えた新しい LEDを差し込むだけです。FD1148Tはソケットでは無く直に半田付けされているので出来ません。

 ただし、LEDには極性というものがあり + (アノード: A) と - (カソード: K) を間違えると点灯しないどころか最悪壊れてしまうので、極性には十分注意してください。PC-9801FA本体の正面から向かって右側が K側です。極性の区別の仕方は、新品の LEDでは足の長い方が A側、または、LED本体 (プラスチックの部分) の中を見て電極の小さい方が A側です (下図参照)。

LEDの極性

 交換する LEDは直径 3mm (φ3) で高輝度タイプの物が良いようです。価格は、秋葉原では物にも寄りますが 1個 30円程です。1個だと高いですがまとめ買いだと 100個で 300円程度と格段に安くなります。

 なお、現在販売されている LEDの種類は、赤、橙、黄、緑 (黄緑)、青、紫、白と一通り有りますので、お好きなものをどうぞ。(^-^)

GA-DRVx/98 の解像度を増やす

● はじめに

I-O DATA製 PC-98用グラフィックアクセラレーションボード GA-DRV4/98

 I-O DATA製の Trident製の 64ビットグラフィックチップ TGUI9680を搭載した DRAGONSTAR 64Vシリーズ、グラフィックアクセラレーションボードの Cバス対応版、GA-DRVx/98シリーズ (x=2: VRAM 2MB、x=4: VRAM 4MB) には、Windows9xで使う場合に説明書に載っていない隠し設定があります。この設定を弄ると画面モードに 640×400ドットの 256色、ハイカラー (65535色)、フルカラー (1677万色) が加わり、Windows95でも PC-98用のノーマルディスプレイ (24kHz専用) が使えるようになります。(^-^)

 なお、説明書に載っていないため当然メーカー保証外ですので、全て自己責任でお願いします。また、この方法では、「system.ini」 等の Windows95を動かすために重要なファイルを書き替えるので事前に必ずバックアップを行っておいてください。画面が表示されなくなったり、データの破損や動作が不安定になったりしてもこちらに文句を言ったり、メーカーに問い合わせたりしないでください。m(_ _)m

 ここでは、既に GA-DRVx/98シリーズのドライバがインストールしてあり、 Windows95のバージョンが 4.00.950a (OSR1) の場合について書きます。

● infファイルの書き換え

 まず、「マイコンピュータ」→「表示」→「オプション」の「表示」で「すべてのファイルを表示する」をチェックします。Windows95の Windowsフォルダの中にある infフォルダに、「gadrv98.inf」または、「oemx.inf」が追加されます。「x」の部分は通し番号で、環境によって変わります。OSR1 では後から追加された infにはすべて 「oemx.inf」と言う名前が割り振られるので、下の書き換えセクションの項目を見て、必要なデータが入っているものを選び出して下さい。これを書き換えるので、一度適当な場所にコピーして名前を「newgadrv.inf」としておきます。

 コピーしたらコピーした infファイルを書き換えます。このファイルはテキスト形式になっているのでメモ帳等のテキストエディタで開きます。このファイルは、グラフィックアクセラレータの情報を Windows95に追加するための設定ファイルなので、このファイルに GA-DRVx/98シリーズで Windows95上で 640×400ドット、65535色などを使えるようにする設定に修正します。具体的には、[DRAGON_AddReg] のセクションで次の部分、

;HKR,"MODES\8\640,400"
;HKR,"MODES\16\640,400"
;HKR,"MODES\32\640,400"

を行先頭の「;」を取って以下のように修正します。

HKR,"MODES\8\640,400"
HKR,"MODES\16\640,400"
HKR,"MODES\32\640,400"

修正完了後に上書き保存します。

● 解像度の拡張

 次に、「画面のプロパティ」を開き、「ディスプレイの詳細」→「詳細プロパティ」で「ディスプレイアダプタの変更」を選び「ディスク使用」で書き換えた「newgadrv.inf」を指定します。そこで、「GA-DRVx/98シリーズ (Trident)」を選びます。するとドライバの場所を聞いてくるので、FDDから GA-DRVx/98シリーズのドライバディスクと MPEGドライバディスクを使ってドライバをインストールします。ドライバの組み込み完了後、指示にしたがって OSを再起動します。

● 結果

 再起動後、「ディスプレイの詳細」で640×400ドットのハイカラー (65535色) 等を指定して、きちんと表示できるようになっていれば成功です。うまくいかない時や正常に起動しなくなった場合は、「Safeモード」で起動し、変更前の解像度に戻してから書き替えたファイルの内容をもう一度確認してみてください。

 最後に、この方法で解像度を増やしてた 640×400ドットでは、24kHz専用の PC-98用の専用高解像度 (ノーマルモード) モニタでも正常に表示できるようになるので古いモニタを再利用できて便利です。ただし、モニタによっては信号のタイミングが微妙に合わずに正常に表示できない場合があります。また、画面が小さすぎて各種設定のプロパティのウィンドウが画面外にはみ出してしまうので、下のボタンが押しずらくなるので注意してください。(^o^)b

PC-9801FAの保守

PC-9801FAは 2012年で製造から 20年程度経過しています。今後も正常に使用するにあたって幾つかのポイントを挙げておきます。

● FDD

NEC製 5インチ FDDの FD1158D  NEC製 3.5インチ FDDの FD1138D

 PC-9801FA で使用されている FDDは、NEC製の「FD1158D」という VFO付きの 1MB、640KB両対応の 5インチドライブです (写真左)。このドライブは、コンデンサの液漏れによってセンサーのパターンが破断してモーターが焼ける事があります。電源を入れると大きな異音がするので分かります。

 対策としては、液漏れしてパターンが切れる前にコンデンサを交換することです。パターンが切れてしまっている場合は、繋いで様子を見ますが、モーターが焼けている場合はドライブを交換する以外に有りません。

 PC-9801FA/U2の NEC製「FD1138D」VFO付き 1MB、640KB両対応の 3.5インチドライブ (写真右) でもコンデンサの液漏れが発生する事がありますが、読み取りが弱くなるぐらいであまり大きな影響は出ない事が有って気が付かない事が多いです。液漏れしていたら、基板を洗浄してコンデンサを換えておくとよいでしょう。

 FD1138Dは、コンデンサ以外にモーターの軸部分が埃などで固着する例が多いです。FDD本体を裏返して円盤部分を指で回転させようとすると抵抗を感じる場合は、固着しています。グリスを軸部分に注入して指で回転させ、指で弾くような感じで触り数秒回転するようであればいいでしょう。ただし、5-56は NGです。樹脂を侵すうえ、揮発するので一週間程度で効果が無くなります。

 ドライブを交換する際は、同じ系統の機種 PC-9801FS、PC-9801FXのドライブは VFO無しのドライブなので使えません。ご注意ください。

● カレンダ時計バックアップ電池

Panasonic製 リチウム二次電池の VL2330

 PC-9801FA で使用されている電池は、Panasonicの「VL2330」という 3V 50mAhの充電可能なリチウム二次電池です。場所はマザーボードの Cバススロットの下あたりに半田で実装されています。幸い 20年程度で液漏れする例は殆どありません。この電池を充電するには一昼夜電源を入れたままにするといいようです。充電できない場合は、起動毎に日付と時刻、セットアップメニューの設定、メモリスイッチの設定をやり直す必要があります。

 VL2330は 2012年現在でも製造されており入手は比較的容易です。形状が同じだからと言って PC/AT互換機のマザーボードで使用されている市販のリチウム一次電池 (使い切りタイプ) は絶対に使用しないでください。これを PC-9801FAに取り付けると本来充電禁止の一次電池を充電することになるので非常に危険です。

 某オークションなどでは出品者が良く分からずにこの様な改造を行って本体を出品している事があります。仮にダイオードを噛ましていても、長期間使用していると劣化等で知らないうちに壊れている可能性があります。万が一ショートモードで壊れると電池側に電流が流れ大変危険です。リチウム電池は取り扱いを誤ると発火や破裂が比較的容易に起こりますのでご注意ください。
 また、ダイオードの性質として順方向降下電圧 (VF) があります。一般的なダイオードでは 0.6〜0.7V程度降下しますのでこの点にも注意が必要です。

 ちなみに、一般的な整流用ダイオードでは 1V程度降下するので、この性質を利用してダイオードを数珠繋ぎにして冷却ファンへの供給電圧を下げて静音化する改造が流行りました。(^ ^;;

● マザーボードのコンデンサ

 この機種では、面実装タイプの四級塩電解コンデンサを使用しているのでコンデンサの液漏れで故障する例が非常に多いです。セットアップメニューが保存できなくなったり、メモリ容量の認識が異常になったりといろいろな症状が出ます。現時点で、正常に動作していても近い将来確実に故障します。

 その上マザーボードに埃がたまっているてそこに電解液が染み込むと、端子の間に過電流が流れてショートし発火する恐れがあります。ショート状態なので電源を入れようとすると電源ユニットの保護回路が働いてすぐに切れる状態になります。この時は非常に危険ですので、修理するまで電源を投入してはいけません。

 対策としては、マザーボードを洗浄し、コンデンサを換える以外に有りません。詳細は、企画課 第5回 電解コンデンサの液漏れを参考にしてください。

● 電源ユニット

 PC-9801FAに限らず、PC-9801FS/ FX、PC-9821Ae/ As/ Apでは、電源に PU716を使用しています。この電源は、トーキン製 (TOKIN、現、NECトーキン) とサンケン電気 (SANKEN) 製が有るのですが、SANKEN製はコンデンサが液漏れし易く電源が入らなくなる確率が非常に高いです。写真はトーキン製 PU716。
 なお、誤解の無いように書きますが、これは PC-98用の古い電源に限ったことです。全てのサンケン電気製品が悪いと言っている訳では有りません。

PC-9801FAの電源 PU716 (TOKIN製)

 また、SANKEN製は負荷によって供給する電力を調整するタイプで制御している半導体が劣化して +12V系供給電圧が下がって補助記憶装置が作動不良を起こしたり、電源が入らなくなったりします。運が良ければ、小容量のコンデンサの交換で復活できますが、半導体までやられているとカスタム部品で取り寄せできないので、復活は不可能です。

 その場合は電源を交換するしか有りません。PC-9801FAで使える電源は「PU716」です。コネクタの形状が同じですが、PC-9821Ap2/ As2用の「PU729」は使用できません。

 ちなみに、動作不良やコンデンサ、電池交換でお困りの場合は、技術部にて修理や保守を承りますのでご相談ください。

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PC-9800, PC-9801, PC-98は NEC社の商標または登録商標です。

i486、i487、OverDriveは Intel社の商標または登録商標です。

Windows, MS-DOSは Microsoft社の商標または登録商標です。

この他、製品名、型番等は、一般に各メーカーの商標または登録商標です。