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注意事項

本件は、あくまで個人的な調査の結果あって公式な見解ではありません。
機器または部品の製造時などの不良が原因ではなく、該当部品の経年劣化が原因です。

NEC、および関連会社への問い合わせや報告等は、サポート、
その他の業務を妨害することになりますので、いかなる方法でも絶対にしないでください。

なお、これらの部品の交換は、メーカーのサポート以外の方法で行うとメーカーの禁止している改造行為に当たり、
その後のサポートは一切受けられなくなります。 この情報を元に改造した結果、故障その他の障害が発生しても
TRISSは一切の責任をとりません。交換作業は、自己責任でお願いします。

四級塩電解コンデンサの液漏れ

四級塩電解コンデンサの山
四級塩電解コンデンサの屍の山 (^ ^;;

 主に 1991年から 1994年に製造された PC-98シリーズのデスクトップパソコンや拡張ボード、周辺機器等では、コスト削減のため従来の非常に高価なタンタルコンデンサではなく黒い角型タイプの表面実装型電解コンデンサが使われています。このコンデンサには電解液に四級塩が使用されており、当時は高級な電解コンデンサとして使用されていました。
 しかし、この四級塩電解液は腐食性が強く電解液を封止するゴムを劣化させる性質があり、漏れ出るとプリント基板や周辺部品の金属を腐食させる事が後に分かり、早々に製造が終了しました。このタイプの電解コンデンサは、他のタイプの電解コンデンサに比べて仮に未使用であっても比較的短時間で液漏れを起こし易く、漏れた場合にアンモニアやアミン類のような鼻にツンとくる刺激臭がするのが特徴です。

 なお、98ノートベースの省スペースデスクトップモデルは 1991年から1994年に製造されたものが該当します。他に 98ノートシリーズでは、初代 PC-9801Nから使用されていますので 1994年後半製造のモデルまでは全てになります。

 このコンデンサは、経年劣化によりほぼ確実に液漏れを起こす事が自身で所有する機器の調査で分かりました。本ページでは、マザーボードで使用される例が多い面実装タイプについて主に取り扱います。

黒タイプ 白タイプ
面実装型電解コンデンサ (左:黒いタイプ、右:白いタイプ)

 なお、1994年後期以降に使用され始める (94年 9月製造の PC-9821As2/U8Pでは、黒白の混在を確認) 白い角型タイプの表面実装型電解コンデンサは 1994年以降も1998年くらいまでノート PCで採用されていますが、こちらの方は 2010年現在、当方が確認した限りでは液漏れは見られませんでした。

 次の写真は、PC-98アーキテクチャの産業向けファクトリーコンピュータ FC-9801F model2の例です。「5A1」、「2B2」とシルク表示のある物が問題の部品で、上側の物は光の加減で濡れているのがわかると思います。下側の物は、漏出した電解液によって足が錆び、緑色に変色していることが分かります。(^ ^;;

液漏れを起こした電解コンデンサ

 特に、93年 11月期製造の PC-9821Ap2, As2等では、マザーボード上の取り付け穴付近で本来プリント基板の銅箔の色である茶色の筈が、基板表面を広がった電解液によって錆びて黒く変色したり、ネジに緑青が発生していたりする事が非常に多いです。

● 製造時期の確認方法

 NEC製品 (ファクトリーコンピュータを除く) では、パソコン本体の製造番号で確認できます。先頭から 1文字目は製造年を表します。西暦を 2桁であらわした際の末尾です。 2文字目は製造月を表します。Xは 10月、Yは 11月、Zは 12月です。
 例えば「3Z・・・」の場合は、93年 12月製造となります。これは PC98-NX、Express5800シリーズも同様です。なお、PC-98シリーズでは 3文字目が Mの場合に本体の製造時期とマザーの製造時期が一致しない (マザーのロットが古い) 事があります。

● 電源ユニット等の四級塩電解コンデンサの液漏れ

 ちなみに、四級塩コンデンサには面実装タイプ以外にも通常のラジアルタイプも有り、ELNA製 Long Life RSG、日ケミ SXF、LXF等が有名です。ラジアルタイプは比較的大型なので漏れ出る量も多く被害も大きくなりがちです。

四級塩電解コンデンサラジアルタイプ

 PC-9801EXや PC-9801ESに搭載されている電源ユニット TDK製 PU471では ELNA製 RSG、日ケミ SXFが多用されています。次の画像は液漏れの例です。左側の画像は電源二次側の基板にあるコンデンサ ELNA製 RSG。底の部分のゴムが一部溶けています。右は電源ユニットの外側。漏れ出た電解液でケースが腐食しています。

PU471におけるコンデンサ液漏れの例 PU471におけるコンデンサ液漏れの例、その2

 日ケミ LXFは、PC-9801型番のノートパソコンや ACアダプタ (PC-9801N-12L等) で良く使用されています。ここ最近になって出力電圧不良の ACアダプタが増えてきました。正常に動作していても近い将来確実に壊れるので早めの対策が必要です。

 四級塩電解コンデンサのトラブルは PC-98に限らずシャープの X68000シリーズでもかなり深刻な問題となっているようです。電源が入らなくなっては遅いので該当機種をお持ちの方は直ぐに点検し、洗浄やコンデンサの交換と云った対策を取る事をお勧めします。

 近年、レトロ PCのメンテナンスの話題を良くネットやブログで聞きますが、電源ユニットの電解コンデンサを交換する際、一次側の高耐圧で容量の大きいコンデンサ、ACインレットに接続されているノイズ対策用コンデンサには電荷が残っている事が有ります。電源を切ってから一時間ぐらい放置しても完全には抜けませんので、一日程度放置して完全に放電してから作業してください。

 放電が不十分の状態で電源回路から ACインレットに至る部分に手を触れる、水拭きをすると感電したり火傷を負う他、工具や糸ハンダを落とす、半田鏝のこて先を隣接パッドと接触させる等してショートすると火花が飛んで非常に危険です。人体や回路にダメージを与えるだけでなく、飛んだ火花が引火して火災が発生する恐れがありますので、交換作業時は十分にご注意ください。特に一次側電源回路には回路によりますが、200V以上印加されている場合が有ります。

 パソコンとはいえ、電源ユニットを分解し回路に手を入れることは知識の有無にかかわらず非常に危険な作業と心得てください。経験者として書きますが、この手の事故は始めは注意していても、慣れてきた辺りで手を抜いてうっかりヤッてしまう事が多いです。こんなの常識だろうと思っている人ほど危険です。「初心忘れるべからず」くれぐれも油断なさらぬよう。(^ ^;;

● 液漏れ発生のメカニズム

 一般にコンデンサは電流が流れている間は電気を溜めて、電流が無くなると放出する性質をもちます。CPUやメモリといった、高速で動作するデジタル回路では、この性質を利用して電圧の微弱な変動 (ノイズ) を抑える目的で使用されることが多いです。さて、コンデンサに電流が流れると僅かに熱を持ちます。これによって電解液が極僅かですが蒸発しコンデンサ内部の内圧が僅かに上がります。そして電流が切れて熱が下がれば戻ります。この現象が機器を使用している間に何回も繰り返されます。

 電解コンデンサは、この内圧に耐えるため部品の底の部分に柔らかいゴムや樹脂を使用して圧力を吸収します。時間の経過とともにこの部分が劣化して隙間があいたり底が抜けてしまったりすることがあります。するとその部分から内部の電解液が染み出して来てリード線を伝って基板上に漏れ広がり周囲の回路に悪影響を与えます。
 古い電源ユニットなどを分解してみると基板上に茶褐色のシミが見えることがありますが、あれも電解液が漏れた跡です。例として、次の写真は PC-9801BXに内蔵されていた SANKEN製電源 PU463Bを分解して二次側の電解コンデンサを二個外したところです。シルク印刷の C29、C32の部品取り付け穴に注目すると穴の周辺が茶褐色に着色しているのが分かると思います。

液漏れの跡
PC-9801BX内蔵の SANKEN製電源 PU463Bの液漏れの跡

これは電解コンデンサから漏れ出した電解液がプリント基板に染み込んだ跡です。
 ちなみに、この現象がもっと急激に起こると破裂 (爆発とか妊娠とも (^ ^;;)、もっとゆっくり起きるとドライアップ (電解液の蒸発) となります。
 この為、電解コンデンサには寿命が設定されていて何℃で何時間 (例:85℃で 1000時間) と言う表現であらわすのが一般的です。意味は、その温度の環境でその時間の間は既定の特性で動作するという事です。温度が上がると寿命が極端に縮ますが、温度が低いと寿命が延びるので、パソコンではマザーボードや電源の冷却は結構重要になってきます。

● 液漏れで壊れるメカニズム

 コンデンサが液漏れを起こした場合に、電解液には導電性があるので漏れた場所に埃やゴミが付着したり溜まっていたりするとこれらに染み込んでその部分で導電性を持ってしまい、短絡 (ショート)して周辺の他の部品に予期しない電流が流れて誤動作や破損させる事に繋がります。電源ラインで起きると最悪の場合に発火する可能性があります。
 また、四級塩電解コンデンサでは電解液には腐食性があるので部品の金属部分 (リード、ケース) やプリント基板上のパターン、VIA (スルーホール等) と漏れた電解液が長い期間接触し続ける事で、これらが腐食し最終的に破断して導通不良を起こす事になります。腐蝕箇所は、変色や銅箔部の錆 (緑青)、基板表面のレジストの変色、電解液のオイル状の汚れ、析出した電解液の緑色の結晶 (四級塩コンデンサの場合) によって外部から確認することが出来ますが QFP、SOP等の部品の下側に広がってしまうと一旦外す手間がかかります。なお、IC, LSI等のパッケージ内部 (外側のパッケージとリード (ピン) の隙間から電解液が浸透する)、基板の内層等は肉眼での確認はまずできません。
 次の例は電源が入らない PC-9821Neのサブ基板 G8NTYRです。

パターンの腐食
PC-9821Neの G8NTYR基板上のパターンの腐食

 この部分には 25V22μFの四級塩電解コンデンサがありました。部品除去後に表面の汚れを取りましたが、シルク印刷「13A1」の付近では、銅箔が腐食してしまったため表面を軽くこすっただけでレジストが剥がれてしまい、ショートしたのか基板の基材にも穴があいてしまっています。注意しておきますが無理に削ったわけではありません。
 液漏れに至らなくても電解コンデンサの劣化により、電源から発生するノイズが除去できなくなり LSI、メモリ等のデバイスで設計時の特性が得られなくなってデータの取りこぼしなどのエラーが発生して動作不良を起こす事も起こりえます。

 ちなみに、電解液を使用したケミカルコンデンサ (ケミコン) は、件の四級塩電解コンデンサに限らずどんなものでも液漏れのリスクは少なからず有ります。ただ、劣化して壊れても通常の使用であればコンデンサ内でショートして壊れる事が無いのでその点は安心です。

液漏れが原因で発生する症状

  • 内蔵サウンド機能の異常動作
  • FDD、HDDの異常動作
  • CPUの起動阻害
  • CPUの起動不能
  • 電源が入らない

 PC-98/ FC-98シリーズのパソコンでは上記の 5つの症状が液漏れで良く見られる典型的な症状です。次にそれぞれについて詳しく解説していきます。

● 内蔵サウンド機能の異常動作

 サウンド関連では、次のような症状が良く発生します。

  1. スピーカから大きなノイズ音 (起動時のエラー音のようなピー音) の発生
  2. 内蔵サウンド、ビープ音の音量が小さい、もしくは音が出ない
  3. 内蔵サウンド機能自体が認識されない
  4. 内蔵サウンドの一部機能 (FM部や PSG部) の音が出ない

 PC-9821Ap/ As/ Aeでは 1番の症状が、PC-9821Ap2/ As2では 2, 3番、FC-9801U、PC-9801UF/ UR/ US では、3番の症状が出やすいです。これらの症状は、適切な処置によって回復できる可能性が比較的高いです。
 ただし、4番の症状の場合は周辺のパターンが破断しているか ICが故障している可能性が高いのでコンデンサの交換だけでは治りません。

● FDD、HDDの異常動作

 フロッピーディスクドライブ (FDD) やハードディスクドライブ (HDD) のアクセスに支障を来します。一見正常でも、読み取り、書き込み時にエラーがランダムで発生したり、パソコン起動時にドライブ自身が正常に認識されないといった症状が出ます。

 このような状態のマシンでは、MS-DOS等のシステムディスクで正常に起動ができても、フロッピーベースのゲームを起動しようとするとコピープロテクトが誤動作して正規版のはずがコピー版として認識されてしまうことも良くあります。(^ ^;;

 この場合は、HDDや FDのデータが破損する可能性もあるので、使用を中止し、別の正常なパソコンでデータのバックアップを取るなど注意する必要があります。
 これらの症状も、適切な処置によって回復できる可能性が比較的高いです。  ただし、FDD自体は正常 (他のマシンに取り付けて動作する) なのに当該本体で FDD自体をまったく認識しない、アクセスランプが一瞬ついてすぐ停止してしまうと云うような場合は回復は絶望的です。当方でもいろいろ調べていますが原因が分からず回復できていません。PC-9801US/ BA2/ BS2/ BX2等で比較的良く見られる故障パターンです。

● CPUの起動阻害

 最初は、通常通り起動しても起動してから数分でハングアップ (リセットするとしばらくの間は起動しなくなる) したり、その後急にセットアップメニュー画面に移行したり (98ノート)、初めに何らかのエラーが出て起動に失敗しても一度リセットすると起動するなど、CPUの起動を阻害することがあります。当方では、PC-9821Ap2 /As2、PC-9801BA /BX、PC-9801NS/Rで遭遇した症状です。
 これらの症状も、適切な処置によって回復できる可能性があります。

● CPUの起動不能

 電解コンデンサの液漏れが起きた場所によっては、それ以外の症状が現れる可能性があります。

  1. カラフルなモザイク画面が表示される (ビープ音の繰り返し)
  2. メモリ関連のエラー (PARITY ERROR BASE MEMORY, VIDEO RAM ERROR等)
  3. 画面表示なし + ビープ音あり (出力自体はある)
  4. 画面表示なし + ビープ音無し (出力自体はある)
  5. マザー上の CPU自体が認識されない (ODPソケットの CPUは認識する)

 この症状となった場合は液漏れによって、パターン、VIAの破断が起きているかメモリ制御などの半導体の内外のピンが腐食しているので、残念ながらコンデンサの交換のみでは回復できません。該当機種の中でも PC-9801US/ BA/ BX/ BA2/ BS2/ BX2, PC-9821Ap2/ As2などで比較的起き易いです。
 なお、PC-H98 model105、PC-9801BA2/ BS2/ BX2では、高い頻度で 3番の症状により故障する場合が多いです。原因は、リセットボタン付近にある8ピン SOPのリセット IC (NEC μPD2270)から延びるパターン、PC-9801BA2/ BS2/BX2の場合、本体正面から見て前方右側にあるリセット回路のパターン破断が原因です。ジャンパ線を飛ばして切れたパターンを繋ぐことで回復した例があります。

リセット回路パターンの補修例
リセット回路パターンの補修例 PC-9801BA2、左端の一番内側のパターンが破断

● 電源が入らない

 電源が入らない、使用中に突然電源が切れた場合は、ほとんどの場合が装置内部のどこかで短絡 (ショート) が起きていて、ヒューズが切れたり保護回路が働いている場合です。
 この場合は、アナログでもデジタルでもどちらでもいいので、電源ボックスとマザーボードや周辺機器の電源ラインが V, GND間でショートしているかどうかを確認する必要があります。これを確認しないで電源を交換してスイッチを入れる事は電源が壊れたりマザーボードが発火することがあるので絶対にやってはいけません。5Vや 12Vの低電圧だからと言ってなめてかかると怪我をしますよ。(^ ^)b

マザーボード以外での採用例

  • 液晶パネル
  • 拡張ボード、メモリ
  • FDD、HDD、CD-ROM等の補助記憶装置

● 液晶パネル

 PC-9801NA/C、PC-9801NC、PC-9801NX/C (NL6440AC30)、PC-9821Np /Nf (NL6440AC30-09)等に搭載されている液晶パネルの制御部に使用されています。良くある症状としては画面が真っ白になる、内部でショートして電源が入らなくなる等の例があります。特に画面が白くなる症状はコンデンサを交換しても治りません。現時点で正常に動作している場合でもいずれは壊れるのですぐに交換することをお勧めします。
 なお、NL6440AC30-09では、制御基板の両面で大量に使用されているので一度フラットケーブルをハンダ鏝で外す必要があるので非常に困難です。また、他の機種に比べてPC-9821Np/ Nf以外に採用例が殆ど無いので、パネルを交換することも困難です。
 ちなみに、PC-9821 Ns /Np /Nfでは液晶パネルの向きを表裏に変える為に液晶パネルを外すことができますが、PC-9821Nsと PC-9821Npの間に互換性が無いのでコネクタのキーが違って交換できません。そして、液晶パネルのコネクタ部分に件の四級塩電解コンデンサが 1個隠れています。

● 拡張ボード、メモリ

 拡張ボードではグラフィックアクセラレータボード A2 (PC-9821A-E11) の前期ロット、メモリボードでは PC-9821Af用増設メモリボード (PC-9821AF-B01) や PC-9821Xa7シリーズ用セカンドキャッシュメモリ (PC-9821XA7-B01) 等で使用されています。前者二つは液漏れする黒いタイプ、後者は液漏れしにくい白いタイプです。

● FDD、HDD、CD-ROM等の補助記憶装置

 NEC製 3.5インチ FDDの FD1138C (2HD, VFO無し)、FD1138D (2HD, VFO内蔵)のほか、NEC製 3.5インチ IDEタイプ HDDの D3746、東芝製 2.5インチ IDEタイプHDDの MK2024FC、NEC製ファイルスロット用 CD-ROM、PC-CD60F等で使用されています。いずれも黒いタイプです。PC-CD60Fはドライブ自体を認識しなくなる故障が多いので電解コンデンサが原因かもしれません。

該当機種を入手する際に注意すること

 中古販売、オークション等で、これらの症状が出ているものがジャンクとして販売されている事があります。その原因が電解コンデンサの液漏れの可能性がありますので、改造で対処できる方以外は避けた方が良いでしょう。
 残念ながら経年劣化によるものなので、デッドストックといった未開封新品のように未使用であっても液漏れは発生します。ファクトリーコンピュータも同様です。当方所有の FC-9801F model2は、未使用バルクで入手し、動作確認で数回電源を入れたのみで保管していましたが発生していました。

 とにかく該当機種で入手時点で症状が出ていなくても近い将来に確実に液漏れを起こすので、その点のリスクを十分理解して入手、使用するようにしましょう。動作チェック済みということで数万円払ってオークションで落札したマシンが次の日には動かないという可能性も有ります。
 近年増加した PC-98シリーズを扱うネット販売専門の中古業者等から保証付きで購入した場合でも、対策が取られていない個体では何一つ事情は変わりませんので注意が必要です。購入される方は事前に確認し、この点で明確な回答がない業者の場合は、購入を見合わせたほうが良いでしょう。

 また前述の FDD不良について、FDDが外されている、2ドライブモデルで両方とも不具合があるという機体は、FDD側に異常があるのではなくマザーボード側に不具合がある事が多いので避けた方が無難です。

 ちなみに、オークション等でノートパソコンで ACアダプタが無く動作未チェックという商品を見かけますが、本当は故障しているのを知っていて未チェックを謳っている悪質な出品者もいますので、入手の際はご注意ください。

独断と偏見で選ぶ乗り換えに最適な PC-98

 本項の該当機種では、現状で異常が無くても将来的には確実に液漏れを起こしますので、改造して適切な対策をとるか、PC-9801RA/RS/RX以前の機種 (省スペースデスクトップの PC-9801UF/ UR/ US等は除く)、または 、PC-9821Xa7以降の機種等、該当機種以外のものに乗り換えることをお勧めします。

 PC-9801DA /DS /DXは、電源部が弱く電源が入らなくなる個体が多いようです (後述) よって、避けた方が良いと思われます。

 PC-H98系では PC-H98 model105/ modelU105/ modelTを除いて問題の電解コンデンサを使用していませんが、バックアップのリチウム電池 (Sanyo /現 FDK, CR12600SE) が特殊形状なので入手が困難です。また、構成が変わるたびにリファレンスディスクを要求するのでお勧めできません。その上この系統の業務用モデル (N5200, OP-98) は専用モニタが無いと電源すら入れることができない困ったモデルです。当然専用のリファレンスディスクが必要になるので論外でしょう。(爆

 DOS等の 16bit OS用途で乗り換えるのであれば、Pentium, PentiumII系は従来ソフトとの互換性や CPUの 16bit命令にバグ等が有って 486搭載モデルよりも若干パフォーマンスが落ちるので避けた方が良いでしょう。また、PCIバス (スロットの有無にかかわらず) を搭載しているモデルでは PCI-Cバスブリッジ 「Star Alpha2」を搭載していて、その他のモデルに比べ HDD、Cバス周辺のデータ転送が若干低下する事がある点もお勧めしない理由の一つです。
 よって、DOS用途としては 486系では 5インチドライブモデルも有り、ハイレゾモード環境も構築できる PC-9821Ap3/ As3や比較的設計の新しい PC-9801BA3/ BX3 /BX4、PC-9821Xe辺りがいいと思います。PC-9821Xsも不安定なセカンドキャッシュを積まなければ有力候補です。386系では V30も積んでいる PC-9801RA21/ 51がお勧めです。(^-^)b

 Windows9x /NT /2000等の 32bit OS用途であれば、CPUの交換によるパワーアップが必要になる Pentium搭載の MATE Xシリーズよりも、初めから PentiumII/ Celeron搭載の MATE Rシリーズにした方がトータルコストも安く快適です。ただし、RvII, RsIIといったタワーモデルはいろいろと癖が強いので初心者にはお勧めできません。

 四級塩コンデンサ搭載マザー一覧と解決策は…次のページに続きます。

四級塩コンデンサ搭載マザー一覧と解決策

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この他、製品名、型番等は、一般に各メーカーの商標または登録商標です。