第三研究所 Third Reserch Institute


           
このエントリーをはてなブックマークに追加



ioPLAZA【インテル Compute Stick】

注意事項

本件は、あくまで個人的な実験の結果です。
NEC、および関連会社への問い合わせや報告等は、サポート、
その他の業務を妨害することになりますので、いかなる方法でも絶対にしないでください。

本ページの内容は、メーカーの禁止している改造行為に当たります。
この情報を元に改造した結果、故障その他の障害が発生しても
TRISSは一切の責任を取りません。容量の書き換え作業は自己責任でお願いします。

大容量 HDDを使用できない PC-98

● 容量の壁と上手く付き合う

 PC-98シリーズ等のオールド PCを運用するにあたって、消耗品の中で特に入手しにくくなったのが容量の少ない (8GB以下) ハードディスクです。近年では TB (テラバイト) 単位が標準となり、新品のドライブとしてはプラッタ (HDD内の磁気ディスク) の関係で最低でも 80GBのドライブしか入手できなくなりました。
 現在でも中古のドライブは 40MBクラスでも何とか手に入りますが、とうに設計寿命を超えておりいつ壊れてもおかしくありません。実際、筆者の経験上、HDDの SCANDISKコマンドによる表面テストで異常がなかったドライブが、数時間後に再び電源を入れたら使用不能になったという事態に何度も遭遇しています。こうなると中古のドライブの信頼性はフラッシュメモリ以下でしょう。

 前々回の企画では、容量の少ない HDDが入手できない代わりとして小容量の コンパクトフラッシュカード (CFカード)や SDカード等のフラッシュメモリカードを HDDの代替として使用する方法を検討しました。
 しかし、フラッシュメモリの構造として時間の経過によりデータの蒸発によるデータ化けが起こる事から、長期間のデータの保存と云う面での信頼性が殆ど無く、定期的に記録された全データの書き換えが必要な事を考えると、それなりの知識がないと扱いが難しい事は事実です。

 SSDが普及しはじめた現代でも、信頼性やコストの面に於いて結局は HDDに勝る物は無いと思います。そこで、今回は容量の少ない 544MBから 8GBのドライブが新品で入手できないので、代替手段として現在手に入る新品の大容量ドライブの内部情報を書き換えて容量を制限することで PC-98に接続する実験を行いました。つまり、容量の壁を打ち破るのではなく壁と上手に付き合おうと云うのが今回のテーマです。(^ ^;;

 なお、本実験では、PC/AT互換機として UltraATA I/Fを搭載した 98年製の二代目 Lavie NX (PC-LW2032A)SATA I/Fを搭載した 05年製のMate NX (PC-MY34Y/G-F) を使用しています。PC-98のメンテナンスにも PC/AT互換機は必要不可欠な存在ですので Win9x辺りが起動できる古めのマシン (i915チップセットまでが目安) を一台用意しておくと良いでしょう。

 ちなみに、HDDの容量制限はそれほど特殊な方法ではなく、HDD自体にジャンパで設定できる物や I/F側からのアクセスの方法によって自動的に制限が掛かるもの、メーカー製パソコンに出荷されたドライブで HDDメーカーが内部情報を書き変え 4GBや 8GB、32GBに容量を制限 (クリップ) されたドライブが内蔵されている事があります。例としては、PC-9821Nr300/S8TBでは、8GBにクリップされた 20GBの富士通製ドライブが内蔵されていました。このクリップをツールで解除すると少し得した気分になります。(^ ^)

● 容量の壁を破るには

 PCIバス搭載の PC-9821シリーズでは、Buffaloの IFC-USP-M2や I-O DATAの UIDE-66、挑戦者の UIDE-133/98-A、玄人志向の CHANPON2'TURBO-PCI、SATAEI-LPPCI等の PCIバスに対応したボードと、まりも氏や大熊猫氏のフリーソフトを併用することで大容量のドライブをそのまま全容量使用できる手段があります。今回は取り上げませんが、興味のある方は両氏のサイトを参考にされると良いでしょう。

 ・PC-9821およびDOS/Vソフトウェアのページ まりも氏

 ・大熊猫のぺぇじ 大熊猫氏

 また、別のアプローチとしてそれなりの知識と機材が必要ですが、玄人志向の Cバスボード PK98-MISTRESS9や、SCSIボードや LANボード上の ROMにまりも氏のパッチを当てて PC-98起動時の ITF処理に介入することで内蔵の専用固定ディスクインターフェースの容量の壁を超える手法も有ります。極力複雑な手順を経ずになるべくお手軽に新品の HDDを使用する方法を考えますので、今回はこちらも対象外とします。

HDD容量の壁

● PC-98専用固定ディスクインターフェースにおける容量の壁

 PC-98に限らずオールド PCでは、本体が認識できる HDD容量の壁にはいろいろな物があります。ネット上の情報では HDD容量の計算方法の違い (基数が2か 10か) やフォーマット後の容量であったり、OS上の制限などがごちゃ混ぜになっています。全て書くと混乱しますので、ここでは PC-98内蔵の専用固定ディスクインターフェース (IDE互換) 接続の HDDと容量の制限の関係に絞ってまとめました。
 MS-DOSのバージョンによる物や Windowsによる制限については今回のテーマとは無関係ですので省略します。PC-98の出荷時期に応じて以下の様な制限があります。

容量の壁 該当製品 トラブルの症状 原因
544MB
(544MiB)
 94年 6月以前に出荷された PC-9800シリーズ  メモリチェック後にハングアップ  PC-98の HDD-BIOSの仕様 (セクタ数のバグ)。
 シリンダ数 65535、セクタ数 17が限界
4.56GB
(4.25GiB)
 94年 6月以降に出荷された PC-9800シリーズ  メモリチェック後にハングアップ  PC-98の HDD-BIOSの仕様。
 シリンダ数 65535、ヘッド数 8、セクタ数 17が限界
8.46GB
(7.88GiB)
 97年 5月以降に出荷された PC-9800シリーズ  ドライブを正常に認識しない  IDE-BIOSの仕様。CHSパラメータの限界。
 シリンダ数 1024、ヘッド数 256、セクタ数 63が限界
33.8GB
(31.4GiB)
 97年 5月以降に出荷された PC-9800シリーズ  メモリチェック後にハングアップ  PC-98内蔵 HDD-BIOSの限界。
 シリンダ数 65535、ヘッド数 16、セクタ数 63が限界

 ※ PC-98の 544MBの壁は、PC/AT互換機の 528MB (504MiB) の壁 (512バイト×1024×16×63 = 528,482,304バイト) とは理由が異なります。

 ※ PC-9801NA以前の 98NOTEでは MS-DOSの領域確保の際に 40MBまたは、80MB以上の領域を認識しない仕様になっていますが、他の機種で領域確保したドライブで有れば繋ぎ換えて 544MBまで使用可能です。

 ※ 8.46GBの壁は、PC-98の内蔵 HDD I/F、PC/AT互換機の E-IDE I/F共通の壁です。I-O DATA製 IDE I/Fボードの IDE-98等も含め CHSパラメータを扱う旧式の I/Fに共通します。

 HDDによっては容量が 80GBで有っても CHSパラメータで問い合わせが来た時に C 16383/ H 16/ S 63 (8,455,200,768バイト) と返す製品があります。該当製品では LBAと CHSパラメータが併記されています。このタイプの HDDは 8.46GBの壁がある機種に接続すると 8.46GBの HDDとして使用可能です。

 それぞれの容量の壁を超える手段は、フリーソフトやオプションパーツの使用、改造によりありますが先述の通りここでは省略します。あくまでも今回は壁の範囲内で使用することがテーマです。

 HDDの容量の単位で良く使われる「MiB (メビバイト)」、「GiB (ギビバイト)」は通常とは違い 2の 10乗 (1,024) 単位を表します。1GiB = 1,024MiB = 1,024×1,024KiB = 1,024×1,024×1,024Bになります。

● 未フォーマット時の HDDの容量の求め方

 ここで、未フォーマット時の HDDの容量の求め方をおさらいしましょう。(^ ^)b

 旧来の Cylinder Head Sectorで表現された HDDの場合、未フォーマット時の HDDの容量の求め方は、「シリンダ数 (C) × ヘッド数 (H) × セクタ数 (S) × セクタ長 (通常 512バイト)」で計算します。

 例) HDDの 4.56GBの壁の場合は「65535 × 8 × 17 × 512バイト = 4,563,333,120バイト」となり単位を上げるため 1,024 (2^10) で 3回割ると 4.25GiBとなります。

 現在の LBA (Logical Block Addressing) 表記の場合は、LBAの数値はセクタの数を表すのでこれにセクタ長の 512バイトを掛けた数値がそのドライブの容量になります。LBAは HDDの先頭のセクタを 0とし順に一つずつ番号を振った物です。

 なお、フォーマットした場合の容量は、上記で計算した数値よりも小さくなります。パソコンやサードパーティー製品の HDDの容量はフォーマット後の容量を示していることがあります。

HDDの容量を制限するツール

● MHDD Ver4.6

 PC-98ユーザー向けには K.Takata氏の ICC (K.Takata's Web Page)が有名ですが、今回は MHDDという海外製のフリーソフトを使用しました。こちらは、HDDの容量制限だけでなく HDDの表面テスト、ドライブの消去、S.M.A.R.Tのログ表示等ができる複合ツールです。HDDのメンテナンスの為に用意しておくと良いでしょう。

 ダウンロードはこちらから HDDGURU: MHDD

 解説は全て英語ですが、翻訳サイトや IEの翻訳機能等を使えば十分理解できます。面倒でも一度、目を通しておくと良いでしょう。

 CDイメージからの起動時の OSは Windows98です。SATA I/F接続のドライブについては「AHCI」や「RAID」モードでは Windows98のドライバが非対応の為に認識されません。事前に BIOSセットアップ画面で「IDE」モード (機種によっては「Legacy」、「Compatible」等) に設定する必要があります。USB接続のドライブが見えるかどうかはマザーボードによると思います。

 HDDの後半の領域のみに不良クラスタが多い場合は、容量を制限して後半部分を使わないようにすると云う使い方も有りだと思います。

● MHDDの使い方

 FDDや CDのブートイメージファイルがサイトにありますので、ダウンロードして CD-R等に焼き CDドライブから起動します。

 起動すると始めに SCSI I/F等を検索するかどうか尋ねてきます。どちらを選んでも問題ありませんが、使用していなければ「with out」の方を選択します。

起動時のメニュー
起動時のメニュー

 しばらくすると初期画面が現れます。HDDの接続が正しければ、HDDの型番や CD-ROMドライブ等の型番が表示されます。

MHDD デバイス選択メニュー
MHDD デバイス選択メニュー

 ここでターゲットのドライブを番号で入力します。画像の例では「1」です。するとコマンドプロンプトになります。ここでコマンドを入力しますが、ショートカットキーで特定のコマンドを実行する事もできます。詳しくは「F1」キーを押してヘルプを確認してください。

 いきなり容量を制限しても良いのですが、一度「F4」キーを押して表面チェックを行う事をお勧めします。メニユー画面が出ますが、通常は設定を変更する必要はないのでもう一回「F4」キーを押します。するとテストが始まります。容量と I/Fの速度により 30分から数時間程度の時間が掛かります。SATA I/Fで 80GBだと 15分から20分くらいです。終了するとビープ音で知らせてくれます。

MHDD 表面テスト完了時の画面
表面テスト完了時の画面

 他に、S.M.A.R.Tの確認は「F8」キー、MHDD自体の終了は「Alt」+ 「X」キーです。

● ドライブの容量を制限する

 ドライブの容量を制限する (Cutting the drive (size change)) には、「HPA」コマンドを使用します。コマンドはキーボードから入力します。

MHDD HPAコマンド実行時の画面
HPAコマンド実行時の画面

 すると Temporary (一時的) か Persistent (恒久的) か尋ねてきます。ここでは persistent 「1」 を選択します。

 新しいドライブの容量はLBA (セクタ数) で入力します。次の表は代表的な容量の壁を LBAで表したものです。入力の際の参考にどうぞ。

容量の壁 記憶容量
バイト単位
Cylinder Head Sector表記 LBA表記
(セクタ数)
C H S
504MiB 528,482,304 1024 16 63 1032192
544MiB 570,416,640 65535 17 1114095
4.25GiB 4,563,333,120 65535 8 17 8912760
7.88GiB 8,455,716,864 1024 256 63 16514064
31.4GiB 33,822,351,360 65535 16 63 66059280
 

 LBA値を入力して Enterキーを押すと最終確認の問い合わせがあり「y」キーを入力すると容量の書き換えが行われます。ほどなくして「OK」と出れば成功です。ここで、一旦電源を切ります。

HPAコマンド実行終了時の画面
HPAコマンド実行終了時の画面 (544MiB設定時)

 再度電源を投入したら、パソコンの BIOS設定画面 (NEC系では「F2」キー) を表示して書き変えた容量になっているか確認してください。二代目 Lavie NX PC-LW2032Aでは MB単位の容量と CHSのパラメータが表示されます。Mate NX PC-MY34Y/G-Fでは MB単位の容量と LBA値が表示されますが、その部分の項目を選択すると CHSパラメータも確認できます。8GB以下のドライブはどちらで認識させるか選択が可能な様です。

 容量の書き換えは通電時に一回のみです。間違った容量を書き込んでしまった、元の容量に戻したい等、再度書き変えたい時は一度パソコンの電源を切って再度電源を入れて再実行します。ただし、故障の原因になるのでやたらに何度も書き変えないようにしましょう。

HDDの容量制限実験 IDE編

● 使用したドライブと PC-98

 今回実験に使用したドライブは、いずれも 2.5インチの Ultra-ATAタイプで 30GB (30,005,821,440バイト)、LBAは 58,605,120です。予算の都合上、フォーマット済みの中古品です。orz

 Ultra-ATAドライブの容量書き換えには、NEC PC-LW2032A (i430TX, MMX Pentium 200MHz) を使用しました。

 PC-9801NS/A用に書き換えた物はうっかり PC/AT互換機の504MiBに合わせてしまいました。今回は大目に見てください。(^ ^;;

メーカー 型番 制限後の容量
(バイト)
制限後のLBA 制限後のCHSの各値
(C/ H/ S)
接続先
IBM (HGST) IC25N030ATCS04-0 528,482,304 1,032,192 7589/ 8/ 17 PC-9801NS/A
IBM (HGST) IC25N030ATDA04-0 4,563,333,120 8,912,760 65534/ 8/ 17 PC-9821Na12/S8
TOSHIBA MK3017GAP 8,455,200,768 16,514,064 16383/ 16/ 63 PC-9821Nw150/S20D
 

● 結果

 いずれの組み合わせでも何ら問題なく、MS-DOS 6.2の FORMATコマンドで初期化、領域確保を行い、システムの転送、ファイルのコピーを行いましたが正常に動作しました。

 ちなみに、PC-9801NS/Aでの HDDデータ転送速度は、I-O DATA「INSPECT」で調べるとシーケンシャル、ランダム共にリードが約 1.5MB/s、ライトが約 1.7MB/sとインターフェースの限界の速度が出ているようです。本来このドライブはその 10倍ぐらい速いです。(^ ^;;
 PC-9821Na12/S8では、シーケンシャル、ランダム共にリードが約 1.8MB/s、ライトが約 1.9MB/s。PC-9821Nw150/S20modelDでは、シーケンシャル、ランダム共にリードが約 1.9MB/s、ライトが約 2.4MB/sでした。

 HGSTの Travelstarは非常に静かです。98NOTEに組み込むと耳を澄まさなければ HDDのシーク音が聞こえません。スピンアップ時にモーター音が僅かに聞こえる程度です。周囲に生活騒音が有る環境では動いているかどうか心配になるレベルです。ただ、発熱は気持ち大目かもしれません。Pentium以前の 98NOTEは冷却ファンが無いのでこの点は要チェックでしょう。

 今回は2.5インチタイプの HDDとノートパソコンで実験しましたが、3.5インチ HDDとデスクトップモデルでも経験上問題は無いはずです。I-O DATAの HDVS-UM20Gのような Ultra ATA-SCSI変換 HDDケースについての実験結果は次の項を参考にしてください。I-O DATAの IDE-98等他のインターフェースボードでの挙動は実験していないので分かりません。ボードによっては CHSパラメータとの兼ね合いで正常動作しない可能性があります。
 MHDD自体は SCSI接続にも対応するので SCSI仕様のドライブについても同様に出来ると思いますが未確認です。デスクトップモデルの場合は SATA I/F対応のドライブを Ultra ATA I/Fに変換して搭載する事も考えられますが、それについては後述します。

 500GBクラスの新品 HDDを 544MBに制限すると勿体ない、馬鹿げていると云う見方も有りますが、2014年現在ではいくら出費したところで 544MBの”新鮮”な新品 HDDを購入する事はできません。発想を転換してこの様な使い方が有っても良いと思います。

 実際に某 PC-98専門店や修理業者で良く使われている手法です。この様な業者から買っても良いですが、新品のドライブさえ自分で用意出来れば、ツール自体は無料なのでコストも安く済みます。お困りの方は是非お試しください。

● 追加 3.5インチ HDDの場合

 3.5インチ HDDでテストしてみましたので追加します。今回実験に使用したドライブは、いずれも 3.5インチの Ultra-ATAタイプで 80GB (76,954,361,344バイト)、LBAは 156,301,487です。こちらは新品での結果です。

 ドライブの容量書き換えには、NEC PC-MY34Y/G-F (i915Express, Pentium4 560J 3.4GHz) を使用しました。MHDDを使用した HDDの容量書き換えの操作自体は 2.5インチ HDDの時と同じです。

メーカー 型番 制限後の容量
(バイト)
制限後のLBA 制限後のCHSの各値
(C/ H/ S)
接続先
WD WD800BB 570,286,080 1,114,095 ※ 8190/ 8/ 17 PC-9821Xs/C8W
WD WD800BB 4,563,333,120 8,912,760 65534/ 8/ 17 PC-9801BX3/U2

 ※ 容量、CHSパラメータと LBA値が一致していませんが間違いではありません。(後述)

 容量を 544MiB (LBA: 1,114,095) に制限した場合は、PC-MY34Y/G-Fの BIOS上では、570MB (セクタ数: 1,114,096) となりました。どうやら PC-MY34Y/G-Fでは 1024単位ではなく 1000単位で表記しているようなので間違いでは無いです。

 一方、PC-9821Xs/C8Wでは CHSパラメータが 8190/ 8/ 17 (LBA: 1,113,840) 543MBと認識しました。127KB (LBA値 255) 減少していますが、MS-DOS 6.2の FORMATコマンドにおいて初期化、領域確保、起動いずれも問題なくできました。スキャンディスクを掛けても問題ありませんでした。

 ちなみに、PC-9801BX3/U2での HDDデータ転送速度は、I-O DATA「INSPECT」で調べるとシーケンシャル、ランダム共にリードが約 2.9MB/s、ライトが約 3.2MB/sとインターフェースの限界の速度が出ているようです。(^ ^;;

● HDDフォーマット時の注意

 容量を 4.25GiB (LBA: 8,912,760) に制限したHDDをフォーマットする際に、PC-9801BX3では MS-DOS 6.2で初期化、領域確保、システム転送、起動いずれも問題ありませんでしたが、PC-9821V20、PC-9821Ra300のような Windows95プリインストールのモデルでは、初期化は上手く行くものの領域確保を連続して行おうとすると、次の領域確保直前やシステム転送の段階でハングアップしました。MS-DOS 6.2のアップデートをしても同じ結果でした。

 PC-9821V20、PC-9821Ra300等の後期の機種では MS-DOS 6.2で複数の領域を確保する場合は、領域確保を行いシステム転送を行ったら一度そこで終了し、再起動が必要なようです。一方、Windows95の起動ディスクを作成して、DISKINITコマンドで初期化、FDISKコマンドで領域確保、再起動後に FORMATコマンドでフォーマットについては問題なくできました。これらの機種では MS-DOSでは無く、Windows9xの起動ディスクで領域を作成する事をお勧めします。

HDDの容量制限実験 IDE-SCSI変換編

● Ultra ATA-SCSI変換 HDDケースの場合

I-O DATA 外付け SCSIドライブ HDVS-UM4.3G
I-O DATA 外付け SCSIドライブ HDVS-UM4.3G

 PC-9801BX以前の機種の様に SCSI I/F接続しかできない環境で新品の SCSIドライブに入れ替えると言うのは、現状ではほぼ不可能です。Ultra ATAタイプの新品のドライブはまだ手に入るので、容量を制限したドライブを Ultra ATA-SCSI変換を行った場合にどうなるか、I-O DATA製の HDVS-UM4.3Gの中身のドライブを容量を 4.25GiB (LBA: 8,912,760) に制限した HDDに入れ替えて実験してみました。
 使用した外付けケースは、I-O DATA製の HDVS-UM4.3G (PC Watchの記事) 、ドライブは 3.5インチ Ultra-ATAの Western Digital WD800BBです。

● 注意点

HDVS-UM4.3Gの内部
HDVS-UM4.3Gの内部

 HDVS-UM4.3Gや HDVS-UM20Gで使用されている変換基板では HDD側のコネクタが上の画像の様に基板上に固定されています。元のドライブは富士通製 MPC3043ATで WD800BBとは IDEコネクタの位置が数ミリ右側にずれるので、ネジ止めがしにくくなりました。ドライブによっては、ネジ穴が合わずに固定できなくなったり、ケースに取り付けできなくなったりする可能性が有るので注意が必要です。

● 結果

 モードを二分割に設定、PC-9821V20/S5 modelD3 + PC-9801-100の環境では、MS-DOS 6.2で初期化、領域確保、システム転送、起動いずれも問題ありません。危惧していた PC-9821V20の専用固定ディスク I/Fに直接接続した時のようなフォーマット時の不具合は有りませんでした。
 その後に、HDDからの起動、ファイルの転送を繰り返してみても異常は有りませんでした。

 新品の 50ピン Narrowコネクタの SCSIドライブを入手する事はほぼ不可能なので、こう云う使い方も有りなのではないでしょうか。ちなみに、データ転送速度は、I-O DATA「INSPECT」で調べるとシーケンシャル、ランダム共にリードが約 850KB/s、ライトが約 900KBでした。DOS環境でドライバを入れていないのでこんなものでしょうか。(^ ^;;

 ちなみに、HDVS-UMは 60GBまでのドライブに対応します。大容量化を狙って HDXG-Sシリーズのファームウェアを書き込むという改造方法がネット上にありますが、改造後に 10GB以下の容量のドライブを接続すると不具合が有るようなので、今回のような用途として使用予定が有る場合は書き変えないようにしましょう。

 BUFFALO製 DSC-UEでは、ROMライタを使ってファームウェアを改造しないとドライブの交換自体ができないようです。

HDDの容量制限実験 SATA編

● IDE SATA変換アダプタ

 最近では、パラレルATAタイプの HDDも終息に向かいつつあり入手が難しくなってきました。ここでは、IDE-SATA変換アダプタを使って容量を制限した SATA接続のドライブを PC-98で使用できるか実験しました。

 98NOTEや省スペースデスクトップ (PC-9801US等) のような HDDパックを使用する機種に於いては、その形状から変換アダプタを使用することが難しいので、デスクトップ専用になってしまいます。

 IDE-SATA変換アダプタは、「玄人志向」、「変換名人」などのブランド物や、バルク品などいろいろな物が有ります。この手の製品には初期不良がかなり多いので、製品保証のあるブランド物やしっかりと交換保証してくれるショップで買う事をお勧めします。買ったら放置せずに直ぐに動作確認を行いましょう。(^ ^)b

 IDE-SATA変換アダプタの種類も 3.5インチドライブ用、2.5インチドライブ用、マザーボードに取り付けるタイプ、デバイス側に取り付けるタイプ、IDE-SATA双方向に変換できるタイプ等いろいろな製品が有ります。お手持ちの環境にあったものをお選びください。以下に、独断と偏見で選ぶヒントを記します。

 

● PC-98機種ごとに最適な IDE-SATA変換アダプタ

 98FELLOW98MATE B98MATE X98MATE VALUESTAR98MATE R等のマザーボードの専用固定ディスク I/F (IDE I/F) の上部に余裕がある機種は、マザーボード直付けタイプが便利です。ケーブルが細い SATAケーブルになるので配線がスッキリします。
 なお、これらの機種でマザーボード上に 4ピン電源端子を装備している機種では通常の 3.5インチデバイス用 4ピン電源端子とは +12Vと +5Vが入れ替わっているのでご注意ください。PC/AT互換機用電源ケーブルをそのまま流用してはいけません。デバイスを焼損する危険性が有ります。
 また、PC-9801BX等に使用されている IDEケーブルは E-IDE機器や Ultra-ATA機器で使用すると正常動作しません。これらの機種では信号ケーブルを交換する必要があります。マザーボード側は 40ピンです。誤挿入防止キーの付いた 39pinケーブルは物理的に接続できませんのでご注意ください。

 98Multi CanBeのようなスペースに余裕が無い機種や、PC-9801BX4PC-9821Xe1098MATE X98MATE Rでも FDDや HDDを増設すると上部のスペースに余裕が無くなる機種では、デバイス側に取り付けるタイプが良いでしょう。変換コネクタにもよりますが取りつけると 2cmぐらい後ろに長くなる事を想定してください。従来のケーブルが流用できますが、場合によって電源ケーブルは L字型の物でないとスペース上厳しかもしれません。なお、98Multi CanBeでの使用は未検証です。

IDE-SATA変換アダプタ接続例
IDE-SATA変換アダプタ接続例

 初代 98MATE (A MATE) は HDDカートリッジ に収める必要がある事が難点です。以下に実験で使用したものを記します。リンク先は Amazonです。

A MATEで必要な物
A MATEで必要な物

 サンワサプライの延長ケーブル TK-408の場合は 1ピンが電源コネクタ側になるように接続します。逆刺しにご注意ください。ケーブルは 40cmと長いのでコネクタの圧着ができる方はばらして短くした方が無難です。出来ない方は HDDの下をぐるっと回すように配線すると良いでしょう。畳むように折り曲げるとノイズのせいで正常動作しません。

 IDE籠はここで使用しているパソコン本体付属の蓋の無いものではなく、蓋付きの物をお勧めします。蓋無しでも構いませんが不用意に IDE籠を外そうとするとケーブルが引っ掛かり断線する恐れがあります。

PC-9821Ap2/U2での IDE-SATA変換アダプタ使用例
PC-9821Ap2/U2での IDE-SATA変換アダプタ使用例

 画像では、実験ですので変換基板を剥き出しで使っていますが、実用の際にはプラスチックの板やビニールテープなどで絶縁し固定してください。ショートして焼損する恐れがあります。

 98NOTE では、先述の通り HDDパックに収める必要があるので内蔵する事はほぼ不可能です。98NOTE LIGHTAileLavieでも PC-9821Nr150/S20以降PC-9821Nwのようなカートリッジを使用しない機種では、スペースが許せば何とかなる可能性は有ります。(未検証)

 他には、使用する PC-98の機種や変換基板によって、SATA電源端子に変換するケーブルや電源の分岐ケーブル等が必要になります。

 もし、IDE籠のケーブルが取り外しできない場合は、変換アダプタはデバイス側に装着するタイプを使い SATA延長ケーブル (世田谷電器 S-ATA(データ、電源)延長線 AR-S005Sアイネックス シリアルATA延長ケーブル 電源セットコネクタ SAT-15EXPA、等) を使用すると良いでしょう。

● 使用した IDE SATA変換アダプタ

 今回使用したアダプタは、Amazonで売られていた物です。双方向変換タイプでマザーボードの端子に直接取り付ける物です。「IDE/SATA DOF 874KZ0441」と書かれた謎の64pin QFPチップが載っています。(^ ^;;
 SATAコネクタが 2個搭載されていますが 2台接続できる訳ではありません。外側が IDE -> SATAに変換するコネクタ、内側が SATA -> IDEに変換するコネクタです。接続を間違えると正しくドライブを認識しません。

IDE-SATA双方向変換アダプタ
IDE-SATA双方向変換アダプタ

 もう一点は、某オクで落札したデバイス側に装着するタイプの物。コンパクトで 3.5" HDDに取り付けても上方向にはみ出しません。さらに基板裏側はスポンジで絶縁済みと親切設計です。変換チップは JMicron JM20330を搭載しています。このタイプはデバイスごとに取り付けるので Masterと Slaveに設定すれば IDEケーブルで二台接続できます。延長ケーブルを併用する際にもコンパクトでお勧めです。

IDE-SATA変換アダプタ
IDE-SATA変換アダプタ

 どうも開封してすぐの状態だと、接触が悪いのか認識しない事が多いようです。認識しない時は何回かケーブルを接続し直してみてください。基板自体は薄いのでケーブルの抜き差しは、面倒でもデバイスから一度外してから作業する事をお勧めします。

 他に SATA電源端子に変換するケーブルと電源の分岐ケーブルを使用しました。

● 使用したドライブと PC-98

 今回実験に使用したドライブは、いずれも 3.5インチの Serial-ATAタイプの現行製品、Western Digital Caviar Blue (WD800AAJS) で 80GB (76,954,361,344バイト)、LBAは 156,301,487です。予算の都合上、今回もフォーマット済みの中古品です。orz

 SATAドライブの容量書き換えには、NEC PC-MY34Y/G-F (i915Express, Pentium4 560J 3.4GHz) を使用しました。MHDDを使用した HDDの容量書き換えの操作自体は IDEの場合と同じです。

メーカー 型番 制限後の容量
(バイト)
制限後のLBA 制限後のCHSの各値
(C/ H/ S)
接続先
WD WD800AAJS 524,955,648 1,114,095 ※ 7539/ 8/ 17 PC-9801BX2/U2
WD WD800AAJS 4,563,333,120 8,912,760 65534/ 8/ 17 PC-9801BX3/U2
WD WD800AAJS 8,455,200,768 16,514,064 16383/ 16/ 63 PC-9821Ra300/W40
 

 

 ※ 容量、CHSパラメータと LBA値が一致していませんが間違いではありません。(後述)

● 既知の不具合

PC-9801BX2/U2で実験中
PC-9801BX2/U2で実験中

 容量を 544MB (LBA: 1,114,095) に制限した場合は、PC-MY34Y/G-Fの BIOS上では 570MB (セクタ数: 1,114,096) となります。容量は 1024バイト単位ではなく 1000バイト単位での表記なので間違いではありません。
 一方、PC-9801BX2/U2では、CHSパラメータが 7539/ 8/ 17となり 500MB (LBA: 1,025,304) として認識します。PC-9821Ap2/U2、PC-9801BX3/U2でも同様です。

 そこで、双方向変換タイプのIDE-SATA変換アダプタを使用し、80GBの IDEのドライブを SATAに変換して PC-MY34Y/G-Fに接続。最大記憶容量を 544MB (LBA: 1,114,095) に書き換えを実行しました。PC-MY34Y/G-Fの BIOS上では、570MB (セクタ数: 1,114,096) と変わらない一方で、PC-9821BX2では CHSパラメータが 8190/ 8/ 17 (LBA: 1,113,840) 543MBと認識しました。127KB (LBA値 255) 減少しています。
 ずれは小さくなりましたが、変換アダプタを介する時、544MBの少ない量だとずれが生じるようです。

 また、PC-9801BX3/U2では、HDDのアクセスランプがつきっぱなし (アクセス時に明滅はする) になります。これは、PC-9801BX3/U2と IDE-SATA変換アダプタとの兼ね合いだと思います。マザーボード直付け、デバイス側に取り付ける物両方で同じです。なお、他の機種ではアクセスランプは正常でした。

 ちなみに、Windows98の起動ディスクを使用して、HDDの初期化 (DISKINIT) と領域確保 (FDISK) 後に、まりも氏の「FORAMTX」を使用するとメニュー表示やパラメータの取得はできますが、フォーマットの作業に入る時点でフリーズし使用できませんでした。544MB、4GBいずれも NG。これも IDE-SATA変換アダプタとの兼ね合いだと思います。なお、通常の FORMATコマンドによるフォーマットは可能です。

 Windows2000についてはどのような挙動を示すか分かりません。もっとも、PCIバスの無い PC-98、かつマザーボード上の専用固定ディスク I/Fで Windows2000を使用する事自体あまり現実的では無いので検証はパスします。(^ ^;;

● 結果

MS-DOS6.2 FORMATコマンド
MS-DOS6.2 FORMATコマンド

 上記の不具合を除いては、いずれの組み合わせでも何ら問題なく、MS-DOS 6.2の FORMATコマンドで初期化、領域確保を行い、システムの転送、ファイルのコピーを行いましたが正常に動作しました。他機種に繋ぎ換えたり、アダプタを換えたりといろいろ弄りましたが、スキャンディスクを掛けても問題ありませんでした。

 ちなみに、PC-9801BX2/U2での HDDデータ転送速度は、I-O DATA「INSPECT」で調べるとシーケンシャル、ランダム共にリードが約 1.4MB/s、ライトが約 1.9MB/sとインターフェースの限界の速度が出ているようです。本来このドライブはその 50倍ぐらい速いです。(^ ^;;
 PC-9801BX3/U2では、シーケンシャル、ランダム共にリードが約 2.9MB/s、ライトが約 3.7MB/sと専用固定ディスク I/F経由としてはなかなかの好成績、PC-9821Ra300/W40では、シーケンシャル、ランダム共にリードが約 3.2MB/s、ライトが約 2.8MB/sでした。Cバスブリッジが足を引っ張っているようです。

I-O DATAの DOS用ベンチマークソフト INSPECT
I-O DATAの DOS用ベンチマークソフト INSPECT

 Western Digital Caviar Blueは現行製品と言う事も有り、アクセス音が電源ファンの騒音に隠れるほど非常に静かです。実験中は電源が入っているかどうかさえも分からないほどでした。(^ ^;;

 I-O DATAの IDE-98、UIDEシリーズ等他の Ultra ATAインターフェースボードや、Acard AEC-7720UWのような Ultra ATA SCSI変換アダプタでの挙動は実験していないので分かりません。ボードによっては CHSパラメータとの兼ね合いで誤動作する可能性があります。

 今後、パラレル ATA仕様のドライブが入手できなくなっても IDE-SATA変換アダプタでまだ当面は大丈夫そうです。(^ ^)

容量制限したHDDの取り扱い上の注意

● 2.5インチドライブのネジ穴

 ノートパソコン用の 2.5インチドライブではネジ穴の位置に何種類かあります。PC-9821Nr/Nwシリーズでは殆どの場合に新旧のネジ穴に対応していて問題ありませんが、PC-9821Na/Nxシリーズ以前の NEC純正 HDDパックではネジ穴の位置が旧タイプの物なので最近のドライブとはネジ穴の位置が合いません。この場合は両面テープや養生テープなどでしっかり固定してください。特に最近のドライブは厚さが 9.5mmと低い物が多く振動でずれると認識不良や故障の原因となります。

● ドライブの発熱と消費電力

 HDDによっては発熱が多い物や消費電力の多いドライブがあります。IC25N030ATCS04-0では、表面テストを 40分程度行いましたが結構熱くなりました。PC-98の機種によっては熱がこもり HDDの寿命を縮める恐れがありますのでご注意ください。

● 容量を制限した事の記録を残す

 容量を制限した HDDには、制限した事が分かるようメモ書きを残しておきましょう。混ざってしまうとあとで探すのが大変です。元の LBA値はドライブに表記が無い場合はメモしておきましょう。
 容量を制限した HDDをヤフオク、中古ショップ等で手放す時は容量を元に戻すべきですが、戻さずに手放すのであれば最低限として制限した事を相手に知らせましょう。動作不良と勘違いされトラブルになる可能性が有ります。

HDD容量制限サービス

 MHDDは英語版ですが、各コマンドのヘルプも有り DOSコマンドに慣れている方であれば簡単に扱えます。ですが、書き換え用の環境を用意できない方、書き換えがご自身できない方や交換作業に不慣れな方、書き換えや交換が面倒くさいし暇が無い (^ ^;;) と云う方は技術部にご相談ください。

 HDD単体をご自身でご用意頂いたうえで、お送りいただければ 1台につき 1,200円にて対応いたします。複数台の場合は台数に応じて割引します。書き換え後のHDDの組み込みや OSのインストール等にも柔軟に対応いたしますのでご相談ください。PC-98専門店よりも格安かつ柔軟に対応します。





NEC「得選街」


PC-9801, PC-9821, PC98-NXは NEC社の商標または登録商標です。
Windows, MS-DOSは Microsoft社の商標または登録商標です。
この他、製品名、型番等は、一般に各メーカーの商標または登録商標です。