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はじめに

 本ページの内容は、筆者が実物を分析し、独断と偏見、勝手な解釈で解説しているのでかなりいい加減な部分が有ります。より正確なことが知りたい方は念の為、ご自分で調べる事をおすすめします。
 また、正確な情報を伝えるためにもツッコミのメールを遠慮なくどうぞ。m(_ _)m

PC-9821Anの突然死

 終わりの始まりは、ある日突然にやってきた。ついさっきまで正常に動いていた PC-9821An/C9Tが、次に電源を入れたら突然起動しなくなりました。(T_T)
 今となっては貴重な CPUである IDT Winchip2-240が逝ったのかと思って、CPUを標準の Pentium 90MHzに戻してみても状況は変わらず。
 また、セットアップメニューやメモリスイッチなどの初期化を試みようと、起動時に特定キーを入力する裏コマンドも通らず、電池を外して放置してもダメ。
 そこで、予備機の PC-9821An/U8Wで不動となったパソコンからパーツを取り外し、CPUや周辺機器の動作をチェックしたところ、これらには異常は無くしっかり動いていたので、取りあえず一安心でした。(^-^)

 いまでは、周辺機器を全て引き継ぎ ガワは C9Tモデルなのに PC-9821A-E09相当のグラフィックアクセラレータ機能を内蔵した PC-9821Anが Winchip2 240MHzで稼働しています。(^ ^;;

 そこで今回は、PC-9821An死亡記念と題し、PC-9821Anの大特集を行っています (現在は終了)。まず、企画課より初の特別企画を公開します。第一回目は、PC-9821Anのマザーボードについてとして、今までに得た知識を動員してマザーボードを勝手に解説していこうと言うものです。書いてある内容は怪しいですが、だいたい合っていると思います。画像があって若干重いですが、宜しく願いします。m(_ _)m

 また、特別企画のほかに、第二電算機研究室で PC-9821Anのファイルベイ化、金属フレームを加工しての AMD K6-2の搭載実験を公開しています。一方、所内売店では、壊れた PC-9821An/C9Tからの形見分けとも言える放出品 (動作は正常なのでご安心下さい) を販売していますので、そちらも宜しく願いします。m(_ _)m (こちらも現在は終了)

PC-9821Anのマザーボード全景

 それでは、解説に入ります。まず、これが、PC-9821Anのマザーボードです。左が一般的な前期型マザーボード、右が後期型マザーボードです。

PC-9821Anのマザーボード G8RGJA  PC-9821Anの後期型マザーボード G8RGJA

 PC-9821Anのマザーにはモデルによって 2種類あります。

  • PC-9821An/U2、PC-9821An/M2、PC-9821An/C9T… G8RGJA
  • PC-9821An/U8W… G8RGJ
 両者の違いはグラフィックアクセラレータ機能を搭載しているか、いないかの違いで、G8RGJからグラフィックアクセラレータ機能の載ったサブボードと周辺の部品が省かれたものが G8RGJAになります。この辺りは、PC-9821Ap2や PC-9821As2と同様です。

 もう一点は、前期型と後期型が有ります。両者の大きな違いは、前期型で存在した GALの載ったサブ基板とコネクタが、後期型では無くなっています。他にも幾つかのチップコンデンサなどが省略されています。PC-9821Anは NC旋盤といった工作機器メーカーの大手であるアマダ社 (AMADA) に AMACOM AP40として 98ハイレゾボード (PC-9821A-E02)と RS-232C拡張インタフェースボード (PC-9801-101) とセットで OEM供給していた事から製品の供給時期が長く 1997年頃まで本体が製造されていたことによります。
 ちなみに、ハイレゾモードのサポートの関係で PC-9821Ap2と PC-9821As2も同様に、カタログ落ちした後も 1997年頃まで生産されていました。

 この左側の画像は、PC-9821An/C9Tのもので、PC-9821Anとしては一般的な 1994年 6月製造の前期型マザーボードで型番は G8RGJAです。なお、このマザーは死んでいます (-人-)。
 参考までに右側が最近になって入手した PC-9821An/U2の 1996年 10月製造の後期型マザーボードで、型番は同じ G8RGJAです。こちらは正常動作品です。

 それでは、以降、前期型マザーボード G8RGJAを使ってそれぞれ部分ごとに解説していきます。

CPU周辺部

PC-9821Anのマザーボード CPU周辺部

1. CPUソケット

 白い長方形のソケットが CPUソケットです。ここにヒートスプレッダが金色に輝く Pentium 90MHzが載ります。背面の製造番号の末尾が「L」でない場合は、例によってバグ付きの可能性があります。 CPUクーラは山洋ファンです。
 ソケットの機能は、Socket 5と同じですが、ご覧のように Socket 5の刻印が無く穴の数が Pentiumと同じ 296個しか開いていないので、ピン数の多い PentiumODPは物理的に取り付ける事ができません。CPUクーラの爪も Socket 5とは異なります。この写真では分かりませんが、実物をよく見るとソケットのレバーに「5」と刻印されています。

 CPUクーラの固定金具はヒートスプレッダの付いた Pentiumに合わせてあるので、ヒートスプレッダの無い Pentiumや IDT Winchip2、セラミック部分の厚みが薄い AMD K5等の CPUを搭載すると CPUの厚みが薄くなるので固定具合いが若干ゆるくなります。

2. アドバンスド・キャッシュ・コントローラ

 CPUソケット左にあるセラミックパッケージの一見 CPUのような大きいチップが、Intel製のキャッシュ・コントローラ「i82497-60」です。後の i430HXなどの Intel製チップセットでいう所のノースブリッジの一部に当たります。複数のキャッシュメモリをコントロールするマルチプロセッサの高性能サーバ向けのコントローラです。
 通常でも発熱が若干有るので 486用のヒートシンクを付けておくと良いでしょう。枝番が示す通りシステムクロック 60MHz用なので、PC-9821Anでシステムクロックを上げられない原因の一つでもあります。
 PC-9821Anでのオーバークロックの限界は、だいたい 64MHz位です。システムクロックを上げる場合は、このチップとセカンドキャッシュメモリへの冷却が鍵となると思います。

 周囲にはアルミ電解チップコンデンサと液漏れでおなじみの四級塩電解コンデンサが並んでいます。ロットによって一部空きパターンになっている場合も有ります。この辺りに電源供給の安定化への苦心が見てとれます。

3. メモリソケット

 白くて長細く 4つ並んでいるのが SIMMメモリソケットです。ここに高価なパリティ有りでファストページモード (FP) の 72ピン SIMMが 2枚一組で載ります。ソケット一つ辺り 32MBまでの容量を認識します。最大は 128MBです。それ以上の容量ものは認識できないか、誤認識するものと思われます。

 ECC付き EDO SIMMも動作しますが、パリティエラーでWindows95の DOSモードが起動できなくななると云った不具合が出るので使わないようにしましょう。

 SIMMメモリは Pentiumのデータバス幅 64ビットに合わせる為に同容量の 72ピン SIMMを 2枚一組で増設します。容量が異なると「SIMM SETTING ERROR」となります。また、旧モデルと違ってマザーボード上にメモリを搭載していないので、SIMMをすべて外した状態では正常動作しません。

4. 各種コネクタ

 マザーボード左下端にあるコネクタは、2ピンのものがスピーカ用、その下の4ピンのものがパワーランプと HDDアクセスランプを繋ぐコネクタです。パワーランプの LEDは動作モードによって 3色に変わります。LEDは φ5なので切って繋いで好みの物に交換する事も出来ます。

 キャッシュコントローラの下の 2ピンのコネクタは、CPUクーラーをつなぐ所で、12Vが来ています。まさか居ないとは思いますが、スピーカのフレームを外した後などに挿し間違えないようにしましょう。

 両コネクタの間にある黒のミニジャックは、左がマイクロフォン、右がヘッドフォンです。

5. クリスタルオシレータ

 汎用拡張バス (Cバス) とローカルバスライザー用の茶色いソケットのすぐ右にある銀色で正方形の部品が、クリスタルオシレータ(水晶発振器) です。PC-9821Anでは 60.0000MHzのものが使われています。これがシステムクロックになります。

 システムクロックを変えるには、この部品を適当なものに交換します。システムクロックはキーボードや時計、シリアルと分離されているのでクロックが変わっても影響はありません。交換するときは ICソケットを改造してソケット化しておくと、簡単に差し替えられるので良いでしょう。
 ソケットは 14ピン用の ICソケットを用意し、1, 2, 4, 8, 12, 14ピンを除いて他のピンは全て抜き、4ピンと 12ピン、8ピンと 14ピンを接続しておきます。そうすると、長方形型にも対応できるようになって便利です。

 クリスタルオシレータの右にある 28ピン PLCCの「TriQuint Semiconductor GA1086」は 11出力のクロックバッファです。ここから CPUやキャッシュメモリ、周辺回路にクロック信号を分配しています。

 クリスタルオシレータの下にある 24ピン SOPの「IDT QS3384SO」はハイスピード 10ビット・バス・スイッチと云うものです。その名の通りバスを切り替えるものです。(^ ^;;

ファイルスロット下部

PC-9821Anのマザーボードのファイルスロット下部

6. ファイルスロットライザー基板用ソケット

 茶色いソケットがファイルスロットライザー基板が挿さるソケットです。77ピンが二段で合計 154ピンです。3.5インチ FD搭載モデルでは「G8MVW」、5インチ FD搭載モデルでは「G8MYK」が取り付けられています。PC-9821Anの補助記憶装置は全てこれを介して接続されます。また、Cバススロットの信号も来ていて SCSIインタフェース専用スロットとファイルベイのコネクタに接続されています。ピンアサインはファイルスロット信号一覧を参考にどうぞ。
 ここの接触が悪いと、HDDを認識しなくなったり、FDDから DOSを起動するときに途中で止まったりします。動作が怪しくなったら挿し直すと良いでしょう。

 ファイルベイに改造するにあたって PC-9821Ap3、PC-9821As3用のファイルベイアダプタ (PC-9821A3-E01) も使えるそうですが、カードの固定が出来ない固定できなくなったり、IDE (PC-98では専用固定ディスクインタフェース) コネクタが使えなかったりするようです。この PC-9821Ap3、PC-9821As3用のファイルベイアダプタは 1999年現在でも NECで販売されていましたが、2012年現在では非常にレアなものとなっています。入手するには PC-9821Ap3、PC-9821As3の各 HDD内蔵モデルからはぎ取るのが手っ取り早いでしょう。

 ちなみに、PC-9821Anの補助記憶装置としては、次のような機器が内蔵されています。FDDはいずれも VFO回路無しモデルです。

  • 3.5インチ FDD… NEC FD1148T
  • 5インチ FDD… NEC FD1158C
  • 3.5インチHDD… WDC Caviarシリーズ、または Conner (現 Seagate) CFAシリーズ (専用固定ディスクインタフェース接続)
  • CD-ROMドライブ… NEC PC-CD60F (2倍速、SCSI接続)

7. キャッシュ・メモリ

 マザーボード画像右下に 10個並んでいる正方形のチップが、セカンド (二次) キャッシュメモリです。容量は合計で 256KBです。このチップはIntel製の「KU82492-60」という刻印のあるバーストSRAMチップで、発売当時は大変高価でした。
 Pentium登場初期の構成としては、Pentium、キャッシュコントローラ 82496 (66MHz版) /82497、セカンドキャッシュメモリに 82491 (66MHz版) /82492と言うのが一般的な構成でした。チップセットとしては、既に 82430 PCIセットが発表されていましたが、EISA、ISAバス搭載の PC/AT互換機用向けの構成で PC-9800シリーズで採用されるのはもう少し先になります。

 キャッシュ・コントローラ同様、枝番が示す通りシステムクロック 60MHz用なので、PC-9821Anでシステムクロックを上げられない原因の一つでもあります。通常でも発熱が若干有るので、気になる方は小型のヒートシンクを付けておくと良いでしょう。

 ちなみに、このマザーでは、セカンドキャッシュチップ群のすぐ下の 2箇所のアルミ電解チップコンデンサ部分に、供給電源を強化すべく後から大型の低インピーダンスタイプで容量 1000μFのアルミ電解コンデンサが取り付けられています。この辺りにも、安定動作への開発部隊の苦労が感じ取れます。この追加したコンデンサ専用パターンが用意されるロットも有ります。

8. 謎のサブボード

 この写真のような前期型マザーには、セカンド・キャッシュすぐ上の白いコネクタに謎のサブボードが付きます。見たところ正方形の「Lattice Semiconductor GAL16V8C-5LJ」という18ピン PLCCの Generic Array Logic (GAL) チップが、たくさん載っておりマザーボードに載せきれなかったチップを苦肉の策として別基板に載せたようです。以前は、FIFOバッファか?何て書きましたがバッファでは無いようです。
 ちなみに、この基板を外したり、接触が悪かったりする状態で起動すると「TIMER ERROR」で停止します。13個の GALブロックの左には、28ピン PLCCの低スキュー CMOS PLL クロックドライバ 「モトローラ MC88915」がある事からもタイマ関連の回路と考えられます。

 GALは小規模なプログラマブル・ロジック・デバイスで、通常の ICとは違い、設計したロジックを電気的に書き込むことで簡単なロジック ICを作る事が出来るというものです。現在一般的には、CPLDや FPGAといったものが存在し規模も小規模から Z80といった初期のプロセッサと周辺回路をエミュレートするような大規模な物まで有ります。

 1996年 10月期製の後期型ではサブボードとコネクタが無くなっています。次の画像は、参考までに後期ロットマザーボードの GAL周辺です。右端の白い物はシリアルナンバーです。

PC-9821Anの後期ロットマザーボードのGAL周辺

 部品が減ったせいか CPUアクセラレータへ交換しても前期型より動作が安定しているとか、いないとか。(^ ^;;

9. BIOS ROM

 サブボードのすぐ上にある、「RGJ0100」という銀色のシールが貼ってある 44ピン SOPパッケージのチップ 「Intel PA28F2008X」が、PC-9821Anの BIOS (ITF) ROMです。フラッシュROMなので書き替えができます。

 フラッシュ ROM搭載の PC-98では、ROMライタを使用せずに裏コマンドを使うことで書き換えモードで起動する事が出来ます。この時に BIOSアップデート用データの入った FDを挿入してキーを入力すると書き換えが始まりまる仕組みです。なお、機種によっては事前にジャンパの設定を変える必要があります。

 PC-9821Anでは NECからプラグ・アンド・プレイ (PnP) 対応にするための BIOSアップデート用 FDを 1999年現在でも有償で供給しています。価格は、6,000円程度です。書き換えると ITFのリビジョンが Ver0.22から Ver0.51になります。アップデート後に元に戻す事はできません。

10. フロッピーディスクコントローラ等

 BIOS ROMのすぐ上にある「FDC3LD」と刻印のある 100ピン QFPチップが、フロッピーディスクコントローラです。uPD765 (μPD765) の CMOSバージョン uPD72065BGCの後継ではないかと推測されます。PC-9821Anでは、3.5インチ 3モード対応の FDDを制御しています。ちなみに、FDDの動作不良の原因は A MATEや PC-9801FA等では、殆どの場合にファイルスロット基板の接触不良によるものです。FDDの動作が怪しくなってきたら、一度挿し直してみると良いでしょう。ジャンク品でこういったものが良くあります。
 そもそも FDDを認識していない状態ではパターンが切れているかこのチップが壊れています。

 その右隣りに有る 52ピン QFPの「NEC uPD72020GC-8」は、PC-9800シリーズで標準のグラフィックコントローラ Graphic Display Controller (GDC) です。オリジナルは uPD7220で CMOS化して機能を追加した物です。

 BIOS ROMの右隣に有る 28ピンの「NEC uPD71065G」、16MHzと 19.2MHzの水晶振動子の回路は FDDの VFO回路です。FDDのメカ部分を微調整してデータの読み書きを安定化させる役割を持っています。
 PC-9801FA以前はドライブ毎に VFO回路を搭載していましたが、コスト削減のためにマザーボードに搭載するようになりました。
 BIOS ROMの左にある「AIRBUS」と刻印のあるチップが、IDEコントローラではないかと思います。(^ ^;;

 また、「AIRBUS」の左に「BIG-BIRD」の刻印のある大きなチップがあります。これが、マザーボードを制御する PC-9821Anの中心となるチップであると思います。この周辺のチップには、数本のジャンパ線が走っています。その下に、「SW8」と刻印のある謎のジャンパピンがあります。

電源ユニット下部

PC-9821Anのマザーボードの電源ユニット下部

11. 音源チップ周辺部

 マザーボード右上にある長方形の「YAMAHA YM2608B」と刻印のある 64ピン DIPのチップが、サウンド機能の中核となる OPNA音源チップです。PC-9801-86相当の FM音源機能 (FM 6音、リズム 6音、SSG 3音) と PCM録音再生機能を有する YM2203上位互換のサウンドチップです。
 86音源ボード同様に使用する OSが Windows 95の場合は、PCM再生時に CPUに負荷が掛かり、システムの動作が若干遅くなったり音飛びするといった欠点があります。

 ATARI仕様のジョイスティックを使いたい場合は、このチップにコネクタを直接配線することで使えるようになります。こちらの ATARI仕様ジョイスティック端子のピンアサインを参考にどうぞ。
 また、このチップに 256KBの 30ピン SIMMを配線すると (スペース的にきついですが) 眠っている ADPCM機能が覚醒します。

12. バックアップ用電池コネクタ

 「YM2608B」の上にあるコネクタに「ML2430」と書かれ青いビニールに包まれた三洋製 (現 FDK) のバックアップ用リチウム二次電池が付きます。ロットによっては Panasonicの 「VL2330」の場合も有ります。普段は、LINE入出力端子の上に両面テープで固定されています。

 この電池が弱ってくると、時計が狂ったり、メモリスイッチが保存できなくなる他、稀に正常に起動しなくなる事があります。
 もし、そうなってしまったら、とりあえず 40時間電源を入れっぱなしにして充電してみます。それでもしばらくすると元に戻ってしまう場合は、これを新しいものに交換します。かつては NECから補修部品として購入できました。

 ここに有る 25V 22μFの四級塩電解コンデンサが非常に液漏れし易く、しばしば甚大な被害を引き起こします。心配な方は、技術部にご相談ください。

13. サウンド部サブボード

PC-9821Anのサウンドサブボード

 音源チップ下側には、「SB001D46」という銀色のシールが張ってある 80ピン QFPのチップ、YM2608専用 DACの 16ピン DIP「YAMAHA YM3016-D」、サウンド用アンプの 8ピン DIPの「TDA7052A」と銀色の円筒形のアルミ電解チップコンデンサがたくさん載ったサウンド部のサブボードがあります。裏面にもチップ部品がたくさん実装されています。QFPチップのシールをはがすと「WAVEMIXER2」という刻印があります。
 また、その左には YM2608と繋がる「CHEZRITH」と刻印のある160ピン QFPチップがあります。この YM2608、CHEZRITH、サウンドアンプ部サブボードという構成は、PC-9821Ap3と PC-9821As3でも同様です。

 98MATE Aシリーズのサウンド部は、PC-9821Ap、PC-9821As、PC-9821Aeではマザーボードに収まりきらずに Cバススロットの下を覆うくらいの大きさのサブボードになっていました。PC-9821Ap2、PC-9821As2でオンボードになり面積は三分の二程度に縮小され、ついに PC-9821Anではここまで小さくなりました。

 ちなみに、このサウンド部サブボードに実装されている面実装電解コンデンサは経年劣化で液漏れし易く、液漏れが起こるとビープ音が鳴らなかったり、FMサウンドの音量が小さくなったり、ノイズが載ると云った症状が出ます。漏れた電解液の臭いからすると四級塩電解液を使っている様な感じです。

14. 電源ユニット用ソケット

 「CHEZRITH」と刻印のあるチップの左に電源ユニット TAMURA製 PU732接続用のコネクタがあります。PC-9821Anの電源用コネクタは 486機とは違い 3.3V出力が追加されているので端子の数が増えています。PC-9821Ap2や PC-9801FAとは明らかに違います。うっかりすると嵌るので、電源ユニットを交換するときは気をつけましょう。(^ ^;;

 この PU732は、負荷によって出力電圧を調整する仕様です。外部電源供給タイプのCPUアクセラレータを使用すると電源供給に問題が生じる事があります。詳細は第二電算機研究室の PC-9821An K6-2化の記事を参考にどうぞ。電源コネクタのピンアサインも載ってます。

拡張バススロット下部

PC-9821Anのマザーボードの拡張バススロット下部

15. Cバス、ローカルバスライザー用ソケット

 メモリソケットすぐ上の茶色いソケットが汎用拡張バス (通称、Cバス)、ローカルバスのライザーボード「G8MVY」が挿さるソケットです。108ピンが二段で合計 216ピンです。
 32ビットローカルバスは 16ビットの Cバスに比べバス幅が倍の 32ビットになっていて、バスマスタ転送により高速に多くのデータのやり取りができるというものです。データ転送速度は、理論上 32ビット PCIバスと遜色ありませんが、高速転送時に安定させる事が難しかったようです。
 これに対応するボードは、グラフィックアクセラレータやビデオキャプチャ、98ハイレゾボード等があります。本命と言われた SCSIインタフェースボードはバスマスタ転送が安定せず開発中止になったようです。

 なお、PC-9821An/C9Tでは標準でスロット#4に フルカラーウィンドウアクセラレータ A2 (PC-9821A-E11) が挿され、本体の RGB出力とボードの RGB入力部分が接続ボックスで接続されています。

 形はそっくりですが、PC-H98シリーズ用の NESAバス用ボードとは互換性がまったくないので要注意です。ここに挿すと本体や拡張ボードが壊れます。ジャンクボードを購入する最には気をつけましょう。(^-^)

16. FDD I/F制御用コネクタ

 マザーボード左側中央やや上に外側へ向けて橙色の 2.54mmピッチ 10ピンコネクタがあります。これは、PC-9821Ap2以降の 98MATE Aシリーズ専用の拡張 1MB FDD I/Fボード (PC-9821A2-E02) にケーブルを接続するコネクタです。標準の FDDケーブルに足りない信号線が繋がっているので、ここにもケーブルを接続しないと FDD I/Fボードが正常に動作しません。

17.内蔵グラフィックアクセラレータ用コネクタ

 FDD I/F制御用コネクタのすぐ右にあるのが内蔵グラフィックアクセラレータ用コネクタです。70ピンが二列で合計 140ピンです。PC-9821An/U8Wモデルでは、ここに、次のようなフルカラーウィンドウアクセラレータA (PC-9821A-E09) 相当の専用グラフィックアクセラレータサブボード「G8PHM」が付きます。

PC-9821An/U8Wのグラフィックアクセラレータサブボード

 このグラフィックボードは機種固有の物で交換は出来ません。32ビットローカルバスと繋がっています。ボード上には S3 86C928 (Vision 928)、2MBの VRAM、専用 DACが搭載されています。

 それ以外のモデルでは、このマザーボードのようにコネクタやリレーは無く空きパターンになっています。おそらくここにコネクタと足りない部品を増設し、チップ抵抗で設定を弄れば U8W用のサブボードが載せられると思います。そこまでする意味はないですが。(^ ^;;

18. 拡張グラフィック機能回路とその周辺

 プリンタ I/F コネクタの後ろに有る 14ピン DIPの「モトローラ MC1488P」と 2個の「モトローラ MC1489P」はシリアルコントローラです。前者はドライバ、後者がレシーバです。RS-232C通信に関連します。
 ちなみに、PC-9821Ap2/As2では部品面にあったラインドライバ「日立 HD151244」は、PC-9821Anでは半田面にあります。

 RS-232Cシリアル I/Fコネクタの後ろにある「VL-PALETTE/E」と刻印のあるチップが、98MATEで追加された拡張グラフィック機能 (PEGC) 用チップと思われます。
 その左にある 44ピン PLCCの「Rockwell Bt121JC80」はモノリシック CMOS トリプル 8ビットビデオ DACでデジタル信号をアナログ RGB信号に変換します。さらにその下にある 4個並んだ長方形の 40ピン SOJのチップがグラフィック用メモリです。容量は合計 512KBです。

 そして、そのすぐ右にある「HRTC3」と刻印のある QFPチップの周囲に 40ピン SOPの 4Mビットマスク ROM「23C4000」と 4個の 28ピン SOPの 32K×8ビット CMOS SRAM「SONY CXK58257AM-70L」 (合計 128KB) 、同じ形状の ROMチップ「RICHO RF23256E」があります。
 マスク ROMはデータを書き込むための不揮発 ROMです。NECが開発したソフトウェアが書き込まれている事から NECのロゴが入っています。「23C4000」は漢字 ROM、「RICHO RF23256E」は ANK文字用の ROMです。
 これと SRAMが接続されている事から、マスク ROMのデータを読み出し SRAMに書き込むと予測されます。そこから察するとセットアップメニュー、メモリスイッチ等に関連するものと思われます。

 マスク ROMの直ぐ下に円筒形で二本足の水晶振動子が有ります。この裏に 16ピン SOPのカレンダ時計用 IC (RTC) の「uPD4993A」が搭載されています。

 グラフィック用メモリの下にある 208ピン QFPの「GRANDPAPA2」と直ぐ下に「CDGAG」という刻印のある 52ピン QFPチップが、Cバス、ローカルバスを制御するチップではないかと思います。

 「HRTC3」の右斜め下に「W-HIKARI」という刻印のある 144ピン QFPチップがあります。これがプリンタ I/Fとキーボード、バスマウス関連かなと思います。(^ ^;;

 なお、一カ所、黒い電解コンデンサが付けてありますが、あれは元々付いていた電解コンデンサが触るとポロッと取れてしまったので適当なものを付けただけです。気にしないで下さい。(^ ^;;

 以上で、解説を終わります。今後、正解が分かったら随時更新していきます。お付き合いいただきありがとうございました。m(_ _)m



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今回の特別企画のなかで、TM, R等のマークは省略していますが、PC-9800、PC-9801、PC-9821、98MATE等は NECの登録商標または商標です。

i486, Pentiumは、Intel社の商標または登録商標です。

Windows, MS-DOSは Microsoft社の商標または登録商標です。

この他、CPUの名称や技術の名称、製品名、型番等は、一般に各メーカーの商標または登録商標です。