[an error occurred while processing this directive]

[an error occurred while processing this directive]

改造に当たって

 このページの方法で改造を行うと電源供給に重大な問題が発生する可能性があります。また、同様な方法で改造している方は、至急、電源の問題の項をご覧ください。

 本ページの行為はメーカーの禁止している改造行為に当たるのでメーカー保証範囲外になります。故障した際に修理にも対応してもらえません。また、この改造の結果により本体やデータが破損しても当研究所では一切の責任はとりません。試してみようという方は全て自己責任で行ってください。
 なお、このページの解説で改造の方法が理解できない方は、何かあっても後戻りできないので参考程度に留めて置きましょう (^ ^)b

はじめに

NEC 98MATE PC-9821An

 NEC製パソコン PC-9800シリーズの 98MATE PC-9821Anには Pentium 90MHzが搭載されていますが、CPUソケットは一般的な Socket5では無く Pentiumのピンと同じ 296ピンの CPUソケットなので厳密には Socket 5では有りません。その為に Pentiumに比べて CPUクーラー用に外周の一周分ピン数が多い Pentium用オーバードライブプロセッサ(ODP) を物理的に搭載できません。

CPUソケット周辺のスペースが狭い PC-9821An

 また、PC-9821Anは筐体のフレームのせいで CPUソケット周辺のスペースが非常に狭くなっているのでフレームに当たってしまい物理的に変換ソケット (下駄) が載せられない場合が殆どです。また、同じ PC-9821Anでも製造ロットにより個体差が激しく、その本体によって CPUの交換が成功しない場合があるので注意が必要です。
 PC-9821Anに正式に対応する CPUアクセラレータは、ユニテック社の Winchip2 240MHzを搭載した AC98D-240An (リンク切れ) しか有りませんので、CPUを AMD K6シリーズと云うような高性能なものに交換したい場合は新しい CPUと必要に応じて変換ソケット (下駄) を使い改造する以外に有りません。

 もっとも簡単な方法は、x86 CPU部門から撤退した IDT社 Winchip2を使う方法で、厳密にはコア電圧は 3.52Vなので電圧を 3.3Vから上げなければなりませんが載せ替えるだけで動作する率が高いです。しかも、内部逓倍設定の 1.5倍設定が 4倍設定となるため 240MHz (60MHz×4) 動作となり MMX命令や 3D Now!にも対応します。
 しかし、この方法の欠点は Winchip2自体が非常に品薄で手に入りにくく最高でも 240MHz動作です。そこで、AMD製 K6-2に何とか載せ換えられない物かと思い実験しました。

使用した本体とパーツ

今回の実験台 PC-9821An/C8W改

 今回 PC-9821Anの K6-2化に使用した本体は、以前にお亡くなりになった PC-9821An/C9Tのマザーボード「G8RGJA」を PC-9821An/C8Wのマザーボード「G8RGJ」と交換したものです。既にファイルベイ化の改造が施して有ります。1994年 6月期製造でセカンドキャッシュ上にサブボードが有り、ジャンパ線が這いずり回っています。ITFの Revは 0.22で PnP非対応です。

 改造パーツとしては、次の物を使いました。

  • IO DATA製 PK-686P125の下駄部分 (通称:魔法下駄)
  • パワーリープ製 PL-K6-III (電圧変換下駄)
  • 旧コアの K6-2 300MHz (333MHz版が手に入らなかったので (^ ^;;)

 それぞれについて簡単に解説します。

 まず、この方法では、2000年現在で入手が非常に困難な魔法下駄と呼ばれる MTC (玄人志向の前身ともいえるブランド) 製の MTSA-M1Tや アイ・オー・データ (I-O DATA) 製の CPUアクセラレータ PK-686P125の下駄部分が必要になります。この二つの内 PC-9821Anとは PK-686P125の下駄部分の方が相性が良いようです。ちなみに、今回用意した本体と MTSA-M1Tとの組み合わせでは、K6-2は全く動作しませんでした。(T_T)

 次の写真は、PK-686P125の下駄、Cyrix 6x86、付属の CPUクーラーです。デフォルトでは Cyrix 6x86が下駄に載った状態になっています。

アイ・オー・データ製 CPUアクセラレータPK-686P125

 次に、K6-2は動作電圧が元の P54と異なりコア部 2.2V、I/O部 3.3Vと動作電圧が違うデュアルボルテージ対応 CPUなので、電圧を変換する下駄も必要になります。パワーリープ (Power Leap) 製の PL-Pro NBでは丁度ソケットに納まるサイズなので問題無いのですが、それ以外の物では、スペースの都合上そのままでは下駄が載らないので機能の無い下駄(スペーサ)で高さを稼いだり本体の金属フレームを削るなど大工事になります。

 ちなみに、Winchip2が登場するまで PC-9821Anでは、PK-686P125の下駄部分と電圧降下下駄の PL-Pro NBとの組み合わせに、付属の Cyrix 6x86用キャッシュコントローラにパッチを当てることにより Cyrix製 Cx6x86MXや MIIを動作させるのが成功率が高く一般的でした。

 続いて、AMD K6-2ですが、必ず旧コアのものを用意します。K6-IIIや K6-2でも 2000年現在で一般的に流通している 6倍設定を持つ新コアを PC-9821Anに使用すると「CACHE ERROR」 が出て動作するものの内蔵キャッシュが切られているため 386相当の処理速度に落ちてしまいます。これについては、起動後に再び内蔵キャッシュを有効にするソフトウェアを制作された方がいらっしゃるのでそのソフトウェアを使うことにより回避できます。
 K6-2の旧コアの見分け方は、333MHz版までは全て旧コアで 350MHz版のものでは旧コアと新コアが混在、350MHz以上のものでは全て新コアです。PC-9821Anの場合システムクロックが 60MHzなので、旧コアの K6-2で 5.5倍設定の 330MHzが最高速になります。よって、333MHz版の K6-2を入手すれば間違いないと思います。(^-^)

 最後に、このページの方法では、パソコン筺体の金属フレームを削ったり、電源の改造が必要になったりと、とんでもなく面倒なことになるのでぶっちゃけ止めた方がいいです。
 実際に挑戦する場合には、一連の作業に金工用鋸 (できれば、ディスクグラインダー)やヤスリ、ハンダ鏝等の工具やデジタルテスタ等の測定機器が必要になる他、ファイルベイ化よりはましですが大変な労力を要しますので覚悟しましょう。(^ ^;;)

電源供給の問題

● PC-9821Anの電源ユニット

 最近「どるこむ」の「MMX掲示板」等で PC-9821Anに電圧変換下駄 パワーリープ PL-Pro-MMX PLUS!、PL-K6-III、メルコの N2等を使い K6-2, MII等の CPUに換装すると CPUの Vcc3への電源 (I/O電圧) の供給に重大な問題が発生するという報告がありました。

 なお、これは電源ユニットの欠陥では無く仕様による問題なので、ノーマルの Pentium 90MHzや CPUソケットから直接電圧を降下させる下駄 (PL-Pro-NB、メルコの HK6-MX-L下駄等) を使用する場合ではこの問題は発生しません。

 また、この件については、あくまでも電源の欠陥ではなく仕様の問題なのでメーカー等への質問や非難等は絶対にしてはいけません。

● 症状と原因

 症状は Vcc3への供給電圧 (3.3V系の電圧、I/O電圧) が、常に 3.3V以上 (本体によっては、3.9V〜 4.2V) になり 5V系の電源の消費が増大するにつれて 3.3V系の電圧が上昇するというもので、結果として動作が不安定になったり、CPUが壊れたり、マザーボードの焼損にも繋がります。つまりは、I/O部への供給用の電圧が 3.3V以上になると云う事です。

 これは、本体により一見正常動作している軽度の場合もあれば、正常に起動しない、動作中にリセットが掛かる等、重度の場合もあリます。ちなみに、自分の場合は前者でした。

 異常動作となる原因は、PC-9821Anの電源ユニット TAMURA製 PU732は、スイッチングレギュレータで 3.3V系や 5V系等の電圧を作っていて、この電圧を安定して出力するにはそれぞれにある程度の負荷が必要になっています。PC-9821An標準の CPUである Pentiumは、シングルボルテージ対応なので CPUの I/O部とコア部 (Vcc2) で電源ユニットの 3.3V系に適当な負荷がかかるので電源ユニットは正常に3.3Vの電圧を出力できます。また、そのように調整されています。
 ところが、5V系を降圧してコア電圧を作る下駄を使うと電源ユニットの 3.3V系への負荷が Vcc2のみとなり大幅に減少すると同時に、コア電圧を作る5V系への負荷が増大するのでスイッチングレギュレータの制御範囲を越えてしまい、安定して規定の電圧を出力できなくなるというものです。まったく負荷の無い状態、つまり電源ユニット単体では、まともにファンが回転できず、出力電圧も滅茶苦茶です。
 もっとも、これは一般の ATX電源や ACアダプタにも言えることで、自作パソコン用 ATX電源には最低何アンペアの消費が必要かと云う事が仕様として書いて有ります。よほど変な事をしない限りは気にする必要は有りませんが。(^ ^;;

 そこで、この報告をもとに実際に PC-9821Anで電源ユニットの 3.3V系の電圧を測定してみました。

● 電圧測定実験

測定の条件は次の三つです。

番号 条件 電源ユニットにかかる負荷
3.3V系 5V系 12V系
1 電源ユニット単体 無し 無し 無し
2 電源ユニット + CPU無しのマザーボードのみ 無し 軽い 軽い
3 電圧変換下駄に PL-K6-IIIを使用した PC-9821An本体 軽い 重い 重い

 使用測定機器は、デジタルテスタとアナログテスタでオシロスコープは使用していません。デジタルテスタは DIGITECH社製の型番 DT-2010というもので、測定レンジは 20V、分解能は 0.01V、確度は 0.8% +1、入力インピーダンスは約 1MΩです。アナログテスタは、ミズホ通信株式会社製、型番 P-7というもので、測定レンジは 10Vで、この場合の分解能は 0.1V、確度は ±3%、入力インピーダンスは約 2kΩ/Vです (どちらも数千円の安い物(^ ^;;)。また今回は、テスタの分解能の違いから有効数字 2桁で表しています。

 測定の対象は PC-9821Anの電源ユニット TAMURA製 PU732です。製造ロット No.005833、レビジョンは E2に点が打ってあります。2の場合で負荷として使用したマザーボードは 94年 6月期製造の PC-9821An/C9T「G8RGJA」です。3の場合で負荷として使用した本体は、94年 6月期製造の PC-9821An/U8W「G8RGJ」です。なぜ、違うものを利用したかというとマザーボードを取り出すのが手間だからです。(^ ^;;

 測定箇所は、1と 2では電源ユニットの端子を 3では、PL-K6-IIIの CPUソケットと下駄の基板の間のピン露出部です。

● PC-9821An電源コネクタのピン配置

 PC-9821Anの電源ユニット PU732電源コネクタ側のピン配置は次の図ようになっています。端子部分の色は電線の色を表し、表は出力電圧を表しています。この中で 1番と 16番の端子は未使用で 8番と 9番の端子は出力は有りますが未使用のようです。

PC-9821Anの電源 PU732ピン配置
ピン番   ピン番  
1 未使用 9 +5V
2 GND 10 +5V
3 GND 11 +5V
4 GND 12 +5V
5 +3.3V 13 GND
6 +12V 14 GND
7 -12V 15 GND
8 +3.3V 16 未使用

● 測定実験結果

測定実験の結果は以下の通りでした。

条件 1. 電源ユニット単体 (全系統に負荷無し)

 常に出力電圧は大きく変動し一定の値を示しません。場所によってはアナログテスタでも分かる程の激しい変動がありました。

条件 2. 電源ユニット + CPU無しのマザーボードのみ (+3.3V以外の各系統に軽い負荷)

 +5V、+12V系は正常に出力されているものの +3.3V系は +4.4Vになっていました。出力電圧の変動は有りません。

条件 3. 電圧変換下駄に PL-K6-IIIを使用した PC-9821An本体 (+3.3Vに軽い負荷、それ以外の各系統に重い負荷)

 +3.3V、+5V、+12V系の各出力は安定しているものの Windows95を起動すると Vcc3の電圧が +3.3Vから +3.6Vの間で変動。OSの起動が終わると再び +3.3Vで安定していました。ただし、ソフトリセット直後では Vcc3の電圧が +3.7から +3.8Vになることが数秒間続くことが観測されました。

 と云うように、デジタルテスタでは出力電圧に異常が観測されました。また、アナログテスタでは、電圧の平均値を測定する事になるので異常が観測され難い事が分かりました。

● 電圧変動の対策

 対策としては掲示板上に報告が有り +3.3V系の電圧に適度な負荷を繋ぎ約 0.3A〜 1A程消費すれば良いとの事なので、0.3A程度消費させる為に電源ユニット内の +3.3V系とGNDの間に 1Ωで 1Wのセメント抵抗を 1個追加しました。

● 電源改造の結果

 改造の結果として電源ユニット + マザーボードのみの状態でも +3.3V系の出力は正確に出力されていて、電圧変換下駄に PL-K6-IIIを使用した PC-9821An本体でも Windows95起動時の電圧の変動はほぼ解消しました。

 なお、元ネタと対策の方法は報告者である、まりも氏のページを参考にしてください。また、K6-2, K6-III等の新コア用のキャッシュエラー対策のと云った PC-98を使い倒すために便利で強力なフリーソフトが有ります。

新まりものページ http://hp.vector.co.jp/authors/VA012947/

 最後に、現在このような方法で (特に、以前このページで紹介した方法により)、 PC-9821Anに K6-2, MII等を載せている場合は、故障する可能性が高いので直ちに Vcc3の電圧のチェックをして適切な対策をとるか、使用を中止していただくようお願いいたします。m(_ _)m

筺体の加工と配線

● 作業前の注意

 筺体を加工してしまうとメーカーの修理を受けられなくなります。中古としての買い取りも拒否される可能性がありますので、良く考えて実行してください。ここからは後戻りができません。

 この作業中は金属フレームの断面は非常に鋭くなっているので、必ず軍手をして手を切らないように注意しながら行いましょう。ディスクグラインダーで削る時は保護メガネも必須です。また、フレームの金属版は厚みが有って丈夫ですが、下手に力を一箇所に掛け過ぎるとフレームが歪んでしまいます。綺麗に仕上げるコツは、一気にやらずに時間を掛けて少しずつ進めるとうまくいきます。

 筺体の加工が終わったらショートの原因となり大変危険なので金属の削りかすを良く払って除いておきましょう。

● 底板とスピーカフレームの取り出し

 PC-9821Anでは CPUソケットに下駄を取りつけるには、筺体を加工してスペースを確保しなくてはなりません。ここからは筺体加工作業の解説に入ります。まず始めに、PC-9821An本体をマザーボードを取り出すまで完全に分解しマザーボードが載っている底板とスピーカのフレームを取り出します。

 スピーカのフレームの取り出し方はフロントマスクとルーフカバーを外し、ネジ 4本と本体前面の左端にあるスピーカと電源ランプ等のケーブルを外して取り出します。

 底板の取り出し方はスピーカのフレームを取り出した後、バックパネルと電源ユニットを外してからファイルスロットユニット、Cバスユニットを取り外し、最後にマザーボードを取り出します。このときネジ位置をメモっておくと後々作業の戻りが無くなるのでお勧めです。

 バックパネルを外す時は予め Cバスボード等を抜いて置きます。手回しネジはそのまま付けて置いて構いません。ファイルスロットユニットを取り出す時は柄の長いドライバーを使うと楽にネジが外せます。また、マザーボード等は、静電気に非常に弱いので取り扱いには細心の注意が必要です。

● 底板の加工

 電圧変換下駄が底板の前面部分に引っ掛かってソケットに挿せないので、挿せるように金工用ヤスリで底板の金属部分を削ります。削る前にマザーボードと底板だけの状態で削る部分を鉛筆等で印を付けて置き、印を付けた部分までただひたすらにゴリゴリ削ります。(^ ^;;

 ここで一旦マザーボードと PL-K6-IIIを取り付けて、見て引っ掛かりが無いかチェックします。引っ掛かりが有ればヤスリ掛けをして修正します。次の写真は加工例です。

PC-9821An 底板加工例

● スピーカとファイルスロットフレームの加工

 底板の金属フレームの加工が終わったら、CPUクーラの側面が当たるのでスピーカとファイルスロットのフレームの加工をします。

 まずスピーカのフレームの前面を底板と同様に削り、ファイルスロット側の側面から前面にかけてを金工用鋸等で切ります。特に側面の部分を切っておかないと PL-K6-III付属の CPUクーラーの側面が当たり、後で作る CPUアクセラレータユニットが取り付けられなくなります。

 スピーカのフレームの加工が終わったら、ファイルスロットのフレームの向かって左側、ネジ止め用の穴の部分を削ります。底板の削った部分に重なる部分を全て削っておきます。

 次の写真はスピーカのフレームの加工例です。左が下から見たもので、右が正面向かって左側から見たものです。

スピーカのフレーム加工例 (下側)         スピーカのフレーム加工例 (左側)

● 下駄用電源の配線

 下駄用の電源はハードディスクユニットを分解して取り出すのが最も簡単です。だだし、ここから電源をとると HDDの動作が電圧不足等で不安定になる可能性があります。

 そこで、今回は、すでにファイルベイ化しているのでファイルスロットバックボードに配線した電源ケーブルから下駄用の電源を取りました。配線の仕方はそちらを参考にしてください。

CPUアクセラレータユニットの作成

 一通り筺体の改造が終わったら、CPUアクセラレータユニットを作成します。

 まず、旧コアの K6-2に PL-K6-III付属の CPUクーラーを取り付けます。取り付け方は六角形のネジを緩めて、黒いプラスチック部分とヒートシンク部分の間に CPUを横から滑り込ませるように入れた後に六角形のネジを締めます。シリコングリスは中央にコメ粒ぐらいで十分です。CPUクーラーを取り付けたら PL-K6-III本体にCPUを取り付けます。

 取り付け方は、CPUを方向に注意してピンの保護シートを付けたままの下駄にあてがい、かなり固いので上から少しづつ均等に力を加えて CPUと下駄の隙間が殆ど無くなるくらいまで押し込みます。ここで下手に急いで力を加えると CPUや下駄のピンを曲げたり折ったりてしまうので要注意です。CPUを取り付けたらクーラーの電源ケーブルを下駄に取り付けます。

CPUクーラーと CPUを取りつけた PL-K6-III

 次に、PL-K6-IIIの裏側にある 10連ディップスイッチ (Dip SW) を載せた CPUに合わせて設定します。

 旧コアの K6-2を 5.5倍速で動作させるには、次のように設定します。詳しくは付属の説明書でご確認下さい。

 「0010100001」 (0= OFF, 1= ON)

 これで、動作倍率 5.5倍、コア電圧 2.2V、CPU加熱防止 ONになります。

 続いて、PK-686P125から CPUクーラーと CPUを外します。外すときは金属のへら状の物が有ると楽に外せます。今回は、MTSA-M1T付属の CPU取り外し工具 (リムーバー、写真参照) を使いました。一本あると非常に便利です。

MTSA-M1T付属の CPUリムーバー

 PK-686P125の下駄部分のみにしたところで下駄の中央部のジャンパ (位置は次の写真参考) をデフォルトの「9-10」ショートから「7-8」ショートに移します。PC-9821Anではこの様に設定しないと起動時に「A20LINE ERROR」が出て本体が起動しません。

PK-686P125ジャンパ位置

 最後にPK-686P125の下駄部分の上に PL-K6-IIIのユニットを取り付けます。取り付け方は、PL-K6-IIIのユニットを方向に注意してピンの保護シートを付けた状態のPK-686P125の下駄部分にあてがい、上から少しづつ力を加えて CPUと下駄の隙間が殆ど無くなる位まで押し込みます。PL-K6-IIIのピンは細くて曲がりやすいので、ここで下手に急いで力を加えると下駄のピンを折ってしまうので要注意です。

オリジナル CPUアクセラレータユニット

 CPUアクセラレータユニットが完成したら標準の CPUとクーラーを外し、マザーボードと底板、スピーカユニットだけを仮組してきちんと CPUアクセラレータユニットが取り付けられるかを確認します。取り付けられるようなら PC-9821An本体を元通りに組み立てます。

PC-9821Anに搭載した CPUユニット

動作確認

 PC-9821An本体を元通りに組み立てたらルーフカバーを開けた状態で作成した CPUアクセラレータユニットの動作確認をします。下駄に供給する電源は、ファイルベイ化しているのでファイルベイから電源ケーブルを分岐して接続します。

 次の写真は、左はスピーカのフレーム無し、右はスピーカのフレームを取り付けた状態です。

PC-9821Anに搭載 (SPフレーム無し)    PC-9821Anに搭載 (SPフレーム有り)

 配線や下駄の取り付けの確認をしてから電源ケーブルを繋ぎ本体の電源を入れます。「ピポッ」と鳴りメモリーカウントが終了すればまず成功です。

 もし電源を入れて 「ピポッ」と鳴らない場合や電源がすぐ切れる、煙がて異臭がする場合は、すぐに電源を切って CPUソケットや下駄へのピンの差し込み不足はないか、電源の配線ミスはないかをチェックします。特にスピーカのフレームの側面をきちんと削っておかないとCPUクーラーがぶつかって CPUソケットに正しく挿し込めなくなります。

 それで駄目な場合は、残念ながら本体との相性が悪いと言うことで諦めるしか有りません。m(_ _)m

改造の結果

 あとは、OSが Windows95の場合は PC-9800シリーズで K6系 CPUに換装すると処理が速すぎて起動時にフリーズや「Windows保護エラー」で起動に失敗することがあるので、標準の起動ロゴを表示させないか、他のものに交換しておきます。具体的にはシステムファイルの「msdos.sys」に「logo=0」を追加するか、システムファイルの「logo.sys」を 640x400ドット 16色の ビットマップ (BMP) データで上書きします。

 また、PC-9800シリーズでは ITFが K6-2に対応していないので、K6-2の本来のパフォーマンスを引き出すため K6-2用のキャッシュコントローラをインストールします。これは、Vectorにフリーのものが有りますのでお好みでどうぞ。

 ベンチマークは、以下のようになりました。ちなみに、この PC-9821Anでは総 SCSI化をしています。

★ ★ ★ HDBENCH Ver 2.610 ★ ★ ★
使用機種 PC-9821An/C8W
Processor AMD K6 3D 329.9MHz [AuthenticAMD family 5 model 8 step 0]
解像度 1024x768 256色(8Bit)
Display [X]スタンダード ディスプレイ アダプタ (9821 シリーズ)
Display [X]PC-9821 As2,Ap2,An (S3)
Display ウィンドウ アクセラレータ ボード A2 (Matrox)
Memory 129,404Kbyte
OS Windows 95 4.0 (Build: 950)
Date 1999/11/30 18: 7

SCSI = MELCO IFC-NN PnPモード SCSI Interface Board

ABC = IBM DCAS-34330 Rev S65A
D = GENERIC NEC FLOPPY DISK
E = GENERIC NEC FLOPPY DISK
F = PIONEER CD-ROM DR-766 Rev 1.00

CPU ALL Text Scroll DD Read Write Memory  
Pentium 90MHz - 3452 5445 - - - - - - - 4904 A:10MB
Winchip2 240MHz - 12967 14829 - - - - - - - 8722 A:10MB
K6-2 330MHz 11922 20255 25358 18486 6459 16633 82 1 3589 4518 11076 A:10MB

 感想としては、Winchip2-240に比べてクロック上昇により、整数演算や浮動小数点演算が格段に向上し体感的にも速くなりました。PC-9821A-E11 (Matrox MGA-II) のグラフィック機能も演算処理能力の向上によって矩形、テキストで一割程度アップしました。また、MGA-IIは DirectDraw非対応でエミュレートしている為に DD画面の描画も若干高速化されました。
 しかし、PC-9821Anはメモリへの書き込み速度が PC-9801FA (i486SX 16MHz) より遅いので (^ ^;;、K6-2本来の性能を生かしきれていません。

 問題点としては、SCSI絡みで問題が発生しました。メルコ (Buffalo) 製 SMIT転送 SCSIボードの IFC-NNでは、HDDのデータが破壊され (T_T)、故 ICM製 バスマスタ転送 SCSIボードの IF-2769ではバスマスタ (Sync) モードでは、Windows95の起動に 3回に 1回の割合で失敗します。両者とも非 PnPモードに設定です。一時的な対策としては、IF-2769ではバスマスタ (A-Sync) モードに変更することにより全くエラーが出なくなりました。

 今のところ、半日ほど電源を入れっぱなしにして作業していてもフリーズやエラー等の問題は発生していません。(^-^)

● IF-2769をバスマスタ (Sync) モードで安定動作させる方法

 IF-2769がバスマスタ (Sync) モードで安定させる方法がわかりました。このボードでバスマスタ転送する時に、他に DMAをリソースとして必要とするボードがあると動作が不安定になるようです。自分の環境では キュービジョンの 86音源互換ボード「Second Bus Star」 がそうでした。対策としては IF-2769の BIOSセットアップで「HRQ/HAK Ch.」 を Ch:1から Ch:2に変更することでバスマスタ (Sync) モードでも安定するようになりました。



パソコン工房


PC-98, PC-9821, 98MATEは NEC社の商標または登録商標です。

K6は AMD社の商標または登録商標です。

Windows, MS-DOSは Microsoft社の商標または登録商標です。

この他、製品名、型番等は、一般に各メーカーの商標または登録商標です。