FC-9801F model2 Power Up
FC-9800シリーズ フロントアクセスタイプ FC-9801F model2のパワーアップについてまとめたページです
2014/ 4/ 20 更新
はじめにFC-9800シリーズは、ファクトリコンピュータといい工場や研究施設で機械制御、装置への組込み等、ファクトリオートメーション (FA) を目的としたPC-9800シリーズの派生種で企業ユーザーを対象に販売されていました。価格は販売店見積もりとなっていて、FC単体での販売 (売りきり) ではなく周辺機器やソフトウェア、サポートなどを含めたシステムとして販売される事が多いようです。基本的に PC型番とアーキテクチャは同じなので、CPU等ハードウェアに依存するもの以外ならば PC型番の拡張機器やソフトウェアも利用可能です。
FC-9800シリーズの特徴としては PC-9800型番のデスクトップモデルをベースに設計されていますが、耐久性や信頼性を高めるため、マザーボードを流用することは無く専用マザーボードになっています。さらにほとんどの機種でモータ駆動のドライブを一切排除でき、振動の激しい場所や、衝撃の加わる場所、高温多湿な場所等、苛酷な環境でも連続稼動できるように頑丈に設計されています。
FC-9801Fは、1992年 10月に「フロントアクセス FC」というキャッチコピーで登場しました。FC-9801Fの最大の特徴は、フロントアクセスが示す通り各種 I/Fコネクタ、電源ケーブルはおろか、Cバススロットまで全てが、筐体前面に配置されている点です。このため、98シリーズの中では、かなり異質な形をしています (写真参照) 。 工場以外でも計測や、Cバスボードの開発、動作チェック等、頻繁に Cバスボードを入れ替える必要がある用途にも便利かと思います。
FC-9801F model2 は、一風変わったデスクトップ FC。(^ ^::
筐体の構造は、FC-9801F model2では、Cバスが 6スロット、専用スロットが 2スロット、ファイルスロットが有るため大きな筐体ですが、実際には、各種 I/Fコネクタ取り付けられている部分だけがマザーボードになっているのである意味コンパクトであるとも言えます。つまり大き目の Cバスライザーにマザーボードと電源が接続されているという感じです。またラックに取り付けるための金具が、標準添付されているのでラック取り付けたり装置に直接組み込むことも可能です。このFC-9801Fは、ラップトップ PCの PC-9801Tをベースに設計されており性能はほぼ同じです。
またデフォルトでは、ファンレス仕様 (筐体ファンユニットはオプション) で電源ユニットにもファンが無いため、塵の多い場所でもファンで塵が巻き上げられることがありません。また動作時の騒音も全くありません。おかげで電源が入っているのを忘れてしまいます。(^ ^;;
注意点として、FC-9801F並びにFC-9801F専用の拡張機器は、本体の生産終了に伴い全て製造、販売を終了しています。これらを新たに入手することはできません。
FC-9801Fのラインナップ
商品名 | モデル | 標準価格 (税別) |
---|---|---|
FC-9801F model 1 | Cバス 4スロット仕様 | 販売店見積もり |
FC-9801F model 2 | Cバス 6スロット、ファイルスロット仕様 | 販売店見積もり |
FC-9801Fに搭載されている CPUは、Intel 386SX (20MHz) でシステムクロック 20MHzと同期して動作します。i386SXは、当時、非常に高価だった i386DXの廉価版に当たります。386系 CPUは、従来の 80286に比べ、データバス幅が倍の 32ビットになり新たに 386命令が追加され、高速化が図られています。
i386DX (80386) と i386SXの違いは、前者は、コア内部と外部のデータバス幅が、32ビットなのに対し、後者は、データバス幅が、コア内部は 32ビット、外部では 16ビットという違いがあります。i386SXの性能は、i386DXに比べ、コアと外部バス間にバス変換回路がありここでウェイトが入るため、いくらか劣ります。
しかし、従来の、16ビットの 80286での設計が利用できるのでPCの開発や生産コストが安くなると言う利点があります。このため、PC-98シリーズでは、デスクトップ以外にもノートや、ラップトップ等、多くの機種で採用されました。
コプロセッサは Intel 387SXに対応しています。コプロセッサは、現在の CPUの浮動小数点演算ユニットにあたりCPUと共に動作して、関数計算などを専門に担当します。当時は、CPU自体が非常に高価だったのでオプションになっていました。
なお、コプロセッサ Intel 387SXを増設した場合、必ず CPUボード A (左側) 上のジャンパを「01-03」に移します。
メモリは、標準で 1.6MB搭載し、 専用メモリボード (親亀ボード、FC-9801F-01) を使えば、61SIMM (2MB)や、53SIMM (1MB)を追加することで9.6MBまで増設できます。さらにCバス汎用メモリを利用すれば、 最大 14.6MBまで増設できます。
なお、形は似ていますが、FP SIMMや EDO SIMMとは仕様が全く違うので使えません。挿すとメモリや、マザーボードが壊れます。
FC-9801Fのようなファクトリコンピュータでは、振動や、衝撃等、過酷な条件での使用が考慮されているため、基本的に フロッピィディスク (FDD)、 ハードディスク (HDD) 等モーター駆動のドライブは、オプションになっています。またこれらの装置を搭載すると動作時の環境条件が変わるので注意が必要です。
FDDを使用する場合には、FC-9801F model1では、FDD兼用スロット、FC-9801F model2では、FDD専用スロットに「FC-9801F-FD1 (3.5インチ 2モード 2HDタイプ) 」を増設します。FDDは、 2ドライブまで内蔵できます。それ以外の方法では、1MBFDD I/Fを搭載しているので外付けの FDDユニットが利用できます。
HDDは、FC-9801F model2に限りファイルスロット対応の HDDが内蔵可能です。FC型番では、SCSI-1仕様で容量 730MBの「FC-9801F-HD2」があります。
他にもPC、FC型番問わずファイルスロット対応の CD-ROMドライブ、MOドライブ、メモリカードリーダ/ライタが内蔵可能です。ただし、ファイルスロット用 FDDはコネクタが無いので内蔵できません。ちなみにその逆も可能でA MATEに「FC-9801F-HD2」を取り付けることも可能です。(^-^)
なお、取り付けるファイルスロット装置によっては、本体を縦置きにする必要があります。またSCSI接続のファイルスロット機器を使用する場合は、オプションの専用 SCSIボード「FC-9801F-02」が必要です。
その他にFDDの代わりにFDと同じ感覚で使用できるRAMファイル「FC-9801F-RF1」(容量 1MB、「FC-9801F-RF2」で最大 2ドライブに増設可能) や、オートスタート ROMボード等があります。これらは、電池でバックアップされているので電源を切っても内容は消えません。
グラフィック機能は、最大 640 x 400ドット 4096色中 16色でEGC (Enhanced Graphic Cherger) により描画の高速化が図られています。またPC/AT互換機とは異なり漢字 ROMを搭載しているため、DOSや BASIC上で高速な漢字表示が行えます。
Windowsを利用するためには、別途グラフィックアクセラレータボード (ウィンドウアクセラレータボード) を Cバスに増設する必要があります。
FC-9801Fでは、サウンド機能はオプションです。DOSゲームや、Windows3.1等でサウンド機能を利用する場合には、PC-9801-26Kや PC-9801-86などのサウンドボードを Cバススロットに増設することにより利用できます。
ビープ音の音量は、プラスドライバーでCPUユニットの 前面にあるボリュームで調整できます。
位置 | 種類 | 形状 |
---|---|---|
本体前部 | キーボード | ミニ Din 8pin |
バスマウス | D-Sub 9pin | |
アナログディスプレイ | D-Sub 15pin、24kHz対応 | |
デジタルディスプレイ | Din 8pin | |
1MB FDD I/F | アンフェノール 50pin | |
RS-232Cシリアル I/F | D-Sub 25pin、最高19,200bpsまで対応。 | |
プリンタ I/F | アンフェノール 14pin、双方向非対応 |
この中で特にFC-9821/PC-9821系とでは、バスマウス、アナログディスプレイ、プリンタのコネクタの形状が違うので注意が必要です。
FC-9801F model1では、汎用拡張スロット (Cバススロット) を 4スロット、FC-9801F model2では、6スロット搭載しています。Cバススロットのうち♯1は、RASボード兼用スロットになっています。オプションの増設 RASボード「FC-9801-06」を利用する場合、必ずここに接続します。なお、このスロットは、他のスロットと信号線が一部異なるのでボードによっては、正常動作しない場合があります。さらにFCシリーズ用 I/O拡張ユニット「FC-9811」で Cバススロットを拡張することができます。
この他にFC-9801F model 2では、FDDと 専用 SCSIボードを搭載するための専用スロットが 2スロットあります。
現在流通している Cバスボードでは、CPUや、ハードウェアに依存するボード以外、PC型番でもほとんど全て使用可能です。ちなみに純正の FC型番の周辺機器を見かけたら、ぜひご一報ください。m(_ _)m
なお、FC-9801FでCバススロットに汎用メモリボードを増設する場合は、スロットのコネクタ脇のマイクロスイッチの変更が必要になる場合があります。スイッチ番号は、Cバススロットの番号に対応しています。
位置 | 機能 |
---|---|
上 | 1MB 以上のメモリボードを搭載する場合。 |
下 | その他のボードを搭載する場合。 |
中央 | 自動切換 (出荷時設定) |
出荷時設定は、自動切換になっていますが、コンピュータ本体に振動や衝撃の加わる場所で使用する場合は、手動で設定することが推奨されています。
FC-9801F model2では PC-9801FAやPC-H98model105、98MATEシリーズに採用されているファイルスロットを 1スロット搭載しています。FC型番以外にも先述の機種に対応したファイルスロット機器が使用できます。
ただし、CD-ROMドライブは FC本体を縦置きにしないと実装できない。FDDは使用できないと云った機種固有の制限は有ります。
FC-9801Fには、CPUユニット前面に4連のディップスイッチが、CPUボード B (右側) 上に 8連 3組みのディップスイッチと左上隅に 7連のジャンパが有ります。それぞれの設定内容は以下のようになっています。欄内が赤い部分がデフォルトです。
CPUユニット前面
番号 | 機能 | ON | OFF |
---|---|---|---|
1 (F) | FD機能の選択 | 内蔵 FDD #3、#4 外付け FDD #1、#2 |
内蔵 FDD #1、#2 外付け FDD #3、#4 |
2 (M) | メモリスイッチ初期化の設定 | メモリスイッチの状態を保持する。 | 起動時に初期化する。 |
3 | 未使用 (常に OFF) | ||
4 | 未使用 (常に OFF) |
CPUユニット内部 (8連 3組)
スイッチ | 番号 | 機能 | ON | OFF |
---|---|---|---|---|
SW1 | 1 | モニタの種類 | 専用高解像度モニタ | 標準または、専用高解像度以外のモニタ |
2 | スーパーインポーズ機能 | 使用する | 使用しない | |
3 | プラズマディスプレイ | 使用する | 使用しない | |
4 | 未使用 (常に OFF) | |||
5 | RS232C I/Fの転送モード |
ON、ON: BCI同期 ON、OFF: ST2同期 OFF、ON: 同期時刻機構 OFF、OFF: 調歩同期 (非同期) |
||
6 | ||||
7 | 未使用 (常に OFF) | |||
8 | ROMグラフサブルーチンモードの選択 | 拡張グラフィックモード 4096色中 16色表示 |
基本グラフィックモード 8色中 8色表示 |
スイッチ | 番号 | 機能 | ON | OFF |
---|---|---|---|---|
SW2 | 1 | 未使用 (常に OFF) | ||
2 | ターミナルモード指定 | ターミナルモードを指定する。 | BASICモード | |
3 | テキスト画面の文字数 | 80文字 /行 | 40文字 /行 | |
4 | テキスト画面の行数 | 25行 /画面 | 20行 /画面 | |
5 | 未使用 (常に OFF) | |||
6 | 内蔵固定ディスク装置の切り離し指定 | 切り離す。 | 使用する。 | |
7 | 未使用 (常に OFF) | |||
8 | ROMグラフサブルーチンの CDGモードの選択 | CDG 5MHzモード | CDG 2.5MHzモード |
スイッチ | 番号 | 機能 | ON | OFF |
---|---|---|---|---|
SW3 | 1 | 内蔵 FDD動作指定 |
ON、ON: 内蔵 FDD 640KB固定。 ON、OFF: 内蔵 FDD 1MB固定。 OFF、ON: 内蔵 FDD 1MB/640KB自動認識。FDD以外の起動では、640KB固定。 OFF、OFF: 内蔵 FDD 1MB/640KB自動認識。FDD以外の起動では、1MB固定。 |
|
2 | ||||
3 | 未使用 (常に OFF) | |||
4 | 未使用 (常に OFF) | |||
5 | 未使用 (常に OFF) | |||
6 | 内蔵 RAMの容量変更 | 512KB使用。 | 640KB使用。 | |
7 | 未使用 (常に OFF) | |||
8 | CPUの選択 | i386SX | V30互換モード |
なお、V30モードでは、増設したメモリは全て無視され 640KB固定になります。
CPUユニット内部 (7連 ジャンパ、バスマウスの割り込み設定)
スイッチ | 番号 | ベクタ番号 (16進数) | 割り込み |
---|---|---|---|
SW8 | 1 | B | INT 0 |
2 | D | INT 1 | |
3 | E | INT 2 | |
4 | 11 | INT 3 | |
5 | 12 | INT 4 | |
6 | 14 | INT 5 | |
7 | 15 | INT 6 |
FC-9801Fでは、ラックマウント取付け用の金具が付属しています。またPC-9801FA/FS/FXや A MATEシリーズの、ファイルスロット (ファイルベイの前身) が本体前部に 1スロット付いておりCD-ROMや HDD、MO (光磁気ディスク) 、テープストリーマ等が差し込むだけで簡単に内蔵、交換ができます (ただし、FDDは内蔵できません) 。
他にファクトリコンピュータシリーズで共通することでキーボードはオプションとなっていて、防塵フィルタ付きの物が用意されています。また本体用の防塵フィルタもオプションで用意されています。あと外部からリモートで電源を ON/ OFFするための端子があります。
FC-9801Fなど、機械への組みこみを考慮されているFCでは、電源コード接続部がコネクタではなく端子台形式になっている機種があります。事故防止のためプラスチックのカバーが付いていますが、取り扱いを誤るとショートや、感電する可能性がありますので十分気をつけてください。
また本体の上下に開放部分が多いので稼動時にノイズが発生することがあります。
他にファクトリコンピュータシリーズの周辺機器は、その大半が、受注生産で価格が、販売店見積となっているようにNEC特約店のみの取り扱いになっています。このため、新品での入手はおろか、中古やジャンクでも見つけることは希です。というより自分は、店頭で見たことが一度しかありません。FC型番の本体の活用をお考えの方は、ご注意ください。(T_T)
さて、だいたい FC-9801Fの仕様を知ったところで CPUの換装と言いたい所ですが、i386SXは QFPなのでマザーボードに直付けされていて換装できません。(^ ^;;
その上、486マシンと違いODPソケットはなくコプロソケットも仕様が違うので使えません。つまりCPUの交換によりパワーアップするためには、ハンダ鏝を使って CPUを張り替えるしかありません。 これが、98シリーズや、PC/AT互換機問わず、386SXマシンでパワーアップする際の最大の障害となっています。(T_T)
しかし、この難題を解決したCPUアクセラレータが登場しました。それが、CPUに直接被せるタイプ CPUアクセラレータでIO DATAや、アセットコア等から販売されました。これらの製品は、PC本体の CPU外周にわずかに露出したピンにソケットを被せ、その部分から、PC本体を乗っ取ると言う優れものです。(^-^)
i386SX用 CPUアクセラレータの代表例 (動作クロックは、システムクロック 20MHzの場合)
商品名 | メーカー | クロック倍率 | 動作クロック | 搭載 CPU | 内部キャッシュ | コプロセッサ | 現状 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
PK-Cx486SRx2 | I-Oデータ | 2倍 | 40MHz | Cyrix Cx486SRx2 | 1KB | オプション | 生産終了 |
Viper-486 | アセットコア | 等速 | 20MHz | Cyrix Cx486SLC | 1KB | オプション | 生産終了 |
Viper-P28/28r/X Type S | アセットコア | 2倍 | 40MHz | Texas Insturuments TX486SXLC2 | 8KB | オプション | 生産終了 |
Viper-jet シリーズ | アセットコア | 2倍 | 40MHz | IBM 486SLC2 | 16KB | オプション | 生産終了 |
REVTO486 386SX2+ | Ever Green | 2倍 | 40MHz | Texas Insturuments TX486SXLC2 | 8KB | オプション | 生産終了 |
REVTO486 386SX3+ | Ever Green | 3倍 | 60MHz | IBM 486BL3 | 16KB | オプション | 生産終了 |
386SX機は、CPU周辺のスペースが狭い機種が多いため、その機種ごとに対応した製品を入手しないと物理的に取り付けられない事があるので対応機種には注意が必要です。
またその PCに搭載されている 386SXが Cステップ以降でないとCPUアクセラレータ側から CPUを止めることができないので取り付けても正常動作しないのでこれにも注意が必要です。搭載されている CPUが、Cステップ以降かどうかは、CPU表面の表記を見れば分かりますが、I-O DATAのサイトで配布しているフリーウェアを利用すると簡単に分かります (2001年 6月現在)。
ちなみにこれら 386SX用 CPUアクセラレータは、全て生産、販売共に終了しており入手するには中古在庫を探すしかありません。さらに機種により種類が限られているため、輪をかけて入手が困難となっています。なお、購入の際には、必ずキャッシュコントローラの付属を確認してください。Cx486SLC/SRx2や、TX486SLC/SXLC2では、同じキャッシュコントローラが利用できますが、特にIBM製 486SLC2/BL3では、専用のキャッシュコントローラが必要になります。この CPU用のキャッシュコントローラとして、「VEM486」が使用できます。
今回、自分が実際に使用した物は、某クションで落札した Evergreen社製 REVTO486シリーズの 386SX2+と言う CPUアクセラレータです。この製品は、 Cx486SLC互換のテキサスインスツルメンツ製の TX486SXLC2-40を採用し、システムクロックの 2倍速で動作します。さらにキャッシュメモリ容量が、8KBに増量されているのでパフォーマンスがより高くなっています。
なお、この製品は、アメリカ製の輸入品でPC/AT互換機用なのでPC-98用のドライバは付属していません。別途 Cx486SLC用のキャッシュコントローラを入手しておく必要が有ります。(インターネット上では、Vectorの MS-DOSの所にフリーウェアのものが幾つか有ります)
ちなみに、キャッシュコントローラをインストールしないと元の i386SXに毛が生えた程度、または元の i386SXよりパフォーマンスが落ちてしまいます。
この CPUでは IPL起動ができるためインストールできない MS-DOS以外の OS (例えば、N88-BASICやソフトメーカー独自の OS) でもこの IPL起動ディスクを使って再起動することによりキャッシュコントロールを ONにして高速に動作させることができます。なお、キャッシュコントロールソフトでは、FM音源の再生時に不具合が発生することがあります。その場合は、キャッシュコントロールを OFFにすれば回避できます。(^ ^;;
ただし、この CPUはそこそこ発熱があるのでデフォルトでファンレス設計の FC-9801Fでは、筐体にファンをつける必要があります。さらに空間に余裕があるなら、CPUの上にヒートシンクやクーラーを付けたほうが良いでしょう。
ちなみに、IBM 486SLC2/ BL3では、IPL起動が簡単にはできません。自分は、PC-9801RX21で泣きを見ました。(T_T)
取り付けは非常に簡単です。まず、フロントマスクを外し、本体正面向かって左側の I/Fコネクタが配置してあるユニットを引き出します。これを取り出したら、向かって左側のボード上の右上にi386SXが有るのでCPU上のロゴを参考に向きを合わせて、CPUアクセラレータ取り付けます。取付ける CPUアクセラレータによっては、そばにあるカレンダ時計用のバックアップ電池をずらす必要があります。
CPUアクセラレータ取り付けたら、ユニットとフロントマスクを元に戻し、電源を入れます。「ピポッ」と鳴れば、まずは成功です。鳴らないときは、すぐに電源を切って、もう一度、差し込み不足等が無いかチェックしてください。後は、キャッシュコントローラをインストールすれば、今までより高速に動作します。
最後に FC-9801Fに CPUアクセラレータを取り付けた時のベンチマークを、DOS Ver 6.2上で取ってみましたので参考にしてください。使用ソフトは、I-O DATAの「INSPECT Ver 1.03」です。
CPU | 動作周波数 | Dhrystone (点) | Whetstone (点) | 総合 (点) |
---|---|---|---|---|
i386SX | 20MHz | 3144 | なし | 3100 |
i386SX + Cx38S87 | 20MHz | 3144 | 2752 | 3640 |
TX486SXLC2 + Cx38S87 (Cache無し) | 40MHz | 3083 | 2927 | 3580 |
TX486SXLC2 + Cx38S87 (Cache有り) | 40MHz | 6012 | 3600 | 6720 |
測定当時、メモリは EMJ-8000MkIIIで 8MB増設してありました。結果としては、CPU上に取り付け、キャッシュコントローラを組み込むという単純な作業だけで元に比べて、体感で分かるほど性能が向上しました。ハンダ鏝を使わなくても手軽にパワーアップができて便利です。
ただし、CPUアクセラレータを取り付けてもキャッシュ無しでは、デフォルトよりも僅かにパフォーマンスが落ちてしまっています。もっともIPL起動ができるのでキャッシュコントローラを組み込めない事は少ないと思います。(^-^)
さて、CPUアクセラレータを使って高速化したら、一緒にメモリを増設しましょう。メモリの増設の仕方は、メモリ専用スロット、Cバススロット、2つの方法があります。
メモリは、標準で 1.6MB搭載し、最大 14.6MBまで増設できます。専用の増設 RAMボード (親亀ボード、FC-9801F-01) 上の 4ヶ所スロットに 2MBの 61SIMM (PC-9801-61: NEC独自仕様の SIMM) または、1MBの 53 SIMM (PC-9801-53: NEC独自仕様の SIMM) を増設することにより Cバスを使わずに 9.6MBまで 増設できます。
なお、形は似ていますが、FP SIMMや EDO SIMMとは仕様が全く違うので使えません。挿すとメモリや、マザーボードが壊れます。
できる限りこの方法で増設した方が、Cバススロット用汎用メモリよりメモリアクセスが速いのでお勧めですが、61SIMMや、53SIMMはまだしも FC-9801F用増設 RAMボードを個人で入手することはまず不可能です。
よって、個人使用では、Cバス用汎用メモリを使うことの方がより現実的といえます。Cバス用汎用メモリのほとんどは、プロテクトモードに対応しているので最大の 14.6MBまで増設できます。
代表的なものにI-O DATA製「PC34Rシリーズ」やメルコ (バッファロー) 製「EMJシリーズ」があります。容量は、2MB〜 32MBまでんも製品があります。ただし、ディップスイッチ等の設定が若干面倒で設定が正しくないと増設したメモリを正常に認識しないどころか「PARITY ERROR」等が出て起動しなくなることがあるので必ず増設前に設定を確認してください。
また後期の製品では、設定にディップスイッチでは無く専用のソフトウェアが必要になる場合があります。入手の際には気をつけてください。
なお、Cバス用汎用メモリは、生産が終了しているので中古品を探すことになりますが、2〜4MBの製品は見つかり易く値段も数百円程度です。8MB以上の製品は、現役で使用されているためか流通量が少なく千円〜二千円が相場です。(2001年 6月現在)
FC-9801F model2にファイルスロットがついているのなら、SCSIボードのスルー化ができるのではないかと思う方もいるはずです。もちろん、このマシンでも A MATEシリーズ同様スルー化は可能です。(^-^)
公式には、SCSI I/F専用スロットには、「FC-9801F-02/ 02K」と言う専用の物しか使えないことになっていますが、ここのコネクタは、A MATEシリーズSCSI I/F専用スロットと互換性があるらしく「PC-9821A-E10」や「IF-2560」が保証外ながら使えます。
唯一の問題点は、「FC-9801F-02」は、ボードを本体に固定するための金具が付いていますが、「PC-9821A-E10」や「IF-2560」では、その金具が無いため、ボードを完全に固定することができないので本体に何らかの衝撃が加わったりSCSIケーブルを引っ張るとボードが外れ易い点です。ボードが外れかかって、ショートしたり接触不良を起こすと最悪マザーボードを壊してしまう場合があるので自己責任でどうぞ。(^ ^;;
あとボードの設定や配線方法は、「PC-9801FAネタ」のスルー化と同じです。なお、「FC-9801F-02」、「IF-2560」は、スルー化には使えないかもしれません。
さて、CPUアクセラレータで高速化し、メモリを追加したら、次ぎは Windows95をいれてみたくなるのが人情と言う物です。(^ ^;;) そこでWindows95をインストールについて考えてみたいと思います。
まず、現状でCPUは、TX486SXLC2、コプロセッサにCx38S87 (i387SX互換)、メモリ を 9.6MB以上に強化しているものとします。
Windows95をインストールするには、他に外付け FDD、HDD、CD-ROM、SCSI I/F、グラフィックアクセラレータボードが必要です。あとは、お好みでサウンドボード、高速シリアル I/F、LAN I/F等を増設すると良いでしょう。FC-9801Fでは、Cバスが、6つもあるのでCバス不足に悩むことは無いと思います。(^-^)
Windows95インストール時には、あらかじめ、キャッシュコントローラを組みこんでおく必要があります。インストール自体は、386以上であれば大丈夫だと思います。所要時間は、数時間と言った所でしょう。(^ ^;;
インストールが終わったら、ほとんどのキャッシュコントローラは Windows95に対応していないので「CONFIG.SYS」から削除して、IPL起動で対処します。一応、Windows95上で動作するキャッシュコントローラはありますが、98で正常動作するかどうかは未確認です。
ただし、せっかくインストールしてもCPUパワーが足らないのとメモリ容量が最大でも 14.6MBでしかも遅い Cバス用汎用メモリの組み合わせなので趣味では面白いですが、まともに使えないと思います。(T_T)
FC-9801Fを活用するには、DOSベースで利用するか、Windows3.1を利用したほうがより現実的だと思います。(^-^)b
FC-9801、FC-9821、FC-9800、FC98-NXは、NEC社の商標または登録商標です。
この他、製品名、型番等は、一般に各メーカーの商標または登録商標です。