FC-9821Ka model1 Power Up
2014/ 4/ 20 更新
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FC-9821Kaは、1997年 2月に、機械、装置組み込み用の FC-9821Keの後継として登場しました。このモデルでは、従来の 無停電電源装置 (UPS) 内蔵モデルの他に、新たに、85V〜 264Vまでの幅広い電源に対応した、ワイドレンジ電源モデル (model 3) が登場しました。
また、FC-9821Ksの後継として、マザーボードのみの FC-9821Ktも用意されています。次の写真は、FC-9821Ka model1の外観です。(写真 1) 上部、 (写真 2) 前部、 (写真 3) 後部より。
(1)
FC-9821Kaは、98アーキテクチャ最終モデル。
(2) (3)
FC-9821Kaは 98アーキテクチャ最終モデル。
この FC-9821Kaは、従来の FC-9821Ke、FC-9821Ksとは、明確に世代が異なりPentiumを採用し、高速な PCIバスに加え、100BASE-TXをオンボードで搭載するなど、大幅にパワーアップしています。
その他にもFDDや、シリアル I/Fからのデータ流出を防ぐ I/Oロック機能や、セットアップパスワード機能などセキュリティ機能も追加されています。
なお、98アーキテクチャの FC-9800シリーズは、FC-9821Kaが最終モデルです。2004年で、NECのファクトリコンピュータシリーズは、すべて、PC98-NX互換の FC98-NXシリーズに移行します。
ちなみに、FC-9821Kaは、組み込み用ということもありCバスが 5スロットもあるにもかかわらず、標準デスクトップの半分くらいの大きさで、実にコンパクトです。次の写真は、筐体内部の様子です。
(4) (5)
(写真 4) では、筐体内を右側から見たところです。実際には、向かって右側に電源ユニットと大型の筐体ファンが付きます。
(写真 5) では、電源ユニット、HDアダプタを取り付けた状態で、筐体内を左側から見たところです。内部がかなり密になっていることが分かります。
FC-9821Ka、FC-9821Ktのラインナップ
商品名 | モデル | 備考 | 標準価格 (税別) |
---|---|---|---|
FC-9821Ka model 1 | 標準モデル | 販売店見積 | |
FC-9821Ka model 2 | UPS機能内蔵モデル | 無停電電源装置 (UPS) 内蔵 | 販売店見積 |
FC-9821Ka model 3 | ワイドレンジ電源モデル | 85〜240Vまでの入力電圧に対応 | 販売店見積 |
FC-9821Kt | 組み込み用マザーボード | マザーボードのみ | 販売店見積 |
FC-9800シリーズは、ファクトリコンピュータといい、工場や研究施設で、機械制御、装置への組込み等、ファクトリオートメーション (FA) を目的とした、PC-9800シリーズの産業用シリーズの一つで、企業ユーザーを対象に販売されています。
工場以外でも計測、測定等、Cバスボードを同時に多く使用する用途にも便利かと思います。FC-9800シリーズは、基本的に PC型番とアーキテクチャは同じなので、PC型番の拡張機器や、ソフトウェアも利用可能です。
なお、これら FCシリーズは、受注生産ということもあり新品、中古問わず店頭では、まず出てきません。(T_T)
FC-9821Ka、FC-9821Ktは、全モデルで、マザーボードは共通です。チップセットは、「Intel 430HX (Triton II) 」を採用しています。(写真 6) は、マザーボードの写真です。実際には、向かって、左下に、電源コントロール端子台のサブボード、右上の三連の PCIスロットの一番下側のスロットに、DOS画面描画機能付きのグラフィックボードが付きます。FC-9821Ktは、ほぼこの状態で提供されます。
(6)
i430HXは、i430NXの後継にあたり主にハイエンドマシンやサーバに使われています。ノースブリッジに「i82439HX」、サウスブリッジに NEC製「STAR ALPHA 2」を搭載しています。
この「STAR ALPHA 2」のため、内蔵の標準 IDE I/Fや、Cバスのデータ転送速度が、486機など旧機種に比べ遅くなっています。システムクロックは、66MHzです。
PC-9821Xa16/W**をベースモデルにしていますが、マザーボードは、FC-9821Ka、FC-9821Ktオリジナルの専用設計です。システムクロックや、CPUの動作倍率の切り替え、VRMユニットの設定などの変更は、ジャンパなどが一切ないため、マザーボードを改造しない限りできません。
FC-9821Ka、FC-9821Ktの BIOSは、ベースモデルと基本部分は同じで、他に、FC-9800シリーズ独自の、RASボードや、RAMファイル制御機能が追加されています。
CPUソケットは、デュアルボルテージ対応 (コア部と I/O部の動作電圧が違う) の Socket 7で、VRMソケット付きです。
VRMソケットには、CPUのコア部への電圧を調整する VRMユニット (MURATA PUD-70) が実装されておりVRMユニット上のレギュレータで、5Vの入力電圧から、3.52Vを出力します。ただし、この VRMユニットは、出力電圧を変更できない他に、コア電圧部とI/O電圧部が、繋がっているため、3.52Vシングルボルテージ対応の CPU以外は、使用できません。
FC-9821Ka、FC-9821Ktの CPUは、セラミックパッケージ (SPGA) の Intel Pentium (166MHz) で、一次キャッシュメモリを 16KB搭載、浮動小数点演算ユニットを内蔵しています。ちなみに、166MHz版の一部と200MHz版では、プラスチックパッケージ (PPGA) 版のものが有ります。この二つは、形状の違い (次の図参照) 以外に、性能、機能共に違いはまったく有りません。CPUについての詳しいことは、第三研究所の企画課へどうぞ。
FC-9821Ka、FC-9821Ktでは、標準で、ソケット上に、高速な、パイプラインバースト SRAMに対応したセカンドキャッシュを、256KB実装しています。
「PC-9821XV20-E01」への交換によって、最大 512KBまで増設できます。このマシンが採用している i430HXでは、キャッシュ可能なメモリ容量範囲は、TAGRAM増設時に 512MBまで可能です。
メモリは、標準で 32MB実装しています。ECC (Error Correcting Code) に対応し、2本の SIMMスロットに、72pinの ECC対応 EDO SIMM、または、72pinの パリティ付 FP SIMMを交換することにより最大 128MBまで増設できます。
ECCとは、データの読み出しや書き込みにチェックの為のデータを追加してエラーを検出するものです。通常めったに有りませんが、パリティー付きメモリはエラーを検出するとデータを破壊する前にシステムを停止させますが、ECCではエラーを修復して、システムを停止しないようにします。
また、メモリの増設には、Pentium機なので、必ず、同容量で、同種の SIMMを 2枚一組で増設します。ちなみに、例外として、Pentium搭載していてもPC-9821Bf/Xnなどは、1枚単位で増設可能です。(^ ^;;
フロッピィディスクドライブ (FDD) は、全モデルで、オプションです。しかもマザーボード上に FDD接続コネクタがありません。FC-9821Ka、FC-9821Ktで、FDDを利用する場合には、内蔵と外付けの二つの方法があります。
FDDを内蔵する場合は、FDD/RAS兼用スロットに、「FC-9801-FD4R」を増設します。これにより3.5インチ 3モードタイプのドライブを 1ドライブ内蔵可能です。(写真 7)
(7)
外付け FDDを使用する場合は、1MB FDD I/Fは、オプションのため、専用オプションの「FC-9821KA-K01 (FD信号ケーブル)」を接続します。これにより1MBタイプの外付け FDDユニットが利用できます。
なお、「PC-9801-87」など、1MB FDD I/Fボードは、マザーボード上に FDD接続コネクタがないので、利用できません。また、外付けの場合、640KBタイプの FDのデータは、正常に読めない場合があります。
ハードディスクドライブ (HDD) も全モデルで、オプションです。HDDを内蔵するためには、専用の HDD接続ユニット 「FC-9821KA-E01 (HDアダプタ)」が必要になります。
これは、HDD接続用ケーブルとリムーバブルタイプの HDD固定金具のセットです。これを、本体に取り付けることにより「FC-9821XA-HD1」などの カートリッジタイプの HDDや、ミラーリングディスクを内蔵できるようになります。(写真 8)
(8)
FC-9821Ka、FC-9821Ktでは、一台の最大容量 4.56GBまでのものが 1台内蔵可能です。また、OSは、MS-DOS Ver6.2の FDパッケージ版が付属します。
なお、CD-ROMドライブは、5"ファイルベイや、マザーボード上に CD-ROM接続用コネクタがないので、内蔵できません。(^ ^;;
その他に、FDDの代わりに、FDと同じ感覚で使用できる、RAMファイル「FC-9801F-RF1K」(容量 1MB、「FC-9801F-RF2」で最大 2ドライブに増設可能) や、オートスタート ROMボードなどがあります。これらは、電池でバックアップされているので、本体の電源を切っても内容は消えません。
グラフィック機能は、標準で、従来の 640 x 400ドット (4,096色中 16色: Enhanced Graphic Charger) に加え、ウィンドウアクセラレータ機能を、サブボード形式の PCIバス接続で、内蔵しています。
グラフィックチップは、Trident製 TGUI9682XGiで、DirectDraw、ビデオアクセラレーション機能に対応しています。また、VRAMは 2MB搭載しています。
画面表示は、Windows上では、最大 1280 x 1024ドットで、1677万色中 256色、DOS上では、最大 640 x 480ドットで 1,677万色中 256色の表示が可能です。
ちなみに、このボードは、PCIバススロットに似たスロット上に載っていますが、本体の RGB出力、メモリスイッチのバックアップ機能も一緒になっているので、PCIボードではなく、マザーボードの一部です。これは、絶対に外したり交換できませんので、ご注意ください。これを外したり交換すると本体が起動しなくなる他、常時通電されているため、最悪本体を壊してしまいます。これを「ぬいちゃ駄目ボード」 ともいいます。(^ ^;;
なお、DOS画面のモニター出力は、24kHzと 31kHzから選択できます。選択の方法は、キーボードを接続し、「GRAPH」キーと「1」(24kHz) または、「2」(31kHz、デフォルト) を押しながら、電源を投入します。
サウンド機能は、ありません。サウンド機能が必要な場合は、Cバスに、「PC-9801-86」、「PC-9801-118」、「Wave Star」などや、PCIバスに、適当な音源ボードを増設する必要があります。
ただし、PC/AT互換機用の PCIサウンドボードでは、DOSとの互換性を維持するため、一部 I/Oポートを直接制御するボードがあります。これらのボードを、PC-98で使用すると本体のカレンダ時計 ICが暴走したり正常に動作しなくなる場合があるので、注意が必要です。
当方では、DIAMOND製「Monster Sound MX300」とLabway製「Xwave6000」が、Win9xで、正常動作することを確認しています。
ちなみに、FC-9821Kaでは、X MATEの W型番と同じ BIOSを利用しているためか、サウンド機能が無いにもかかわらず、セットアップメニューに、サウンド機能の設定があります。 (爆
サウンドボードを内蔵する場合、予めソフトウェアディップスイッチでサウンド機能を切り離す必要があります。
位置 | 種類 | 形状 |
---|---|---|
本体前部 | キーボード | ミニ Din 8pin |
バスマウス | ミニ Din 9pin | |
アナログディスプレイ出力と入力 | ミニ D-Sub 15pin、基本的には 24と 31kHz対応で切り替え可。 | |
RS-232Cシリアル 2チャンネル | D-Sub 25pinと赤外線通信対応の D-Sub 9pinで、両方とも最高115,200bpsまで対応。 | |
プリンタ用双方向パラレルインターフェース | アンフェノールハーフ 36pin | |
電源リモートコントロール端子 | 4芯 x 2 | |
100BASE-TX/10BASE-T | 8芯モジュラージャック | |
本体後部 | 電源コントロール端子台 | 6端子 |
この中で特に、PC-9801/ FC-9801型番などの旧機種とは、プリンタのコネクタ、アナログディスプレイのコネクタの形状が違うので注意が必要です。
拡張スロットは、PnP (プラグアンドプレイ) に対応しています。Cバススロット (汎用拡張スロット) が 5スロット、PCIバス (Rev. 2.0) が 2スロットです。
他に、PCIバススロット♯ 1と排他利用の、簡易RASボード、RAMファイル専用スロットがあります。
なお、Cバススロットのうち♯ 1は、RASボード兼用スロット、# 5は、FDD兼用スロットになっています。オプションの増設 RASボード「FC-9801-06K」や、増設 FDD「FC-9821KA-FD4R」を利用する場合、必ずそれぞれの場所に接続します。
特に、RAS兼用スロットは、他のスロットと信号線が一部異なるので、使用するボードによっては、正常動作しない場合があります。
また、このマシンでは、Cバスの仕様が若干変更になっておりCバスリフレッシュ信号のサポートが無くなりました。この機能を使用する Cバスボード (ICM製 IF-2769など) は、データ化けなどで、正常に動作しない場合があるので、これにも注意が必要です。
現在流通している Cバスボードでは、CPUや、ハードウェアに依存するボード以外、PC型番でもほとんど全て使用可能です。
PCIボードでは、PC-98シリーズ対応ボードの他、PC/AT互換機用の PCIボードでは、I/Oポートを直接操作しないものや、ボード上の BIOSを無効にできる物なら、大抵は、Windows9x/NT/2000上でのみ使用可能です。
この機種では、ハードウェアディップスイッチは無く、内蔵 HDDの切り離しなどの設定は、セットアップメニューで設定します。呼び出し方は、キーボードを接続し、「HELP」キーを押しながら、電源を投入します。
本体前面の電源スイッチの隣に、小さな電源リモートコントロールの設定スイッチがあります。これで、リモートとローカルを切りかえられます。通常は、「ローカル」でかまいません。
ちなみに、このスイッチは、電源スイッチに隣接しているため、軍手をしながら、電源スイッチを操作したりすると気付かないうちに、リモートに切り替えてしまい、電源が入らずに焦ることがあります。(^ ^;;
他に、マザーボード上に、スピーカのボリューム調節用トリマーと電源断時の自動シャットダウン処理設定用のジャンパ SWが有ります。設定と機能は以下のようになっています。
ジャンパ | 基板上の表示 | 用途 | 工場出荷時設定 (従来互換) |
シャットダウン利用 | model 2無停止 |
---|---|---|---|---|---|
SW1 | SOFTOFF | ソフトオフ有効/無効 | 無効 (2-3) | 有効 (1-2) | 無効 (2-3) |
SW2 | ACFAIL | 電源断時のNMI発生/無効 | 発生 (1-2) | 発生 (1-2) | 無効 (2-3) |
この設定は、model 2で、UPS機能を利用する場合に設定します。それ以外のモデルでは、設定を変更する必要はありません。
電源ユニットは、外部ノイズに強い、ATX仕様の FC-9821Ka独自の電源ユニットを採用しています。model 2では、UPS機能を搭載し、model 3では、85V〜 264Vの幅広い入力電圧に対応した、電源ユニットを内蔵しています。なお、Kt では、別売りです。(写真 9)
(9)
model 2では、UPS機能を内蔵していますが、これを利用するには、バッテリを別に用意する必要があります。使用できるバッテリに付いては、取扱説明書を参考にしてください。
FC-9821Ka、FC-9821Ktのマザーボード上の電源コネクタは、市販の ATX規格ではなく、AT電源に近い形状です。このため、市販の ATX電源は使用できません。
他に、FC-9821Ka、FC-9821Ktでは、リモートからの起動、自動シャットダウンなどが利用できます。このため、電源の入れ方が、 PC型番とは異なります。
電源の入れ方は、本体後部のスイッチを ONにします。すると電源ランプが赤く点灯します (待機状態) 。次ぎに、本体前面の電源スイッチを押すと電源ランプが緑に点灯し、本体が起動します。電源の切り方は、逆になります。
電源関連の I/Fとしては、外部からリモートで電源を ON/ OFFするための端子や、コントロール用端子台があります。(写真 10、右側)
(10)
ファクトリコンピュータシリーズで共通することですが、キーボード「FC-9801-KB8」はオプションとなっていて防塵カバー付きの物が用意されています。形状は PC型番に付属のキーボードと同じ物です。
また、筐体内への粉塵の侵入対策用に、簡易防塵フィルタ「FC-9821KA-E02」もオプションで用意されています。ただし、あまりに粉塵の多い場所では、市販の防塵ラックに収めて運用するする必要があります。
なお、本体の左右に開放部分が多いので稼動時にノイズが発生することがあります。
他に、ファクトリコンピュータシリーズの周辺機器は価格が販売店見積となっているように、標準価格が無く (オープン価格とも違います) きわめて高価です。
新品の取り寄せは NEC特約店で可能ですが、中古やジャンクでは見つけることは希です。というより自分は店頭で見たことが一度しかありません。FC型番の本体の活用をお考えの方は、かなりの出費が予想されます。くれぐれもご注意ください。(T_T)
さて、FC-9821Kaの Pentium 166MHzでは Windows 9xを使用するにはパワー不足の感じがします。せめて MMX Pentium (P55C) 以上の CPUパワーがほしいところです。このマシンに搭載されている CPUソケットは Socket 7なので、多くの種類の CPUに対応できます。以下に Socket 7で使用できる代表的な CPUを一覧で紹介します。
代表的な CPU
CPU名 | メーカー | 動作クロック | キャッシュ (演算用/命令用) | MMX機能 | 電源の供給方式 | 内部電圧 | I/O部電圧 | 対応Socket |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Pentium (P54C) | Intel | 75〜200 | 16KB | − | Single Voltage | 3.3V | 3.3V | 5、7 |
MMX Pentium (P55C) | Intel | 166〜233 | 32KB (16KB/16KB) | ○ | Dual Voltage | 2.8V | 3.3V | 7 |
K6-2 | AMD | 266〜533 | 64KB (32KB/32KB) | ○ + 3DNow! | Dual Voltage | 2.2V/2.4V | 3.3V | 7 |
K6-III | AMD | 400〜450 | 64KB (32KB/32KB) + fullspeed L2 (256KB) | ○ + 3DNow! | Dual Voltage | 2.2V/2.4V | 3.3V | 7 |
K6-2+ | AMD | 450〜533 | 64KB (32KB/32KB) + fullspeed L2 (128KB) | ○ + E-3DNow! | Dual Voltage | 2.0V | 3.3V | 7 |
K6-III+ | AMD | 450〜550 | 64KB (32KB/32KB) + fullspeed L2 (256KB) | ○ + E-3DNow! | Dual Voltage | 2.0V | 3.3V | 7 |
M II | Cyrix* | PR300〜400 | 64KB (兼用) | ○ | Dual Voltage | 2.9V | 3.3V | 7 |
WinChip2 | IDT* | 200〜240 | 64KB (32KB/32KB) | ○ + 3Dnow! | Single Voltage | 3.3V/3.52V | 3.3V/3.52V | 5、7 |
* 現在は、Cyrix及び IDTの x86 CPU部門は、VIAテクノロジーに統合されています。
上記のうち、MMX Pentiumは、MMX機能 (マルチメディア向けに新たに追加された 57の命令セット、整数演算処理が高速化される。) を搭載し、同クロックの P54Cに比べコアに細かな改良が加えられているため、パフォーマンスが高くなっています。各 CPUについて詳しくは、第三研究所の企画課の「98シリーズと CPU」を参照してください。
Intelは、MMX Pentiumの販売後、Pentium (P54C) 搭載パソコン用に MMX Pentiumオーバードライブプロセッサ (ODP) を発売しました。
しかし、産業用の受注生産である、FC-9821Kaに対応する、ODPや、CPUアクセラレータは、当然存在しません。
なお、以下の行為はメーカーの禁止している改造行為に当たります。PC本体の改造すると保証期間中であっても当然、保証外になります。また、この改造により思うように動作しなかったりCPUやパソコン本体が故障してもこちらには、一切責任がありません。全ては、自己責任です。詳しくは、注意事項を参照してください。
FC-9821Kaは、PC-9821Xa16/W**相当なので、換装できる CPUやその方法は、基本的には、同じです。i430FXや、Wildcat機とは異なりA20ライン制御を外部からせずに、電圧を調節するだけで、Intel製 P55Cや、AMD製 K6-IIIシリーズへの換装が比較的簡単に可能です。
ところが、FC-9821Kaは、機械への組み込み用途が考慮されているため、筐体内の余分な空間を削り本体が非常にコンパクトに設計されています。 (写真 11)
(11)
写真を見ると分かるように、CPUソケットの上に、巨大な電源ユニットがあるため、CPUのコア電圧を調整するソケット (下駄) や、メルコ (バッファロー) の N4/ NV4など、システムクロックを下駄上で高速化する下駄が使えません。標準のクーラーは、PC-9821Anなどの低クロック P54機で使用されている物と同じで、一般の物より高さが低い物です。(^ ^;;
このクーラーでは、冷却能力は低いと予想されますが、すぐ脇に、巨大な筐体ファンがつくので、使用上、問題有りません。
PC-9821Kaでは、幸い Socket 7マザーボードを採用しているため、VRMソケットがあります。ここに、適当な VRMユニットを取り付けることで、下駄を使わずともCPUに供給する、電圧を調整できます。
ところが、標準 VRMユニットのすぐ真上に巨大な筐体ファンがあるため、某「MVR-MX」や、Xa200用 VRMユニットのような背の高い VRMユニットは利用できません。(T_T)
ちなみに、標準 VRMのように背の低い物なら使用可能です。実際に DELTA製の PC/AT互換機用の 2.8V出力の VRMでは、使用上なにも問題ありませんでした。
VRMユニットの交換によりP55Cや K6シリーズなど CPUを高クロックの物に交換できたとしても、今度はマザーボード上に CPUの内部逓倍設定を変更するジャンパがありません。(滅
少しでも高クロックを目指すには、
以上の方法が考えられます。ただし、現時点では全て未検証です。
よって、CPUの交換によりパワーアップを図るには MMXODPを使用するか、VRMユニットで電圧の調整ができる P55Cや電圧調整の必要が無い IDT製 Winchip2、Winchip2 Rev A以外の CPUに換装することはできません。しかも換装しても動作クロックは 166MHzのまま、良くて 200MHzです。FC-9821Kaでの動作クロックは以下のようになります。
FC-9821Kaでの動作クロック
CPU名 | メーカー | FC-9821Kaでの動作クロック | キャッシュ (演算用/命令用) | MMX機能 | 内部電圧 | I/O部電圧 |
---|---|---|---|---|---|---|
Pentium (P54C) | Intel | 166 | 16KB | − | 3.3V | 3.3V |
MMX Pentium (P55C) | Intel | 166 | 32KB (16KB/16KB) | ○ | 2.8V | 3.3V |
MMX ODP | Intel | 200 | 32KB (16KB/16KB) | ○ | 2.8V | 3.3V |
WinChip2/A | IDT* | 166 | 64KB (32KB/32KB) | ○ + 3D NOW! | 3.3V/3.52V | 3.3V/3.52V |
* 現在は、IDTの x86 CPU部門は、VIAテクノロジーに統合されています。
なお、FC-9821Xtでは、適当な筐体を利用すれば、筐体内スペースの制限が無くなるので、PC-9821Xa16/W**や PC-9821Xv20/W**等と全く同様に CPUの換装が制限無しにできます。 (^ ^;;
同じ動作クロックならばより高性能なものをということで、今回は MMXテクノロジはもちろん K6-2以降で採用された AMD社が提唱する 3D映像処理に威力を発揮すると云う 3D NOW!テクノロジをも搭載した Winchip 2 Rev.A PR266 (実動作クロック 233MHz) を使いました。
交換前に必ずハードディスクのバックアップをしておきます。改造前にデータのバックアップをとっておくことは鉄則です。
初めに、本体のカバーを開け、電源ユニットをはずします。このとき、筐体ファンもはずすとバックパネルが外れるので、操作がしやすくなります。
次ぎに、元々付いている CPUクーラーを外し、CPUをソケットのレバーを上げて外します (この CPUは問題が起こった時のために大事に保管しておきます)。外したら、Winchip2Aを取り付け、元の CPUクーラーを取り付けます。
以上で CPUの換装は終了です。
あとは、ルーフカバーを開けたまま電源を入れて「ピポッ」と言えば成功です。ここで、何も音がしなかった場合 (スピーカのボリュームが最小だったという冗談は抜きにして) や焦げ臭かったり煙が上がるようだったら、すぐにコンセントを抜いて、もう一度、チェックし直してください。
最後にフリーソフトのベンチマークツール等で動作周波数や MMX、3D NOW!機能が ONになっていることを確認してみてください。
P54C 166MHzから Winchip2A 166MHzの場合は、体感速度は、ほとんど変わらないと思います。ただ、MMXや、3D NOW!対応になるので、これらの機能を使用したアプリケーションでは、若干の高速化が、期待できます。
できれば、同時にグラフィックアクセラレータを GA-SV2K32/PCIや GA-VDB16/PCI等 (GA-VDB16/PCIの方は生産終了で入手が難しいですが (^ ^;;) に交換してみましょう。段違いに、パフォーマンスがアップします。これで、21世紀も安心です。(^-^)
ベンチマークは省略します。(^ ^;;
Windowsで運用する際にはメモリを増設しましょう。メモリの増設の方法は、マザーボード上の 2カ所の SIMMソケットに容量の大きい SIMMと交換する形で最大 256MB (公称値は、128MB) まで増設できます。
なお、FC-9821Kaで 256MBまでメモリを搭載することは、本来想定されていないので動作保証外になります。使用するメモリモジュールによっては正常動作しなくなる可能性があります。
この機種では、ECC (Error Correcting Code) 対応の 72pin EDO (Extended Data Out) SIMM と従来のパリティ付き FP (Fast Page Mode) SIMMが利用できます。なお、増設の際には、必ず同容量で、同種の SIMMを 2枚一組で増設します。
EDO SIMMに使われている、EDO DRAMは、従来の FPM (Fast Page Mode) のデータ出力方式を改良して高速データ出力を可能とした DRAMです。なお、FP SIMMを搭載した場合、EDO SIMM搭載時よりメモリアクセス速度が低下します。
ちなみに、ECCとはデータの読み出しや書き込みにチェックの為のデータを追加してエラーを検出するものです。通常は滅多に有りませんがエラーを検出するとパリティー付きメモリはデータを破壊する前にシステムを停止させますが、ECCではエラーを訂正してシステムを停止しないようにします。この機能はネットワークの基幹として動作するサーバや高い負荷を掛け続けるワークステーション等のハイエンドマシンでは無くてはならない機能です。
FC-9821Ka、FC-9821Ktで採用されている i430HXチップセットは、64Mビット DRAMに対応しているので、1枚辺り 128MBまでの PC/AT互換機やサーバ用の 72pin ECC対応 EDO SIMMも自己責任で使用できます。ただし、全てが動作するわけではなく相性により正常動作しない場合もあります。
この ECC対応の EDO SIMMは 2003年現在でも販売されていますが、ほとんどのメーカーで生産が終了しているので流通在庫のみとなりつつあります。今後、新品での入手は難しくなることが予想されます。PC-98シリーズに正式に対応しているメモリモジュールには以下の物が有ります。
代表的なメモリサブボード (ECC対応 72pin EDO SIMM)
メーカー | 製品名 | 容量 | 枚数 | 標準価格(税別) |
---|---|---|---|---|
NEC | PC-9821-ME1〜ME5 | 4〜64MB | 1枚 | 14,000〜240,000円 |
メルコ (バッファロー) | EMH-E | 16〜128MB | 2枚 | 6,500円〜64,000円 |
I-O DATA | NE-ECC | 16〜128MB | 2枚 | オープン価格 |
ADTEC | AD-P*M72ECC | 32〜128MB | 2枚 | 44,000円〜オープン価格 |
VERTEX MEMORY | VES-EC64M*2/128M*2 | 128〜256MB | 2枚 | 〜19,800円 |
中古の場合は 2003年 8月現在では、かなり値段が安くなり PC/AT互換機用パーツを扱う某秋葉原の店頭で国内メーカー品でも32MBの二枚組 1,500円程度で購入できます。
セカンドキャッシュは、簡単にいうと高速で動作する CPUとメモリの間のデータ転送速度の差を埋めるものです。この機種では、標準でマザーボード上のソケットにパイプラインバースト SRAMタイプのセカンドキャッシュを 256KB積んでいます。512KBのものと交換できますが、費用の割に効果は極僅かなので自己満足でしかありません。 (^ ^;;
また、i430HXチップセット用であれば容量 512KBまでのものに限り PC/AT互換機用も自己責任で使えます。ただし、これらの製品はすでに生産終了なので中古在庫を探すしかありません。秋葉原でも店頭では滅多に見かけることがありません。PC-98シリーズに正式対応しているメモリモジュールには以下の物が有ります。
セカンドキャッシュメモリボード (パイプラインバースト SRAMタイプ)
メーカー | 製品名 | 容量 | 枚数 | 標準価格(税別) | 現状 |
---|---|---|---|---|---|
NEC | PC-9821XV20-B01 | 512KB | 1枚 | 24,000円 | 生産終了 |
I-O DATA | NE-XAV512 | 512KB | 1枚 | 9,800円 | 生産終了 |
FC-9801、FC-9821、FC-9800、FC98-NXは、NEC社の商標または登録商標です。
この他、製品名、型番等は、一般に各メーカーの商標または登録商標です。