各構成と機能

電源管理(PowerControl装置)によるフェールセーフ機能

  1. 必要となるフェールセーフ機能
    リモート運用する上では、機器の操作をネットワーク経由で行うため、何かあった場合、緊急停止や異常回避、安全性確保を考慮する必要があります。100%の対応は無理ですが、環境上可能な範囲で実現性を考慮しました。
    1. 緊急停止・異常回避・安全性確保・復旧機能の要件    
      • 実現のための前提
        通常のリモート運用と別のリモート運用環境から実現でき、かつインターネット・パソコンが使用できない環境からで も携帯電話Web機能でも操作できること。
      • 回線の異常から操作できなくなり、送信状態のままとなってしまった場合
        送信状態への切替は、直接Rig操作画面の送信ボタンを使用せず、制御ソフト経由で行うこととし、送信途中で回線 切断等で操作困難から受信状態に復帰できない場合でも、設定時間で受信状態に戻れること。また、設備系の主電源を切断し、最悪の異常回避を行えること。
      • 夏期の雷被害や強風の対策
        クランクアップタワー設備オプションの風速検知機能を利用し、設定風速以上を検知した場合、自動的にクランクダウンすること。
        管理者の意志で随時クランクアップタワーの降下指示を制御ソフト利用とは別に行えること。
      • 一度設備電源(制御用パソコンを含む)を落としてしまった場合からの復旧
        一度パソコンの主電源(LANボードへの給電)を落としてしまったり、家屋の停電でルータ の電源が落ち、ルーター が管理する接続管理アドレスが飛んでしまった場合、パソコン本体の電源を手動で上げないと復旧できなくなってしまいます。この様な場合、パソコンの電源ボタンを押下する動作を擬似的に行い、パソコンの電源を投入できるようにすること。
    2. 環境上の制限事項と限界
      フェールセーフ機能のレベルをどの程度求めることによるかですが、インターネット接続回線が1本である場合、インターネット回線がダウンしてしまっては、外部からの操作は全く困難となってしまいます。安全性を高めるには、ADSL+光回線等、ネットワークの二重化をする等をしない限り困難でしょう。 しかしながら、実現には運用コスト的に困難でしたので、インターネット・接続モデム・接続ルータがダウンした場合は、 対応不可の状況になってしまいまう限界があることを考慮する必要があります。
  2. フェールセーフ機能機能の実現方法
    上記要件を満たすために、下記の対策を施しています。
    1. あんしんモニコンの設置
      テンパール製(http://www.tempearl.co.jp/monicon/prod/index.htm)の情報監視・制御システムを導入しました。
      • インターネット接続パソコン及び、携帯電話Web機能より、操作できる。
      • 外部機器への電源供給(2回路AC100V)
        −シャック内機器全体の電源ON/OFFを電源コントロールボックス内のリレーにて制御
        −緊急時の「クランクアップタワーダウン指示」「リモート制御PCの電源ON」を電源コントロールボックス内のディレイ回路とリレーを使用し、制御する。
      • 各監視用カメラの映像を静止画として携帯電話で確認することができる。
      安心モニコン
    2. 既存の制御設備との連動
      電源制御ボックス内に、フェースセーフ機能実現の装置を内蔵し、「T」の要件を実現できるようにするため、 安心モニコンの機器操作機能に以下の操作を割り当て使用しています。
      @無線機器・PC(ON/OFF)
       リモート運用以外で、シャック内無線設備の主電源ON/OFFと、ON時はPCの電源ボタンを押すと同じ信号(約1秒間のみON状態・・ようは人間がパソコンの電源ボタンを投入するのと同じ動作)を発生させパソコン電源を投入する。
      Aタワー降下(ON/OFF)
       リモート運用以外で、クランクアップタワーの降下指示操作を行います。
安心モニコン 機器操作画面 安心モニコン 携帯画面イメージ

                          【安心モニコンの操作画面(左;PC,右;携帯画面】

VoIP(Skype)による音声交換

  1. VoIPとは
    VoIPとは、音声などをパケット化して、インターネットに通す技術です。昨今は、インターネット利用の電話用にと、ヘッドセットやUSBカメラ等が量販店で販売されており、その代表例のフリーソフトとして使用できるのがSkypeです。
  2. eQSOやEchoLinkとの違い
    アマチュア無線の世界で、VoIPと言うと、eQSOやEchoLinkといった、無線設備とインターネット回線を組み合わせたオー プンシステムのものですが、ここで使用しているVoIPは、特定の場所間いわゆるPoint to Pointのクローズシステムであるという違いがあります。
  3. Skypeについて
    Skypeは、本来インターネット電話用に提供されているため、両方向同時通話を前提にできているようです。音声の帯域が 云々以前に、無線で使用する場合は、送信時を上り、受信時を下りとすれば上り下りを同時に使用することはありません。
    Skypeを使用すると、次のような現象が発生します。
    • 受信時にマイクに何らかの音声(スピーカーからの大きな受信音)が入った場合、下り音声を抑圧されてしまう。(自動音声調整機能によるもので、この設定をオフにしてもある一定以上の音量が入ると抑圧されてしまう)。
    • 同様に、送信時にも同様の機能が働くためか、大音量が一度入るとマイク音量が抑えられ、その後復旧がされず徐々に 変調レベルが低下して行ってしまうような状況もあります。
      こうした現象は、イコライザーやスピーチプロセッサーをうまく利用することでほぼ気にならない程度には改善されています。また、VoIP音声交換ソフトとして、フリーソフトの「Tel.EXE」等もあり、軽くて良いとする評価もありますが、まだ具体的 な検証はできていませんので紹介は除きます。

監視機能

運用状況の監視は、Webカメラ(シャック内・タワー用の屋外)により、状況を監視できる仕組みとしました。カメラ操作により左右・上下を可動させ表示ができ、夜間(シャックはそもそも無人であり、通常は雨戸も閉じられており暗い)は、カメラに付属の電子スイッチからリレーを接続し、照明を点灯させ室内及び、屋外はタワー上下時ケーブル等のからまりがないかを確認できるようにしてあります。 BBHCM31イメージ

  1. シャック内カメラ(Panasonic BB-HCM381
    • シャック内の本棚上に設置(本来は天井に設置したいところですが、現状は仮設置)
    • 無線機のメータ類は、本体同様操作ソフトで表示可能ですが、リニアアンプ・ロー テータ・クランクアップタワーの表示盤、制御機器のランプ等、運用時に監視が必 要となるものをWebカメラでの監視を行っています。
    • 光学ズーム30倍の性能がありますので、メータ類等の細かな部分もズームアップ することで、確認が可能です。
    • こうしたWebカメラは新品購入した場合、相当高価ですがオークションをうまく利用 すると、まれに安価で出品されていますので、気長に探すのも良いでしょう。

シャック内監視カメラ映像-1 シャック内監視カメラ映像-2
                                【シャック内監視カメラ撮影画面】
屋外カメラハウジング VT-16W6

  1. 屋外カメラ(Panasonic BB-HCM381
    • 第1クランクアップタワーの最上段に、設置し、360°回転して近隣を見ることができるようにしました。
    • 屋外設置ですので、良く街角で見るドーム型のケースに設置し、防水と温度管理ができるようにしています。
    • 当然目的は第1タワー、第2タワーの状況を監視し、特にクランクアップ時にケーブルにからまり等がなく、正常に稼働しているかを監視します。 
                                                            【カメラハウジング VT-16W6

タワー監視カメラ映像-1 タワー監視カメラ映像-2
                           【第1タワートップに設置監視カメラ撮影画面】

  1. 監視カメラの利用
    監視カメラは、VPN接続なしで監視できるように、ネットワーク設計を行いました。これにより、自宅外で、VPN接続が制限をされているところからでも、監視できるようにしています。
    また、携帯電話からも接続でき、静止画にはなりますが、異常がないかの監視ができるようにしました。 これらの仕組みは、前途のDDNSの機能とルーター及び安心モニコンの機能を連携して利用し、実現をしているものです。
監視カメラ利用時のアドレス変換    

監視機能

 リモート運用する無線設備を外部より不正利用されてしまう危険性もあり、電波法でもセキュリティ管理の規定がされていますので、利用するにあたっては、下記のようなセキュリティゲートを設定しています。

  1. リモート制御パソコンへの接続は、VPN機能を利用し、VPN接続のID/PASSWORD
  2. リモートサーバーパソコンログイン時のID/PASSWORD
  3. パソコンリモートディスクトップ機能利用時のID/PASSWORD
  4. リモートオペレーションシステム利用時のID/PASSWORD
  5. 利用状況をログとして収集し、ポイントとなる操作をした際、設定により管理者の携帯宛に利用者名と操作内容をメールで通知され管理者が随時監視できる仕組み構築。(不正利用監視)


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