背景と構想

動機的な背景

 このような、リモート運用環境を構築しようと思い至った動機的な背景には、紆余曲折は多々ありましたが以下の様なことが上げられます。

  1. 自宅がアパマンで無線運用には不向き
    都会住まい(千葉・浦安)の自宅は、いわゆるアパマンであり、十分なアンテナ設備を構築できず、ベランダにモービルホイップを設置した、V/UHF中心の運用に限定される状況でした。アパマンでも、工夫された運用をされている方も多くいらっしゃいますが、私の環境では実態として屋外にはみ出すようなアンテナを構築することは無理な状況でした。
  2. しかるに実家の敷地は広く、無線運用には良好
    高校生まで住んでいた実家は、地方(茨城県霞ヶ浦湖畔)であり、敷地だけは広く、1.8MHzのダイポールでも張れてしまう状況であり、無線を始めてうん十年以来の夢であった、シャックとタワーもここなら作れるという現実があります。
  3. 時間的余裕発生
    近年は、仕事の方もピーク時期の休日を取るのもままならない生活から脱却し、時間的余裕も生まれ、リタイアした後のことまで考えた訳ではありませんが、少しは本格的なものにしたいと思いが大きく生まれてきたのもこの時期でした。細々とは続けていましたので、復活組とまでは行きませんが、半田ごてを握ることもしばらくの期間はありませんでした。
  4. 友人からの刺激
    無線関係の友人に刺激を受け、本格的な運用をしたいという意識が生まれたのも一つの要因です。

技術的な背景

 気持ちは、リモート運用による無線設備の構築に至ったものの、技術的な裏付けは全くない状況でした。はたしてこの様なことが出来るのかどうかから調査すると、あながち実現可能の方向性が見いだせてきたのでした。

  1. アマチュア無線の「インターネットを利用した遠隔操作による運用」が、電波法改正で正式に許可された。
    (利用する際は、免許申請時に審査基準適合説明書を添付する必要があります)
  2. VPN,VoIP等インターネット技術の発展により、個人レベルであっても、インターネットをあたかも専用線のごとく利用でき たり、規制緩和のおかげで、インターネットによる電話利用といった音声交換技術も確立された状況に至っておりました。
  3. 地方まで、インターネット網は普及し、音声・画像・動画像といったマルチメディアの世界での利用でも十分伝送許容範囲で 利用できるレベルに到達してきていることが、最大の制約条件の回避につながったものと思います。
  4. ネットで調査すると、既に実現をされている方もおり、基本的な技術的な裏付けがとれている状況にありました。

希望から構想に

 自宅とリモートシャックを構える実家とは、約80Km離れた距離にあります。高速道路を使用すれば、約1時間の距離ですので、簡単に行き来できるといえばそうなりますが、生活主体は自宅ですので、早々行き来もできません。こうした背景から漠然とリモート運用構想を抱きはじめたものですが、実のところ数年掛けて現在のレベルまで到達した次第です。
当初は、無線機の電源ON/OFFとマイクに付属するUP/Downスイッチを利用して、操作する範囲での実験でしたが、その後少しずつ操作範囲を広げ、現在のシャック構成に至ってからも、コントロール機器は数度作成しなおし、コントロールアプリも、初版から見ると、相当に改造されてきている状況です。
これで充分とは中々ゆかずに、おそらくこれからもシャック構成の変更に合わせての改修は繰り返しは続いて行くのかも知れません。

みなさまのご協力に感謝

 構想を実現するに当たっては、関係するWebSiteを参考にさせて頂いたり、先人の方に、恥はかき捨てとばかり不躾な質問メールにもみなさんからアドバイスを頂き、色々な方のご指導でここまで至れたと感謝をしております。具体的に参考にさせて頂いた内容は、各項にてご紹介をさせて頂きますが、この場を借りてお礼を申しあげます。