インターフェア対策

 インターフェア対策については、数多くの方が既に紹介されていますので、技術的な要素を踏まえた対策については、他の事例をあわせてご覧になって頂くと良いと思います。リンク集にも参考にさせて頂いたサイトについて紹介予定です。200Wでの運用時には、特段のインターフェア対策を取らずとも障害の発生は見受けられませんでした。インターフェアはこれをすれば必ず発生するとか、逆にこうすれば必ず防止できるというような絶対的なものではない訳で、シャックの設置・運用環境、近隣の住宅環境、TVI等であれば、 受信電波環境等に大きく左右されてくるものですから、実際の状況を確認しながら対策を行って行くことが必要です。

当局のとりまく環境

 当局をとりまく環境としては、都会の住宅密集地の無線局と比較すれば地方のこともあり良好な方ではないかと思います。

  1. 設置場所環境
     無線局の設置場所としているのは、前途した通り茨城県の霞ヶ浦湖畔に近くの生まれ育った実家ですので、関東平野の東側に位置付く起伏のない平坦な場所です。無線を行うには幸運にも広い敷地を確保(というより、ご先祖様からの受け継ぎですが・・)でき、大型アンテナを設置しても、隣接するお宅の敷地に領空侵犯してしまう心配はないところです。 設置場所近隣図  
    上記が近隣図ですが、ご覧のとおり半径50m以内には4軒程度です。自宅での障害は基よりですが、近隣ではこの4軒を対象に障害の調査等を行いました。具体的調査方法は変更検査を意識したものでのすが、それより日頃から「障害があったら言ってね!」とコミュニケーションを取れるご近所付き合いをしておくことが大切でしょう。

  2. シャック位置環境
    シャックとして利用するためにもらい受けたのは2階の1部屋です。アンテナ設置場所とは 家屋の反対側となるため、第1タワーからの同軸長で約50m、第2タワーからに至っては、約80mと一般的に考えると減推量、コスト的にはあまり望ましい状況ではありません。 また、2階ということで、高周波的なアース効果は望めせんから1KWへのQROを検討した際に気になった事項でもあります。 タワー平面図

  3. TV電波環境
     やはりインターフェアで最も気になるテレビに影響するものでしょう。実際近隣のお宅に調査に伺った時にも、テレビ以外オーディオやラジオ、インターフォン等についても確認をお願いしましたが、テレビ以外の調査対象の機器は使用していないとの回答がほとんどでした。テレビ電波環境としては、以前は約100Km離れた東京タワーからのVHF電波を受信していましたが おそらく成田空港の電波障害対策とかで大分前に約10KmのところにUHF帯の中継所が設置されたため、TVの電波環境としては良好です。以前のVHF帯を使用していた時代は、リグのスプリアス対策も近年のものとは良くなかったと思いますが10Wでの電波発射でもTVIの発生があったものです。(アンテナもバランも付けない同軸直付けダイポールアンテナとかでしたが・・・) また、中継局の地デジ化も完了していますのでデジタルに完全移行されれば、更にTVIの影響は少なく なって行くとは思います。

  4. 近隣との関係
     電波障害に関する知識は、一般の方はほとんど持ち合わせていませんので、何か障害があった場合に一番先に疑われてしまうのが、大きなアンテナを建てているアマチュア局になってしまうのはやむ得ないことかも知れません。そのようなことが発生した時に遠慮なく相談して貰える近隣との関係を日頃から作っておき、相談を受けたときには真摯に対応することが安心感を与え、トラブルを避ける一番のポイントであると思います。
    第2タワーを建設中も、ご近所さんから「こんどは、宇宙と交信すんのか〜(方言でかなり訛ります)」 と冷やかされましたが、「こんど宇宙人と交信するから見に来てよ!」と笑い話をしました。
    私自身は、現在はこの場所には居住していません。ここ何十年も離れていたわけですので、近隣の方との関係も気薄になっていましたので、当然、変更検査前の障害調査時は、菓子折り(夏場でしたので、カルピスセットだったか?)を持って挨拶に行った時には、世間話と共に「こんなことをはじめるのでよろ しくお願いしたい」旨と「何か電波・電気関係でお困りことあれば相談して欲しい旨」をお願いしてまいりましたが、近隣との良好な関係を継続的に作ってくれている母親に感謝ってところかも知れません。

インターフェア発生状況

 幸運なことか、現在まで近隣とのインターフェアに関わるトラブルには遭遇しておらず、逆に残念なことながら障害に合わせた対応を取ったことはありません。但し、シャック内では何回か気になる事象の発生がありました。
対策後は、概ね解消していますが、同じ環境で継続的に運用できるわけではなく、同軸1本の這わせ方を変更しても状況は変動するものでしょうから、絶えず監視は必要でしょう。

  1. 音声への回り込み
    これはありがちな現象ですが、リモート運用、シャック内運用に関わらずSSB音声への回り込みよる トラブルが発生しました。リモート環境を作っていることもあり、MICケーブルだけでなく色々なケーブルを引き回すはめになっていることが主たる原因と想定されます。

  2. リニアアンプバンド切替回路故障
    バンド情報を拾ってリニアのバンド切替を自動的に行う便利な機能が 最近のリグには搭載されていますが、リニアアンプをテスト運用時に突然この機能が動作しなくなるというトラブルが発生しました。リニア側のバンド切替リレーがチャタリングを起こしたような状態で激しくカチャカチャいってしまう状況です。 メーカに問い合わせると「エキサイター側の問題か、リニア側の問題かは現物を見ないと判断できない」とのご回答。 FT−2000D+VL−1000の2台とも入院と相成ってしまいました。
    メーカ側の修理結果は、リニア側でバンド情報を拾う回路のダイオード不良とのことで返却され、発生原因は リグとリニアを接続するケーブルを提供品では短いため、自前で延長したこともあり、「おそらく回り込みでは・・・・」とのことでした。リニア側にもパスコンを入れて貰ったりと追加対策を してもらいました。この時点では各ケーブルに乗ってしまいっているコモン電流まで測定することまでしていなかったため、 確実な原因はわかりませんが、メーカ指摘のとおりなのかも知れません。

  3. リモート制御装置の異常動作
    リモート制御を行っている自作ケース内に入れているDIDボードがときたまはハングアップしてしまう事象や、 SWのモニタ用付けているLEDが送信時に薄暗く点滅するといった現象が発生しました。無線機やリニアから出ているケーブルには、おまじないのごとく、パッチンコアは付けてはいたのですが、適当な場所、数であったため不十分であったと思われます。

  4. シャック内照明のチカチカ
    50MHzでテスト運用すると、200Wを超えた位から、室内の蛍光灯が気持ちチカチカするような傾向がでました。おそらくこれもコモン電流の影響と想定されました。

インターフェア対策

 インターフェア対策は、「お守り」「気休め」と思って色々な方の事例を参考に行いましたが、対策前後の状況を確認して進めるということまでは行えずしまいです。本来であれば対策前後で状況やコモン電流を記録し対策を施して行くと、価値あるものになるかも知れませんが、そこはアマチュアの世界で、とりあえず想定範囲の ことをやって駄目ならまた考えようスタイルでした。

  1. ローパスフィルタ(LPF)とコモンモードフィルタ(CMF)
    @エキサイター(FT−2000D→FT−DX5000に移行)とリニアアンプ(VL−1000)間に、LPFとCMFの挿入
    Aリニアアンプ(VL−1000)とアンテナ(実際はアンテナ切替器)間に、LPFとCMFの挿入
     ※LPFは、サガミエンジニアリングの30MHz以下のHF帯用LPF(HY3K−HG)と50MHzのVHF帯用のLPF(HY3K−SP6)を2ルートで挿入
     ※CMFは、サガミエンジニアリングのCMF−1Kを使用 電源系のフィルター接続図
    LPF/CMDF

  2. 電源まわりのコモンモードフィルター(CMF)とラインフィルター
    @AC100V系用として、電源制御BOXに給電する箇所にコモンモードフィルターを挿入し、電源制御ボックス内にラインフィルターを設置
    AAC200V系用として、リニアアンプ電源部とコンセント間にコモンモードフィルターとラインフィルターを設置
    AC100 CMDF AC200V CMDF

  3. 各所ケーブルにフェライトコア挿入
    リニアアンプ背面インターフェア対策 基本的にケーブルの入口と出口にコアを挿入しています。本来であれば大型のリングコアにキャンセル巻きで挿入したいところですがケーブルの太さの制限もあり、現在のところパッチンコアを挿入しています。
    リモート制御装置には多くのケーブルが接続せざるを得なく、回り込みの温床のような状態ですが、コア対応をすることで現状では障害の発生は見られません。
    しかし、リグの裏は蜘蛛の巣状態です。


                 【リニア背面】
    リグ(FT-2000D)背面インターフェア対策 アンテナ切替器付近のインターフェア対策
                   【リグ背面】                             【アンテナ切替器】
  4. アンテナ給電部にスリーブコア挿入
    アンテナを取付時、給電部コネクタ前の同軸ケーブルに各5個づつスリーブコアを通し、コモンモード対策を行っています。

  5. アースライン対策
    アースは、タワー建設時に一応設置してもらいましたが、シャックが木造2Fにあるため高周波に対するアース効果は期待できません。リグ等にアースを取ったとしても逆にコモン電流が乗ってしまいインターフェアの原因にもなると想定し接続は行っておりませんでしたが、やはり保安用アースとしても必要性はあるかとも考えし、QROに合わせて接続することとしました。
    その対策としては、やはりコアでコモン電流をアース線に流し出させないようにし、リグやリニアに閉じ込めてしまう方式としました。
    リグ(FT-2000D)背面アース インターフェア対策 リニアアンプ背面アースインターフェア対策

  6. コモンモード電流測定器
    コモンモード電流測定器  インターフェアを具体的定量的に測定することは困難ですが、その指針としてコモンモード電流を測定することで同軸ケーブルや無線設備関連設備に乗ってしまっているコモン電流を測定することは可能ということで、2台のコモンモード電流測定器を作成してみました。いずれも、制作事例で紹介されているものやキットとして販売されているものですが、回路的には単純で高周波を電流値として測定するだけの仕掛けです。この電流値がいくつになれば、問題ないかという指標はなかなか難しい問題のようですが、基本的な考え方としては「限りなくゼロに近づけるように対策を施す」ということになるようです。
    但し、同じ同軸ケーブルで測定しても、測定する箇所でバラバラの結果が出てしまいます。実態としては障害発生状況とコモン電流を相対的に比較して、追い込んで行く方式しかないのかもしれません。現状としては同軸ケーブルに限らず関連機器に入出力するケーブルにコア挿入をして電流値を比較し追い込んで行くやり方を取りましたが、まだまだ場所によったり、周波数帯によっては、コモン電流値が50mA程度発生している箇所もあるのが現状ですが、影響を与えるインターフェアの発生が確認されないことから良しとしまっています。
    コモン電流に関する対策に関する詳細については、先人各局がご苦労された内容が各サイトで紹介されていますので、参照されると良いと思います。