1KWへのQRO変更申請について

 1KWへの変更申請を行った場合の手続きや、実際行った対応について紹介をします。各項目をクリックするとサンプルが表示されます。

変更申請書の作成と申請手続き

 変更申請は、過去当地に固定局の設置場所変更やリグの変更に伴う手続きを何度か行ってきましたが、 現在は「電子申請」やら「TSSの保証認定」やらと以前に比較すると書き物の量は大分減ったように思えますが、色々とやっかいなことには変わりませんし、そう度々行う訳ではないので人間の特技である忘却により毎回毎回苦労しています。今回も、事例を参考にさせて頂いたりして、ドタバタしながらでしたが、そこは仕事と違い納期という制約は自分で決めれば良いわですから、のんびりやれば良い訳です。以前のように試験電波発射申請をしてから落成検査までの期間も実質的になくなっていますので、楽にはなっています。(但し、免許の有効期限近くに変更申請を行い、有効期限前に変更検査を終わらせて落成検査を受け終わらせないと、無駄になってしまうことに注意が必要です。)
現在は便利なツールがフリーソフト(局免印刷)として提供されていますので、毎度毎度有効に活用をさせて 頂いています。手書きの時は申請書の控えを紛失してしまうと、何を第一送信機にしていたさえわからず大変でしたが、データで保存できますのできちんとバックアップさえしておけば問題なくなります。添付書類以外はほぼこのソフトで作成が可能です。

  1. アマチュア無線局の無線設備等の変更申請(届)書
  2. 無線局事項書および工事設計書
  3. 送信機系統図
    送信機系統図は、局免印刷でも作成できますが、リニアアンプを付加装置として入れた場合スルーできる切替部分が作成できませんので、個別にパワーポイントで作成しました。
  4. 50MHz帯空中線電力1kw申請理由書(申請する場合)
    50MHz帯は、国内通信を行う場合の許可は最大500Wまでですが、申請理由を添付することで、1KWまでの許可が下ります。以前は事細かな申請理由が必要だったようですが、現在は 簡単な内容(海外との通信やEME等を理由にして)で許可が下りるようです。
    この添付の理由書も自前の作成です。
  5. 電波防護指針計算書
    この計算書は、申請書添付必須ではないのですが、結果として求められるとのことで、申請時に作成して添付しました。計算書は自分で作成することも可能ですし、JARLや各地の総合通信局のサイトでもサンプルとして提示していますので、活用されると良いと思います。
    50MHz以上でゲインの大きいアンテナを使用する場合や、低位置にアンテナを設置する場合この防護指針基準値をクリアできない場合がありますので、事前のシュミレーションをお勧めします。
  6. 設置場所付近の地図
    近隣地図を縮尺、方角がわかるようにして添付します。私の場合はYahoo地図のハードコピーに設置場所や、近隣との距離を円で示すようなものを上書きして簡易に作成しました。
  7. 空中線配置図
    アンテナの設置場所を平面図と立面図で表したものをパワーポイントで作成しました。免許申請以前に自分で設置場所を決める上で作成していましたので再利用で済ませています。

 変更申請書には返信用の封筒と切手を貼ったものを同封し、所轄の総合通信局に郵送します。約2週間程度で 下記の資料が送付されてきました。
   @変更許可通知書
   A変更検査説明書
   Bアマチュア局検査申込書等の提出について
   Cアマチュア局検査申込書
   Dアマチュア局検査事前点検表
   E電波障害調査依頼書/回答書
   F登録点検事業者制度のご案内
  注)所轄により内容が異なることがあるとのことです。

試験電波発射と近隣障害調査

 変更許可通知書をうけたら、いよいよ試験電波発射を行い、電波障害調査を行います。

  1. 試験電波発射届
    まずは、「試験電波発射届」を提出してから試験電波の発射を行います。
  2. 電波障害調査依頼書
    試験電波発射に合わせて、電波障害調査を行います。近隣の方への調査依頼書は総合通信局より送付されてきた「電波障害調査依頼書/回答書」は、 挨拶文が貧弱でしたので、自前で作成したものでお願いし、4軒のお宅から回答を頂きました。
  3. 試験電波発射記録
    試験電波発射記録等の提出は必要ではありませんが、自分の記録として作成したものです。
  4. 防災無線設備調査結果
    近隣に、「防災無線設備」がありましたので、調査結果を独自に作成をしました。
  5. アマチュア局検査事前点検表
    送信機の試験の成績表です。 変更申請したすべての周波数での終段部の電圧、電流、入力と空中線電力の計算値、 実測値を記入します。

変更検査実施

 ここで総合通信局の検査を受けるか、業者代行検査を受けるか選択をします。 私はこれまで2本のタワーの建柱にお世話になったFTIの藤原社長(JF1IST)にお願いをすることにしました。
お互いの都合合わせで日程を決められるのは、民間検査の特典でないかと思います。

     
  1. 業者代行検査先への提出書類等
      @ 変更許可通知書
      A 無線局事項書及び工事設計書
      B 無線従事者番号
     
  2. 実地検査準備
    実地検査までに用意をしておくものは、下記のものです。
      @ 免許状
      A 無線局変更許可通知書
      B 無線検査簿
      C 電波法令集(期限内のもの) ・・・(注)現在は不要になりました。
      D 無線従事者免許
      E 電波障害調査依頼書/回答書
      F アマチュア局検査事前点検表
      G 電波防護指針計算書
     
  3. 実地検査
      @ 申請書に基づくエキサイター、 リニア・アンプの確認、アンテナ、タワーの確認検査
      A 終段入力・出力をダミーロードでの測定検査
      B 変更申請した周波数すべてをCWで送信をして終段の電流・電圧・出力を確認
        ※BARDパワー計(ディジタルでした)、スペアナ
      B 実際申請したバンド、モードで交信を検査官の前で行う実通検査
    検査に関わる所要時間は、約1時間程度で、 変更実地検査データを検査官が持ち帰り整理し総合通信局へ提出に必要な書類を作成の上、後日郵送されてきます。
  4. 総合通信局へ点検結果の送付
    FTIが作成した検査書類一式が届き、同封されてきたものは以下の書類です。
      @ 無線設備変更工事完了届 
      A 無線設備等の点検実施報告書 
      B 登録点検結果通知書
      C 送信機試験成績表
      D 無線設備実働試験結果報告書
      E 使用測定器、無線設備の電気的特性の点検表
    これらのものに、作成済の
      F 電波障害調査回答書
      G 防災無線設備調査結果
      H 設置場所付近の地図
    上記のものを総合通信局に、@無線設備変更工事完了届に印紙(2,550円分)を貼り、免許状を返信する封筒(切手貼り)を同封して送付します。
  5. 総合通信局から変更検査結果通知及び免許状交付
     ほどなく、総合通信局より合格通知と免許状が交付されてきます。
      @ 無線局検査結果通知書
      A 無線局免許状 

続・変更申請

 1KW免許は、FT−2000D+VL−1000の構成で検査を受け許可を取りましたが、主力機をFT−DX5000にするとなれば、当然の事ながらFT−DX5000+VL−1000の構成で電波を出したいという事になります。但し、一挙にFT−DX5000の増設とそれにVL−1000を接続する形態で変更申請を出すと、新たな1KW送信機の追加となるため、確実に再落成検査を受ける必要が出てきます。色々情報を集めると、以下のような手順で変更申請を進めると合法的に落成検査を受けずに、FT−DX5000+VL−1000構成でに許可がおりる事が判明しました。日本も米国の様に包括免許制度であれば、こんな面倒な事はないのかも知れませんが、法治国家に済む国民としては、合法的に進めようと思います。

     
  1. まず、FT−DX5000単体として増設の変更申請を行う
    当然、技適対象の製品ですので、設計書に「増設」で追加をすれば、問題なく許可が下りてきます。
     
  2. 次に、リニアアンプの接続送信機切替の変更申請を行う
    これは、ちょっと大丈夫か心配でしたが、当地の総通では、軽微な変更として許可を受ける事ができました。この様にすることで、切手代以外の費用も掛からず、気が重い落成検査も受けずに、FT−DX5000での1KW免許を受けることができました。この方法は、別のリニアを追加等があっても一度1KW免許を受けてしまえば、軽微な変更で既存リグへの追加も可能だそうです。