潰瘍性大腸炎 内科・外科治療体験と生活習慣をアドバイス

薬の話

内科治療における薬

 潰瘍性大腸炎の治療では、発症当初〜軽症の段階では、「ペンタサ」が用いられることが多い。
これを症状に応じて服用するが、朝・昼・夕の各3錠、計9錠がフルドーズとなる。特に大きな副作用が報告されるケースは稀で、かなりの期間継続して服用しても大きな問題はないと思われる(ただし、妊婦さんが服用するのは、一般的な意味から言ってお勧めはできない)
その他、必要に応じて、各種整腸剤(ラックミー等)が処方され、服用する。

 「ペンタサ」で効果がない場合、「サラゾピリン」が用いられることがある。これも、計9錠がフルドーズとなる。
もともと潰瘍性大腸炎の軽症・緩解維持段階の治療薬としては、この「サラゾピリン」が第一選択だった。「サラゾピリン」はもともとリュウマチの治療・緩解維持目的に開発された薬で、リュウマチ同様自己免疫疾患の可能性が高い潰瘍性大腸炎の治療に用いたところ、効果が確認されたため使用されるようになったという経緯がある。
「サラゾピリン」の副作用としては、尿の変色や腹部膨満感等が現れることが多いようである。管理人もこの副作用には悩まされた。

 初期の段階でこれらの薬を正しく継続して服用することが、潰瘍性大腸炎の緩解(または完治)に大きく役立つので、効果があいまいだからといって飲んだり飲まなかったりすることはよくない。また、症状が緩解しても、2年程度は服用する必要があるとされている例もあるので、医師の指示を守って継続して服用することが重要である。

 中等症〜重症になってくると、「ペンタサ」(または「サラゾピリン」)に加えて、「プレドニン」が処方される。
「プレドニン」はステロイドで、1錠が5mgである。これを医師の指示に従い服用することになる。
ステロイドである「プレドニン」は、炎症を抑える効果が大きく、服用後は直ちに症状が治まる。
しかし、副作用も重く、顔のむくみ(ムーンフェイスと呼ばれる状態)、増毛、食欲増進、骨密度の低下など、代償も大きい。また、粘膜の自己補修効果も損傷をうけるため、仮にプレドニンの服用総量が多くなってしまい、その状態で外科手術に臨まざるをえなくなった場合は、粘膜がくっつかず縫合不全を起こすケースが多いようである。管理人もそれを経験した。

 従って、「プレドニン」は長期間服用する薬ではなく、症状を抑える当初に1日30mg程度を服用し、徐々に量を減らしていき最終的には1日5mgにしていく治療法がとられる。
短期間(2〜3週間)で一気呵成に治療するときに用いるのが「プレドニン」の原則である。これを服用することで、症状が緩解したかのように判断し、自己判断で「プレドニン」の量を増減してしまうことは非常に危険であり、病気の治療を長期化させるだけである。
ちなみに管理人は1日60mgのプレドニンを飲んだことがあるが、さすがに気分が高揚したり体温が上昇したり、ムーンフェイスが顕著になったりといった副作用が急激にでた(そうでなくとも、ムーンフェイス様の副作用には悩まされた)。

 内服で服用する薬以外にも、炎症を起こしている局所に直接作用される目的で、注腸タイプ(いわゆる浣腸)のペンタサ、そして注腸タイプのステロイド(「ステロネマ」)もある。これらのほうが薬が作用する範囲が限られるため、副作用は少ないと考えられている。
ただし、一般的に注腸タイプは注入後、そのまま薬を留めておかなければ効果がないわけで、浣腸して反射的に便意を催すような体質だったりする場合は、効果がほとんどない。
また、体調が悪いときにかぎって注腸してもすぐトイレに行きたくなり薬を出してしまうことがあるため、アイデア倒れの投薬という印象もないではない。

 「プレドニン」に頼らない治療方法として近年行われるようになりはじめたのが、免疫抑制剤による治療である。
商品名としてはイムランとかアザニンとかといったものがあるが、免疫を抑えることで炎症を抑える薬である。
この薬でも炎症消失効果があるが、そもそも免疫抑制剤はある程度の期間服用して初めて効果があらわれてくる薬であり、長期的に薬を飲む必要がある。
しかし最近では即効性のある免疫抑制剤もでているようである。副作用としては吐き気や食欲不振等があげられている。管理人もたまに吐き気に悩まされることがあった。

 直接には潰瘍性大腸炎の治療になる薬ではないが、貧血を補う薬として鉄剤(商品名としてはいろいろある)がある。薬にもよるが、鉄剤は胃を荒らすことがあるため、服用すると吐き気等を催すことが多い、という副作用がある。管理人も鉄剤の副作用を経験した。
ただ、内服ではなく点滴薬の鉄剤もあり、こちらであれば副作用の心配もなく、効果も大きい。
とはいえ、極端な筆血になった場合は、輸血となる。

薬によらない治療

 妊婦や長期に人によっては薬の服用をさけて治療しなければならない場面がでてくることもある。そこで用いられるのが「顆粒球除去療法」「白血球除去療法」というものである。
これは透析のようなスタイルで、潰瘍性大腸炎の炎症を増長すると考えられる血液中の原因物質を除去する目的で行われるものである。これは軽症〜中等症では一定の効果が確認されているが、重症例では効果がないことが、学会でも確認されている。

オペ後の薬

 オペを行えば基本的には薬から解放されることになるが、術後しばらくの間は後遺症等が現れるため、それを抑える目的で薬を服用する。
便寝れに対しては、「ロペミン」がその代表、痛みに対しては「ロキソニン」、Jポーチの炎症に対しては「フラジール」が用いられることが多い。
また、漢方薬である「大健中湯」も効果的である。
ただし、これらの薬は本来、潰瘍性大腸炎に対する薬とは捉えられていないため、指定疾患受給者証で公費負担の対象になるかどうかは、自治体や病院ごとの判断によるケースが多い。

上記の薬の詳細については、「医者から薬がわかる」サイトにとてもよくまとめられていますので、ご参考にしてください。

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