PC-9821Xs Power Up
PC-9800シリーズ デスクトップパソコン PC-9821Xsのパワーアップについてまとめたページです
2016/ 1/ 25 更新
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PC-9821Xs/C8Wは、ローカルバスと PCIバスの狭間に生まれた悲劇のマシン。
1993年 1月に Windows 3.1を視野に、PC/AT互換機で一般的だった VGA画面と同様の画面モード (640×480ドット 256色) や、サウンド機能として 86音源 (FM、PCM音源) を搭載し、従来の PC-9801型番から大きく変身を遂げた 98MATE Aシリーズは、高性能で好評を博しましたが安価なモデルでも 30万円以上、Pentiumモデルに至っては最低でも 約 60万円以上 (後に価格の改定があり 10万円ほど安くなりました) とそれなりに高価だったことが欠点でした。
PC/AT互換機 (DOS/V機) の低価格攻勢がさらに強まったため、1993年11月に NECは、安価なグラフィックチップを搭載し音源機能を除いて、コストの安いファイルベイを搭載したビジネス向け Windows3.1対応モデルとして 98MATE Bシリーズ (PC-9821Bp、PC-9821Bs、PC-9821Be) を発売しました。この後の 1994年 1月には、Pentium 60MHzを採用した PC-9821Bfが加わりました。
この 98MATE Bシリーズは、二代目 98FELLOWシリーズ (PC-9801BA2、PC-9801BS2、PC-9801BX2) にグラフィックチップ (Cirrus Logic GD5428) を内蔵しただけと云った感じのもので、発表当時は賛否両論がありましたが、結果として安価だったことが従来の DOSユーザーや企業ユーザーに受け、この 98MATE Bシリーズ路線は成功したといえます。
これを受けて機能盛りだくさんでコストの高い 98MATE Aシリーズは、主流から外れ (T_T)、98MATE Bシリーズが発展し 1994年 7月に新 98MATEシリーズと銘を打った 98MATE Xシリーズが、ハイエンドからローエンドまで全てのラインナップを補う形で登場しました。98MATE Bシリーズとの違いは、PC-9821Xeを除く全モデルで PCM音源 (通称 MATE X PCM) や高性能なグラフィックチップが搭載されたことに加えて、PC型番で初のミニタワー型として PC-9821Xtが登場したほか、ハイエンドモデルの PC-9821Xt、PC-9821Xaでは PC-9800型番で初めて PCIバスが採用されるなど従来に比べて大幅にパワーアップしています。
また、ハイエンドモデルでは何かと高価になりがちですが、企業の一括導入や一般ユーザーの買い替え需要に合わせてハードディスクや OSを削ってコストを下げたフレームモデルも PC-9821Xaと PC-9821Xfで用意されました。
そのなかで PC-9821Xsは、486搭載のスタンダードモデルとして「高速、大容量、マルチメディア対応で、これからのウィンドウズ・マシンの新基準。」と言うキャッチコピーで、FC-9821Xa、FC-9821Xt、FC-9821Xn、FC-9821Xp、FC-9821Xeと共に登場しました。なお、FC-9821Xfは少し遅れて 1994年 11月発売です。
PC-9821Xsの発売の翌月の 1994年 8月には、ネットワークを構築する企業の一括導入向けに 10BASE-Tコネクタの付いた NIC I/F付きのモデル PC-9821Xs/U7WLが TFT液晶ディスプレイ一体型の PC-9821Esとともに発売されました。PC-9821Xs/U7WLには、汎用拡張バス (Cバス) の「PC-9801-84」が搭載されていて、NetWareと LAN Managerがセットになっています。
その他にも拡販を狙って初代 98MATE Xは、ワープロ専用機の文豪 DPシリーズとして DP-50D (PC-9821Xe)、DP-60D (PC-9821Xs) にも流用されました。
初代 98MATE Xシリーズのラインナップ
FDDは全モデル共通で 3.5インチ 3モードタイプを 1ドライブ搭載しています。
型番 | CPU | メモリ | セカンド キャッシュ |
HDD | CD-ROM | グラフィック チップ |
標準価格 (税別) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
PC-9821Xt/C10W | Intel Pentium 100MHz | 15.6MB | 256KB | SCSI-2 1GB | SCSI 2倍速 | MATROX MGA-II | 1,000,000円 |
PC-9821Xa/C10W | Intel Pentium 90MHz | 7.6MB | 256KB | SCSI-2 1GB | SCSI 2倍速 | MATROX MGA-II | 880,000円 |
PC-9821Xa/C9W | IDE 540MB | ATAPI 2倍速 | 730,000円 | ||||
PC-9821Xa/U8W | IDE 340MB | オプション | 640,000円 | ||||
PC-9821Xa/U1 | オプション | オプション | オプション | 500,000円 | |||
PC-9821Xf/C9W | Intel Pentium 60MHz | 7.6MB | 256KB | IDE 540MB | ATAPI 2倍速 | MATROX MGA-II | 498,000円 |
PC-9821Xf/U8W | IDE 340MB | オプション | 448,000円 | ||||
PC-9821Xf/U1 | オプション | オプション | オプション | 370,000円 | |||
PC-9821Xn/C9W | Intel Pentium 90MHz | 7.6MB | 256KB | IDE 510MB | ATAPI 2倍速 | S3 Vision864 | 660,000円 |
PC-9821Xn/U8W | IDE 340MB | オプション | 570,000円 | ||||
PC-9821Xp/C8W | Intel iDX4 100MHz | 5.6MB | 128KB | IDE 340MB | ATAPI 2倍速 | S3 Vision864 | 488,000円 |
PC-9821Xp/U8W | IDE 210MB | オプション | 448,000円 | ||||
PC-9821Xs/C8W | Intel iDX2 66MHz | 5.6MB | オプション | IDE 340MB | ATAPI 2倍速 | S3 Vision864 | 398,000円 |
PC-9821Xs/U7W | IDE 210MB | オプション | 348,000円 | ||||
PC-9821Xs/U7WL | IDE 210MB | オプション | 380,000円 | ||||
PC-9821Xe/U7W | Intel i486SX 25MHz | 5.6MB | 非対応 | IDE 210MB | オプション | CL GD5430 | 238,000円 |
初代 98MATE Xの主な特徴
型番 | 特徴 |
---|---|
PC-9821Xt | Intel i430NXチップセット採用の PCIバス搭載マシン。PC-9821型番で初のミニタワー型。 |
PC-9821Xa | Intel i430NXチップセット採用、PC-9800型番で初の PCIバス搭載。フレームモデル有り。 |
PC-9821Xf | Intel i430LXチップセット採用。PCIバス搭載のエントリーモデル。Socket 4搭載。フレームモデル有り。 |
PC-9821Xn | CPU周りが PC-9821Anに近い。Pentium搭載ながらメモリバスの幅が狭い。 |
PC-9821Xp | 486の最上位 iDX4搭載。CPUソケットが Socket 6で PentiumODPに非対応。 |
PC-9821Xs | 486スタンダードモデル。 |
PC-9821Xe | 初代 98MATE Xシリーズの中で唯一、サウンド機能が無いエントリーモデル。 |
本項では、PC-9821Xsの他にハードウェア的に近い PC-9821Xpでも参考になると思います。
PC-9821Xsに搭載されている CPUは Intel製の第四世代 x86 CPUのベストセラー iDX2 (66MHz) で、システムクロック 33MHzの 2倍速で動作します。一次キャッシュメモリの容量は 8KBで、一般的にオプションだったコプロセッサ (浮動小数点演算ユニット) も CPUに内蔵されています。
また、マザーボードと BIOSは、一次キャッシュのライトバック制御に対応し、この機能に対応した CPUや Over Drive Prosessor (ODP) を搭載すると標準 (ライトスルー) より演算処理を高速に行うことができます。ただし、通常この機能は、Intel純正 CPU、ODPにのみ有効になります。なお、PC-9821Xs標準の iDX2は、ライトバックキャッシュ機能に対応していません。
PC-9821Xsでは、システムクロックの低いマシンで威力を発揮する非同期 SRAMタイプのセカンドキャッシュを搭載できます。オプションのセカンドキャッシュメモリボード「PC-9821XS-B01」で 128KB増設できて、さらにボード上に「PC-9821XS-B02」を追加することで最大 256KBまで増設できます。
ちなみに、PC-9821Xpでは、標準で「PC-9821XS-B01」が搭載されています。良くPC-98で PCIバスを搭載した 486機があると云う噂が出ますが、セカンドキャッシュメモリボード用スロットを誤認したものです。当然ながらこのスロットに PCIボードを挿すとマザーボードが壊れます。
PC-9821Xsの CPUソケットは Socket 3で、ODPとしては DX4ODPと PODP5V83Kに対応しています。ただし、製造ロットによってセカンドキャッシュ増設時にトラブルが発生する可能性があるのでご注意ください(後述)。このために、正式に対応するサードパーティー製 CPUアクセラレータは殆ど有りません。
PC-9821Xpでは、5V系 CPUと 3V系 CPUの両方が使える Socket 6を、PC-9821Xeでは Soket 3を搭載しています。
メモリは、PC-9821Xs/ Xp/ Xeのいずれのモデルでも標準でマザーボード上の SIMMソケットに、 6MB (2MB + 4MB) 搭載されています。SIMMソケットは、 3スロット有り、72pin パリ無し FP (Fast Page) SIMMを増設、または交換することにより、最大 96MBまで増設できます。
ちなみに、パリとはパリティチェックの略で、データの読み出しや書き込みに、チェックの為のデータを追加してエラーを検出するものです。通常は滅多に有りませんが、エラーを検出するとデータを破壊する前にシステムを停止させます。
なお、PC-9821Xs/ Xp Xeでは、パリ付きメモリを使ってもパリティデータが無視されるだけで問題無く使えますが、パリ無しメモリの方が安いので増設するならパリ無しの方が良いでしょう。(^ ^;;
FDDは 3.5インチ FDD搭載モデルでは、PC/AT互換機で一般的な 1.44MBフォーマットに対応した 1MBと 640KB両対応の 3.5インチ 3モード対応の 2HDタイプ (NEC製 FD1148T) が搭載されています。コネクタは、後の 98MATE Xシリーズとは異なり電源が一緒になっている 26ピンの特殊なものです。
コストダウンも有って構造が単純化したため分解清掃時のメンテナンスがし易くなりました。不具合という不具合は有りませんが、経年劣化でモーターの軸が固着してしまったり、ヘッドが微妙にずれてしまったり、コンデンサの液もれで読み書きが不安定になる事例があります。
98MATEでは、VFO (簡単に言えばヘッドの微妙なずれからデータの読み書きを安定させる回路) 回路が本体側に搭載されているので FDDに VFO回路は有りません。
かつては、5インチ FDD搭載モデルや、FDDが 2ドライブ搭載されているモデルが有りましたが、Windowsでの運用に当たっては、あまり必要としないので 98MATE Xシリーズでは、全てオプション扱いになりました。専用オプション (後述) で FDDを後から増設して 2ドライブ仕様にすることが出来るようになっています。
FDの磁気フィルムの最大の敵はカビで一度カビが生えてしまうとデータの読み出しは不可能でメディアは使用不能になります。仮に拭き取っても読み込む事は出来ません。この様なメディアからデータを救おうと FDDに読み込ませると磁気ヘッドにカビの胞子が付き、他の正常なメディアにカビの胞子を塗りつけ汚染を広げるので危険です。プラスチックのケースに入れておくとカビが生え易くなるので注意が必要です。
初代 98MATE Xシリーズはフレームモデルを除いて全モデルで Windows3.1と MS-DOS 5.0A-Hがプリインストールされています。PC-9821Xa/C10Wと PC-9821Xt/C10Wとフレームモデルを除く全てのモデルで専用固定ディスク I/F仕様の HDDを 1ドライブ内蔵しています。PC-9821Xs/C8Wでは 340MBの Western Digital製 Caviar2340または Conner (Quantumを経て Seagate) 製 CFA340を、PC-9821Xs/U7Wでは 210MBの IDEタイプのドライブを搭載しています。PC-9821Xsに接続できる HDDは、最大容量 4.56GB (未フォーマット時) までのものです。
HDDは、IDE仕様のドライブを搭載していますが、インターフェース側が厳密に IDE仕様を満たしていない為、全てのIDE機器が使用できる訳では無いのでご注意ください。
残念ながら PC-9821Xsでは、SCSI機器の内蔵は想定されておらず純正オプションも有りません。
なお、バックアップディスク等は別売りになっているので、初回起動時に必ずバックアップを取ります。特に、本体内蔵のグラフィックアクセラレータの Windows3.1用ドライバは、Windows3.1製品版には付属が無くサイトからのダウンロードもできないので、ここでバックアップを取らないと再インストール後に使えなくなります。
CD-ROMドライブ搭載モデルの PC-9821Xs/C8Wには、ATAPI仕様で倍速の「PC-CD60D」をファイルベイに搭載しています。
グラフィック機能は、従来の 640×400ドット (4096色中 16色: Enhanced Graphic Charger) に加え、PC-9821Xsの全モデルで、グラフィックアクセラレータ機能を、オンボードの 32ビットローカルバス接続で搭載しています。
このローカルバスは、CPUの能力に依らないバスマスタ転送に対応し、16bitの Cバス (汎用拡張バス) に比べ、バス幅が倍の 32bitになっているので、より高速に多くのデータのやり取りができるというものです。理論上は、32ビット PCIバスと遜色ない能力を持っています。
グラフィックチップは、登場当時に、描画性能の高さで定評のあった S3製 Vision864 (86C864) で、DirectDrawに対応しています。また、VRAMを 2MB搭載しています。これは、PC-9821Xs以外に PC-9821Xp/ Xnでも共通です。
画面表示は、Windows上では、最大 1,280×1,024ドットで 26万色中 256色、DOS上では、最大 640×480ドットで 1,677万色中 256色の表示が可能となります。
また、DOS画面では、モニター出力を 24kHzと 31kHzから選択できます。選択の方法は、電源投入後もしくは、リセットボタンを押してから、「GRAPH」キーと「1」(24kHz) または、「2」(31kHz、デフォルト) を押します。
なお、98MATE Aシリーズの様にプレーンアクセスモードは搭載されていないので 98MATE Aシリーズのグラフィック機能専用のアプリケーションは正常に動作しないのでご注意ください。
サウンド機能は、初代 98 MATE Xシリーズで登場した「MATE X PCM」と呼ばれる PCM録音再生機能 (Cristal製 CS4231) を搭載しています。これは、86音源 (PC-9801-86、YAMAHA YM2608) の PCMとは違い、Windows 95等で PCM音声の再生時に CPUに負荷が低く音飛びし難くなっています。
残念ながら 86音源相当の FM音源機能は省かれているので、 FM音源を使った DOSゲームでは音楽が鳴りません。この場合、別に「PC-9801-86」や「PC-9801-118」、「Wave Star」等を増設する必要があります。
なお、この場合には予めソフトウェアディップスイッチでサウンド機能を切り離しておいたほうが無難でしょう。設定が難しいですがフリーウェアのドライバを使えば共存も可能だそうです。
位置 | 種類 | 形状 |
---|---|---|
本体前部 | ヘッドフォン出力 | ステレオミニジャック |
マイク入力 | モノラルミニジャック | |
本体後部 | キーボード | ミニ Din 8pin |
バスマウス | ミニ Din 9pin | |
アナログ RGB | D-Sub 15pin。24kHz、31kHz両対応 | |
LINE入力 | ステレオミニジャック | |
LINE出力 | ステレオミニジャック | |
RS-232Cシリアル I/F | D-Sub 25pin、最高 19,200bpsまで対応。 | |
プリンタ用双方向パラレル I/F | アンフェノールハーフ 36pin、変換アダプタ付属。 |
この中で特に、PC-9801型番等の旧型機とは、プリンタのコネクタが異なるためプリンタインタフェース変換アダプタ (PC-9821-K02) が付属しています。また、98MATE Xシリーズの次のモデル以降とでは、アナログ RGBディスプレイのコネクタの形状が違うので注意が必要です。
外付け用 1MB FDD I/Fはオプションです。98MATE X用は「PC-9821-87」です。
拡張スロットは Cバススロット (汎用拡張スロット) を 3スロット搭載しています。スロットは PnP (プラグアンドプレイ) に対応しています。PC-9821Xs/ Xp/ Xe/ Xnにはローカルバスや PCIバスといった高速な拡張スロットはありません。
ちなみに、PC-9821Xsや PC-9821Xp等 PCIバス非搭載機では、Cバスブリッジに「STAR ALPHA 2」を搭載していないので、以降の 98MATE Xや 98MATE Rといった比較的最近の機種に比べて内蔵 IDE I/Fや Cバスのデータ転送が速く、性能をフルに引き出すことができます。(^-^)
また、旧機種の 4スロット仕様の Cバスライザーボードに交換しバックパネルを加工する改造によって、4スロットに増設することが可能です。(^ ^;;
この初代 98MATE Xシリーズ以降の機種では、PC/AT互換機で一般的な5インチファイルベイ (ただの空間) を搭載しています。NECの独自規格ではないので CD-ROMドライブや HDD、MOドライブ、FDD、PCカードアダプタと云った多彩な機器が使用できる点がメリットですが、それぞれに合ったインタフェースボードの増設や対応した信号ケーブルと電源ケーブルがその都度必要になります。
注意点としては、PCIバスを搭載していない PC-9821Xsのような機種では、SCSI機器を内蔵する際に Cバススロット対応の SCSIボードで SCSI機器内蔵用コネクタを持っているものが殆ど無いので、外付けの SCSIケーブルを内部に引き込むと云ったイレギュラーな方法で無いと内蔵出来ない点です。これについては、PC-9801DAネタの SCSI機器の内蔵 PC-9801DA編が参考になると思います。
PC-9821Xsにはハードウェアディップスイッチは有りません。内蔵 HDDの切り離し等の設定は、セットアップメニューと言うソフトウェアディップスイッチで設定します。呼び出し方は、電源投入後もしくは、リセットボタンを押してから「HELP」キーを押します。
CPUの動作モードについて PC-9821Xsでは、従来の V30エミュレーションモード削除され Highと Lowのみになりました。Lowモードでは、i486SX 16MHz相当の動作となります。但し、Windows3.1、Windows NT3.1等の一部の環境では、正常動作しないので注意が必要です。
RS-232Cの通信設定、メモリの容量の変更、起動するドライブの順番変更、初期画面の色の変更などは、MS-DOSの「SWITCH.EXE」等でメモリスイッチの設定を変える必要があります。変更後は、セットアップメニューでメモリスイッチの状態を「保持する」に変更します。バックアップ電池が切れるとこの設定も消えます。
特に RS-232Cでシリアル通信を行う場合は、必ず送信側と受信側で設定を合わせる必要があります。通信ができなかったりデータ化けする時は、RS-232C I/Fの故障を疑う前にまずこの点をチェックしましょう。常識ですが、念のため。(^ ^;;
初代 98MATE Xシリーズでは、先代の 98MATE Bシリーズと同様にコストを抑えるため筐体の内部の造りが大幅に簡略化され、98MATE A等に比べて内部空間に余裕があり重量が軽くなりました。
ちなみに、PC-9821Xs/ Xp/ Xe/ Xnでは、ドライバーが無くてもコインでネジを外すことができます。
他に、PC-9821Xsにはもう一つの特徴として、普通に使う分には問題がありませんが、製造時期により数々の問題や仕様上の問題があってパワーアップや改造がし難い機種としても有名です。(T_T)
対応機種から外れている ODPや CPUアクセラレータを使うとメーカーの保証外になるので万が一故障しても保証が受けられなくなります。自己責任で行ってください。また、CPUソケットを改造すると保証期間内であっても改造扱いで保証外となります。詳しくは注意事項をお読みください。
さて、だいたい PC-9821Xsのことが分かったところで CPUの換装です。この CPUが載っているソケットは、Socket 3と呼ばれるもので Intelのオーバードライブプロセッサ (ODP) に正式に対応し、DX4ODPと PentiumODP (PODP5V83) 用意されています。ここで CPUを交換する際に使うものは、ODPまたは CPUアクセラレータを使います。
なお、PC-9821Xsや PC-9821Xp (要ソケット改造) に PODP5V83を載せる場合、不具合が発生する可能性があるので注意が必要です。これは後で説明します。
ちなみに、Intel製 iDX4や AMD製 Am486DX5、Cyrix製 Cx5x86等の CPUも搭載できますが、これらの CPUは動作電圧が iDX2と違うので、電圧を調整するソケット (電圧変換下駄) が別途必要になります。
では、始めに、ODPについて簡単に解説をしておきます。
DX4ODP (PC-9821-E02、画像左) は、元の iDX2と iDX4では動作電圧が前者が 5V、後者が 3Vと違うので、そのまま載せかえると壊れてしまいます。そこで、iDX4自体に電圧変換機構を組み込みヒートシンクを付けたもので、それ以外は元の iDX4と機能や仕様は同一です。
なお、DX4ODPには (R) が付く物と付かない物が有ります。(R) というのは、CPU置き換え型 (Replace) を表し、PC-9821Xsで動作保証があるのは、(R) の方です。無印の方は ODPソケット用です。見分け方は、無印の方は (R) に比べてピンが 1本多くなっています。PC-9821Xsではどちらでも動作しますが、購入の際にはご注意ください。
一方、PODP5V83 (PC-9821-E03、画像右) は、Pentiumを搭載していますが、搭載されている Pentium (P24T) は元の Pentium (P5、P54C) とは随分違うものです。どこが違うかというとまず、動作電圧が iDX2は 5V、Pentiumは 3.3Vと違うので、電圧変換機構がチップに組み込まれています。
次に、外部データのバス幅が 486系 CPUとは、32bitと 64bitで違うので、そのまま載せ換えることは不可能です。そこで、バス変換機構が内蔵されています。また、バス変換機構を組み込むとデータの変換の際に、どうしてもそこでウェイトが入ってきてしまいます。そこで、内蔵キャッシュメモリ容量を倍の 32KBに増量して変換のロスをある程度抑えるようにしています。
さらに、内蔵キャッシュのライトバック動作に対応しています。この機能に対応する BIOSが搭載された本体では、更なる高速化ができます。PC-9821Xsの BIOSは、ライトバック機能対応なので、PODPを高速に動作させることができます。486系の本体では、ライトバック動作をさせた、PODP5V83が最速だと思います。
詳しくは、企画課 第2回 PC-98シリーズと CPU 第 5世代 CPU (486互換 CPU) 編を参考にどうぞ。
PODP5V83には、Sタイプと Kタイプの二種類あり、PC-9821Xsで PODPを利用するには Kタイプでなければなりません。これは、マザーボード上にライトバック機能を制御するための配線が足らないからです。PC-9821Xsで Sタイプを搭載すると DMA転送時に異常をきたし FDDが正常動作しないばかりか、HDDのデータ転送時にデータが化ける等、正常動作しないので購入する際には注意が必要です。
KタイプとSタイプの違いは、後者に若干の配線が追加されたものです。見分け方は、Kタイプには次の画像の様に PODPのピンの部分に緑色の薄い基盤が付いています。
万が一、Kタイプが手に入らない場合、Sタイプを Kタイプに改造することができます。PODP5V83Sまたは、マザーボード上の CPUソケットの A7と A8のピンを接続すれば良いのですが、不可逆な改造となるので詳しいことは、ここでは省略します (^ ^;;)。なお、ピンの場所についてはデータシートなどでご自分でご確認ください。
ちなみに、PC-9821Xeや PC-9821Xsなど、PC-9821Xsがベースとなっている PC-98 (文豪 DP-60D等) では、全て同様で、Kタイプでなければなりません。
次に、CPUアクセラレータですが、できれば PC-9821Xsに正式に対応しているものを選びましょう。特に、486機用 CPUアクセラレータでは、同じ PC-9821Xsでもバグ付であるとか、ロットによりかなり細かい所でばらつきがあると云う理由で対応機種から外されていることが殆どです。
CPUアクセラレータの中で、I-O DATA製「PK-A586/98」(画像左) は、QFPパッケージの AMD製 Am486DX5を搭載し iDX4より整数演算が高速な上に内蔵キャッシュのライトバック制御をソケット裏のチップ (画像右) でハードウェアで制御しているので、MS-DOSや Windows 95以外のキャッシュコントロールドライバの無い OSでも高速で動作させることができます。
PC-9821Xsは後になって対応機種から外されましたが、本体によっては正常動作するようなので自己責任ということで試してみる価値はあると思います。この製品は、残念ながら入手は困難です。現在でも 3,000〜 5,000円程度が相場です。似たようなものに PK-A586/DVがありますが、こちらは PC/AT互換機用なので PC-98では正常動作しません。ソケット裏の丸いシールが黄色の物は「PK-A586/DV」らしいです。ご注意ください。
なお、対応機種から外れている CPUアクセラレータを使うとメーカーの保証対象外になるのでご注意下さい。詳しくは、注意事項をお読みください。
ここで、自分が実際に使用したものは、Intel製の 3倍クロックの DX4ODPという ODPと PK-A586/98です (仕様は以下の表参照)。これらの製品は全て生産終了です。と云うよりは、PC-9821Xs自体が主要サードパーティーのカタログのメモリ対応一覧表から消えました。(T_T)
代表例 (コプロセッサは何れも内蔵)
メーカー | 商品名 | 種類 | クロック倍率 | 動作クロック | 搭載 CPU | 内部キャッシュ | 価格 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
NEC | PC-9821-E02 | ODP | 3倍 | 100MHz | Intel iDX4 | 16KB | 27,800円 |
Intel | DX4ODP (R) | ODP | 3倍 | 100MHz | Intel iDX4 | 16KB | |
PODP5V83 Kタイプ | ODP | 2.5倍 | 83MHz | Intel Pentium (P24T) | 32KB | ||
I-O DATA | PK-A586/98 | CPUアクセラレータ | 4倍 | 133MHz | AMD Am486DX5 | 16KB | 24,800円 |
では、取り付けです。DX4ODPの取り付けは非常に簡単です。ルーフカバーを開け、ヒートシンクを外してから Socket脇のレバーを上げて標準の iDX2を取り外し、ソケットに向きに注意して ODP本体を取り付け、レバーを下ろして固定します。ここで取り外した、iDX2は万が一の場合を考えて静電気に注意し大切に保管しておきます。なお、CPUアクセラレータの取り付け方も同様です。
画像は、PC-9821Xpの Socket6に PK-A586/98を取り付けたところです。赤矢印が 1ピンです。PC-9821Xsの Socket3も同様です。この向きを間違えると安全装置が作動して電源が入りません。
取り付けた後、ルーフカバーを元通り取り付け、電源を入れて「ピポッ」と鳴れば成功です。今までが嘘のようにとはいきませんが高速に動作します。CPUアクセラレータで有りがちなキャッシュコントロールユーティリティー等のドライバは同じ Intel製の CPUなのでインストールする必要はありません。PK-A586/98についてもソケット上で対処しているので同様です。
最後に、DX4ODPと PK-A586/98を使って MS-DOS Ver 6.2上と Windows95上でベンチマークテストを実行してみましたので、参考にしてください。使用ソフトは、I-O DATAの「INSPECT Ver 1.03」と EP82改/かず氏の「HDBENCH Ver 2.420」です。
CPU | 動作周波数 | Dhrystone(点) | Whetstone(点) | 総合(点) |
---|---|---|---|---|
i486DX2 | 66MHz | 21276 | 18775 | 24940 |
DX4ODP | 100MHz | 31914 | 27909 | 37480 |
PK-A586/98 | 133MHz | 44117 | 37495 | 51580 |
参考までに、「INSPECT Ver 1.03」のデータベースでは、ノーマルの PC-9821Af (Pentium 60MHz) が総合で 40000点、DX4ODPを付けた PC-9821Ap2が総合で 37080点です。
★ ★ ★ HDBENCH Ver 2.420 ★ ★ ★
使用機種 PC-9821Xs/C8W
Processor iDX4 100.985MHz [GenuineIntel family 4 model 8 step 0]
解像度 800x600 65536色(16Bit)
Display スタンダード ディスプレイ アダプタ (9821 シリーズ)
Memory 20,880Kbyte
OS Windows 95 4.0 (Build: 950)
Date 1999/ 7/23 17:39
SCSI = NEC PC-9801-55/L/U/FA-02、PC-9801-92/PC-9821A-E10 (DMA Transfer Mode)
HDC = スタンダード IDE ハード ディスク コントローラ
A = GENERIC IDE DISK TYPE00
B = GENERIC NEC FLOPPY DISK
C = GENERIC NEC FLOPPY DISK
D = NEC CD-ROM DRIVE 4 M Rev 1.0
ALL | 浮 | 整 | 矩 | 円 | Text | Scroll | DD | Read | Write | Cache | Drive | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
i486DX2 66MHz | 2330 | 1779 | 2784 | 5509 | 2115 | 1776 | 60 | 0 | 1984 | 2024 | 2940 | A:10MB |
DX4ODP 100MHz | 3126 | 2678 | 5071 | 6366 | 2936 | 2024 | 60 | 0 | 2017 | 2024 | 4961 | A:10MB |
測定時にメモリは NEC純正 SIMMで 16MB、セカンドキャッシュメモリを 128KB増設しました。感想としては、動作自体は Intel純正 ODPということもあって非常に安定していますが、66MHzから 100MHz程度の向上なので Windows 95上ではあまり変化は感じられませんでした。また、「INSPECT Ver 1.03」の結果から、同クラスの機種である PC-9821Ap2より若干動作が速いようです。(^-^)
PentiumODPは、浮動小数点演算が 486系では最速なので Windows95メインと云う用途に向いています。MS-DOSも利用するのであれば、クロック周波数の高い DX4ODPが良いと思います。
さてCPUアクセラレータや ODPを使って高速化したら、さっそくメモリを増設しましょう。メモリの増設の仕方は、簡単で、マザーボード上の 3本の SIMMソケットに、SIMMモジュールを増設または標準のものと交換して容量を最大 96MB (ユーザーズメモリ 95.6MB) まで増やすことができます。PC-9821Xsでは、旧機種のように専用のメモリボードは必要ありません。
メモリの増設には、Cバススロットに近い側のソケットから順番に増設します。取り付けるスロットを間違えると正常動作しません。
98MATE Xシリーズではコスト削減のため旧機種のようにマザーボードにメモリチップが搭載されていないので SIMMソケットにメモリモジュールを取り付けないで起動すると「MEMORY ERROR」とモザイクを表示して正常起動しません。ご注意ください。
PC-9821Xs/ Xp/ Xe/ Xnで使用できるのものは、パリティ無しの 72pin FP SIMMです。実際には、安い PC/AT互換機用でも構いませんが、必ず動作する保証はありませんので、多少高くても有名メーカー製で、対応機種に入っているものを使った方が無難です。
ちなみに、パリティ、パリティジェネレータ付きでもパリティデータが無視されるだけで問題なく使えます。
SIMMには、PC/AT互換機用でよく見かける端子が銀色のシルバーコンタクトと金メッキの物があります。どちらでも構いませんが、SIMMソケットが金メッキの場合は、異種金属同士を接触させるとノイズが発生する事があるので金メッキの方を選ぶとノイズの影響を受けにくくなります。
FPM対応 DRAMチップには 60nsの物と 70nsの物がありますが、PC-98に於いてはどちらを使ってもデータ転送速度が速くなるといったメリットは有りませんし、両者が混在しても動作に大きな影響は有りません。ほとんど存在しませんが、64Mビット DRAM搭載の物は PC-9821Xs/ Xp/ Xe/ Xnでは正常に容量を認識しません。
パリ付き、無しに関わらず 72ピン FP SIMMは店頭での入手は中古品でもほぼ不可能です。一時期 16ビット DRAMの需要が減っために価格が高騰したことがありました。2012年現在は、ジャンク品で有れば数百円で買えますが、動作チェック済みの物は 1,000円から 2,500円程度とやや高めです。
代表的なパリ無しの FP SIMM (ただし NEC製はパリ付き)
メーカー | 製品名 | 容量 | 枚数 | 標準価格(税別) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
NEC | PC-9821A-B02L〜04L | 4〜16MB | 1枚 | 30,000〜140,000円 | パリ付き |
PC-9821BF-B01 | 32MB | 1枚 | 310,000円 | パリ付き | |
SV-98/2-B02 | 32MB | 1枚 | パリ付き | ||
メルコ/ バッファロー | EFB | 8〜16MB | 1枚 | パリ無し | |
EXB | 8〜16MB | 1枚 | 9,000円〜14,000円 | EMF-P、EMFを1枚増設可能 | |
EMF-P | 8〜32MB | 1枚 | 5,000円〜19,800円 | パリティジェネレータ搭載 | |
EMW-P | 16〜32MB | 2枚 | 8,000円〜37,800円 | パリティジェネレータ搭載 | |
I-O DATA | NE-SIMXB | 16〜64MB | 2枚 | オープン価格 | パリ無し |
NE-SIM32 | 16〜32MB | 1枚 | オープン価格 | パリ無し |
さてPC-9821Xsのマザーボード上には、SIMMスロットの並びに PCIバススロットに良く似たスロットが有ります。ここには、専用のセカンドキャッシュメモリボードが搭載できます。
セカンドキャッシュは、簡単にいうと高速で動作する CPUとシステムクロックで動作するメモリとの間の、データ転送速度の差を埋めるものです。この機種では、最大 256KBまで増設できます。
これの有る無しでは、処理能力が体感で分かるほど違うので、PC-9821Xsの様に無い場合はとりあえず「PC-9821XS-B01」で128KBの増設を勧めます。ただし、PC-9821Xpの様に、既に 128KB搭載しているのであればあえて追加増設する必要はありません。256KBまで増やしたとしても殆ど処理速度に違いが出ず大きな意味がありません。
セカンドキャッシュメモリを 256KBまで増やす場合には、まず「PC-9821XS-B01」を増設してからこのボード上にサブボードの増設セカンドキャッシュメモリボード「PC-9821XS-B02」を搭載します。
また、セカンドキャッシュを増設すると ODPや CPUアクセラレータとの組み合わせで不具合が出る可能性があります。このために PC-9821Xs、Xp用のセカンドキャッシュは、サードパーティー製のものは無く NEC純正の製品しか有りません。また、現在では生産終了となっているので、手に入れるには中古在庫を探すしか無いのですが見付けることはかなり難しいです。
PC-9821Xs、PC-9821Xp用セカンドキャッシュメモリボード
メーカー | 製品名 | 容量 | 標準価格(税別) | 備考 |
---|---|---|---|---|
NEC | PC-9821XS-B01 | 128KB | 24,000円 | |
NEC | PC-9821XS-B02 | 128KB | 24,000円 | 追加増設用 |
PC-9821Xsでは、本体に多くの問題点があり、標準で使う分には問題有りませんが、パワーアップや拡張が非常にやりにくい機種として有名です。(^ ^;;) 以下に、それぞれの問題について解説していきます。
PC-9821Xsで、
という条件が揃っている場合に、Windowsが起動しなかったり、ハングアップしたりする等、正常に動作しなくなる可能性があります。
ただし、これは非常に複雑で、確実なものではなく稀にこれらの条件全てが該当していても症状が現れない機体があります。
また、セカンドキャッシュメモリボードを 128KB増設したときには、問題が起こらず 256KBに増設すると問題が発生したり、PentionODPでは無く DX4ODPとセカンドキャッシュメモリボードで問題が出たり、製造番号が該当していなくても症状が現れる等、本当に複雑です。(^ ^;;
この様な事が起こり得るのでサードパーティー製の CPUアクセラレータでは、対応機種から PC-9821Xsを外したり、セカンドキャッシュとの併用が不可になっていたりします。
この対策にはマザーボードの交換が必要になりますが、NECでは中古であっても無償で交換をしてもらえるので、この症状が出て困ると云う方は NECのサポート (現 NECフィールディング) に相談してみてください。ちなみに、自分の本体では大丈夫なのか気になる場合も NECフィールディング では、症状の判定をしてくれるそうです。(^-^) (2013年現在、PC-9800シリーズのサポートは全て終了しています)
PC-9821Xpや PC-9821Xsの一部ロットで、Windows 95を使用する場合に、マウスカーソルが挙動不審になる本体があります。これについては、Windows 95の CD-ROM内に、説明のテキストファイルがあります。
もし、この症状が出て困る場合は、NECのサポート (現 NECフィールディング) に問い合わせてください。この対策にはマザーボードの交換が必要になるらしいです。(^ ^;;
PC-9821Xs (PC-9821Xp、PC-9821Xe、PC-9821Bp、PC-9821Bs、PC-9821Beも恐らく同じ) が標準で搭載している IDE仕様ハードディスクは、取り外すことができません。取り外すと動作が不安定になったり、ATAPI接続の CD-ROMを認識しなくなったり、外付け HDDに Windows95が正常にインストールできない等、正常動作しなくなる可能性があります。なお、接続さえされていれば良いので、使わない場合は、セットアップメニューで、「切り離す」に設定しておけば OKです。しばらくすれば、静かになります。
また、セットアップメニューで、内蔵固定ディスクを「切り離す」にしても割り込み (INT 3: IRQ 9) を開放できません。こればかりは、 残念ながら PC-9821Xsの仕様なのでどうにもなりません。
PC-9821Xs以外にも PC-9821Xp、PC-9821Ap3、PC-9821As3等 S3製 Vision 864搭載の機種では、ロットによって高解像度にすると画面が滲んだり、ゴーストやゴミが出たりするようです。改善方法としては、マザーボード上のグラフィックアクセラレータ部のフェライトコアを交換するか除去することにより幾らか改善するようです。ただし、フェライトコアを外すと周囲にノイズをばらまくことになるのでご注意ください。(^ ^;;
どうしても納得いかない、高解像度でハイカラーモードを使いたい場合は、思い切って本体を買い換えるか、別途 Cバス用グラフィックアクセラレータボードを増設することになります。標準で内蔵のグラフィック機能は、腐ってもローカルバス接続なので Cバスボードに交換すると画面描画は遅くなります。手に入りやすい物としては I-O DATAの GA-DRVシリーズが有ります。下のベンチマーク参照してみてください。
★ ★ ★ HDBENCH Ver 2.420 ★ ★ ★
使用機種 PC-9821Xs/C8W
Processor iDX4 100MHz [GenuineIntel family 4 model 8 step 0]
解像度 800x600 65535色(16Bit)
Memory 20,880Kbyte
OS Windows 95 4.0 (Build: 950)
Date 1999/ 8/ 6 20:49
HDC = スタンダード IDE ハード ディスク コントローラ
A = GENERIC IDE DISK TYPE00
B = GENERIC NEC FLOPPY DISK
C = NEC CD-ROM DRIVE:260 Rev 2.05
GA | Cip | ALL | 浮 | 整 | 矩 | 円 | Text | Scroll | DD | Read | Write | Cache | Drive |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
内蔵GA | S3 Vision864 | 3126 | 2678 | 5071 | 6366 | 2936 | 2024 | 60 | 10 | 2017 | 2024 | 4961 | A:10MB |
GA-DRV4/98 | Trident TGUI9680XGi | 2871 | 2650 | 4948 | 6043 | 1168 | 1921 | 54 | 4 | 1975 | 2022 | 5062 | A:10MB |
どうしてもCバス用グラフィックアクセラレータを使うのであれば Cバス最強と呼ばれているカノープス製の「Power Window 968」にすると良いでしょう。
ただし、この製品は、とっくの昔に生産終了になっていてメーカーにも流通在庫も全く無く、その上、探しているユーザー (特に、98MULTi CanBeユーザー (^ ^;;) が血眼で捜しているので、中古でもまず見かけることがありません。例え有ったとしても VRAM 4MBの製品では、約 3万円という高額で取引されています。でもその金額に合った性能を持っているそうなので、運良く見付けられたら挑戦してみてください。(自分には、とても付いて行けません (^ ^;;)
ちなみに、ドライバはカノープスのサイトにありましたが、かつてのグラフィックカードの雄も時代の流れには勝てずトムソンカノープスに吸収されて、近年グラスバレーに会社が変わった際に Power Windowシリーズのドライバは消滅しダウンロードできなくなってしまいました。
ですが、Internet Archive http://www.archive.org に過去のウェブページのアーカイブデータが博物館のごとく保管されているので、このサイトでカノープスの当時のアドレスを検索し、保存されているデータを遡ればダウンロードできます。他の倒産等の理由で消滅したメーカーのサイトも保存されている可能性があるので探してみてください。ftpでなければ保存されています。
今後も保管され続けるかどうかは分からないので必要なものは早めにダウンロードしておくことをお勧めします。
検索が面倒だと云う方はこちらからどうぞ。旧カノープス PC-9800 シリーズ用 グラフィックアクセラレータドライバ (^ ^;;
ハードディスクの換装ですが、 PC-9821Xsで使用可能な内蔵用ハードディスクは、IDE仕様で 1ドライブ辺り 4.56GB (未フォーマット時) までのものが内蔵できます。これを越える物については、そのままでは本体で認識できない他、メモリチェック後に暴走する等、本体が正常動作しなくなります。
もし、それ以上の容量の HDDを内蔵したい場合は、 I-O DATA製の高速 E-IDEボードの IDE-98を使えば、 8.3GB (未フォーマット時) のものまで内蔵できるようになり、ディスクアクセスも高速になるのですが、先に述べた通り、マザーボード上の HDD用コネクタからハードディスクを外すことができないので、SIMMの上の空間等、適当なスペースに HDDを増設することになります。
また、SCSIタイプのものを内蔵したい場合は、PC-9801DAネタのSCSI機器の内蔵 PC-9801DA編を参考にしてください。
なお、HDDの交換、増設は自己責任で行ってください。SCSIタイプでは、ある程度規格がはっきりしているのであまりトラブルはありませんが、98の IDE HDD接続用端子 (正式には、内蔵固定ディスク端子) は、独自なものなので、HDDによっては動かなかったり認識しなかったりする場合があります。動かなかったとしてもそういう仕様なのでこちらやメーカーに文句をいわないでください。 (^ ^;;) また、データの破損や何の前触れもなくいきなり不安定になったり、最悪壊れることも考えられますので、重要なデータは、バックアップを取る等、十分ご注意ください。詳しくは注意事項をお読みください。
この方法では、「system.ini」等の Windows 95を動かすために重要なファイルを書き替えるので事前に必ずバックアップを行っておいてください。なお、画面が表示されなくなったり、データの破損や動作が不安定になったりしても自分に文句をいわないでください。また、メーカーに問い合わせたりしないでください。詳しくは注意事項をお読みください。全て自己責任でお願いします。m(_ _)m
PC-9821Xs/ Xp/ Xnおよび、PC-9821Ap3/ As3に内蔵されているグラフィックアクセラレータは、Windows 95では 640×480ドット、1024×768ドット、1280×1024ドットの 256色と 640×480ドット、1024×768ドットの 32bitフルカラーにしか対応していません。この画面モードを DirectX3以降のドライバをインストールした後に、Vision864のグラフィックドライバの設定ファイルに細工をしてからインストールし直すことで増やすことができます。
まず、予め DirectX3以降をインストールします。 DirectX3以降では PC-9821Xs内蔵グラフィックアクセラレータ用の DirectDraw対応ドライバにハイカラー (65535色) モードが密かに追加されています。(^ ^;;) ここでは、 Windows 95のバージョン 4.00.950a (OSR1) と DirectX5の組み合わせについて書きます。
DirectXのインストールが完了後に、「マイコンピュータ」をダブルクリック→メニューバーの「表示」をクリック→「オプション」→「表示」タブ→「すべてのファイルを表示する」をチェックします。これで、「エクスプローラ」でシステムファイルが全て表示されるようになります。
グラフィックドライバをインストールすると Windows 95の「Windows」フォルダの中にある「inf」フォルダに、「oemx.inf」が追加されます。「x」は通し番号で環境によって変わります。バージョン OSR1では、後から追加された infファイルにはすべて「oemx.inf」という名前が割り振られるので、下の書き換えセクションの項目を見て必要なデータが入っているものを選び出して下さい。これを書き換えるので適当な作業フォルダにコピーして名前を「dxns3.inf」にしておきます。
次に、コピーした infファイルを書き換えるのでメモ帳等のテキストエディタで開きます。このファイルは、グラフィックアクセラレータの情報を Windows 95に追加するための設定ファイルなので、このファイルに PC-9821Xs等の内蔵のグラフィックアクセラレータで 800×600ドット、65535色等を使えるようにする設定を追加します。具体的には、[NECS3V.AddReg] のセクションに以下の部分を付け足します。
[NECS3V.AddReg]
HKR,"MODES\8\800,600"
HKR,"MODES\16\640,480"
HKR,"MODES\16\800,600"
HKR,"MODES\16\1024,768"
HKR,"MODES\32\800,600"
付け足しが出来たら上書き保存します。
続いてWindowsフォルダにある Windows95のシステム設定ファイル「system.ini」を書き換えます。以下の [accmxx.drv] のセクションを iniファイルの最後に追加します。必ずバックアップを取っておきましょう。
[accmxx.drv]
BPP8=ON
BPP16=ON
BPP32=ON
XY640x480=ON
XY800x600=ON
XY1024x768=ON
XY1280x1024=ON
追加が出来たら上書き保存します。これらのファイルの書き換えが終わったら、書き換えた infファイルを使ってドライバを再インストールします。
まず、「画面のプロパティ」を開き、「ディスプレイの詳細」→「詳細プロパティ」で「ディスプレイアダプタの変更」を選び、「ディスク使用」で書き換えた「dxns3.inf」を指定します。
そこで、「Xn/Xp/Xs内蔵ウインドウアクセラレーター (S3)」を選びます。するとドライバファイルの場所を聞いてくるので、Windowsフォルダの systemフォルダを指定します。
ドライバの組み込み完了後「今すぐ再起動しますか?」と聞いてきますが、ここで敢えて「いいえ」を選び「システムのプロパティ」→「デバイスマネージャ」で、グラフィックアクセラレータにきちんとメモリ空間等のリソースが割り振られているか確認しておきます。稀にリソースが変わってしまい他のデバイスと競合したり、正しく割り振られていないことがあります。これが正常であれば Windows 95を再起動します。
再起動後、「ディスプレイの詳細」でハイカラー (65535色) や 800×600ドットを指定してきちんと表示できるようになっていれば成功です。うまくいかない場合や正常に起動しなくなった場合は、「Safeモード (「Windows95を起動しています」の表示時に [f・5] キー)」で起動し、変更前の解像度に戻してから書き替えたファイルをもう一度確認してみてください。
この方法では追加した表示モードを全て表示できるはずですが、本体によっては正常に表示できない場合があるので注意が必要です。今回実験した本体にて 1024×768ドット、65535色モードでは黒い画面に縦線となり正常に表示できませんでした。(T_T)
ちなみに、この方法で解像度を増やして追加した解像度 (例えば 800×600ドット、65535色) で Direct Drawの画面を表示しようとすると画面が崩れて正常に表示できません。
この場合、DirectXで Direct Drawのハードウェア機能を OFF (disable) にすると正常に表示できるようになりますが、本来 Vision864では Direct Drawにハードウェアで対応しているので表示が遅くなってしまいます。この部分は諦めるしかありません。
初代 98MATE Xシリーズで 2ドライブ使用したい時や、その他のモデルでも 5インチタイプの FDDを利用したい場合には、ファイルベイ内蔵用または、外付け用のドライブを接続することで利用できるようになります。以下は純正オプションの一例です。
全モデルで 1MBタイプ増設 FDDインターフェースは有りません。外付けの FDDを接続する場合は、1MBフロッピィディスクインタフェースボード「PC-9801-87」が必要になります。
注意としては、このボード単体では FDD I/Fとして機能しません。本体の FDD I/Fから信号を引き出し、10ピンの補助ケーブルと共にボードに接続する必要があります。ファイルベイ用 FDDユニットを増設する場合は、インターフェースボードは要りません。
対応コネクタ | 型番 | 種類 | 対応機種 | 補足 |
---|---|---|---|---|
本体内蔵用 | PC-9821B-E01 | 3.5" 3モード FDD | PC-9821Bp/ Bs/ Be PC-9821Xa/ Xf/ Xn/ Xp/ Xs/ Xe その他、文豪 DP-50/ 50D/ 60D でも使用可能 |
Windowsモデルで 3.5" FDDを増設する場合に使用。 |
ファイルベイ 内蔵用 |
PC-FD511D | 5" 2HD FDD | PC-9821シリーズ | 3.5" FDDモデルで 5" FDDを使う場合に使用。※ |
PC-FD321D | 3.5" 3モード FDD | PC-9821シリーズ | PC-9821Xt等のミニタワーモデルで 3.5" FDDを増設する場合に使用。 |
|
外付け用 | PC-FD512R | 5" 2HD FDD | 1MB FDD I/F搭載機 | 5" FDDドライブユニット。 |
PC-FD312R | 3.5" 2モード FDD | 3.5" FDDドライブユニット。 |
※ 本体の仕様上、3.5" 2ドライブ搭載のマシンでは、増設した 5" ドライブで 2DDのフォーマットができない。フリーソフトで回避可能。
PC-9821Ap2/ As2以降の FDDが 1ドライブのモデルでは、FDDパネルが交換可能となり専用オプションで 2ドライブ目の FDDを増設できるようになっています。98MATE Aシリーズでは、ジャンパの設定を行う必要がありましたが。98MATE Xでは不要です。
初代 98MATE Xシリーズでは PC-9821Xtを除いて増設用 3.5インチフロッピィディスクドライブ「PC-9821B-E01」が対応しています。これは、2FDDパネルとケーブル FDD、ネジがセットになったものです。
FDDの増設方法は、ルーフカバーを開け FDDパネルを外します。2ドライブ目の目隠し金具を外し、FDDドライブを挿入し正面の二箇所と側面の一箇所をネジ止めしてケーブルを二股の物に取り換えます。最後にフロントマスクの FDDパネルを 2FDD用に交換します。
PC-9821Xsは製造から 15年程度経過しています。今後も正常に使用するにあたって幾つかのポイントを挙げておきます。
PC-9821Xsを含む初代 98MATE Xシリーズ の PC-9821Xa/ Xt/ Xn /Xp /Xeでは、NEC製「FD1148T」VFO無し 1MB、640KB両対応の 3.5インチドライブ (画像右) でもコンデンサの液漏れが発生する事がありますが、読み取りが弱くなるぐらいであまり大きな影響は出ない事も有って気が付かない事が多いです。液漏れしていたら、基板を洗浄してコンデンサを換えておくとよいでしょう。
FD1148Tは、コンデンサ以外にモーターの軸部分が埃などで固着する例が多いです。FDD本体を裏返して円盤部分を指で回転させようとすると抵抗を感じる場合は、固着しています。グリスを軸部分に注入して指で回転させ、指で弾くような感じで触り数秒回転するようであればいいでしょう。ただし、5-56は NGです。樹脂を侵すうえ、揮発するので一週間程度で効果が無くなります。
3.5インチドライブを交換する際は、PC-9821Ap2/ As2等で使用されている FD1138Tも使用可能です。ただし、PC-9821Xa7以降の 98MATE Xで使用されている FDDには 34ピンコネクタの物があるのでご注意ください。
PC-9821Xs等の98MATE Xシリーズで使用されている電池は、三洋 (現 FDK) の「ML2430」という 3V 100mAhの充電可能なリチウム二次電池です。場所は電源ユニットの下あたりに 3ピンのコネクタで実装されています。幸い 20年程度で液漏れする例は殆どありません。この電池を充電するには一昼夜電源を入れたままにするといいようです。充電できない場合は、起動毎に日付と時刻、セットアップメニューの設定、メモリスイッチの設定をやり直す必要があります。
ML2430は 2012年現在でも FDKが製造していて入手は比較的容易です。形状が同じだからと言って PC/AT互換機のマザーボードで使用されている市販のリチウム一次電池 (使い切りタイプ) は絶対に使用しないでください。これを PC-9821Ap2/ As2に取り付けると本来充電禁止の一次電池を充電することになるので非常に危険です。
機種によってPanasonicの「VL2330」が使われている事も有ります。こちらは 3V 50mAhです。両者は充電時の電圧がML2430は 3.1V±0.15V、VL2330は3.4V±0.15Vと異なりますが、3ピンコネクタのマイナス接続ピンを換える事で両方とも使えるようになっています。
某オークションなどでは出品者が良く分からずにこの様な改造を行って本体を出品している事があります。仮にダイオードを噛ましていても、長期間使用していると劣化等で知らないうちに壊れている可能性があります。万が一ショートモードで壊れると電池側に電流が流れ大変危険です。リチウム電池は取り扱いを誤ると発火や破裂が比較的容易に起こりますのでご注意ください。
また、ダイオードの性質として順方向降下電圧 (VF) があります。一般的なダイオードでは 0.6〜0.7V程度降下しますのでこの点にも注意が必要です。
ちなみに、一般的な整流用ダイオードでは 1V程度降下するので、この性質を利用してダイオードを数珠繋ぎにして冷却ファンへの供給電圧を下げて静音化する改造が流行りました。(^ ^;;
カレンダ時計バックアップ電池が必要な方は、所内売店の保守部品フロアへどうぞ。新品の物を 1個 1,000円から 1,280円でお分けします。
この機種では、面実装タイプの四級塩電解コンデンサを使用していないのでコンデンサの液漏れでマザーボードが故障する例は殆ど無く安心して使えます。バグ付きなどといろいろ騒がれましたが、PC-9821Ap3のようにジャンパ線で埋まるような状態でも無いので他に故障に繋がる要因は有りません。486機としては完成度が高いマザーボードですので長く使うには向いています。
でもなぜか昔から人気が無い残念な子なんですね。(´・ω・`)
PC-9821Xs/ Xp/ Xe、PC-9821Bp/ Bs/ Be、PC-9801BA2/ BS2/ BX2では、電源に PU727を使用しています。定格出力は合計で 102Wです。この電源は、トーキン製 (TOKIN、現:NECトーキン) とサンケン電気 (SANKEN) 製、台湾の デルタ (DELTA) 製が有るのですが、98MATE Aシリーズ程では有りませんが SANKEN製はコンデンサが液漏れし易く電源が入らなくなる確率がやや高めです。画像はトーキン製 PU727。
経年劣化でコンデンサの容量抜けで半導体が劣化して +12V系供給電圧が下がって補助記憶装置が作動不良を起こす事はあります。特に、CPUアクセラレータや大容量の HDDを内蔵する拡張ボードでスロットを埋めるような負荷が大きい状態では動作が不安定になる事も有ります。出力電圧が安定しない場合はコンデンサの交換で復活できますが、+12V系の電圧が極端に下がるような症状は半導体までやられている可能性が高く復活は不可能です。
その場合は電源を交換するしか有りません。なお、コネクタの形状が同じですが、PC-9801BA/ BXの電源「PU463B」は使用できません。また、形状が似ていますが PC-9821Xnの電源「PU736」もコネクタの形状が違うので使えません。
PC-9821Xa (C10Wは除く)、PC-9821Xf、PC-9821Xn、PC-9821Xp、PC-9821Xsの CD-ROMドライブ内蔵モデルでは、ファイルベイ仕様の NEC PC-CD60Dや、PC-CD60DRを搭載しています。このドライブではイジェクトボタンを押してもトレイが出てこない、途中で引っかかるケースが増えてきています。
内部のイジェクト機構のモーターの回転を伝える樹脂製 (経年劣化により黄色みがかった色で、一見ゴムのような質感) のギアが潤滑油を吸ってしまうため摩擦で回転しにくくなることが原因です。ここに潤滑油を注せば回復する可能性があります。
この樹脂製のギアは潤滑油の影響で触っただけで砕けるほど非常に脆くなっています。トレイが何かに引っかかって正常動作しないときに無理に強制イジェクトピンでトレイを引き出そうとするとその力で砕けて回復不能になります。こうした症状が出た時は絶対にトレイを無理やり動かさないようにしてください。
使用する潤滑油はホーザン 浸透ルブ Z-296等の粘度が低く樹脂に影響の出ないものにしてください。CRC 5-56は樹脂を溶かすのでこのような用途に絶対に使用してはいけません。
なお、すでに歯が欠けてしまっていたり砕けてしまっている場合は残念ながら回復は不可能です。油分のため接着できません。3Dプリンタを使って複製するぐらいしか手はないと思います。(^ ^;;
ちなみに、動作不良やコンデンサ、電池交換でお困りの場合は、技術部にて修理や保守を承りますのでご相談ください。
PC-9800、PC-9821、PC-9801、98MATE、PC-98は NEC社の商標または登録商標です。
i486、iDX2、ODPは Intel社の商標または登録商標です。
Windows、MS-DOSは Microsoft社の商標または登録商標です。
この他、製品名、型番等は、一般に各メーカーの商標または登録商標です。