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スリムタワー型高拡張性タイプ

スリムタワー型高拡張性タイプ

 NECの企業向け パソコン PC98-NX Mate NXモデルシリーズ。この項では、以下のモデルが対象です。

モデル名発売時期搭載 CPU動作
クロック
搭載
チップセット
拡張バス備考
MA26Y/G-C2003/ 5Pentium42.6CGHzintel 865GAGP(x8 LowProfile) 1スロット,

PCI 2スロット
-
MA30Y/G-C2003/ 5Pentium43GHz-
MA32Y/G-C2003/ 6Pentium43.20GHz-
MY28Y/G-D2003/10Pentium42.80GHz-
MY32Y/G-D2003/10Pentium43.20GHz-
MY28Y/G-Y2004/ 5Pentium42.80CGHz-
MY32Y/G-Y2004/ 5Pentium43.20GHz-
MY28Y/G-E2004/ 6Pentium4 5202.80EGHzintel 915G
Express
PCI Express(x16 LowProfile) 1スロット,

PCI 2スロット
-
MY34Y/G-E2004/ 6Pentium4 5503.40EGHz-
MY30Y/G-F2004/10Pentium4 530J3GHzTPM搭載
MY34Y/G-F2004/10Pentium4 550J3.40GHzTPM搭載
MY30Y/G-G2005/ 5Pentium4 530J3GHzTPM搭載
MY34Y/G-G2005/ 5Pentium4 550J3.40GHzTPM搭載
MY36Y/G-G2005/ 5Pentium4 6603.60GHzTPM搭載

 基本的な仕様や操作方法、BIOSの設定については、電子マニュアルが NECの公式サイト「121ware.com」の「商品情報検索」よりダウンロードできますので説明を省きます。
 ここでは、マニュアルに記載のない非公式情報が中心です。ですので当ページの内容を NECのサポートに問い合わせること等は、サポートに対し迷惑な行為ですので絶対にしないでください。
 また、当ページ内の情報をもとに機器の拡張や接続を行った場合は、改造行為に該当する可能性があります。この場合はメーカー保証が適用されなくなりますのでご注意ください。万が一故障した場合でもすべて自己責任でお願いします。

特徴

● 全般

 Pentium4 3GHz以上のモデルであれば、ハイパースレッティング (HT) 対応もあってWindows XPで、Wordや Excel等のビジネスソフト中心、ネット閲覧、2D中心のゲーム程度であれば、それほどストレスは感じません。グラフィックカードを追加すれば、3Dゲームには不向きですが、動画の観賞程度なら余裕でできます。
 標準のアナログ RGB出力もきれいです。デジタル出力がほしい場合は、ADDカードが必要になりますが入手が難しいので、安価なグラフィックカード (GeForce4 MX400, Quadro NVS等) を増設する手もあります。

 近年珍しく、隠しスロットや隠し端子がありマニア心をくすぐる機体と言うだけでなく、PC-98ユーザの方は Windows98起動用や PC/AT互換機用パーツにソフトウェアで細工する為に一台持っていると何かと便利です。(^ ^)b

● マザーボード

PC-MY34Y/G-Fのマザーボード NEC G1BBP

 マザーボードは、G1AVP (i865Gモデル, Socket478), G1BBP (i915G Expressモデル, LGA775)で、個人ユーザ向けのブランド ValuestarGタイプ Cと共通です。独自の形状になっており一般のマザーボードとの交換は不可能です。CPUの交換は、同じ系統の CPUのみ交換可能です。なお、EM64Tや VTには、CPUが対応していても BIOSが対応していないと使用できないので注意が必要です。

● 筺体

PC-MY34Y/G-Fの内部

 PC-MY30V/C-F などのスリムタワー型高機能性タイプに比べ一回りほど筺体が大きくなっているので、筺体内の空間に余裕があります。放熱の点で好印象です。

 CD/DVDドライブの下のスロットに、カードリーダや、MOといった 3.5インチ機器が増設できます。これらの機器を増設した場合は、付属のフロントマスクのカバーを切り込みの入ったカバーに交換する必要があります。

 筺体のカバーは本体と一体になっており、開けるには横置きにした後、背面の二個のストッパーを外側に押し、ルーフカバーを一度手前に引きます。次に上に持ち上げると、筺体左側のロックがかかり固定されます。車のボンネットを開ける感じです。閉じるときは、左側のストッパーを手前側にスライドしてロックを解除する必要があります。結構忘れがちです。(^ ^;;
 無理に閉めるとヒンジが曲がって、ルーフカバーがきちんと閉まらなくなります。また、一度曲げてしまうと、元に戻すことはかなり困難です。

 このタイプではルーフカバーの開け閉めはしやすいですが、カバーが外れないので、天井に照明がある一般的な部屋では手元が暗く、拡張スロットに手を入れる場合はやりにくい印象です。電気スタンドがあると作業がしやすくなります。

● 騒音

 CPUファンの音は、8cmファンを使用しておりそれほど気になりません。筺体ファンも同様です。ファン付きのグラフィックカードを増設するとそちらのほうが気になるほど静かです。ただし、Prescott搭載モデルはもともと発熱が大きいため負荷がかかると、CPUファンの回転数が上がり「ゴーッ」という音でかなり耳障りに感じます。

 CPUクーラは、Socket 478や LGA775に対応した市販の CPUクーラが使用できます。マザーボードはファンコントロールにも対応しています。ただし、バックプレートは交換できませんので、ネジ留めで固定するタイプの物に限られます。また、筺体内の空間にも注意が必要です。

 筆者は ZALMAN製 CNPS8000 (ASCII.jpの記事) に交換しました。付属の物よりファンの口径が大きく冷却能力が高いため普段はだいぶ静かになりました。高負荷時にはそれなりの騒音になりますがそれでも元の物よりは気持ち静かと言う感じです。

● 電源

 電源は、i865G搭載モデルは 200W, i915G Express搭載モデルは 250Wで余裕があるとは云えません。HDDを 2台内蔵したり、グラフィックカードを増設する場合は、注意が必要です。

 搭載できるグラフィックカードの目安としては、AGPモデルでは GeForce6200A、PCI-Expressモデルは、GeForce7300GSクラスのローエンドモデルが消費電力と放熱の点から限界だと思います。また、冷却ファン搭載の物が無難です。

CPUの交換

intel Pentium4 560J 3.4GHz

 CPUの交換は動作保障外で、保証期間内でもサポートが受けられなくなるので自己責任でお願いします。

 基本的に、ネットバースト系でもとの CPUと同じソケット形状で、同じ系統の CPUの範囲で交換できます。つまり交換できる範囲は狭いです。

 なお、上位の CPUに交換する場合は、消費電力と冷却能力に注意が必要です。ラインナップに無い上位の CPUに交換すると発熱で CPUが壊れたり、電源系統に負荷がかかりマザーボードや電源ユニットが壊れる場合があります。

● 交換できる CPU

モデル名 チップ
セット
CPU
ソケット
Pentium4
Northwood
Celeron
Northwood-128K
Pentium4
Prescott
Celeron D
Prescott-V
Pentium4
Prescott-2M
MA26Y/G-C intel 865G Socket 487
最高 3.4GHz
FSB 800MHz

最高 2.8GHz
FSB 400MHz
× × ×
MA30Y/G-C
MA32Y/G-C
MY28Y/G-D
MY32Y/G-D
MY28Y/G-Y
MY32Y/G-Y
MY28Y/G-E intel 915G
Express
LGA 775 × ×
最高 3.8GHz
570J
FSB 800MHz

最高 3.06GHz
345J
FSB 533MHz
×
MY34Y/G-E
MY30Y/G-F
MY34Y/G-F
MY30Y/G-G
MY34Y/G-G
MY36Y/G-G
最高 3.33GHz
355
FSB 533MHz

最高 3.8GHz
670
FSB 800MHz

● 交換できない CPU

 一覧に無い CPUには交換不可です。LGA775搭載モデルでも CedarMillコアの CPU、 Pentium D系、Core2系の CPUは動作しません。これらの CPUを搭載すると電源投入時に CPUファンが最高速になります。BIOSも起動しません。

 CedarMillコアの Pentium4 661に交換できれば消費電力も下がり良かったのですが、動作しない点が返す返すも残念です。動作しない原因は主に CPUのマイクロコードが BIOSに登録されていない事ですが、BIOSにパッチを当て当該 CPUのマイクロコードを追加しても従来 CPUと省電力機能 (EIST) の違いで正常動作しない物と推定されます。

メモリの増設

 ここでは、マニュアルに書かれていない裏情報を少々。ただし、これらの内容は、非公式でメーカ保証の範囲から外れます。保証期間内でもサポートが受けられなくなるので自己責任でお願いします。

● intel 865Gモデル

 一般的な 184pin DDR SDRAM DIMMモジュールが使用可能。ECCや Registered bufferには非対応。マニュアルでは、DDR-266 (PC-2100) のみ対応となっていますが、チップセットが intel 865Gなので、実は DDR-400 (PC3200)まで対応し、この場合はメモリクロック 400MHzで動作します。
 増設できる最大容量は、1GB (512KB x2) までとなっていますが、1GBのモジュールも使用でき、最大 2GBまで搭載可能です。

● intel 915G Expressモデル

 一般的な 240pin DDR2 SDRAM DIMMモジュールが使用可能。ECCや Registered bufferには非対応。メモリクロックは、DDR2-533 (PC2-5300)まで対応。チップセットが intel 915G Expressなので、 PC2-6400 (DDR2-800) 対応メモリを増設してもメモリクロック 266MHz (DDR2 533MHz) で動作します。

 増設できる最大容量は、2GB (1GB x2) までとなっていますが、2GBのモジュールも使用でき、最大 4GBまで搭載可能です。一枚、4GBのモジュールは使用できません。なお、認識、使用できる容量は、OSにより異なるので注意。
 32bit OSの場合は、最大 3.5GBとなります。ちなみに、認識されない部分は、「Gavotte Ramdisk (フリーウェア)」、「Ramphantom 3 (I-O DATA製、シェアウェア)」等のソフトで 一時保管場所用の RAMディスクとして利用することができます。(^-^)b

● デュアルチャネルに対応

 デュアルチャネルに対応し、2枚の同タイプ、同容量のメモリモジュールを使用することで、メモリのパフォーマンスが若干向上します。特に内蔵グラフィック機能を使用する場合に効果があるらしい。

● 増設時の注意事項

メモリモジュールを 2枚実装する場合は、メモリクロックと CASレイテンシ (CAS Latency, CL) に注意が必要です。メモリクロックや、CL数が異なるモジュールを増設すると、メモリクロックが低い方に合わせられてしまいパフォーマンスが低下します。

 メモリモジュールが 1枚のときは必ず内側のメモリスロット 0に取り付けること。外側のソケットに取り付けた場合でも動作はしますが、Intel Me が起動しなかったり、不明なデバイスが現れたりといろいろ不具合が出ます。

隠しスロット

 これらのスロットの使用は動作保障外で、保証期間内でもサポートが受けられなくなるので自己責任でお願いします。

● miniPCIスロット

 スリムタワー型高拡張性タイプには、無線 LAN搭載モデルがあるため、全機種で、miniPCIスロットが 1スロットあります。WLI-MPCI-G54等を使用することができます。当方でも、同カードが正常動作することを確認しています。
 ただし、この真下に、チップセットの LSIがあり、このチップがそこそこ発熱するので、注意が必要です。

●Low Profile専用 PCIスロット

 MA26Y/G-C、MA30Y/G-C等のモデルでは、隠し PCIスロット(Low Profile専用、「使用不可のシールあり」)が 1スロットあります。筺体背面のブラケット固定部分が、ロープロファイルタイプと同サイズなので、もともと付いているシリアルコネクタを外すと使用できます。
 なお、もともとこのタイプは、電源容量に余裕がありませんので、あまり電気の食うカードを増設すると、動作が不安定になったり電源ユニットが壊れたりする可能性があるので、消費電力に要注意。

隠し端子

 個人ユーザ向けのブランド ValuestarGタイプ Cとマザーボード、筺体 (フロントマスクのみ異なる)が共通のため、Mate NXとしては、ガイドブックで触れられていない端子があります。
 ただし、これらの端子の使用は動作保障外で保証期間内でもサポートが受けられなくなるので自己責任でお願いします。

● シリアルATA (SATA) I/F

 スリムタワー型高拡張性タイプの i865Gチップセット搭載モデルでは、チップセットに SATA I/Fが内蔵されているため、SATA I/F端子が 1個あります。
BIOSでも設定項目があり、有効にすることで使用可能になります。

● アナログ音声入力端子

 全てのモデルで、マザー上に 4ピンのアナログ音声入力端子が 2箇所 あります。JTV1は TVチューナカード等のライン入力、JBS1は、FAXカードのライン入力です。
TVチューナーカード、サウンドカード等のサウンド出力を接続することで内蔵サウンド機能からアナログ音声の出力が可能になります。

● 内蔵 USB I/F端子

 CPUファンの電源端子のすぐ後ろに JUSB2という端子がありこれが、内蔵 USB I/F端子です。ただし、一般的な 10ピンの端子ではなく、5ピンの端子でピンアサインは不明です。

● 光デジタル出力端子 (S/PDIF端子)

 全てのモデルで、筺体背面に S/PDIF端子があります。 OS上にS/PDIF端子の設定項目がありませんが、サウンドドライバの iniファイルを書き換えてドライバをインストールすることで設定できるようになります。ここでは、Windows XPの場合について説明します。
 なお、i915G Express搭載モデルでは、事前にマザー上のジャンパによって設定を変える必要があります。手順は以下の通りです。

  1. JOPHR1 ジャンパをショートに設定
  2. BIOS設定画面で、設定を初期化する
  3. サウンドドライバの(例 C:\DRV\ADICH6\SMAXWDM\2K_XP) 2K_XPフォルダ内 SMWDMCH6.INIの[SPDIF.Specl.AddReg]の下 2箇所書き換える (必ず iniファイルのバックアップをとること)
    • HKR,Disable"CAC3",1,0001に書き換える
    • HKR,Disable"CPCM",1,0001に書き換える
  4. サウンドドライバを再インストールして、再起動する
  5. SoundMAXのコントロールパネルに 「S/PDIFのセットアップ」ボタンが追加されていることを確認する
  6. S/PDIF端子内の 赤色 LEDが点灯していることを確認

 以上で、使用可能になります。実際、手元のポータブル MDプレイヤーと光ケーブルで接続し音声が出力されていることを確認しました。
 なお、デジタル出力中でも本体内蔵スピーカ、LINE出力から音声は出力されます。ちなみに、LINE出力にスピーカをつないでも本体内蔵スピーカを OFFにできません。うっとうしい場合は、適当なヘッドフォンをつないでおくと良いでしょう。(^ ^)b

電源の挙動

 Mate NXでは、電源ケーブルを抜き差しするなど AC電源の供給が断たれた後、再び AC電源を供給すると一時的に電源が入って数秒たつと切れるという動作をします。これは、仕様の問題なので異常ではありません。

 しかし、その後に不規則に勝手に電源が入ったり、切れたりすることを繰り返す事があります。マザーボードの故障が考えられますが、拡張カード、PCIライザーボード、メモリモジュールの故障や接触不良で発生することの方が多いです。
 もし、このような症状が出る場合は、まずはじめに、拡張カード、PCIライザーボード、メモリモジュールを挿し直すことをお勧めします。(^ ^)b

 本機種は、電力消費の激しい Pentium4を搭載している事もあり、電解コンデンサに負荷が掛かって膨張、破裂するケースが良く見られます。普段異常が無い場合でも時々マザーボード上の電解コンデンサを目視で確認する事をお勧めします。もし、電解コンデンサの上部が膨らんでいたり、液がしみ出していたりするようであれば直ぐに使用を中止して交換してください。

Windows 7の対応

 すべてのモデルで公式には Windows 7非対応ですがインストールは可能です。新規インストールの所要時間は 30分程度で終わります。ただし注意が必要です。

● ドライバ

 インストール時にマルチメディアコントローラ (内蔵サウンド、Sound MAX) と内蔵グラフィック (Intel Graphics Media Accelerator, GMA 900) 以外のドライバは全て当たります。

 内蔵サウンドのドライバは、Windows7インストール後にコントロールパネルからデバイスマネージャを起動しネットワーク経由でのドライバの更新を実行すれば自動でインストールされます。

 一方、内蔵グラフィック機能の Intel GMA 900は Windows XP (x86, x64) 以降の OSには非対応でドライバがありません。このため、標準 VGAアダプタとしては使用できますが画面サイズやアクセラレーション機能が限定されてしまいます。

 よって、PCI Express x16バススロットに何らかのグラフィックカードを増設する必要が有ります。本機は、CPUがかなりの電力を消費しますので、使える物としては消費電力が少ない GeForce GT520 (消費電力 29W) 等のローエンドクラスのロープロファイル対応グラフィックカードに限定されます。筺体の構造上ファンレスモデルは排熱が間に合いませんので冷却ファンを装備した物をお勧めします。

● 使用感

 Pentium4 3.0GHz、メモリ 2GB、グラフィックカード無しの環境でテストしました。メモリは最低でも 2GBは無いと辛いでしょう。起動時間は Windows XPに比べると変わらないかやや早い感じです。グラフィックアクセラレーション機能が無いので表示の切り替えにもたつきが有りますが、極端に動作が遅いと言う事は有りません。

 Word、Excel程度の使用であれば問題ないと思います。バックグラウンドで更新ファイルのダウンロードなどが動いているとややもっさりする感じは有ります。ウェブサイトの閲覧については近年は動画を表示するサイトが増えているので標準 VGAアダプタではかなり厳しいです。これについては GeForce GT520辺りのグラフィックカードを増設するだけで大幅に改善できます。実売 4,000円程度 (2014年 12月現在) です。

 PC-MY34Y/G-Fで Windows エクスペリエンス・インデックスを測定すると、次のような結果でした。グラフィックはカード次第で改善しますがプロセッサの項目が「3.6」とCore2系の Celeron並みという残念な結果になりました。3.4GHzだともう少し上がると思います。

PC-MY34Y/G-Fでの Windows7 Windows エクスペリエンス・インデックス

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NEC「得選街」

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PC98-NX, Mate NX, Valuestarは NEC社の商標または登録商標です。

Pentium4, Celeronは、intel社の商標または登録商標です。

Windows, MS-DOSは Microsoft社の商標または登録商標です。

この他、製品名、型番等は、一般に各メーカーの商標または登録商標です。