「8366円で基本設計受注 都内初の区立病院入札で」


[ これへの返信を読む ] [ これへの返信を書く ] [ フォーラム目次 ]

記載者:toshi jinnai on August 22, 2104 at 16:06:57:

東京都台東区が都内初の区立病院として建設予定の「新台東病院」(仮称)について、区が行った基本設計を受け持つ業者選定の一般競争入札で、都内の業者がわずか8366円で落札、契約していたことが19日、分かった。
区が積算した予定価格は3600万円で、担当者は「業者にとっては実績づくりの意味合いがあると思うが、これほどの低価格は予想していなかった」と困惑。適正な入札維持のため、今後は一定金額を下回る業者には落札させないことも検討している。
入札は7月26日に実施。100床以上の病院と、老人保健施設の設計実績がある計36社が参加した。落札業者以外にも、35万円を提示した業者があったという。
区の聞き取り調査に対し、落札業者は「技術者の1日当たり単価の3分の1を提示した」と説明。区も「業務実績や財務状況に問題はない」と判断し、今月4日に契約したという。
(共同通信) - 8月19日11時4分更新

この記事をYahooのニュース欄で見たとき、日本の設計事務所は一体何をやっているのだろう、と驚嘆と同時に腹立たしかった。日本の設計事務所は自分で自分の首を閉めているようなものだ。早速、台東区に確認したところ、松田平田設計(MHS)が上記の金額で落札したことを知り、唖然となり、空いた口もふさがらないのとは、まさにこのことだと思った。MHSといえば、JIAの役員に松原忠策氏がいる。

その松原忠策氏の役員候補の所信表明として、

日本建築家協会は本年建築家の資格制度を立上げ登録建築家の認定の試行に入りました。合わせてJIA会員の種別の見直し等、JIA自体の体制の検討も必要としています。一方我々建築家を取りまく官や民の状況、特に設計入札等の発注の問題。様々な建設システムへの対応。保存・環境等の問題に真摯に取組んでいく必要があります。我々建築家が一般市民との交流を大切にしてこれらの問題対処する方策を今期に引続き次年度にも展開していきたいと考えています。

そして、小倉善明氏の推薦理由として、

松原忠策さんは現在日本建築家協会の理事、関東甲信越支部長としてJIAが直面する種々の問題に対して解決すべく活躍されています。特に入札によらない設計者選定法についてはQBSを実際に実践するにあたり大きな貢献をされています。JIAの現在かかえる諸問題に対しては、継続した力が必要であり、松原さんにはぜひ理事支部長として引き続き活躍して欲しいと考えます。

とお互い設計入札に対し否定の立場を取られている。
(JIAのホームページより抜粋、傍線はtoshi jinnaiによる)

今回の出来事はJIAとはこんなものかと社会にアピールしているようなものです。設計事務所がデベに、無償にボリューム出しなどのやっている仕事は、欧米の社会には存在しない。やったもの(労働)に対しきちんと報酬を得るのが通常ではないのか。日本の建築家(士)の社会的レベルの低さが想像できる。今日の建築家(士)の社会的地位を高め、そういうサービス業を無くしていかなればならない昨今であるにもかかわらず、松田平田設計のような、社会の動向に逆行した行為は設計をやっている者に対し侮辱しているようなものである。

私もMHSとはかって仕事をしたことある。MHSはゼネコンのみならず、設備等の他の業者まで無報酬で人を駆り出させている実態を知り、あまりにも酷いやり方だなと痛感していたが、今回は、建築の設計業界としてはなんとお粗末なことしたものだと、あきれ果てている。当然ながら、どこかでその大赤字を補填しなければならない。松田平田は今回も他の業者に無報酬で設計の手伝いをさせるつもりなのか。せめて業者にそのつけは払わせてはなるまい。結局その見返りがわれわれ設計業界に跳ね返ってくることを知るべきである。私はJIAの会員ではないが、今後入会の意志はあるものの、JIAの役員の事務所が仕事を得るためにこのような卑劣な行動にでたことに対し、JIAがどう対処するのか見極めたい。これはJIAの会員や私だけでなく、これから、入会する者にとっても関心がある。

今回のMHSの不信な行動は、中小の設計事務所にとってかなりの痛手である。大手がこのような身勝手なことをやると、設計料が過小評価され、中小の設計事務所の経営はますます困難になっていく。そもそも建築家(士)としての職業の立場から、日本だけでなく、グローバルに捉えると、松田平田設計の今回の痴態行為は極めて遺憾なことである。民から公に対し設計の入札に反対すべきところ、記事にあるように、行政がMHSの異常な行為に困惑し、それに対処するよう述べてある。あべこべで、まさに情けない話である。設計事務所が自ら律し、襟を正していかなければならない今日であるにもかかわらず、このような行動にMHSがでたことにたいへん残念である。松田平田設計は己(会社)の利潤ばかりを追い求めず、個々に建築家(士)としてのプロの自覚をもつべきである。さらに将来、建築家(士)を目指している、次の世代への基礎固めをすべき任務がMHSにもあろう。松田平田設計の創設者の一人で、私の大学の大先輩でもある、松田軍平氏はMHSの今回の情けない行動をどう思ったであろうか。

Yahooの社会ニュース欄にまで登場したこの出来事は、JIAとは口先ばかりで、やっていることがチグハグではないかと思われても仕方がるまい。ゼネコンの設計部に対し、批判的であるJIAは今回の出来事をどう見ているのか。今後、JIAのこの対処の行方を見守りたい。


これへの返信を読む



これへの返信を書く

お名前:
Eメール:

タイトル:

コメント:
・・・・・・・・

あなたのHPのURL:



[ これへの返信を読む ] [ これへの返信を書く ] [ フォーラム目次 ]