情けない現実にいかに向き合うか


[ これへの返信を読む ] [ これへの返信を書く ] [ フォーラム目次 ]

記載者:金山眞人 on August 27, 2104 at 03:12:15:

元の記事:「8366円で基本設計受注 都内初の区立病院入札で」 /記載者:toshi jinnai on August 22, 2104 at 16:06:57:

ダンピングを阻止するために、設計(業務委託)にも最低価格制限を設けよ、という意見があります。
基本設計を受けたところが慣例的?に随意契約(もしくは見積もり合わせ)で実施設計を受けていることが、基本設計でのダンピングを可能にしている、従って、基本設計と実施設計は同じ設計者に発注しない、という考え方もあり、現にそれを条件としたプロポーザルを実施した自治体も存在します。
また、そもそも設計入札自体が談合、ダンピングといった退廃的行為の温床、という意見もあります。以下は主に設計入札が退廃の温床、という立場からの個人的な意見です。

設計者の選定を入札で行うのは、適切ではないのではないか、という問題に関しては、以前から一部の建築家の間で熱心に取り組まれてきましたが、建築界全体の中では、なかなか大きな流れにならなかったように思います。しかし、近年、ようやくプロポーザルやQBSといった入札に変わる設計者選定の手法が、少しづつではありますが、公共建築の発注者に浸透して来たように感じられますし、このような、設計入札という制度を変える流れを造っていくのに、JIAという組織は大きな役割を果たしている、と、一会員として自負しています。とともに、いまだにJIAという組織において重要な位置を占める会員を擁する事務所が、今回のような行動をおこしてしまう事に、暗澹たる気持ちを持つものです。しかし、こういった問題が「延々と続いてきている」とう事も、残念ながら事実なのではないでしょうか。
では、建築家としては、この状況にどう対応すべきなのでしょうか。自身はダンピングをしない、というのは当然として、では、貴方なり、私なりがダンピングをしなければ、事態は改善されるのでしょうか。もちろん、一人一人の努力は極めて大切です。しかし、過去に「入札をしない建築家の会」を始めとする、志を持った建築家の連携の動きがあったのですが、現にそれだけでは解決しなかったという、設計界の非常に残念な現実(主観ですが)があるのです。そのような現実の中で、少しづつではあるかもしれないけれども、動きが出てきつつあるのが現在の姿である、と理解しています。
外からJIAを批判する、私はそのようないい加減な団体には組しない、というのも、ひとつの考え方かと思います。私はJIAの会員として、他の会員に対して働きかけることを選びました。(働きかけられる程立派な者でもないのですが。)・・・この選択には、JIAの会員として上記の問題に真剣に取り組んできた建築家の下で修行したことが大きく影響しているのだとは思います。
現在、建築の設計を専業とする職能人の団体(公益法人)は、JIAしかありません。是非、貴方にもJIAに加わって、内部から声を挙げて頂きたい、そして、設計入札をめぐる動きを力強いものに変えるために、是非力を貸していただきたい、と希望するものです。

蛇足1;
世間は「JIAはチグハグだ」、といってくれるほどJIAを認知していません。せいぜい「設計業者っていうやつは」という認識でしょう。会員であろうが会員でなかろうが、職能者の倫理が問われているのであって、会員でないからといって自分は潔白、としらばっくれる訳にはいかないだろう、というのが私の認識です。

蛇足2;
> 大手がこのような身勝手なことをやると、設計料が過小評価され、
> 中小の設計事務所の経営はますます困難になっていく。
というご意見ですが、大手の方は実績のない中小事務所やアトリエ派がダンピングして実績造りをしている、と言うでしょう。地域で仕事をしている事務所の方は、東京などの大都市圏の事務所が、地域の仕事を同じく安値で取りに来ている、と言うでしょう。大手/中小、地元/中央といった軸での対立軸の設定は不毛だと考えます。(私は小事務所=所員は自分だけ=を主宰しています)


これへの返信を読む



これへの返信を書く

お名前:
Eメール:

タイトル:

コメント:
・・・・・・・・

あなたのHPのURL:



[ これへの返信を読む ] [ これへの返信を書く ] [ フォーラム目次 ]