土地家屋を売ったときには、譲渡益(譲渡所得)に対して、所得税・住民税がかかります。

譲渡価格(売買価格)から、その不動産を取得する際にかかった取得費(購入費・建築費など)と譲渡費用などを控除したものが譲渡益(譲渡所得)です。これは、他の所得とは別個に分離して課税されます。(課税されない譲渡所得 hikazei.htm

譲渡価格−(取得費(1)+譲渡費用(2)+控除額(3))=譲渡益(譲渡所得)

(1)取得費 購入したときの代金、手数料、取得したときに納めた税金やその後支出した改良費用など(建物などの減価償却資産である場合には、減価償却費相当額を控除します)。この額が不明または低額のときは、譲渡価格の5%とすることができます。

(2)譲渡費用 仲介手数料、契約書の印紙代、登記費用など売却のために支出した費用です。担保の抹消費用は、実務では含みません。

(3)控除額 長期譲渡(所有期間が譲渡した年の1月1日で5年を超える)の場合100万円

長期譲渡(所有期間が譲渡した年の1月1日で5年を超える)と短期譲渡では税率が異なります。長期譲渡の方が税率が軽く、譲渡益から100万円の特別控除があります。

平成10年の税制改正で、長期譲渡所得について、税率が軽減されています。平成10年1月1日以後の長期譲渡については、6000万円以下の部分は、所得税20%、住民税6%、6000万円を超える部分については、所得税25%、住民税7・5%です。平成11年1月1日から平成12年12月31日までの間に売却した場合は、一律26%(所得税20%、住民税6%)になります。参考 11zeisei.htm 平成15年12月31日まで延長

16zeisei.htm(平成16年)

居住用財産については、特例があり、個人が自分の居住していた自己所有の家屋とその敷地となる土地を譲渡したときは、3000万円特別控除や低率の税率の適用など優遇措置が受けられます。

1、3000万円特別控除(長期譲渡の100万円の控除はなくなります)

所有期間を問わず、自己の居住用財産を譲渡した場合、譲渡益から3000万円が控除されます。譲渡した相手方が配偶者や生計をともにする親族など特別の関係でないことなどの要件zei3.htmが必要になります。

共有名義にしておけば、譲渡するとき各人に3000万円特別控除が適用されるいうことであるが、これは、家屋・土地双方共有にしている場合で、どちらか共有にしている場合は、各人には適用されない場合があります。

3000万円特別控除は、家を主に考えますので、例えば、兄弟共有の土地に兄名義の家があってそこに兄弟が同居している、という場合は、3000万円控除が認められるのは、建物の所有者の兄だけになります。また、土地と建物が別々の所有者の場合は、原則、建物の譲渡益(ないことが多い)からしか3000万円が控除できません。

しかし、次の要件を満たせば、土地と建物が別々の所有者であっても、建物で控除できなかった分を土地の譲渡益から3000万円を限度として控除することができます。@建物と土地を同時に譲渡したことA建物の所有者と土地の所有者が親族関係にあることB建物の所有者と土地の所有者が同居しており、かつ生計を同じくしていること

3000万円特別控除の条件 つづき zei3.htm

2、税率軽減

譲渡した年の1月1日現在における所有期間が10年を超える居住用財産の譲渡では、税率が軽減されます。

長期譲渡所得(3000万円控除後の譲渡益)について、6000万円以下の部分は、所得税10%、住民税4%、6000万円を超える部分については、所得税15%、住民税5%です。

3、買い換え特例

居住用財産の譲渡で、所有期間が10年を超える長期譲渡の場合、一定の条件のもとに買い換えによって、課税の繰り延べをすることができます−復活型。

また、父母もしくは祖父母から相続または遺贈により取得した居住用家屋およびその敷地で、30年以上の期間にわたって本人の居住の用に供していたものを譲渡した場合の長期譲渡については、買い換え特例で課税の繰り延べができます−従来型。(この2種類の買い替え特例は条件がすこし異なります)

どちらにせよ譲渡価格より買い換え資産の購入価格の方が高いか同額であれば、税はかかりません。ただし、これは課税の繰り延べで、買い換え特例適用後、単純に売却すると繰り延べられていた税金が一挙にかかってきます。詳細と3000万円特別控除との税金の比較例 kaikaetoku.htm

1と2は重複適用できますが、3は1・2と重複適用できません。

上記の3000万円特別控除や税率軽減、買い換え特例を利用した場合、買い換え先の住宅を購入する際、住宅取得等特別控除(住宅ローン控除)ro-nn.htm が利用できなくなります。

昨今の地価の値下がりにより、長く所有していた不動産についてもそんなに多くの譲渡益がでることが少なくなりましたので、買い換え特例より、まず、3000万円の特別控除を受け、それを超える譲渡益については、低率の課税を受けた方が良い場合が多いでしょう。

譲渡をした翌年の2月16日から3月15日までの間に、税務署に確定申告します。

譲渡したことによって、譲渡損失が出た場合は、原則、損失が発生した年のみ給与所得など他の所得と損益通算することができ、源泉徴収された所得税の還付を受けることができます。

平成10年の税制改正で、居住用財産を買い換える場合の譲渡損失の繰越し控除の制度ができました。

@個人が平成10年1月1日から平成12年12月31日までの間に所有期間5年超の居住用財産を譲渡し損失が生じたこと。

A譲渡契約締結日の前日に住宅ローンの残高があること

B譲渡した年の1月1日から翌年12月末までに一定の基準を満たす居住用財産を取得し、取得日から翌年12月末までに入居(入居予定でもよい)したこと。(平成11年1月1日以後の譲渡では、譲渡した年の前年1月1日から翌年12月末までに取得すること)

C損失繰越控除をする各年末に住宅ローンの残高があること。

以上の要件を満たした場合、他の所得と損益通算し、控除しきれない損失を翌年以降3年にわたって控除することができます。

これは、買い換えとか、住宅ローンの存在とかが必要で、要件が厳しく、また、住宅取得等特別控除(住宅ローン控除)との選択適用であるため、どれほど利用されるかは疑問なところです。

具体例 kurikosi.htm

追加)16zeisei.htm(平成16年)

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