居住用財産を買い換えた場合の譲渡損失繰越控除

@個人が平成10年1月1日から平成12年12月31日までの間に所有期間5年超(譲渡する年の1月1日において)の居住用財産を譲渡し損失が生じたこと。

A譲渡契約締結日の前日に住宅ローンの残高があること(また、買い換える居住用財産を先行取得した場合には、譲渡契約締結日の月の6ヶ月前の最初の日にローン残高があること)

B譲渡した年の1月1日から翌年12月末までに一定の基準を満たす居住用財産を取得し、取得日から翌年12月末までに入居(入居予定でもよい)したこと。(平成11年1月1日以後の譲渡では、譲渡した年の前年1月1日から翌年12月末までに取得すること)

C損失繰越控除をする各年末に住宅ローンの残高があること。

以上の要件を満たした場合、他の所得と損益通算し、控除しきれない損失を翌年以降3年にわたって控除(所得税につき)することができます。3年間繰越できる

留意点

・譲渡損失のうち500uを超える敷地(借地権を含む)部分相当額は除かれます。

・合計所得金額が3000万円以下の年分しか適用できません。

・住宅取得等特別控除(ローン控除)との併用はできません。ただし、11zeisei.htm

これは、買い換えとか、住宅ローンの存在とかが必要で、要件が厳しく、また、住宅取得等特別控除(住宅ローン控除)との選択適用であるため、どれほど利用されるかは疑問なところです。

具体例(単純計算)

譲渡収入金額 3,300万円、取得費 5,300万円、譲渡費用 100万円、譲渡損失 −2,100万円

給与所得 600万円(年収800万円、4年間同額とする)、所得控除額 250万円

(購入した自宅 購入代金 3,500万円(土地2,000万円・建物1,500万円)、当初借入金 2,800万円)

(単位 万円)

年度

所得

損失

繰越損失

課税所得(所得税)

A+B−所得控除

損失控除後の税額

所得税

住民税

譲渡年(H.10)

600

−2100

−1500

翌年

600

−1500

−900

25

翌々年

600

−900

−300

25

最終年

600

−300

 

50

5

25

4年間の税額は、80万円

譲渡損失がなかった場合

所得税 (600万円−250万円)×20%−33万円=37万円

住民税 (600万円−250万円)×10%−10万円=25万円

合計 (37万円+25万円)×4年=248万円(減税額 248万円−80万円=168万円)

参考)住宅取得等特別控除(ローン控除)を選択した場合

平成10年中に居住の用に供した場合―減税額(単位万円)

平成10年

11年

12年

13年

14年

15年

合計

損益通算

62

62

ローン控除

0

25

25

15

15

15

95

減税額157万円

建物 1500万円

平成10年分〜12年分各年分(年末残高について)当初3年

1000万円までの部分×2%+1000万円を超え2000万円までの部分×1%=控除額(最高35万円)

1000万円×2%+500万円×1%=25万円

平成13年分〜15年分各年分(年末残高について)残り3年

(1000万円までの部分+1000万円を超え2000万円までの部分)×1%=控除額(最高25万円)

1500万円×1%=15万円

年末残高は、建物部分が限度となります。

初年度は、損益通算により所得税額はなく、ローン控除額もなし。

単純計算では、譲渡損失の繰越控除を受けた方が11万円減税額が多くなります。

住宅取得等特別控除(ローン控除)ro-nn.htm