不動産を売却したときにかかる税金について(2)と3000万円特別控除補足
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zei2.htmでは、土地建物を売った場合、その譲渡益(所得)に対して、所得税・住民税がかかり(分離課税)、居住用財産については、一定の要件を満たせば、3000万円特別控除や、所有期間が10年を超える場合、買い換え特例が認められるという内容でしたが、今回は、まず事業用資産の買い換えの特例について説明します。自分で経営する商店や工場等を譲渡した場合、事業用資産の買い換えの特例が利用できます。譲渡代金の全部または一部で事業用資産の買い換えを行った場合、譲渡益のうち、
80%までの課税が繰り延べられるというものです。従来は、一般に、事業用資産の買い換えの特例は、
既成市街地等区域内から区域外への買い換えに認められる制度でしたが(例えば、既成市街地にお店があり、その店の周辺に都市開発の波が押し寄せ、店の売却の話がでる。そこで、お店を売って、郊外にアパートを建てるというような場合)、平成10年度の税制改正で、
平成12年12月31日までは、所有期間が10年を超える一定の土地、建物については、区域限定がなくなり、国内どこでも事業用償却資産への買い換え特例が認められるようになりました(例えば、東京都内に賃貸ビルを建設するため、その建築費の一部に充てるため、千葉県内にもっているアパートとその敷地を売却するような場合)。3000万円特別控除補足
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zei2.htm ですこしふれた、居住用財産を売った場合の、3000万円特別控除について条件等を説明しておきます。条件1
@所有者である自分が現在住んでいる自宅を売却したとき(原則)
A自宅としていた建物が災害などで滅失した場合の敷地を、
自分が住まなくなって3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ったときB自宅を貸家などにした後、それに
自分が住まなくなって3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ったときC建物を取壊して更地のままで売るときは、取壊した日から1年以内の譲渡であること
D敷地の一部を売るときは、家屋の建っている部分を譲渡すること
条件2
前年、前々年にこの控除や買い替え特例などを受けていないこと
条件3
自宅を売る相手が所有者と特別な関係にないこと
配偶者や直系血族、生計を一つにしている親族、内縁関係にある人とその家族など
ですから兄弟への譲渡の場合、生計を一つにしていない限り適用されます。
この3000万円特別控除を利用した場合、買い換えの場合の買い換え特例や買い替え先の住宅を購入する際、住宅取得等特別控除
ro-nn.htm は使えなくなります。共有名義の自宅では各人ごとに3000万円特別控除がみとめられます(譲渡人1人1人の譲渡益について3000万円を控除していく)。
この特例を受けるためには、譲渡した翌年の2月16日から3月15日までに、申告時の住所地の税務署に所得税の確定申告をする必要があります。その際、住民票の除票などを提出します。
3000万円特別控除に関するケース問題
1、店舗併用住宅の譲渡
譲渡収入金額を居住用部分と店舗部分に
面積按分して、居住用部分から控除します。2、住まなくなってからの譲渡
居住の用に供しなくなった日から
3年後の年の12月31日までの間に譲渡すれば控除が受けられます。3、敷地だけの譲渡(住宅を任意に取壊した場合)
・その敷地の譲渡契約を住宅を
取壊した日から1年以内に締結している。・住宅の用に供しなくなった日から3年後の年の12月31日までの間に譲渡する。
・住宅を取壊した後譲渡契約を締結した日までの間、その敷地を貸付けその他の用に供していない。
以上の要件を満たせば、控除が受けられます。
4、住宅と敷地の所有者が異なる場合
・住宅とともに敷地を譲渡している。
・住宅と敷地の所有者が親族関係にある。
・生計を一にしており、ともにその住宅に居住している。
以上の要件を満たせば、まず住宅の所有者の譲渡益から控除でき、次に敷地の所有者の譲渡益から合計3000万円まで控除できます。
5、一時的に居住した場合
別荘や仮住居については適用がありません。
6、配偶者への譲渡
適用できません。(離婚の際、財産分与する場合は、適用されます。登記は離婚届を出してからすることになります。財産分与の原因日付は、離婚前財産分与の契約をした場合、離婚の日(届出日)が原因日付になります。)
7、兄弟姉妹への譲渡
生計が別であれば適用できます。
8、子への譲渡
直系血族への譲渡の場合は適用できません。
9、住民登録の住所と実際の住所が異なる場合
現実に居住していたかどうかで判断します。
10、1年前、2年前に3000万円特別控除や買い換え特例を受けている場合
適用できません。