愚行連鎖 WorksGBの道具達-39

番外:続 Poorman's Audio/Video…の巻:2

DENONの名誉のために…

D-M51DVS ステレオなのにサラウンド「フロント完結型」 D-M51DVS
DOLBY VIRTUAL SPEAKER
フロント2chとスーパーウーハーのシンプルな構成で5.1chと同等の臨場感を実現する。

…というふれこみの超小型スピーカー2.1chシステム購入顛末記で、



トップメーカーの、そこそこの価格帯のシリーズ。デザインも悪くないし、作りや各部の操作感はかなり上質である。
本体のパネルやスピーカー・エンクロージャの質感もなかなか良い。

さて、セッティングをしながら、まずはCDを聴いてみる…

…ん?なんだこりゃ???

愕然である!
以前、ONKYO X-A7Xを手に入れた時には、こんな小さな筐体で、こんなに気持ちよい音が出るとは…と驚愕したのだが、今回は全く逆であった。
なんなんだ、この音は!
低音がだぶついている、と言うイメージではないのだが、やたらバスドラムの音ばかり明確に聞こえて、ベースの音が、そのフレージングすら判別できないのだ。
それどころか、中音域がすっぽり抜けてしまったような…これは困った。
中音域がきちんと出ないとダブルベースの音や色っぽいシンガーの歌が聴けないではないか!
これは、かつて忌み嫌われた“ドンシャリ”等という可愛いモノではない。
最低音部と高音部だけは異常にクリア、各音域の個別音質は悪くはないなだけに、これは少々困惑してしまう。

と、書いたら…
DENONだってちゃんとした予算の範囲できちんとしたものを作ろうと思えば、それなりに良い製品を作れるメーカーだと思うので、きっと使用環境や聴く音楽が、メーカーの想定外だったんでしょう。残念でしたね。
と、H氏に諭されてしまった。

詳しくは前節、購入顛末記を読んでいただくとして…

結論から言えば“これはお奨め”である。

最初の試聴に使ったソースが良くなかったのかも知れない。
そもそもCD-Extraの様なオモチャの企画盤に音楽性のある録音を期待する方がいけないのかも知れない。
その演奏者は、確かにプレイそのものは悪くないし、曲想も良いと思うのだが、息子の部屋にもう一枚あった方のアルバムはなんと、CDではなくあの“最悪”なCCCDであった
演奏者本人たちに選択の自由はないのかも知れないが、こんなモノを作ってしまうようでは…と言われても仕方ない。
CCCD CCCD

少なくともこんなマークが付いたモノを音楽CDと同じ棚において売ってはイケないし、このマークを見たら買ってもイケない。
他の再生機器でも確認してみたが、この試聴盤の録音センスがあまりに酷すぎたようである。
演奏はともかく(悪くはない)、この録音は音楽ではなくて、ダンスのための号令に等しい。
(ONKYO X-A7Xで聴く分にはココまで酷い不快感はないのだが…出力特性の違いがものすごく大きいようだ)

設置も決まったので、各種ソースをかけてみた。

実は、DENON D-M51DVS、悪くない!

Lord of The Ring DVDに関しては、前項で述べたように、盤によって恐ろしく音作りが違うことがはっきりと解った。
落ち着いた録音がなされたモノはそれなりに自然に聞こえるし、(恐らく)意図的にドンパチを強調したモノはやたらと低周波を発生する。
(こういうのは、電気屋の試視聴室で購買意欲を喚起するのに良いんだろうね…)
映画に関してはドンパチが魅力な作品もあるのでこれはこれ正しい方向性だろう。
Lord of The Ring”ではこの効果音低周波と音楽の低音部がかなり綺麗に区別されている。

Star WarsStar Wars IV”では音楽も効果音も同様にボコボコ低周波出力されている。
こいつはちょいとばかり煩い…
地響きを起こすオーケストラ・コントラバス・セクションは壮大すぎる気もする。まぁ、元々空想世界なので良いのか…?
この辺りは完全に録音技師のセンスの問題なのだろう。
そういった作品ではバーチャル・スピーカーもそれなりに効果を発生する。
これはこれで良いのかも知れない。「観る」という方向からなら結構気持ちいい。


Pearl Harbor 映画そのものは『クソ以外の何物でもない』のだが…→
映像と効果音のマッチングを見るためには、これはとても良いサンプルになる。

クソったれたドラマ部分をチャプタースキップして、飛行機が飛び回る部分のみ見る。
バーチャル・スピーカー大活躍である。
まさに「これはこれで良いのかも知れない」というのが感想である。音響的快感と言うべきなのだろう。


Fantasia2000 このシステムを見直したのは、ディズニーの“Fantasia2000”である。
ソースはクラシックだが、落ち着いてなかなか良い印象の再生をしてくれる。
クラシック向き…とまでは決していえないが、少なくとも不愉快な音質ではない。

(原典の方の“Fantasia”は録音が古いので試視聴の候補から外した。本作は5.1Dolby録音となっているが、“Fantasia”の方は5.0Dolby録音と記載されている。)

イノセンスの情景 イノセンスの情景--既に本編DVDも発売されているが、今春(2004)封切られた映画イノセンスのミュージッククリップDVDである。
この中で使われているジャズシンガー伊藤君子の歌“River of Crystals”、“Follow Me”(ロドリーゴのアランフェスである。ピッコロベースと思しきソロが、よい!)がなかなか良いのである。
この2曲は、ベースの音がかなり良い雰囲気で収録されている(私好み!)
特に“River of Crystals”の方はウッドベースの気持ちよさが伝わってくる。
これがこの位聴ければ文句はない。

いくつか聴いてみたが、最初のあの耳を覆いたくなるような最悪の印象がないのだ。

Lupin The III Vol.2 更に、お気に入りのCD、“大野雄二TRIO”を聴いてみた。
(古いモダン・ジャズだと録音が古く、参考にし辛いので、やはり試視聴の候補から外した)
人気のルパンシリーズの中のVol.2を視聴盤に選んだのはシンプルなピアノトリオ+1にボーカル入りだからである。(一番システムのアラが判るソースだと思う)

これが、悪くない。

いや、なかなか、良いのである。

ううむ…ううむ…
機械のせいにして悪かったかな?

このサイズの豆スピーカーでこの音が出れば、充分に満足すべきなんだろうな。
まじめな録音なら、それなりに落ち着いた音を出してくれるようだ。
鈴木良雄のベースもちゃんと「ウッドベース」の音がするし、フィンガリングも判る。
サブウーハーもちゃんと鳴っているが、ボコボコの低周波は出ていない。
小さなメインスピーカーは大きさの割にかなり重く、しっかりした音が出ている。
重いので、只置いただけでもそう不安はないが、細長いので倒れる危険は皆無ではない。
幸いにこのスピーカーにはスタンドや天井ブラケット取り付け用のネジ孔があったのでTV台に穴を開けてM5ビスでしっかりと固定してしまった。
この固定も音質によい影響を与えたようである。

誰もが小型タンスのような巨大スピーカーを据え付けた部屋でスピーカー中心にゆったりと座って映像・音楽を楽しめるわけではない。
結論としては、我が家のようなとてつもなく狭いウサギ小屋で、楽しくDVDを観て、そこそこ良い音でオーディオを楽しむためには、このシステムはかなりお奨めといえるだろう。
(MDデッキを追加するのはほぼ必須になるが…。できれば品質の高い密閉式のヘッドホンも同時にそろえることをお奨めする。)

ただし、同社の他製品や他社製のTV等も全て含めコントロールできるという巨大なリモコンは、はっきり言って使いにくいことおびただしい。
(そもそも直感的にどこを押したらいいのか分からない…。ファンクション切り替えでさえ大混乱である。なんとかしてくれー!)

▽次へ続く…

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