愚行連鎖 WorksGBの道具達-39

番外:続 Poorman's Audio/Video…の巻

WorksGBの道具達-23(2000.6.)で

5.1サラウンドには少なからず魅力はあるが、部屋中ケーブルを引き回さなければならないのはちょっと…

だいたい、どこの試聴室で聞いてもAVサラウンドシステムの音は、異様に低域がブーミーなだけで、単に低周波振動さえ出ていればいいと思っている節すら感じられる。
かつて言われた“ドンシャリ”なんてぇかわいらしいモノでは既にない。
あれがいい音なんだとしたら、オーディオ趣味なんて恥ずかしくて言えないぞ。
(ちなみに、私は“オーディオ趣味”は持っていない。耳障りでなく音楽が楽しめれば何でも良いのだ。)

それに日本家屋でそんなに思い切った音を出してオーディオ/ビデオを楽しむのは難しい…

等とつらつら愚痴じみたことを書いているが…

やっぱり、「一寸は本気でお家で映画」したいっ!



我が家の狭い居間(ダイニングキッチンなどと格好良く言われるが、要するに台所)には、遥か昔、大学を卒業した時からずっと使っているTechnicsのClassAAアンプを核としたアナログ・アナクロ・システムがある。
スピーカーは古の名器25cmウーハーのリニアフェイズ2Way。アンプだけでも巨大で、スピーカーに至っては今となっては一般人にとっては信じられない場所塞ぎ。
(良い音はするんだけどなぁ…)

ONKYO X-A7X 自室(巣穴ともいう)では、…Monologue…(独り言) 2002.7.11.でも書いたようにコンパクトコンポを使っているが、カミさんにとっては、この小さなセットと下階の馬鹿でかい箱の集団との差はどうしても理解できないらしい…
「これと、あれ、小さい方が機能が上なんでしょ」
「数万円のミニコンポだってちゃんと音楽聴けるのよねー…」
ま、確かにそうなのではあるが…



まぁ、典型的なウサギ小屋、土一升金一升の都内に住む身としては、もう全く反論の余地がない。
…と言いつつ、ここで邪悪な策略を巡らすのであった…

「解った。あのでかいステレオは処分しよう。その代わり、超小型のサラウンドDVDシステムの廉いの探すから…」

提案はこれである。


D-M51DVS ステレオなのにサラウンド「フロント完結型」 D-M51DVS
DOLBY VIRTUAL SPEAKER
フロント2chとスーパーウーハーのシンプルな構成で5.1chと同等の臨場感を実現する。

カミさんを店頭へ連れてゆき、現物を見せる。


DOLBY VIRTUAL SPEAKER 「ほら、こんだけ!小さいでしょ?」

「その上ね、普通は後ろにもスピーカー置かないとイケないけど、これだけで立体音響で映画が見られるんだよー!」
「小さな本体だけでDVDもCDもFM/AMラジオもぜーんぶ、行けるんだよー!」
「廉くなったでしょー!」
カミさんが揺れた…
押しまくった…



DMD-M31 もちろん、MDデッキもこそっと発注してしまったのは言うまでもない。

いなくなった巨大スピーカーと真っ黒くクソ重い只のアンプ、でかい柄のくせにラジオを受信するしか能のないチューナー…
跡地にスマートなチェストを設置したカミさんはそこそこ御機嫌である。


他にもっともっと廉いDVDシステム・ステレオもあったのだが…

トップメーカーの、そこそこの価格帯のシリーズ。デザインも悪くないし、作りや各部の操作感はかなり上質である。
本体のパネルやスピーカー・エンクロージャの質感もなかなか良い。

さて、セッティングをしながら、まずはCDを聴いてみる…

…ん?なんだこりゃ???

愕然である!
以前、ONKYO X-A7Xを手に入れた時には、こんな小さな筐体で、こんなに気持ちよい音が出るとは…と驚愕したのだが、今回は全く逆であった。
なんなんだ、この音は!
低音がだぶついている、と言うイメージではないのだが、やたらバスドラムの音ばかり明確に聞こえて、ベースの音が、そのフレージングすら判別できないのだ。
それどころか、中音域がすっぽり抜けてしまったような…これは困った。
中音域がきちんと出ないとダブルベースの音や色っぽいシンガーの歌が聴けないではないか!
これは、かつて忌み嫌われた“ドンシャリ”等という可愛いモノではない。
最低音部と高音部だけは異常にクリア、各音域の個別音質は悪くはないなだけに、これは少々困惑してしまう。

その後DVDを何枚か見て(聴いて)みたが、DVDに関しては、盤によって恐ろしく音作りが違うことがはっきりと解った。
最近の音楽ビデオクリップの様なソフトで5.1ch録音のモノはそこそこ(それでもかなり極端)に聴くことができる。
映画のソフトであっても、効果音が重要になるような作品は確かにそれなりに聞こえる。
音楽は…勘弁である。

このサイズ(5.7cm)のスピーカーで“気持ちよい音”を聞こうなどと思った私が馬鹿だった。

このシステムはそもそも“音楽好き”対象ではないのだろう。
「どっかん!ばりばり!ずしん!」を、小さな部屋でも楽しみたい“映画好き”のためのモノなのだと思う。
それではフロントスピーカーを大型に変更すれば良くなるか…というと、恐らく、サブウーハー前提のシステムではどこまで行ってもまともな音楽には向かないのではないかという印象を持った。

富田勲“惑星” バーチャル・サラウンドの効果は?って?
いや、いくら何でも、無いはずのところから音を出すのは無理でしょ?
確かに通常のステレオよりは数段広がり感はあるとは思うが…
それともこれもソフト依存が強いのかしら??
そもそも疑似スピーカーの発想はそんなに新しいモノではない。
私の知る限りでも'70年代アナログLPレコードの時代、既に富田勲の“惑星”では、何の追加装置もなく二つのスピーカーの外側に音が広がって聞こえる録音だった。
只のステレオであの広がり感…当時、大感動したモノである。
あれから30年、ソフトもハードも飛躍的進歩を遂げているはず。…だからと過大な期待を抱いてしまった私が悪いのか?

それとも、それとも、ドンシャリなのも音が後ろに回らないのも、これは私のセッティングが悪いのか?
でも、DSP(Digital Signal Processor)なんつぅクダらないモノは付いていてもイコライザは付いていない…
プロの録音にホールリバーブかけて聴いて嬉しいのか???

このクラスのセットだったら電源入れたらデフォルトでまじめな音出るようにしておけよなー!

そーいえば…
車の中で音楽、聴かなくなっちゃったなー…
お気に入りのCDやMDは沢山積み込んではいるのだが、純正カーステの音じゃちっとも楽しくない。
エンジンの唸りを聴いている方が気持ちいいのだからもう何を可をいわんや。

P.S.
スターウォーズ見るには…悪くない。
居間では殆どがDVDプレーヤーか小音量でのBGMとしての用途だから…ま、いいか。


また…追記

DENONだってちゃんとした予算の範囲できちんとしたものを作ろうと思えば、それなりに良い製品を作れるメーカーだと思うので、きっと使用環境や聴く音楽が、メーカーの想定外だったんでしょう。残念でしたね。
と、H氏に諭されてしまった。
あ゛、もちろんです…

DENON:デンオン(最近デノンに改称したようだが…)だって世界に誇るトップメーカーなのだから…

誤解を招くといけないので明言しておくが、決して
ONKYOの方が優れていてDENONが悪いと言うことではない
あくまでも、ミニマム・AV(ホーム・シアター)システムで「音楽を聴こう」とした私が悪いのである。

今回のセットだって、センターユニットその物は決して悪くないので、バーチャル・スピーカーを諦めて、“まともなスピーカー”つないで2chで鳴らせば、それなりにちゃんとした(音楽的な)良い音になるのだと思う。
どう見てもこのセットの組み合わせ思想…特にフロントスピーカーは、スペースセービングが趣旨以外の何物でもない。
スーパーウーハーとフロントスピーカーのクロスオーバー周波数は150Hzに設定されており、きっかりと受け持ち周波数を分割しているようだが、そもそもこのフロントスピーカーの5.7cm程度のウーハーで150Hz辺りの一番豊かな音域を再生しようと言うのが無理難題である。(ウッド・ベースやボーカルの一番おいしいところなんだけどね)

しかし、このままでもヴィジアルの効果音としてはかなり水準は高いと言っていいだろう。
私の感想は、あくまでも主用途外だったと言うことで…
私が不快に思った音質も、逆にビート優先のダンスミュージックなら充分に“可”と言うことになるのかも知れない。
(最近流行の音作りだね…こればっかりは好みの問題だからなぁ…)
10万円以下で後方スピーカー設置の余裕がない小規模ホームシアターを構築したい方、ビート感飛びまくりがお好みの方にはお奨めである。(ブラウン管TVならそこそこ大きなモノが予算内で同時購入できるはず。バスドラの音は…これだけを聴くなら、かなり良い)

スズ虫 また、これはソースを選ぶシステムであることも確かなようだ。試聴に使った音源は、たまたま手元にあった発売されたばかりのPE'Zの“スズ虫”。これでは惨憺たるモノだったが、逆にあまり新しくない録音のモノだとそれほど酷くない。
DENONブランドの名誉のために、PE'Zの録音はCDではなくあの“最悪”なCCCDであった事も申し添えておく。

勘違い!ごめん!

CCCDなのは“九月の空 -KUGATSU NO SORA-”の方で、この“スズ虫”は一応、CD規格に準拠した録音+CD-Extra(画像入り)であった。どちらにしても自分では絶対にCCCDなんか買わない。これは両方とも息子の部屋にあったモノ。演奏は悪くないんだけどね…


▽次へ続く…

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