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決算!忠臣蔵

決算!忠臣蔵

監督 中村義洋
脚本 中村義洋
出演 堤真一/岡村隆史/濱田岳/横山裕/荒川良々/妻夫木聡/大地康雄/西村まさ彦/木村祐一/小松利昌/沖田裕樹/橋本良亮/寺脇康文/鈴木福/千葉雄大/鈴鹿央士/荻野由佳/上島竜兵/堀部圭亮/山崎一/波岡一喜/宮本大誠/芦川誠/山口良一/近藤芳正/桂文珍/村上ショージ/板尾創路/滝藤賢一/笹野高史/竹内結子/西川きよし/石原さとみ/阿部サダヲ
音楽 高見優
原作 山本博文:「忠臣蔵」の決算書(新潮社)
製作年 2019



年末である。
年末と言えば忠臣蔵。
カミさん、誕生日が討ち入りの日なので忠臣蔵が大好きである。(本人談)
まぁ、大抵の日本人は忠臣蔵が好きなのではあるが…

もう、9年も経つのだが、『武士の家計簿(2010)』を彷彿とさせる作品である。
物語ではなく、研究書を原作としている点も同じ。

忠臣蔵、とは言え「討ち入り」シーンが重要ではない(と言うより本作には「討ち入り」シーンはない)作品では、やはり9年前の『最後の忠臣蔵(2010)』もそうであった。(こちらには「討ち入り」シーンはあるが、必要シーンであっても重要シーンではない。)
『最後の忠臣蔵(2010)』は正直に言うと、観る前はそれほど期待してはいなかった。
しかし、この一風変わった忠臣蔵では「ぶれない、ヒトとしての生き方。」それに身震いする程感動した。最上クラスの時代劇であった。

本作は…
コメディである。

超高速!参勤交代(2014)
超高速!参勤交代リターンズ(2016)
引っ越し大名!(2019)

等、昨今増えた時代劇喜劇である。

何となく、印象が…とおもったら、監督・脚本が『殿、利息でござる!(2016)』と同じ人なのであった。

討入りするにも予算が必要!?その総額、なんと9500万円! 赤穂浪士の本当のミッションは“予算内に討ち入ること”だった!

最初から作品コンセプトは分かっていたので、「討ち入り」がない忠臣蔵でも充分に満足できた。
討ち入りがなくてもぞくっと血が騒ぐシーンはあるしね。

物語は“ほぼ”史実に基づいて描かれるが、興味深いのは登場人物がのキャラクターが今まで描いていた「忠臣蔵」とはかなり異なると言う事、コメディでありながら、岡村隆史はほとんど笑いを担当していないこと。
忠臣蔵と言えば映画屋さんが力を入れる総力作品になるのだが…これもまたオールスター映画ではある。(吉本の臭気が強すぎるのが気になるが)

原作は東京大学史料編纂所の山本博文教授の著作で金勘定はすべて史実。
自ら電卓をたたいて計算しつつ脚本を書いたと言う中村義洋監督、新潮新書の言うなれば学術研究用「史料」からこのコメディを作り上げた監督の手腕は大した物だ。

しかし、あの『マル・マル・モリ・モリ!』の福くん、大きくなったねぇ。でも、大石主税にしちゃ幼すぎないか?
と…実は福君もう15歳。
大石主税は旧赤穂藩士達から誓紙血判状を受けて義盟に加わった時元服なので、丁度同じ位なのだ。
ううむ…

チャンバラを期待する向きにはお薦めしないが、これはまた良作である。
最近、邦画、頑張るなぁ。


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