GBのアームチェアCinema見ist:殿、利息でござる!

殿、利息でござる!

殿、利息でござる!

監督 中村義洋
脚本 中村義洋/鈴木謙一
原作 磯田道史「穀田屋十三郎」(『無私の日本人』文春文庫所収)
出演
阿部サダヲ/瑛太/妻夫木聡/竹内結子/羽生結弦/松田龍平/寺脇康文/きたろう/千葉雄大/中本賢/西村雅彦/草笛光子/山崎努/(ナレーター)濱田岳
主題歌 RCサクセション「上を向いて歩こう」
音楽 安川午朗
製作年 2016


カミさんが見たい、と言うので…

劇場で何度か見た予告編ではドタバタ・コメディの様だったし、なんだかジャニーズ系?の美少年が何人か出ているので、その手か、まぁ笑ってやるかと、出かけたが…

いや、予想を違えて、これは…
良作だ。想像以上の。
確かにコミカルなタッチで描かれているが、中身は至って大真面目。「胸熱」なハートウォーミング・ストーリー。

町人百姓達の物語。
長回しのシーンが多く派手なアクションはなく、時代劇だが、抜き身の刀は出てこない。役者の力量が物を言う作劇だが、俳優陣が本当に実力派揃いで、実に良い。

話題作りだと思っていた殿様役の素人さんも、違和感なく登場。
なかなかそれらしくて良いんじゃない?
(サプライズ出演…にしておけば良いのに、予告やCMでガンガン露出しちゃってるのね)

阿部サダヲありきの演出ではあるが、助演陣の存在感がみな凄い。

松田龍平のいやらしさが凄い、竹内結子がいい女で凄い、妻夫木聡の物静かさが凄い、きたろうと西村雅彦の立ち位置が凄い、草笛光野のおっかさんが格好良くて凄い、そして何より山崎努の途轍もない存在感が凄…過ぎる。

主演の阿部サダヲは必須だろうが、本作は山崎努がなければ成立しなかった作品だろう。
音楽に安川午朗とクレジットされているが、見終わって、さて本編中劇伴流れていたっけ?全く記憶が無い。
映像に没頭出来た作品と言う事で、それはある意味“優れた劇伴”と言えるのかも知れないが…それで良いのか?

エンドロールで忌野清志郎。
最近の邦画に良くある“とってつけたようなエンディング・テーマ”だが、本作に限ってはこれはなかなか良いのではないかと思う。

お話は実話だという。
かつて「無私の心」で生きていた人々がいた。
そして、今は…

全体的にほぼケチのつけようがない作品だが、予告編やCM、あそこまでおちゃらけなくても、これは充分イケる心温まる物語だと思うのだが。



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