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おめでたき日々

(2003年5月)
今月のことば:憲法週間


2003年5月30日

●「勉強勉強勉強」に「有三・乱歩・実篤」を追加

Yahoo!地域情報の中に、実篤記念館のページもあった(すごい)。記念館のホームページのURLが古いままだったが、電車の乗り継ぎ(つつじヶ丘駅)や地図、調布の天気も参照できるのは便利。今度武者組からもリンクを張っておこう。

●雑誌の目次の著作権が気になったので、少し調べてみた。『編集者の著作権基礎知識[第四版]』(豊田きいち著、日本エディタスクール出版部)(→Amazonでこの本をさがす)によると、「記事の掲載ページを素直に示したものは、独立の著作物といえないであろう。」「ごく単純な目次―誰がつくっても同じになる目次は非著作物である。」とある。一方、美術的な意図や構成的なものを持つと著作物の性格を持つという考えが示されていた。これに照らして、武者組の例は問題ないと判断し、これからも同様の目次は掲載していくことにする。

2003年5月27日

実篤・リーチの割箸

ただきんやさんのコレクションルームというWebページで、我孫子の蕎麦屋の箸袋に実篤とリーチを発見した。「鈴木屋本店」の割箸で、バーナード・リーチの“手賀沼我孫子”のカットと、実篤の「或る男」の一節が載っている。同Webページの写真によると、「夕日が雲に反射して、それが手賀沼を金色に染めた。人々はその美におどろき、又興奮した。」とある(「或る男」が「域る男」になっているのはご愛嬌)。
鈴木屋本店のホームページを見るとちょっとお高そうではあるが、近くまで行った際にはのぞいてみるのもいいかもしれない。


●ソフィー・マルソー主演の「アンナ・カレーニナ」(バーナード・ローズ監督、1997)がまたTVで放映される。今度は5月30日(金)3:07〜4:55、テレビ朝日。しかし以前も紹介したことがあるし、2ちゃんねるのトルストイスレッドでも

ロシア版>>>>ビビアン版>>ガルボ版>>>>>>>マルソー版

という評価をした人もいたので、あえてメールニュースにはせずに、ここで告知するのみとする。

2003年5月23日

細川護熙「晴耕雨陶」

小学館から「やきものを楽しむ」(毎週火曜発売)という分冊百科が出ているが、その中で細川護熙氏が「晴耕雨陶」というコラムを連載している。第1話(創刊号)で、彼のことをかわいがっていた祖父の細川護立が「人物論を読むことと、当代一流の人に会うことが大事だ」として、護熙氏に吉田茂や横山大観などを会わせて、その風圧、威圧感を直接肌で感じさせたというエピソードが紹介されていた。
●また「本の窓」2003年5月号(小学館)にも文章を寄せているが、その中でも祖父のところから高校に通っていたとも書いていた。また、父(護貞)には素読を叩き込まれたとある。小学校に上がるころから「論語」や「古文孝経」、「万葉集」や「古今和歌集」を暗記させられたそうだ(「“晴耕雨陶”のこころ」)。
●今住んでいる湯河原の家は、母方の祖父近衛文麿が建てたもので、とさらっと書かれると、当時は知らなかったがすごい家系の人を首相に据えていたのだなと思いつつ、そんな彼の祖父と親しく借金を重ねた実篤もなんだかすごい世界の人なんだなと思ったりする。
●その細川氏も銀座・壷中居で個展を開催とのこと(5月20〜24日)。壷中居といえば、実篤も個展を開いたところだ。素人だがちょっとしたものを創るという受け入れられ方といい、実篤もこんな感じだったのかなとちょっと思う。

雑念センサー・0523

「BRUTUS」5/15発売号(マガジンハウス)は、書店特集。おしゃれな店ばかりでほとんど収穫はなかったが(高円寺文庫センターはメモ)、おすすめ書店の中に「実篤のブックカバー」の文鳥堂赤坂店が入っていた。小さな店だが棚から最近の流行が読める店とのこと。私も通りかかったときにはたまに寄るが、ふつうの町の本屋風に見えて、興味を引いて手にとる本が必ず何冊かある良い書店だ。

小田光雄『書店の近代』(平凡社新書)もちょっと気になる。円本のところでは、藤村が書店の喧騒を見ながら子供等に印税を分配する小説が紹介されていて興味深かった。実篤はそれを「分配」しないで使い切ってしまったのだよなぁ。村に分配したと言ってもいいのかもしれないが。

『柳宗民の雑草ノオト』(毎日新聞社)。スケッチと簡潔な説明が読みやすい。奇をてらわず特徴から故事まで丁寧に紹介するさまは、安心して読める。こういう雰囲気は兄・宗玄の美術紹介にも共通するのではないだろうか。学者気質というか、それだけではない親しみやすさもあるが、オーソドックスな安定した書き方。遠く父・宗悦の雰囲気も想像してみる。

「文學界」5月号(文藝春秋)に、武藤康史が朗読CD/カセットのレビューを書いている。めずらしい企画だし、めったに聞けない実篤作品の朗読も2作だか載っていた。後日図書館で借りて読もう。


●今年の有島特集と同じフォーマットで、去年の「国文学」の志賀直哉特集の目次もつくってみた。

●「武者組“あるね”ニュース」発行。

○ [講座] 実篤記念館で「作ってみよう」(梅ジャム作り)
○ [講座] 協力ボランティア講座(実篤記念館)
○ [新刊情報] 里見とん^『初舞台・彼岸花』(講談社文芸文庫)

2003年5月20日

●「武者組“あるね”ニュース」発行。

○ [白樺発見] 「世界美術館紀行」ゴッホ美術館〜家族への贈りもの〜
○ [白樺発見] ゴッホ効果で、中川一政美術館の来館者増
○ [次回展示] 「ちば・ふるさと学セミナー」

2003年5月16日

吉田戦車『吉田自転車』

●マンガ家の吉田戦車は、調布に近い世田谷区に住んでいるらしい。エッセイ『吉田自転車』では、愛車ナイスバイク号に乗って、調布・府中・三鷹・新宿と訪ねる様子が描かれている。もともと「Web現代」で連載していたもので、第1話はまだWebで公開されていて、仙川(せんかわ、多摩川の支流。センガワと濁らない)の写真も出ている。
●たしかに調布近辺は自転車には最適な土地だと思う。川沿いにサイクリングロードもあるし、適当に平地だし、農地もあって空気も比較的きれいだ。この本を読んでいつかMTBを買ってやるぞと心に誓った。
●それにしても調布は水木しげる、つげ義春、桜玉吉、そして吉田戦車と脱力系マンガ家に縁があるのだろう。

●これだけだと単なるご近所ネタで終わってしまうのだが、もう一つ「武者組」的には 「ほぼ日」に連載している「吉田戦車エハイクの世界。」につけられた「21世紀の武者小路実篤になるかもよ?」というコピーが気になったりするのであった。こちらはゆるやかに注目。

大山王国

●鳥取県の大山を中心にした「大山王国」というガイドブックがある。それに関連して、同じく「大山王国」というホームページがあった。きれいにつくられていて、観光情報が掲載されている。中でも「大山王国情報」の中の「大山百景フォトギャラリー」には美しい写真がある。「暗夜行路」の云々とかを一切抜きにして、ほんとうに美しい山だ。
●ほかにも「砂丘王国」「温泉王国」「カニ王国」など、鳥取県全域をカバーしていろいろな王国があるようなので、インターネットだけででもぐるっとまわってみるのもおもしろいかもしれない。
●いやー、ネーミングには脱帽>○○王国。なお、この情報は、メールマガジン「とっとり雑学本舗」から得た。鳥取県に興味を持たれた方にはおすすめする。

●「武者組“あるね”ニュース」発行。

○ [新刊情報] 「国文学」6月号は有島武郎特集
○ [次回展示] 邦楽アンサンブル〜新緑の実篤公園にて〜(詳報)

2003年5月5日

●「武者組“あるね”ニュース」発行。

○ [次回展示] 邦楽アンサンブル〜新緑の実篤公園にて〜
○ [次回展示] 文学コンサートin実篤記念館
○ [次回展示] 講座「実篤に挑戦!〜筆と墨で絵をかこう」

2003年5月3日

「日本民藝館 Virtual Tour」というものが公開された。民藝館の内部を写真に撮って、それを見学者の移動方向に合わせて重ね合わせたもので、「多次元フォトコラージュ」という技術が使われている。なかなか思うような方向に移動できなかったり酔うような感じになったりと、不思議な体験ができる。民藝館に行ったことがある方にもない方にも、一度体験されるのをおすすめする。

白樺文学館の「白樺だより」(54.第23回面白白樺倶楽部開催報告)は、小林多喜二に関する講演だった。多喜二と志賀の関係はこれまでも聞いたことがあるが、最後に紹介されていた多喜二が実篤の「友情」や「おめでたき人」などを見直し、そのひたむきさを高く評価していたというのは初めて知った。また、そのことをきっかけに同館で購入した実篤「作成」のブロンズ「手」の写真が紹介されていたが、淡彩画、油絵だけでなく、ブロンズまで作っていたとはこれまた初耳だった。いつ頃どんな経緯でつくっていたのだろうか。珍品の部類に入るのではないかと思う。
●小林多喜二と白樺派というのは従来対極と考えられてきたと思うが(たとえば、プロレタリア文学・芸術研究連盟の小林多喜二特集の「座談会4」)、今年(2003年)生誕100年を迎えてどんな研究が発表されるか、楽しみにしたい。
●生誕100年といえば、南伸坊が「南伸坊の20世紀記憶術 第2回」(本の話」2003年2月号、文藝春秋)で1903(明治36)年をヤケクソめいてこう書いている。

 今年2003年は、小津安二郎生誕百年にあたるので、これを記念して数々のイベントが予想されるのである。ということはこの年の同い年の人々、つまり『攻撃』のコンラート・ローレンツも、古川ロッパも、棟方志功も小林多喜二も、今年生誕百年なのだった。(中略)しかし、生誕百年のイベントというものは、実は毎年あるはずなのだ。いつだってその年は、ちょうど百年前に生れた人の生誕百年にあたるのだった。

●略した部分には、サトウ・ハチロー、鞍馬天狗のアラカン、滝口修造、『1984』のジョージ・オーウェル、ハチャトゥリヤン、ビング・クロスビー、フォン・ノイマン、山本周五郎、三角寛、森茉莉、林芙美子、「メグレ刑事」のジョルジュ・シムノン、小磯良平、草野心平、林房雄等々が列記されている。そう考えるとのんびりと生誕百年を迎えられそうだ。

青空文庫で寺田寅彦の「コーヒー哲学序説」をちょっと読む。冒頭部に「もっともそのころでもモダーンなハイカラな人もたくさんあって、たとえば当時通学していた番町小学校の同級生の中には昼の弁当としてパンとバタを常用していた小公子もあった。」という一節を見つけ、寅彦も実篤と同じ番町に住んでいたことを知った。実篤は小学校から学習院に通っていたので、学校は違うが。

2003年5月2日

トップページに「武者組」検索ウインドウを追加。しばらくテストしていたが、動作に問題がないと思うので正式公開。何か挙動がおかしいところがあれば、お知らせいただけると助かります。

●昨日のメールニュースで、リーチの命日を5月6日としたが、他の資料で確認していなかったので、少し調べてみた。そもそも白樺文学館のWebページじたいが「5月6日月曜日」としているのだ(本当は5月6日は火曜日、文中「連休明け」となっていたので曜日より日付を信用した)。
●たとえば「HAPPY BIRTHDAY'S CLUB:今日の出来事」では、「1979年5月7日」をリーチの命日としているが、昨年3月の産経新聞のスクラップ(「この国に生きて 異邦人物語 バーナード・リーチ【東と西 巡礼の陶工】美を追い求めた祈りの人)によれば、亡くなったのは「5月6日」だ。ここはWebのリストよりも新聞記事のほうが正しいと考え、5月6日を採用する。手軽なのでWebをつい重用しがちだが、複数の人の目を経た紙メディアの方が信頼性が高いことを再認識すべきだ(誤りもあるが確率は低い)。

●「武者組“あるね”ニュース」発行。

○ [開催中] 「特別展 芹沢けい^介の世界」(日本民藝館)
○ [白樺発見] 奈良の志賀直哉旧邸にツツジ咲く
○ [開催中] 「特別展 尾崎一雄・20年目の回想」(南足柄市郷土資料館)

2003年5月1日

●「武者組“あるね”ニュース」発行。

○ [白樺発見] 春陽会の歴史を振り返る北岡氏の寄稿
○ [開催中] 第80回記念春陽展(東京都美術館)
○ [白樺発見] 「おもいっきりテレビ」にリーチ登場
○ [開催中] 生誕記念菓子企画展「武者小路実篤展」開催(源吉兆庵銀座店)

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