不動産 fudousan.html

持分のみの訂正(所有権更正登記)

例えば、夫婦でマンションを購入、出資割合をあまり細かく考えずに、持分を夫2分の1、妻2分の1にしたところ、税務署から贈与税の課税の可能性を指摘されました。そこで、持分割合をマンション購入資金の出資割合に訂正する場合があります。

(マンション購入に際して、購入代金を夫が5分の4、妻が5分の1出資しているのに、マンションの持分を2分の1ずつにすると夫から妻へマンションの10分の3を贈与したとみられます)

持分の決め方 motibunwariai.htm(参考)

登記名義の持分夫2分の1、妻2分の1を、夫5分の4、妻5分の1に訂正するなどの持分のみの訂正の登記(所有権更正登記)は、単独所有から共有、共有から単独所有へ訂正する場合と異なり、金融機関の抵当権が付いていても、その金融機関の承諾書は、登記の際不要であり、また中古物件で前所有者が関係してくるということもありません。参考 shoyuukenkousei.htm

(登記には抵当権者(金融機関)の承諾書は不要ですが、抵当権者(金融機関)と、持分訂正に関して事前に相談はしておいた方がいいでしょう)

この登記を本人(共有者)が申請する場合

お近くの司法書士に依頼すれば確実に登記ができますが、単純に、出資割合の勘違いで思わぬ贈与税が課税されてしまうというのを回避するためであり、また共有者間で利害の対立がない場合(夫婦など)で、この登記(持分のみの訂正)を(手間暇がかかっても)勉強のため自分でやってみたいという人のために以下手続を説明します。

所有権更正登記(持分のみの訂正)の申請の仕方

申請書(1例)

以下の事柄をB4サイズの用紙(通常のコピー用紙でかまいません)に縦書き(用紙は横長にして)で記載します(ある程度常識的に上下左右余白をとってください)。そして、二つ折りにしてB5サイズにします。

登記申請書

登記の目的 何番所有権更正

錯誤

更正後の事項 酒井篤治持分 五分の四 酒井優衣持分 五分の壱

権利者 宝塚市山本東三丁目弐番四―六○四号 酒井篤治

義務者 宝塚市山本東三丁目弐番四―六○四号 酒井優衣

添付書類 申請書副本 登記済証 印鑑証明書

平成壱壱年参月壱壱日申請 神戸地方法務局宝塚出張所

登録免許税 金弐千円

不動産の表示(敷地権の表示のされたマンションの例です)

一棟の建物の表示

宝塚市山本東三丁目壱五番地弐

建物の番号 アクセス宝塚

(建物の番号がない場合は、構造・床面積もきちっと記載する必要があります)

専有部分の建物の表示

家屋番号 山本東三丁目壱五番弐―六○四

建物の番号 弐―六○四

鉄筋コンクリート造一階建

六階部分 六八u七参

敷地権の表示

所在及び地番 宝塚市山本東三丁目壱五番弐

八参四六u九六

敷地権の種類 所有権

敷地権の割合 壱弐参四五分の弐参四

(マンションでない不動産の表示の例)

不動産の表示

所在 西宮市上田中町

地番 壱弐参番五

地目 宅地

地積 壱弐六u九九

 

所在 西宮市上田中町壱弐参番地五

家屋番号 壱弐参番五

居宅

木造セメント瓦葺二階建

床面積 一階 四九u○○

二階 四五u○○ 以上

注意事項

数字は多角文字を使用してください。壱・弐・参・四・五・・壱○・壱壱・・

目的は、「何番所有権更正」となり、訂正する所有権を順位番号で特定します(登記簿謄本で甲区の訂正すべき所有権のところを確認して下さい)。新築マンションの場合は、通常「壱番所有権更正」となります。

原因は、「錯誤」となります。

更正後の事項は、訂正後の持分を「だれそれ持分 何分の何・だれそれ持分 何分の何」と記載します。訂正後の持分割合は、出資割合に関して、税務署と相談の上、決定してください。

権利者は、持分が増える人で、不動産の共有者の一人です。住所と氏名を記載し、押印します(実印である必要はありません)。住所と氏名は登記簿上記載されているものと同じでなければなりません。

義務者は、持分が減る人で、不動産の共有者の一人です。住所と氏名を記載し、実印で押印します。住所と氏名は登記簿上記載されているものと同じでなければなりません。もし登記簿上の住所と現在の住所(印鑑証明書の住所)が異なる場合は、住所の変更登記(所有権登記名義人表示変更登記)をしてからこの登記をすることになります。参考 meigihen.htm

添付書類は、この申請書と同じもの(コピーでかまいません)−申請書副本と、登記済証として、権利書、そして、義務者(持分が減る人)の印鑑証明書(作成後3ヶ月以内のもの)を添付します。申請書副本には押印は必要ありません。

申請年月日は、法務局へ申請書を提出する日を記載します。そして具体的に提出する法務局を記載します。

登録免許税は不動産1個につき1000円です。「金壱千円」「金参千円」と記載します。

例のように敷地権表示されているマンションでは、登録免許税は、敷地権の対象の土地を含めて不動産は2個として金弐千円になります。敷地権の対象の土地が2個であれば金参千円、3個であれば金四千円となります。

不動産の表示は登記簿のとおりに記載してください。

申請書の訂正は、二重線で消し、訂正個所に押印をしておいてください(権利者・義務者両者の押印が必要です)。

この申請書が1枚目で、2枚目にB5の用紙をつけて、それに登録免許税額の収入印紙を貼ります。消印はしないでください。そして申請書と2枚目のB5の用紙との間に割印をしてください。印鑑は申請書に押印したものと同じものを使用します(権利者・義務者両者の印鑑を押印してください)。

1、申請書(申請書が2枚以上になった場合は、割印をしてください)二つ折りにしてB5版

2、収入印紙貼付用紙(収入印紙は消印しない)B5版

3、印鑑証明書(持分が減る人のもの)作成後3ヶ月以内のものを添付します

1と2の間に割印をする

以上の1、2、3をまとめてホッチキスでとめます。

そして申請書副本(申請書と同じもの)と権利書(所有権の登記済証)は、上記のものといっしょにホッチキスでとめずに、クリップがなにかでいっしょにして法務局に提出します。

この申請書副本と権利書(所有権の登記済証)は登記が完了すれば、法務局で印が押されて、返還されるものです。

法務局の登記申請のカウンターに申請書を入れるものがあると思いますので、それに入れて提出します。

法務局に登記相談などがあれば、提出前に見てもらうのもいいかと思います。補正日が掲示されていますので、その日を確認し(権利の補正日です)、その日に、登記ができているか法務局で確認してください(この時、申請書に押印した印鑑を必ず持っていってください)。できていれば、添付した申請書副本と権利書(所有権の登記済証)に印が押されたものが渡されます。補正があれば、登記官の指示にしたがって訂正することになります。

登記が完了していれば、登記簿謄本(事項証明書)をとって(1通 1000円)間違いなく登記されているか確認してください。

以上で終了です。法務局へは最低2回、行くことになります(申請の際と補正日)。原則、手続は共有者全員でおこなうことになります。

返還された申請書副本(持分更正の登記済証)と権利書(所有権の登記済証)は、大切に保管しておいてください。

注)事案によっては、手続が異なる場合もありますので、その際は、お近くの司法書士にご相談下さい。

贈与税等の課税の問題は、税務署などでよく相談してください。

参考 本人でできる登記シリーズ masshou.htm(抵当権抹消) meigihen.htm(住所変更)