不動産 fudousan.html

抵当権抹消登記(住宅ローンなど)

ローンの支払いが終了すれば、金融機関から抵当権抹消書類として次のものが交付されます。

1、抵当権設定契約書(抵当権設定の登記済証)―登記済みの印が押されてある

2、金融機関の代表者の資格証明書(作成後3ヶ月以内のもの)―法務局が証明発行したもの

3、委任状

抵当権の抹消は司法書士に依頼するのがいいと思いますが、ある程度登記手続の知識があり、勉強のため自分でやってみたいという人のために以下手続を説明します。以下のケースは、一番一般的、簡単なケース(申請書副本でする場合)で、これにあてはまらない場合もあります。その際は、お近くの司法書士へ相談してください。

抵当権抹消登記を本人(所有者)が申請する場合(一番一般的で簡単なケースで)

まず、対象となっている不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)を取ることを薦めます。

(コンピュータ化されている法務局にあっては、登記簿謄本は登記事項証明書といいます)

抵当権抹消登記の申請の仕方

申請書

以下の事柄をB4サイズの用紙(通常のコピー用紙でかまいません)に縦書き(用紙は横長にして)で記載します(ある程度常識的に上下左右余白をとってください)。そして、二つ折りにしてB5サイズにします。

登記申請書

登記の目的 抵当権抹消

平成壱○年壱○月壱弐日 弁済(保証会社の場合は「主債務消滅」)

抹消すべき登記 昭和五五年六月壱日受付第六六壱参号抵当権

権利者 西宮市上田中町壱七番弐四―弐○七号 酒井篤治

義務者 東京都文京区後楽一丁目四番壱○号 住宅金融公庫

添付書類 申請書副本 登記済証 代理権限証書 資格証明書(原本還付)

平成壱○年壱○月参○日申請 神戸地方法務局西宮支局

義務者代理人 西宮市上田中町壱七番弐四―弐○七号 酒井篤治

登録免許税 金弐千円

不動産の表示

所在 西宮市上田中町

地番 壱弐参番五

地目 宅地

地積 壱弐六u九九

 

所在 西宮市上田中町壱弐参番地五

家屋番号 壱弐参番五

居宅

木造セメント瓦葺二階建

床面積 一階 四九u○○

二階 四五u○○ 以上

注意事項

数字は多角文字を使用してください。壱・弐・参・四・五・・壱○・壱壱・・

原因は、「年月日弁済」か保証会社の場合は「年月日主債務消滅」(もしくは年月日解除)になるのが一般的です。弁済が完了した日付を記載します。

抹消すべき登記は、抹消する抵当権の設定登記の受付年月日と受付番号を記載します。抵当権設定契約書(抵当権設定登記済証)に登記済印が赤で押印されているので、その日付と番号です。

権利者は不動産の所有者(本人)で、住所と氏名を記載し、押印します(実印である必要はありません)。住所と氏名は登記簿上記載されているものと同じでなければなりません。共有の場合、両者の住所・氏名を記載します。登記簿上の住所などが変更している時は、抹消登記をする前に、その変更登記が必要になる場合があります。参考 teimameihen.htm meigihen.htm

義務者は金融機関、保証会社 等。

添付書類は、この申請書と同じもの(コピーでかまいません)−申請書副本と、登記済証として、抵当権設定契約書(抵当権設定登記済証)、代理権限証書として委任状、資格証明書を添付します。申請書副本には押印する必要はありません。

添付書類の資格証明書は金融機関の方で原本還付を要求してくる場合が多いので、その場合は、コピーして原本は別にして、添付します。登記が完了すれば、原本は金融機関へ返還します。

金融機関の本店などが抵当権設定時と現時点で異なる場合は、その変更証明書が必要で、それがプラスされる場合があります−変更証明書として登記簿抄本があると思いますので、それも添付します。hennkoushou.htm 申請書の添付書類に「変更証明書」を付け加えます。申請書の義務者の欄に記載するのは、現在の商号本店です。資格証明書と同様原本還付することができます)

申請年月日は、法務局へ申請書を提出する日を記載します。そして具体的に提出する法務局を記載します。

義務者代理人として本人(不動産の所有者)の住所・氏名を記載して押印します。

(申請書の「権利者」を「権利者兼義務者代理人」とした場合は、この義務者代理人の記載は不要になります)

登録免許税は不動産1個につき1000円です。「金壱千円」「金参千円」と記載します。

不動産の表示は登記簿のとおりに記載してください。抵当権設定契約書に記載されていますが、登記簿上のそれと違う場合もあります(抵当権設定後、増改築、土地の合筆分筆、町名変更などにより表示が変更されている場合があります)。

マンションの場合は以下のようになります(一例 敷地権表示されている場合)。

一棟の建物の表示

宝塚市山本東三丁目壱五番地弐

建物の番号 アクセス宝塚

(建物の番号がない場合は、構造・床面積もきちっと記載する必要があります)

専有部分の建物の表示

家屋番号 山本東三丁目壱五番弐―六○四

建物の番号 弐―六○四

鉄筋コンクリート造一階建

六階部分 六八u七参

敷地権の表示

所在及び地番 宝塚市山本東三丁目壱五番弐

八参四六u九六

敷地権の種類 所有権

敷地権の割合 壱弐参四五分の弐参四

このように敷地権表示されているマンションでも、登録免許税は、敷地権の対象の土地を含めて不動産は2個として金弐千円になります。

申請書の訂正は、二重線で消し、訂正個所に押印をしておいてください。

この申請書が1枚目で、2枚目にB5の用紙をつけて、それに登録免許税額の収入印紙を貼ります。消印はしないでください。そして申請書と2枚目のB5の用紙との間に割印をしてください。印鑑は申請書に押印したものと同じものを使用します。その後に添付書類の委任状と資格証明書をつけます。

1、申請書(申請書が2枚以上になった場合は、割印をしてください)

2、収入印紙貼付用紙(収入印紙は消印しない

3、委任状

委任状には、受任者として自分の住所・氏名を記載し、委任事項として、申請書で記載した「登記の目的」「原因」「抹消すべき登記」「不動産の表示」を記載してください。「不動産の表示」は土地であれば、地番まで記載して「の土地」、建物であれば、家屋番号まで記載して「の建物」と省略して記載することができます。そして日付を入れます。委任状の日付は、原因の日付と同じか、原因の日付よりも後の日付にしてください(原因平成11年1月24日弁済で、委任状の日付が平成11年1月23日ではだめです)。ある程度金融機関で記載されている場合もあります。委任状の記入は、訂正ができませんので注意してください。委任状1例 inin1.htm

4、資格証明書(原本還付の場合はコピーしたもの)

資格証明書を原本還付する場合は、コピーを添付するのですが、このコピーの方に「右は原本と相違ない」と書き、名前を記載して押印します。原本は、申請する際、窓口で「原本還付お願いします」と言って、係りの人に原本還付の手続をしてもらってもかまいません(係りの人が原本とコピーを見て、間違いないか確認すれば、コピーの方に印を押し、原本は返還してもらえます)。原本もいっしょに提出して、登記のできあがりの時に原本の還付をしてもらってもかまいません。

1と2の間に割印をする

以上の1、2、3、4をまとめてホッチキスでとめます。

そして申請書副本(申請書と同じもの)と抵当権設定契約書(抵当権設定登記済証)は、上記のものといっしょにホッチキスでとめずに、クリップかなにかでいっしょにして法務局に提出します。

(申請書副本と抵当権設定契約書(抵当権設定登記済証)は、まとめてホッチキスでとめておく)

この申請書副本と抵当権設定契約書(抵当権設定登記済証)は登記が完了すれば、法務局で印が押されて、返還されるものです。

法務局の登記申請のカウンターに申請書を入れるものがあると思いますので、それに入れて提出します。法務局に登記相談などがあれば、提出前に見てもらうのもいいかと思います。補正日が掲示されていますので、その日を確認し(権利の補正日です)、その日に、登記ができているか法務局で確認してください(この時、申請書に押印した印鑑を必ず持っていってください)。できていれば、添付した申請書副本と抵当権設定契約書(抵当権設定登記済証)に印が押されたものが渡されます。補正があれば、登記官の指示にしたがって訂正することになります。

登記が完了していれば、登記簿謄本(事項証明書)をとって(1通 1000円)間違いなく抹消登記されているか確認してください。

以上で終了です。法務局へは最低2回、前もって謄本を取る場合3回、行くことになります。

返還された申請書副本(抵当権抹消の登記済証)と抵当権設定契約書(抵当権設定登記済証)は、後でなにかに使用するというものではありませんが、念のため保管しておいた方が良いと思います。

注)金融機関から解除証書などの原因証書が送られてきている場合は、委任状の記載が「別紙登記原因証書たる平成 年 月 日付解除証書記載のとおり」となっていたり、すこし異なります。申請書副本ではなく、その解除証書を原因証書として申請する場合は、申請書副本でする場合と異なってきます。その解除証書にきっちと必要事項が記載されていればいいのですが、日付や不動産の表示が記載されていない場合もあり、また不動産の表示が記載されていても、現在の表示と異なることもありますので、注意が必要です。解除証書となっていても原因が「解除」ではなく「弁済」となっていることもあります。不明な場合は、法務局で相談するか、お近くの司法書士に依頼してください。以下注意点。

1、申請書の添付書類の「申請書副本」を「原因証書」にする。登記が完了すれば、その解除証書に登記済みの印が押されて、返還されます。

2、原因証書たる解除証書の記載で不足しているところ、例えば、原因日付などの日付、不動産の表示(現時点での登記簿記載とおりの表示が必要)などを書き加える。解除証書の1例 kaijyo.htm

原因証書には、抵当権設定契約書(抵当権設定の登記済証)に解除証書が合綴されているものや、抵当権設定契約書(抵当権設定の登記済証)に解除文言が記載されているものもあります(この場合は、抵当権設定契約書に不動産の表示があるため、その表示に変更がないかぎり、あらためて不動産の表示を記載する必要はなくなります)。

3、委任状の記載が「別紙登記原因証書たる平成 年 月 日付解除証書記載のとおり」となっている場合、そこに日付をいれる。その他、「原因」、「不動産の表示」などは不要になります。委任状1例 inin2.htm

(意見)自分の自宅についての、住宅ローンの抵当権の抹消ぐらいは、所有者本人(登記名義人)が、印鑑と金融機関から交付された抹消書類を法務局に持参すれば、抹消登記の手続ができるぐらいに手続をもう少し簡略化するか、もしくは法務局側で手助けをしてできるようにできないかなと思います。

参考 本人でできる所有権登記名義人表示変更登記 meigihen.htm