抵当権抹消登記の際の所有権登記名義人表示変更登記(住所変更登記)について

司法書士の業務上、たまに悩むものとして、抵当権の抹消登記を依頼され、所有者の登記簿上の住所が変更しているときに、「抵当権の抹消登記のみしてもらいたい」と依頼される場合がある(住所が変更しているので、住所の変更登記もしておいた方が良い旨、費用等を説明し、納得してもらった場合は問題ないのだが)。

住所の変更登記をしてから抵当権抹消登記をする方が良いのだが、費用などの関係で、抵当権の抹消登記のみを依頼される場合がある。

これは、住所が登記簿上のものと現状が違っていても、登記申請書や委任状に登記簿上の住所を記載して申請すれば、登記の形式的審査ゆえ、抵当権の抹消登記はできてしまうというところからきている。

問題点は、現状の住所を記載しないということは、いわば嘘の住所を申請書なり委任状に記載して登記をすることになってしまうということである。「そんな堅いこと言わなくても」ということになるが、すこし気が咎めるところではある。

注)住居表示実施の場合は、所有権登記名義人表示変更登記(住所変更)が必要。