平成171月から改正破産法が施行されています。破産手続と免責手続が一本化し(破産手続開始の申立をした場合、免責許可の申立をしたものとみなされる)、管轄の拡大、免責手続中の強制執行の中止・禁止の規定がもうけられるなど重要な点が改正されています。審尋が任意となり、問題のない破産については、審尋なしで、破産手続開始決定・免責許可される場合もあります。また、旧法で免責審尋後、異義申立期間がもうけられていましたが、これが、破産手続開始決定後、免責についての意見申述期間となるなど、手続が合理化されています。管財事件となった場合は、自由財産拡張の申立が重要となります。

債務者審尋(審問)は任意であり、問題のある破産申立(管財に移行される事案など)についてのみなされ、旧法下で債権者が出席しない場合、集団でなされていた免責審尋は任意となり、問題のある案件についてだけ個別でなされます。印紙1500円(破産・免責)、予納金 10290円(同時廃止)。(平成172月追加記載)

(以下、旧法下の時の記載)

自己破産手続(同時廃止)の概要 一般消費者のケース(神戸地裁尼崎支部の場合)

1、自己破産申立(住所地の地方裁判所 破産係 へ) 管轄 kannkatu.htm

<申立書類>

自己破産申立書・債権者一覧表・財産目録・家計収支表・陳述書・滞納公租公課一覧表

*家計収支表は、最近3ヶ月分(もしくは2ヶ月分)のものが必要です。

*破産の申立の際、同時に免責の申立に関する書類(免責申立書・免責に関する陳述書)の提出を求められる場合もあります。現在は、こちらの方(破産申立の際、免責申立もする)が原則。

<添付書類>

住民票―世帯全員のもの、本籍続柄が記載されたもの・戸籍謄本(原本)作成後3ヶ月以内のもの

その他、債権者一覧表や財産目録、家計収支表に関する疎明書類(コピーで可能)

・借金に関して、借用書・領収書・支払明細書・督促状など(特に債務残高がわかるもの)

・賃貸借契約書(借家の場合)―敷金などの確認・退職金に関する書類(職場の退職金規定など)

・保険の解約返戻金証明書・電話加入原簿登録事項証明書・その他財産を証する書面 など

・銀行の預金通帳・給与明細書・源泉徴収票

・電話、ガス、水道、電気代の領収書

など shorui.htm (書類)

*収入に関する書類や預金通帳(公共料金振替口座)については、申立人のもののみならず同居者の分も求められます。

*財産として注意しなければならないもの ― 返還敷金・退職金・保険解約返戻金・貸付金・相続財産(例えば、亡父母名義のままになっている実家の不動産)など

(退職金は、勤務継続であれば、退職金の 4分の1もしくは8分の1が財産目録(破産財団)にあげられます)

破産申立書に600円の収入印紙を貼る(消印はしない)。予納金2万円(もしくは14170円)、その他郵券が必要(債権者の数10でおおむね5000円ぐらい)

*免責申立も同時にする場合は、収入印紙300円プラス

破産申立すると、おおむね1ヶ月から2ヶ月後ぐらいの日に債務者審尋の期日が定められる(申立の際、指定されるか、もしくは後日裁判所から郵送で案内がある)。

裁判所から債権者へ、債権額などについての意見聴取書が送付される(神戸地裁第3民事部破産係ではこの取扱を停止している。尼崎支部でも同時廃止に関して問題がある場合や、業者以外の債権者に限定して行っているようである)。

*破産申立の際、申立人の方で、裁判所の封筒に、各債権者及び申立人の住所・宛名を書くことになります(裁判所から通知を郵送するため)。―裁判所の事務手続のお手伝い

2、債務者審尋(審問)(裁判所にて)

提出書類にもとづき裁判官からいくつかの質問があり、それに答える。

そして、支払不能の状態と、換価するような財産がないということが確認されれば、多くの場合、即日破産宣告・同時廃止決定がなされる(決定書は後日郵送)。そして、免責の申立を裁判所の指示にもとづきすることになる(300円の収入印紙が必要)。その際、免責の破産者審尋期日が定められ、免責に関する陳述書の雛形が渡される。破産者審尋期日はおおむね3ヶ月から5ヶ月後の期日で定められる。

破産宣告されたことが官報で公告される。

*破産の申立の際、同時に免責の申立に関する書類(免責申立書・免責に関する陳述書)の提出を求められる場合もあります。現在は、こちらの方(破産申立の際、免責申立もする)が原則。

*生命保険解約返戻金など、配当できる財産がある場合、債権者へ配当を命じられることがあります(破産管財人が選任されないケースでの任意自主配当)。

3、免責に関する陳述書作成し、免責の破産者審尋期日の2週間から3週間前までに裁判所へ提出。

*破産の申立の際、同時に免責の申立に関する書類(免責申立書・免責に関する陳述書)の提出をしている場合は不要。

4、破産者(免責)審尋(裁判所にて)

債権者も出席することができるが、来ない場合が多い。

免責不許可事由(財産の隠匿、浪費・賭博などによる財産の著しい減少など)がないかどうかチェックされる。

免責不許可事由がなく、債権者などから異議の申立がなければ、免責許可決定がなされる。

一定の債務を除き、免責される。

*最近は、債務者審尋の方で、免責不許可事由に関して審問され、破産者(免責)審尋は、集団審尋の形でされている(債権者が来ている場合は、個別審尋)。

*予納金2万円は、官報公告などの費用に使われ、もし残金が出た場合は、裁判所から返還されます。

免責審尋が終り、1ヶ月(以上)の異義申立期間を経、免責許可決定が出る。免責許可決定が官報で公告され、2週間の即時抗告期間を経て、免責が確定する。免責が確定すれば、当然復権する(破産者ではなくなります)。また、免責がなくても、破産宣告後、詐欺破産罪につき有罪の確定判決を受けることなく10年を経過すれば、復権します。

(各地の裁判所で、少額(小規模)管財の手続が導入されています。神戸地裁においても、平成144月頃から導入されつつあり、例えば、事業者で事業用財産(少額)等につきある程度の調査が必要なケース、不動産所有で、はっきりオーバーローンといえないケース、消費者金融等に不当利得(過払い)請求権があるケース、多額の浪費など、ある程度の調査が必要な免責不許可事由があるケース などにつき、少額(小規模)管財の手続が行われています。管財人が選任され、財産等調査します。通常の管財事件と異なり手続は簡素化されています。通常の管財事件であれば、50万円以上の予納金が必要ですが、少額(小規模)管財の場合、22万円程度ですみます。現在は、消費者破産の増加で、同時廃止事件が圧倒的に多く、「原則、同廃、管財は例外」と破産法上の原則と例外が逆転しているような状況ですが、同時廃止事件での、裁判所の調査には限界があるようで、将来、破産法の改正も予定されており、「原則、少額(小規模)管財」になっていくと思われます)

(生活保護を受けている人などで、免責不許可事由が見当たらないような人については、詳述された陳述書提出を条件に、最初の債務者審問なしで、破産決定(同時廃止)されるケースがある。裁判所で、事案により、債務者審問なしで破産決定(同時廃止)されるもの、通常の同時廃止事件、小規模管財事件、通常管財事件と、ある程度振り分けられているようだ)

費 用

同時廃止(破産者に見るべき資産がなく、総財産を清算する実質的意味がない場合、破産宣告と同時に破産手続を終結するもの)の場合

裁判所に納める予納金 金2万円・郵便代 約金1万円程度(債権者の数によって異なる)

司法書士に書類作成を依頼した場合の費用(司法書士報酬)おおむね18万円程度。

(債権者の数、給与所得者か自営業者か、などによって異なってきます)

(事情により支払方法等は相談に応じる)

(小規模管財事件になった場合は、予納金は、金22万円必要となります)

(司法書士の書類作成報酬についても、一定の要件を満たせば、財団法人法律扶助協会より法律扶助を受けることができます)

書類作成のため、多重債務に陥った事情など、プライバシーに関する事柄をある程度すべて話していただくことになります。数回にわたり、長時間の面談が必要となります。破産申立の実際 hasanjitu.htm

*破産の申立は、最初の窓口のところで書記官が書類を細かくチェックします。そして不明な点や不足書類があれば、上申書の提出、書類の追完を求められます。書類がきちっと整っていれば、通常、後の審尋は簡単に済みます。

参考)官報公告3回

1、破産宣告同時廃止決定・免責審尋期日の公告(料金 7,034円)

2、免責決定の公告(料金 3,568円)

3、免責決定確定の公告(料金 3,568円)

合計料金 14,170

裁判所から債権者への通知 原則1回 (破産宣告同時廃止決定・免責審尋期日)

1の破産決定公告後、もしくは2・3の公告後、お金貸します旨のDMがどっと届き、また電話が頻繁にかかってくるようになります。破産者リストなるものがつくられ、闇金融に流れたりするようです。東京の業者が多いようですが、こういうところから(高金利)借りると、かもにされ、再び多重債務に陥る危険大ですので、注意が必要です。

多重債務の相談を受付けた場合は、多重債務に陥った事情や債務額などを聞き取り、どのように解決すればよいか、いろいろな方向から検討をしていきます。 多重債務で苦しんでいる人へ tuuti.htm

解決手段)任意整理・調停(特定調停含む)・自己破産・民事再生法

借金整理 shakkinnseiri.htm

自己破産のメリット・デメリット hasan2.htm 小口闇金 yami.htm