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発表されてすぐ、現物も見ないで発注したAtelier Z Cub Elite 最初期型、Serial20番台。
一時期猫時間で使った事もあるが、実は何年も二軍ベンチウォーマーだった。
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そのずっとお蔵になっていたエリちゃんこと、Atelier Z Cub Eliteを、思うところあって、先日の「森の音楽会」で出撃させた。
で…
弾き心地は好きなんだよな。
デザインも悪くないし。
不精者故、面倒なのでこれまで購入したそのまま使っていたが…
愚行連鎖の写真を見た方からも指摘されていたし、前から気になっていた、メーカー(と言うかOEMと言うか輸入代理店)の“出荷時調整”のあまりのいい加減さを、やはり何とかしなければ、と…
問題点
- 小さいボディなのに、一般的EUBが備えるボディレストを持たない。
- ブランド元にヴァイオリン・ヴィオール族の知識がなく…
- 駒のセッティングが滅茶苦茶。
- 魂柱のセッティングが破茶目茶。
取り敢えず、魂柱の調整が一番かな…
コントラバス用の魂柱立ては持っているが、大きすぎてこの楽器には全く用をなさない。
前々から考えていて、チェロ用の魂柱立てならサイズ的に使えるのではないかと…
魂柱立てを発注したら、なんとチェロまで付いてきてしまったのは誤算であった…のか僥倖であったのかは別として…
(このお馬鹿エピソードは又、後日)
出荷時の状態。
G線側の駒脚の真下に魂柱が立っている。
(外してみたら、魂柱の木目方向すら滅茶苦茶だったし)
こいつを正常な場所に立て直すのだが…
いや、f穴は小さい(魂柱直径とほぼ同じ:11mm位)し、道具のサイズは合わないし…
立てては位置調整で倒し、倒しては位置調整で又立てて…
半日近くかかってしまった。
その上、f穴付近はゴリゴリ。
チェロ用魂柱立てでも大きすぎてエラい苦労してしまった。
かといってヴァイオリン・ヴィオラ用では小さすぎて話にならない。
特殊サイズの魂柱立てを作らないといけないかも。
チェロ用をもう一本買って加工するのが一番かな…
でも、もう一本チェロが付いて来ちゃうと一寸困るし。
f穴が小さいので、できるだけ薄い養生を、とビニールテープを使ったら全く役立たずでだったが、これがガムテープでも結果はあまり変わらなかったんじゃないかな?
えいやっと穴を広げて修正したので次からは多少楽に…いや、もうやりたくないな。
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結果。
いや、この楽器、こんなに鳴るんだ…
ボディサイズ故、深い音色は望むべくもないが、それでも、魂柱位置を数cmずらして正常にしただけでこれほど変わる、と言うか、本来のポテンシャルを取り戻したんだな。
もう、力一杯「鳴らないように」調整してあった、としか思えない。
しかしこれ、Atelier Zに「魂柱倒しちゃった」と修理に出しても直せないかも知れない…
5年前、購入予定で仕様と取り扱いについて問い合わせしたら「魂柱は用いないで力木で対応しているので使用の都度弦をゆるめてください」と…
毎回弦を緩めてたら表板がいつまでも安定しないし、何より、駒や魂柱が倒れてしまう可能性もある。
仕様を知らないで売ってるんだから、多分工具も持っていないはず。
何かあったら自分で対処しなくてはならない、と言う事である。
Atelier Zの名誉のために書いておくと…
クレームというか、発生した問題への対応は素晴らしいけれどね…
部品破損、幾ら取られるかどきどきして待ってたら、請求されなかった。
ともあれ、魂柱をいじっただけで、この変化。
もっと早く気がつけば良かった…
4年も放置してしまって申し訳ない。
一軍戦線復帰を目指して、次は駒の加工とボディレストの設計だな。