愚行連鎖 壊れた・取り替えた

GB楽器博物館

テールピースの話

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エリちゃんバラバラ事件

ATELIER Z Compact Uplight Bass Cub Elite 一時はレギュラーを張るかと思われていたATELIER Z “CUB” Elite(エリちゃん)だが…

ボディは小型のアコースティックなのに、生では実用的な音量を発生させられる程ではない。
箱付き故に数倍大きな容積を持つウッドベースと大して重量が変わらない。
ウッドベースに比べればスリムではあるが、徒歩移動ではその重さと形状から運搬の大変さは大して変わらない。

そして何より、このスリムな形はウッドベース(コントラバス)を弾かない人がデザインしたのではないかと言う位ホールドが悪い。

いや、デザインは素敵なんだけどねぇ…

そんな訳で、暫くベンチを温めていたのだが、たまには弾いてやらないとね、とケースを開けて暫し絶句。

何が起こっているのか一瞬分からなかった。

駒廻りがバラバラになっている。
(あまりの出来事に写真すら撮り忘れた…)

Photo テールピースのテールコード取付部が割れてケースの中で吹っ飛んだのであった。

あにゃぁぁぁぁぁ…
幸いにして、割れたテールピース以外には、アースの半田付け部が引きちぎれた位で大きな被害はなかった…
購入先の楽器屋を通じてATELIER Zにテールピースの交換部品の問い合わせをしたのだが…

コントラバスより一回り小さく、チェロより一回り大きい、と言う実に中途半端なテールピースである。

Photo この部分は一番力が掛かるところなので…
修理しても恐ろしくて使えない。

材質や仕上げを見る限りではコントラバス用の数千円の中華パーツ並みなのだが…
(実際、これの製造は中国らしい)
相手がATELIER Zなんで、どんな見積が来るか楽しみにしていた。

コントラバスで、「ワイヤー穴が広がってきて」テールコードがすっぽ抜けたってのは時々聞くが…
テールピースそのものが割れちゃうってのはねぇ…

材質、黒檀である、一応。
それも、余り上等ではない…

割れた断面見て一寸がっかり。

昨今、「自称黒檀」程品質に差がある楽器材はないような気がする。
そう言う代物はカッターナイフでサクサク削れてしまう。
割れたのは多分、そう言う低品質の黒檀、黒染めだろう。
数日後、「部品の新品交換となりましたので取りにおいでください」と連絡が入る。
をぃ…見積もりはどうなったんだ?

Photo 壊れたパーツ(特殊サイズのベース・テールピース)を見る限り、コントラバスやチェロ用の部品と比較しても、はっきり言って上等な品物とは思えない。
少なくとも高級楽器に装着されているような品質ではなく、激安楽器ネット販売…などで見かける中国製廉価パーツ、あるいはそれよりも雑な商品ではある。
しかしながら、楽器そのものは国内ブランドのEUBとしてはかなり高価な部類ではあるからして、別売りパーツとなると、信じられない価格が付く可能性もある。

ちょっとドキドキしながら楽器屋に向かう。

顔見知りの店員さんがあちらから声を掛けてきた。
いつもお世話になっている人は席を外しているとのこと。

で…

「部品は無償交換になります」

うぉ!
多分、1ユーザーとしてメーカーと交渉したら、絶対にそうはならなかったはずだな。
買ってから何年も経っており、もはや保証もヘッタクレもないはずだから。
このお店がご当地に店を出してから(最初はもっと駅から離れたところ)のお付き合い。
もう、かれこれ30年位になるか…
歴代店長や売り場チーフと顔見知りというのはこんなにも強いモノなのかな…

Photo 感謝しつつ受け取ってきた。

いや、しかし、前にも増して材質が…
黒檀(の筈)だが、曇ってネズミ色。
一寸磨いたら…
あらら…
コットンシートが真っ黒け…

Photo

とりあえず、ブチ切れたアースを半田付けして、装着。
ATELIER Z“CUB”Elite最初期型復活!

Photo いや、弾きやすいんだよね、音だって悪くないんだよね…
でも、このホールド感の頼りなさは、やっぱりねぇ…



しましまテールピース

つい、ぽちっとな…
したら、トタンに「品切れ」表示が…
一つ二つしか在庫してないんじゃないの?底値楽器屋さん…

多分、テールピースの違いによる音色の変化は私には分からないのではないかと…

Photo テールピースが欲しかったのは、オリジナル・テールピースのフレットがヤワで歪んできたのと、赤みが強く薄い色の楽器にボックスウッド風のテールピースが何ともぼやけた印象だったからである。
(つまり、半分は見た目ね)

サイトの見本写真ほど縞々は綺麗ではなかったけれど、作りはまぁまぁ悪くない。

なかなか宜しいんではなかろうか。

Photo と、続いて百鬼丸のペグを廻して弦を交換…する前に…

鉋を握りしめて駒を削っている私がいた。
ばらすとこうして、必ず「ついでに」何かやっちゃうから…
違いが分からなくなってしまうのだな…

今日はこんな事やるつもりじゃなかったのに。

ちなみに、交換したテールピース。
付いていたモノはボックス・ウッド(柘植)だ(楽器屋談)と言うことだったが…
重さ260g、新規に付けたのはローズ・ウッド(紫檀)と言うことで、重さ230gであった。
新しいモノの方が若干大きいし厚みもあるのだが…
普通、ボックス・ウッドの方が軽いと思うんだけどなぁ…

キャッツ・アイ・フリークス(ギター材について大変な碩学の士)のよしださんによると…
黄楊だと気乾比重0.75程度、本紫檀で1.04。本紫檀なワケはないのでサントスローズあたりだと同等の0.75程度。スカスカのローズならちゃんとした黄楊の方が重いかも。
とのこと。

実は両方とも裏を一寸削ってみた。
ま、スカスカですな。
ローズとは言え、白い部分の方が多そうな粗い木目。
まぁ綺麗と言ゃぁ綺麗で、悪くないのだが…

Photo で、ウッドベースのテールピースなら、どちらかというと軽い方がよいのではないかと…
(まぁ、重量のある金属製のテールピースもあるので、これも好みか?)

音も変わる!…

 …筈なのだが。

いつも、何かやる時、つい、ついでに他もいじっちゃうので、結局、どこがどうなのか分からなく…
なんか変わったような…気はするが…
プラシーボ効果って奴かも知れない。(その程度)

そもそもね、ばらす前に、一応弾いてみて、音を確かめて…
それからおもむろに…
作業に数時間かかってしまって、完了後に試奏して、おぉ!と分かるほどの違は、そうはないと思うのである。

Photo 確かに、なんか違う…様な気はするが…
これを明確に「こう変わった!」と言い切れる人は相当な耳の持ち主なんじゃないかと…

まぁ、悪くはなってない(と思う)んで、良しとしょう。
見た目もお気に入りだし。

テールピース交換そのものはなんてことない作業なのだが、でも、それに関わる作業…
弦の張り直しとか、駒位置調整とか…
特にShadowの駒下PUはかなり神経質なので、こいつにえらい時間が掛かる。
ついでに駒削りに結構時間かけたし…
開始前に弾いた音なんか忘れてしまったのだ。

>続く


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