愚行連鎖 たかが棒のくせしやがって…

GB楽器博物館

棒:Bowの話

>これまでのお話

真面目にベーシストならんと…でBow…弓のことをちらっと書いている。
そこそこの期間ウッドベース(敢えて和製英語を使用)を弾いてはいるが、自己流でずっとやってきた。
きちんと習えば回り道無しに「正しい」奏法が身に付き、ちゃんと演奏できる…筈ではあるが…
生来、型に嵌められるのが嫌な性分、更に不精者なのでどうもな…なのである。

たかが棒(Bow)のクセしやガって邪魔(German)だか破廉恥(French)だか知らねぇが…
とは言え、間借りなりにもベーシストを標榜するならば…、まねごとでも良いからステージでアルコを使いたいと…

Photo 実は手元に5本の弓がある。
もちろん、全て“プアマンズ・ボウ”、つまり安物である。
写真は5本目を手に入れる前に撮ったもので、下2本は全く同じブラジルウッドの弓。
見た目はかなり立派だが、これは多分最低ランクの中国製。
(調べたら、Carlo Giordanoの廉価楽器にセットされるモノのようだ)

何故、同じモノが二本あるか…

数年前に、ネット上で激安弓(ケース・松脂付)を見つけてポチっとな。
商品が届いたら、ケースが付いてこない。
苦情を言ったら、翌日また荷物が…
ケースにはもう一本の弓が入っていた、と言うわけ。
「弓が二本になってしまったのでちゃんと返品したいが…」
と連絡したら、面倒だったのか、「返却不要、そのままお使いください」と…

コントラバスを買うなら、100万円以下のは使い物にならない、初心者でも30万やそこらのではダメ…となど仰るクラシック系の方がいらっしゃる。

弓に関しても、30万以下のものなんぞ使い物にはならない、安物買いの銭失い、と言うのが定説のようである。

そんな凄いの触ったことないから分からないし、多分触っても違いが分からない…
(哀しいね)

で、良い弓は、それはよい音が出るそうだが…
弓(の本体、棒の部分)の材質や性質が楽器の音質に多大の影響を及ぼす、と言うのが理解できないのねぇ…

そんな私は「だったら似たような物理特性を持ってて、品質が安定してて…安いのが良い」と思っちゃうのであった。

音楽にとっては、周辺機器とも言える「楽器」。
それに掛ける、掛けられる費用、それがすなわち音楽への熱意なのか、と問われれば、それは違うのではないかと…

確かに、対費用が音楽の表向きの姿…出音に影響することは解らなくはないし、特にクラシックの世界ではそれがかなり重要な位置を占めることも知っている。

こと、ギターに関して言えば、数万円の初心者向けと称する楽器と10万円以上の国産品、そして、数十万円から、車が買える程の高価な楽器…それらの違いは歴然と分かるし、確かに高いものは高いだけのことはある、とも思う。

しかし、ベニヤ板(合板)の、少なくとも到底“リッチな音”とは言えないギターで、その辺りで拾った石とか、千切れてしまったコートのボタンを自分で削った握り拳のようなピックを使うマヌーシュスイングのギター。それが人の心を打ち、とらえて放さない、そんな世界もあるのだ。

そもそも音楽のあり方、関わり方が違うのだと…)

Photo 一時期メインで使っていたGlasser(グラッサー)のカーボン弓である。

この弓、価格は安いが、使い勝手から言えば、非常にコストパフォーマンスに優れると思うのではあるが…
見た目がねぇ…

炭素繊維で作ってあるはずなのに、天然木モドキの色が塗ってあるのはまだしも…
フロッグがもう、見るからプラスティック丸出し、アイすら付いていない。
スクリューもバリバリのプラスティック。
フロッグカバー装飾も乳白色のプラスティック製。
ラッピングもグリップと一体のゴム製。
ちなみに、Glasserのカタログには載っていない。
かの有名な東京は山本弦楽器のオリジナルかも知れない。


Photo こちらは、今年の正月明け、名店山本でお買い得なカーボン弓を扱い始めた、と言うので見に行っき、ついお持ち帰りが、この中国製カーボン弓K.Holtz.F.G。
店頭で
「こちらで頂いた一番安いグラッサーのカーボン使ってるんですが…見た目がねぇ」
と話すと…
「そうなんですよね、で、こちらを入れてみたと言うことなんです」


丸い小さなシールラベルには“中国 CRAFTED WITH PRIDE IN CHINA”と…

近くで見ると作りはまぁ、値段相応の雑なモノだが、そこそこ見栄えは悪くない。
弓そのものはかなり細身で、実は実効長も1cm以上短いが、逆に取り回しが楽かも。
フロッグも小さめで結構持ちやすい。
これもカタログに載っていないが、イーストマン扱いの初心者用のようだ。


そして、3本目のカーボン…


Photo 実は、ここを利用したのは二度目なのだが、最初は…

 底値楽器屋の店長の渡辺玲子です。
 ご注文有難う御座います。

 本日ご注文の商品を佐川急便(代引)で発送致しました。


今回は…

 底値楽器屋の店長の渡辺玲子です。
 いつも有難う御座います。

 本日ご注文の商品を佐川急便(代引)で発送致します。

お得意様になっちまったようだ。
今回も前回も、その辺の廃段ボールで一生懸命箱を作って送ってきているところが、何となく微笑ましい。
品物は中一日でちゃんと届いたが「発送致しました。」と「発送致します。」の違いが一寸気になる。

Photo カーボン・ファイバー・ジャーマン弓/網目(無銘)
多分中国製

サイトの商品紹介にはメーカーなどが書いてなかったが、全く同じ作りのフレンチ弓には「中国のMingxing弓工房(明星琴弓)製」とあった。多分、同じ所の製品だと思う。
(サイトのカタログには載ってないけどね)
まぁ、中国のブランドが判ったところで、何か良いことがあるわけではないが…


Photo Glasserの超廉価版と、これでカーボン弓が3本になってしまった。

まぁ、今回は、カーボン織物模様が入った弓が欲しかったと、只それだけのことであるが。


「良い弓は、それはよい音が出るそうだが…
弓(の本体、棒の部分)の材質や性質が楽器の音質に多大の影響を及ぼす、と言うのが理解できないのねぇ…」
と前の方で述べているが…

あのね…同じカーボン弓でも…音が…それぞれ違うんだよ…実は…
2本程度の比較では明確にならないのだよ。
3種類4種類を比較すると…あれれれ?って事に。

廉価楽器のオマケのような木の弓は、見た目は立派でもヘロヘロに腰が無く、使えないことはないけど下手くそが加速される、と言った風情。

大分前に買ったGlasserは、お値段も安いが、見た目が今ひとつ。
全体的に大振りなイメージがあり、フロッグもでかいような気がする。

K.Holtzは見るからに細身でコンパクト。(実はこれが一番安かった)

Mingxing:明星弓はマテリアル・フェチには堪らない織物模様。
サイズ的には中庸だが、実効毛長は少々短いような…

使った感じは、まさに見た目通り。
実効長がかなり短いK.Holtzはフロッグも小さめで持ちやすく、取り回しがエラい楽。

このなかではK.Holtzが、一番楽に音が出る。
そして…暫く弾き比べると、Grasserが一番太い音が出る…様な気がする。
Mingxing:明星弓は、まだまだ松脂が馴染んでないなぁ…
で、ちょっと硬質な音だな…

確かに、弓で、それも炭素繊維のものであっても特定の出音はあるようだ。


■サイズ計測 Photo
Carlo giordano
145g/760/575/9.0/13.0
重心位置:先端より475 mm 付近
68.0/42.5/19.9

Glasser Carbon
135g/770/573/8.0/12.8
重心位置:先端より460 mm 付近
毛箱 67.9/49.0/18.8

Photo
K.Holtz F.G.Carbon
140g/740/555/7.05/11.8
重心位置:先端より470 mm 付近
毛箱 66.3/43.7/18.5

Mingxing Carbon
150g/760/560/8.5/12.35
重心の位置:先端より460 mm 付近
毛箱 70.0/48.0/20.25

数値は順番に 重量/全長/弓毛実効長/先直径/元直径(重量以外の単位はmm)
直径測定位置はチップ直前の一番細いところとラッピング終了部分
毛箱 長さ/高さ/厚み

ところで、Mingxing弓工房(明星琴弓)
サイトにはSuzhou Mingxingbowとある。

漢字表記もあるが、ロゴ・グラフィックの漢字は崩してあって形が分からない…
English版と中文版があるサイトの中文版を覗いてみたが…フォントがないから肝心の部分が文字ヌケになっている…

Suzhou…?
土地の名?
調べた
>続く


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