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年金最新ニュース


確定拠出年金加入者の平均運用利回りはマイナス1%に悪化

格付投資情報センターが2010年9月末時点の運用利回りを調べたところ、マイナス1%であった。元本割れの人は49%、利回りがプラス2%を超える人は、わずか2.7%だった。確定拠出年金の平均想定利回りは2.16%なので退職時の目標額に達した人は100人に3人に過ぎない。
(2010.12.7)


09年度企業年金利回り14%、3年ぶりプラス

格付投資情報センターが約130の企業年金(資産規模10兆円)の運用状況を調べたところ、14%と3年ぶりにプラスに転換し、マイナス17%だった08年度から急回復した。日経平均株価が約37%上昇したのが寄与している。金融を除く上場企業は09年3月期末で年金資産が34兆円、積立不足が14兆円に達した。
(2010.4.7)


厚生年金基金の「高齢化」が進んでいる

企業年金連合会によると、2008年度の厚生年金基金の年金受給者の現役加入者に対する割合は過去最高の55.6%となり、10年前の2.6倍になった。保険料収入に対する給付額の割合も92.6%に高まり、全体の4割に当たる246基金でこの割合が100%を超えている。また、97%の基金が積立不足に陥っていて、予定利率(基金の86%が5.5%に設定)の引下げの動きが広がる可能性がある。
(2010.3.29)


企業年金の積立不足、12年3月期から負債に一括計上

企業年金の積立不足は長期の償却が認められていたが、会計基準の国際化に伴い、負債として一括計上することが求められることになる。多額の積立不足を抱える企業は、自己資本が減少し財務が悪化する。そのため企業年金の給付水準の引下げ、年金資産運用手法の見直し、確定拠出年金への移行などに迫られる可能性がある。
(2010.3.11)


確定拠出年金加入者の6割が元本割れ

格付投資情報センターが2009年3月末に運用状況を調査したところ、運用資産が元本割れした加入者は63.2%、運用利回り幅がマイナス10%を超す加入者は24.9%に上り、制度導入以来、運用成績は過去最低になった。加入者の36.8%は定期預金など低リスク商品を中心に運用して元本を確保したが、このうち9割超は利回り1%未満である。制度の想定利回りが平均で約2%なのでほとんどの加入者の退職金が減額していることになる。
(2009.5.19)


08年度の企業年金運用利回りマイナス17.4%で過去最悪

格付投資情報センターが約140の企業年金基金の08年度の運用利回りを調べたところ、3月30日現在でマイナス17.4%となった。集計を始めた1991年度以降、運用利回りの最低は02年度のマイナス12.2%だった。08年度はこれを大きく下回り過去最悪となる。上場企業の積み立て不足は07年度で約7兆3000億円。不足額はさらに拡大し、企業の負担は避けられない。
(2009.4.1)


08年4月〜11月の企業年金運用利回りマイナス16%に

格付投資情報センターが約140の企業年金基金の4〜11月の運用利回りを調べたところ、落ち込み幅は4〜9月のマイナス5%から、マイナス16%に大幅に拡大した。利回りが最低だったのはITバブル崩壊の影響で株安が加速した02年度のマイナス12.1%である。日本経済新聞の集計では08年3月期末で上場企業の積み立て不足は7兆3100億円に達しているが、今年度はさらに拡大するとみられる。
(2009.1.4)


株急落で、08年度企業年金の予想運用利回りマイナス19.7%に

ワトソンワイアット社の試算によると、日経平均が8.000円、円相場が1ドル=95円で今年度末まで推移した場合に、企業年金の運用利回りはマイナス19.7%になる。08年3月期末で上場企業の積立不足の総額は約7兆3.100億円(日本経済新聞集計)。運用悪化で企業年金基金の積み立て不足は深刻化する。
(2008.10.26)


07年度企業年金マイナス運用で資産減少、積立不足額8.3倍に

格付投資情報センターが上場企業1496社対象に07年度の退職給付会計の状況をまとめた。退職給付債務は47兆48億円で06年度比1.2%減、年金資産は31兆6182億円で9.2%減、未積立退職給付債務は15億3866億円で20.6%増、積み立て不足は4兆5117億円で06年度の8.3倍に増加した。
(2008.9.13)


07年度企業年金運用利回りは9.74パーセント、5年ぶりのマイナス

格付投資情報センターが調査対象とする約130の企業年金(資産額約12兆円)の運用成績を集計した。利回りは9.74%と大幅に悪化した。各資産の騰落率は国内株式−28.05%、国内債券3.36%、外国株式−16.8%、外国債券0.52%だった。総合型厚生年金基金が−12.52%、企業年金基金等が−9.06%で、両者の差は3ポイント以上開いた。
(2008.4.16)


07年度企業年金運用利回り5年ぶりマイナスの公算

格付投資情報センターが調査対象とする約130の企業年金(資産額約12兆円)の運用成績を集計した。利回りは07年4〜12月の実績値と08年1月の推定値から算出した速報値。07年4月〜08年1月はマイナス6.39%と大幅に悪化した。3月決算期末まで株式相場の低迷が続けば、07年度の利回りは5年ぶりにマイナスに転じる。企業の設定した利回りは平均4%で、米国経済の減速が懸念されるなか、目標の達成は難しいとの見方が広がっている。
(2008.2.17)


07年4〜12月の企業年金利回りマイナス1.97%に悪化

格付投資情報センターが調査対象とする約130の企業年金(資産額約12兆円)の運用成績を集計した。利回りは4〜11月の実績値と12月の推定値から算出した速報値。4〜6月はプラス3.86%だったが、サブプライム問題の影響を受け、7〜9月にマイナス2.73%に急低下。10〜12月もマイナス2.96%で、4〜12月はマイナス1.96%となった。3月末にかけて株安や低金利が続くと、運用利回りは年度ベースで5年ぶりにマイナスに転落する。今年度の約4%の目標利回りは達成できない可能性が高い。
(2008.1.11)


07年4〜11月の企業年金利回りマイナス0.84%

格付投資情報センターが調査対象とする約130の企業年金(資産額約12兆円)の運用成績を集計した。利回りは4〜10月の実績値と11月の推定値から算出した速報値。4〜10月はプラス2.12%だったが、サブプライム問題の影響を受け、11月に大幅に悪化した結果、マイナス0.84%となった。
(2007.12.13)


企年連、中退共、国基連の06年度運用利回りは黒字を確保

企業年金連合会の運用利回りは5.59%と4年連続で収益をあげ、給付債務に対して1兆5千億円の余剰金を確保した。中小企業退職金共済は2.81%、国民年金基金連合会は6.03%の収益をあげ、累積欠損金の解消が進んでいる。
(2007.11.11)


07年4−9月の企業年金利回り0.96パーセント

サブプライム問題を機に、7−9月の企業年金利回りはマイナス2.77%に落ち込み、4−9月でプラス0.96%になった。4−6月は国内株式、外国株式の上昇を背景に利回りはプラス3.83%だった。07年度の年金基金の目標運用利回りは平均約4%。10月以降に改善しないと目標利回りとの差額は企業の負担となり、業績の重しになる。
(2007.10.14)


確定拠出年金導入企業の社員の三分の一が制度を理解せず

確定拠出年金教育協会の調査によると、「確定拠出年金の制度自体をあまり理解していない」との回答が37.2%、「全く理解していない」が3%あり、老後生活を左右する企業年金制度の理解が進んでいないことが分かった。投資教育の機会を社員に提供する「継続教育」ついて必要だと考える企業の担当者は90%、だが、実際に実施している企業は45%に留まっている。
(2007.10.12)


企業年金連合会の運用収益が4年連続で黒字

企業年金連合会の2006年の決算によると、運用利回りが5.59%と4年連続で運用収益を確保できた。そのため、積立金は前年度比5854億円増の13兆1739億円となり、給付債務に対して、1兆5576億円の剰余金を確保した。支払保証事業については、積立金が前年より312億円増え、責任準備金(267億9500万円)に対して44億5410億円の積立超過となった。
(2007.10.9)


中小企業退職金共済制度でも退職金366億円未払い

中退共(独立行政法人・勤労者退職金共済機構が運営)では、1959年から2006年度に支払うべき退職金のうち、365億9000万円が未払いになっていることを明らかにした。対象は延べ49万2251人全体の5.75%。未払い分の大半は、受給資格を知らずに本人が請求をし忘れたとみられる。機構は「今後は直接本人に請求手続きを促すなど改善を図っていく」としている。時効の5年間を超えるものに関しても支払う方針だ。
(2007.10.4)


企業の年金積み立て改善

2006年度上場企業1.922社(全ての決算期の上場企業のうち5年連続してデータの比較できる)の積立不足額は2兆1.284億円と前年に比べ27%減った。02年度に25兆3.210億円あったのに比べ12分の一に減少した。一方、積立超過会社は06年度に724社と前年より14%増え38%に達した。
(2007.9.19)


企業年金連合会が初の赤字に転落

転職した会社員らの企業年金を管理する企業年金の収支が、基金設立来始めて赤字となった。高齢化で年金の受給年齢に達した加入者が増えたことなどが原因で、赤字額は1136億円。2007年度はこの9月5日に発覚した未払い年金の支給が支出に加わるので、赤字が一段と膨らみそうだ。同会は約13兆円ある積立金を取り崩して対応する。2006年度の積立金の運用利回りは年5.59%でこの運用収益で赤字をカバーできた。しかし、2007年度は運用環境が悪化しており、赤字をカバーできない公算が大きい。
(2007.9.15)


確定拠出年金の運用放棄者が7割増

確定拠出年金で資金を運用しながら転職時に移管手続きをしないで「運用放棄」とみなされている人が2006年度に80.638人、資産総額211億円あることが分かった。転職後は半年以内に資産の移管手続きをしないと国民年金基金連合会に自動移管される。保管中は資産は運用されずに運用益が得られない。さらに手数料を引かれるため元本が目減りしてしまい、老後保障としての制度が活用されないことになる。企業の加入者に対する説明責任が求められている。
(2007.7.16)


2006年度の企業年金運用利回りは4.55%

格付投資情報センターによると企業年金の2006年度第四半期の時間加重収益率の平均は1.16%(推定値)となった。第1〜第3四半期の実績値である3.35%に加えると年度通算では4.55%になり、4年連続のプラス利回りとなった。外貨建て資産が2ケタの伸びを示し、平均収益率の水準を押し上げた。過去3年平均が9.40%、過去5年平均が5.97%だった。
(2007.4.26)


確定拠出年金の運用、転職者の6割が放棄

企業年金連合会によると、2007年1月現在で、転職などで確定拠出年金制度を脱退し、年金資産の移管手続きをした者が59.708人で、手続きせずに結果として運用を放棄している者が、1万人以上多い74.633人に達した。確定拠出年金は転職後、半年以内に移管手続きをしないと積立金は国民年金基金連合会に自動移管される。この様な事態になると、年金が減少したり、受給できなくなることになる。運用放棄者の積立金を自動的に移す専用フアンドの創設や、退職者に十分な移管手続きの情報提供をするよう事業主への指導を強化するなどが検討課題だ。
(2007.3.1)


確定拠出年金向け投資信託、手数料競争激化

野村証券、大和証券系の投資顧問会社は、確定拠出年金向け投資信託の信託報酬を従来より2〜3割安い日本株の専用フアンドの取り扱いを始めた。公募投信の半額近くの手数料となる。確定拠出年金向け投信の残高は2006年末で1兆円を突破した。加入者数200万人、資産全体で3兆円なので、まだ預金や生保商品など元本確保型商品が過半を占めている。
(2007.2.20)


適格年金、4年半で3万件減少、6割が廃止、4割が他制度へ移行

適格年金から他の企業年金に移行したのは、01年度末から06年9月末までの4年半で約12.000件で全体の40.3%、どの制度にも移行しないで廃止したのが約18.000件で59.7%に達している。移行先として一番多いのが中退共の9.300件で、移行先の77.7%を占めている。確定拠出年金が2.002件(同16.5%)、確定給付企業年金が822件(同6.8%)となっている。
(2007.1.31)


確定拠出年金の運用、2005年度平均利回り7.67%

日本経済新聞社が有力企業や年金基金5.400件を対象に実施した、2006年日経企業年金実態調査によると、回答企業(122社)の確定拠出年金2005年平均利回りは7.67%で、従来型企業年金制度(厚生年金基金等)の19.33%を大きく下回った。しかし、利回り上位10社の平均値は15.23%と、適格年金の15.35%に近かった。継続教育を実施していない企業では、3.00%と際立って低かった。投資教育とりわけ導入後教育は重要だ。
(2006.12.26)


今後採用する制度は確定拠出年金が6割、規約型確定給付企業年金が5割

日本経済新聞社が有力企業や年金基金5.400件を対象に実施した、2006年日経企業年金実態調査によると、今後採用予定の制度は企業型確定拠出年金62%、規約型確定給付企業年金51%の両制度が突出していた。今後の焦点となる適格年金廃止後の予定は、規約型確定給付企業年金に移行61%、確定拠出年金に移行45%に回答が集中した。キャツシュバランスプランは、導入しない52%、導入済み・導入準備中29%。先行きの金利上昇を見込んで敬遠されている。
(2006.11.26)


確定拠出年金2兆5000億円超す

確定拠出年金が10月1日で導入から丸5年を迎える。加入者数で200万人、運用残高は2兆5000億円を突破した。米国と比較するとなお100分の1以下の規模にとどまり、制度面の不備も明らかになっている。運用資産をみると、預金や保険など元本保証だが低利回りの商品が6割強と高く、投資信託の割合が低い。転職の際に積立金を転職先の企業年金に持ち運べる携帯性が特長の一つだが、企業の説明不足などから転職の際に運用を放棄している人が4.7万人、130億円に達している(平成18年3月末)。
(2006.10.2)


確定拠出年金加入者200万人超へ

厚生労働省の調べによると、確定拠出年金の加入者数は6月末で197万人。1年前に比べ31%強増えた。最近の特徴は中小企業の導入が増えていること。福利厚生の充実で優秀な人材を確保するのが狙いだ。導入社数も6月末で7.168社と1年前と比べて51%増えた。確定拠出年金向けの専用投資信託の残高は、8月21日時点で8.900億円弱と1年間で7割弱増えた。加入者は積立てた資産の平均3割程度を投信に振り向けているとされ、資産全体では、3兆円近くに達する計算だ。
(2006.8.18)


企業年金の積立不足85%減少

将来の年金支払に必要な額から資産額などを控除した「積立不足」は、日本経済新聞の集計(上場1.279社)によると、2006年3月期に6.500億円と1年間で85%減少した。株価回復による運用改善や年金制度変更が寄与。運用資産が潤沢で「積立超過」の企業は504社と前期の約3倍に膨らんだ。積立不足が減った主因は運用環境の好転。国内外の株高が寄与し、年金資産は21%増の20兆8.000億円になった。「代行返上」など制度変更が進み、退職給付債務は31兆円と3%減った。
(2006.6.27)


確定拠出年金導入、5割増の6.600社。投信運用残高が倍増

厚生労働省によると、導入企業は2006年3月末時点で、6.600社強と前年度比5割増加、加入者は180万人弱(1月末)と約50万人増えた。加入者急増を背景に確定拠出年金向け投資信託の3月末の残高は8.000億円と前年度末に比べ倍増した。確定拠出年金の資産残高全体は2兆円強とみられ、その3割程度を投信に振り向けている加入者が多い。同年金向け投信の本数は329本、05年度に18本増えた。確定拠出年金の先進国、米国では資産残高は300兆円(04年末)にのぼる。日本でも運用環境の好転とともに制度導入が進み資産残高は増えていくと思われる。しかし、課題は加入者向けの投資教育である。
(2006.4.16)


企業年金の運用利回り過去最高の19.2%

格付投資情報センターによると、2005年度の企業年金基金の運用利回りが19.2%と2年ぶりに過去最高を更新したようだ。株式・債券が好調で円安も追い風になっている。運用利回りは過去3年連続のプラスになり、企業も一息ついた格好だ。なかでも、中小企業などで構成する総合型の厚生年金基金では、国内株式の構成比率が高く、利回りが23.7%に達したようだ。日本経済新聞の集計によると、05年3月期の上場企業の積み立て不足は8兆円強とピーク時のに比べて半減。06年3月期は運用利回りの上昇で、積立不足が減少する企業が増えそうだ。
(2006.4.7)


NTT企業年金の受給者の給付減額認めず

厚生労働省は2月10日、NTTの確定給付企業年金の退職者への給付減額申請を却下した。NTTの経営が危機的状況でなく、承認要件を満たさないと判断した。退職者の給付減額の申請を却下するのは初めてである。NTTは約11万人の現役社員については04年4月に年金の予定運用利回りを1.76%程度に引き下げた。それに伴い、約14.5万人の退職者の利回りも現在の4.5〜7%から現役並みの水準にすることで、04年12月に受給者の85%の賛成を得ていた。これを受けて、NTTは決定取り消しを求め行政訴訟を検討している。
(2006.2.11)


生保の企業年金運用利回り19.7%(4〜12月・主要7社)

年金が生保に運用委託している特別勘定の05年4〜12月の運用利回りは、主要生保7社平均で19.49%となり、特別勘定ができた1990年度以来最高となる公算が大きい。企業年金が生保に運用を委託する際は、利回りを予め保証する一般勘定(現行0.75〜1.25%)と、株式等に投資して運用次第で利回りが変動する特別勘定に分散投資する。多くの企業年金は2.5%程度で運用計画を立てており、特別勘定の好成績は年金財政の改善につながる。
(2006.1.30)


企業年金運用利回り8.7%

格付投資情報センターの調べによると2005年度上期(4−9月)の企業年金運用利回りは国内の株高が寄与し8.7%と、年度ベースで過去最高を記録した03年度上期の9.1%に次ぐ高水準となった。企業年金の大部分は想定利回りを3%前後と低めに見積もっており、運用好調の恩恵は大きい。上場企業全体の年金積立不足額は05年3月期末に8兆1千億円と、ピーク時の03年3月末(17兆5千億円)に比べてほぼ半減した。
(2005.10.31)


上場企業の年金積み立て不足半減

2005年度上場1.584社の積み立て不足は、退職給付会計が導入された2001年度以降で初めて10兆円を下回り、ピークだった2003年度の17兆5000億円から9兆4000億円減った。最大の要因は、退職給付債務が2003年度に比べて16%減少したことである。厚生年金基金の代行返上や給付減額、確定拠出年金など新型の企業年金の導入が債務の減少につながった。2006年度も積み立て不足は減少する公算が大きい。
(2005.8.29)


厚生年金基金の4割が給付減額

厚生年金基金が相次いで加入者に約束した給付額を引き下げている。1997年度に給付減額が認められて以降、減額に踏み切ったのは760基金と、97年3月末時点の基金数の4割に達した。04年度に新たに給付減額したのは130基金。すでに年金を受け取っているOBへの給付削減した基金は19基金で過去最高、累計で44基金となった。厚生労働省は現在ある基金のうち「約半数は給付減額を実施したことがある」とみている。
(2005.8.25)


確定拠出年金の受託金融機関、大手5社で全体の8割占める

確定拠出年金全体の加入者数は3月末で125万人と78%増えた。導入企業は1402件(規約の件数)で65%の増加となった。制度の受託金融機関のトップは住友信託銀行で3月末に26万人を超え、前年同期の3倍になった。上位5社で全体の8割にあたる100万人を占める寡占状態が続く一方、中小の金融機関は苦戦を強いられている。これまでに新光証券、INGプリンシパル・ペンションス゛が撤退を表明している。登録している運営管理機関700社のうち、実際に業務を受託しているのは100社に満たない。
(2005.6.13)


企業年金利回り、2004年度5.0%で2年連続プラス

企業年金の運用利回りは5.0%と2年連続でプラスを確保したようだ。外貨建て資産の運用が寄与した。過去最高の利回りとなった03年度の16.2%に比べプラス幅は縮小したものの、年金運用の改善により母体企業は追加負担をしなくてすみ、業績の下支え要因になりそうだ。外国株式が15.7%、外国債券が11.3%、国内株式が1.4%、国内債券が2.1%と主要な運用資産の成績はすべてプラスだった。企業年金が想定している利回り2.5%程度を2年連続で上回った。
(2005.4.14)


企業年金利回り、2004年4〜12月、2.8%

格付投資情報センターによると、2004年4〜12月の9ヶ月間の企業年金の運用利回りは2.8%になった。前年同期の12.4%より大幅に鈍化したが、4月〜9月の0.6%から挽回した。好調だったのが外貨建て債権。年金資産の2割弱を占める外国株式がプラス11.8%、同1割を占める外国債券も9.1%の利回りを確保した。全体の運用利回りが前年同期に比べて鈍化した主因は資産の3割弱を占める国内株式相場の低迷。利回りはマイナス2.0%と、昨年度1年間のプラス51%に比べて大幅に悪化した。
(2005.1.19)


積立不足の厚生年金基金に改善命令

厚生労働省は、積立金の回復措置をとるよう行政指導しても応じない厚生年金基金を対象に業務改善命令を出す方針を固めた。命令を受けた企業は、掛け金の増額や給付減額で積立不足を解消するメドをたてるか基金を解散するなどの対応を迫られる。財政悪化を放置してきた厚生年金基金の淘汰が進みそうだ。しかし、深刻な積立不足を抱えている厚生年金基金の母体企業の多くは穴埋め余力がないのが実態。今回の命令をキッカケに、代行返上や解散して企業年金を廃止する動きが加速する可能性もある。
(2005.1.12)


2007年度めどに、確定拠出年金の非課税拠出限度枠を拡大

厚生労働省は、確定拠出年金について、導入企業が他の年金を併せ持つ場合の非課税拠出限度額を引き上げる方針だ。2007年度をめどに現在の23.000円から10.000円から12.000円程度上げる方向で調整する。使い手の裁量余地を広げて普及を促し、公的年金の補完機能を高める。
(2005.1.12)


確定拠出年金のすそ野拡大、病院・財団なども導入

導入企業・団体の数は2004年11月末で3.311と2003年末より9割増えた。規模が小さい有限会社や、医療・財団法人など株式会社以外の認可も62を数える。厚生労働省が認可した件数ベースでは1.114件となる。昨年10月には、導入する企業にとって制約となっていた掛け金の上限が引き上げられた。これを受け今年は導入ペースが加速する可能性がある。最近の特徴は中小企業にも広がっていることだ。社員100人未満の事業者は1.922と2.000に迫っている。確定拠出年金を活用する企業が増えてきたのは、企業、加入者双方が制度のメリットを認識し始めてきたほか、株式相場が回復基調を続けるなど運用環境が好転していることも後押ししている。
(2005.1.5)


厚生年金基金数1.000を割る

企業年金制度の主役交代が進んでいる。代表的な企業年金である厚生年金基金の数は、11月1日時点で997基金と、ピークだった1996年度末に比べて47%減った。「確定給付企業年金」や「確定拠出年金」への移行が急増している。確定給付企業年金は3月末の2.5倍にあたる811件に増加。そのうち約65%の525件が代行返上した厚生年金基金からの移行組だ。確定拠出年金は9月末で企業型の規約数は1.068件と3月末に比べて26%増、加入者は101万人となった。
(2004.12.10)


確定拠出年金脱退者、積立金一時取得が可能に

厚生労働省は2005年10月から、企業型の確定拠出年金の加入資格を喪失し個人型に移行した場合、積立金が15,000円以内ならば一時金として受給できるようにする。積立金総額が15,000円を超える場合でも、公務員や専業主婦など個人型の資格も喪失した人に限り、加入期間を問わず積立金を一時金で受け取れるようにする。一時金を受け取れる上限は50万円とする。厚生労働省が確定拠出年金の平均運用利回りとみなす年1%で手数料年5,000円を補えると判断した。
(2004.11.1)


確定拠出年金、導入3年で加入者が100万人突破

確定拠出年金の加入者数が導入から3年で100万人を突破した。企業型加入者が96万8千人、個人型加入者が3万2千人に達した。厚生年金基金の加入者(千万人)の約1割に相当する。この10月から年金の掛け金上限が引き上げられたり、旧来の年金制度からの積立金の移換限度額が撤廃されるなど規制緩和が実施される。これを機に「導入が本格化する」との見方が多い。
(2004.9.9)


退職給付信託の資産の「返還益」計上を認めず

日本公認会計士協会は近く、企業が信託制度を利用して年金向けに積み立てた資産の返還益を、原則認めない会計ルールの草案を公表する。2005年3月期から適用する方針。退職給付信託は、退職給付会計の導入で顕在化した年金積立不足の解消策で、企業が保有する株式などの資産を、信託制度を活用して年金のために外部に積み立てる手法。安易な利益計上は企業会計の透明性を損ねると判断した。外部に積み立てた会計上の年金資産を取り崩すだけで利益計上できると、本業に関係ない部分での業績底上げが可能になるからである。
(2004.9.7)


企業年金の資産急増、3月末で11.9%増

厚生年金基金等企業年金の資産が増加基調となっている。2004年3月末の資産残高は約97兆2.900億円と前年比11.9%と増えている。株価上昇で保有株式の評価額が膨らんだのが主因。資産の増加は年金財政の好転につながる。ただ、内外の株式相場は一進一退の推移に転じており、今後は資産増のテンポが鈍る可能性もある。資産全体に占める株式の比率は28%強で、昨年1年間で10%近く上昇した。
(2004.9.2)


国民年金基金連合会の予定利率引き下げ。3.0%から1.75%に

国民年金基金連合会は自営業者など国民年金加入者のための上乗せ年金制度。全国25ある国民年金基金が集めた加入者の掛け金のうち基本部分の資産を一括運用する。上乗せ年金の資産も個別基金の希望に応じて運用している。この基本部分の2003年度の運用利回りは19.24%と大きく好転し、剰余金が発生したため、累積不足金2.763億円は1.988億円に減少した。しかし、依然として運用環境が不透明なため、新規契約者から予定利率を3.0%から1.75%に引き下げた。なお、基本部分資産は8.600億円、上乗せ部分と合わせると1兆6.000億円ある。
(2004.9.1)


上場企業500社が割引率を引き下げ、平均2.34%

2004年3月期に退職給付債務の割引率を引き下げた上場企業(決算短信に割引率の記載のある1.421社)が、全体の3分の一以上の500社強にのぼった。引き下げ幅は0.5%下げた企業が引き下げ全体の7割にあたる352社と最も多い。1%下げた企業も37社あった。割引率の平均は2.34%と、2003年3月期に比べ0.19%低下した。ただ、700社超が引き下げに動いた前期(0.31%)に比べ低下幅は鈍化した。割引率を2.5%とする企業が595社と前期より100社超減った一方、2.0%とする企業は504社とほぼ倍増となった。前期は株高などで年金資産の運用環境が好転したが、企業の多くが長期的な運用環境を楽観視していないことの表れといえる。
(2004.8.26)


厚生年金基金の給付減額、昨年度、過去最高の219基金

給付水準の引き下げに踏み切った厚生年金基金が、昨年度は過去最高の219基金に達している。このうち、すでに受給が始まっている人の年金も減らした基金は15件を数え、これも過去最高を記録している。従来、もっとも給付減額した基金数が多かったのは2000年度の177件。その後は131件、99件と続けて減少していた。2000年度から3年続いたマイナス運用で、母体企業や各基金が危機感を強め、将来の給付額を決める予定利回りを下げるなどの対策をとり、減額を実施している。
(2004.7.12)


企業年金の積立不足、4割減

企業の年金財政が急速に改善している。上場企業全体の年金積立不足(未認識債務)合計は、2004年3月期末に6兆3300億円と前期末に比較して43%減った。株高によつて運用成績が大幅に好転したことに加え、多くの厚生年金基金が代行返上によって退職給付債務を圧縮したことが効いた。退職給付債務は35兆7000億円強と1年前と比較して1割弱減少した。さらに、企業年金の運用利回りは16.2%と、4年ぶりにプラスになった。相次ぐ代行返上にかかわらず、上場企業全体の年金資産は前期末で17兆4500億円と1年前に比べて11%増加した。
(2004.7.3)


確定給付企業年金に資産の「通算制度」を創設

厚生年金基金連合会は、転職時に確定給付企業年金の資産を連合会に移管する「通算制度」の概要を固めた。効率運用のため、従来から通算している厚生年金基金からの移管分と合同運用する一方、安全運用を志向する確定給付年金の特性に合わせて予定利率を低めに設定する。利差益が生じれば受給者に運用益を別途還元する仕組みを新たに導入。運用環境を見ながら、予定利率を定期的に見直すことも検討する。今国会で審議中の年金改革法案が成立すれば、厚生年金基金連合会は2005年10月から名称を企業年金基金連合会に改める。同時に確定給付年金の資産を連合会に移管できるようになる。
(2004.5.26)


総合型厚生年金基金から積立金を引き継ぎ、脱退・独立が可能に

厚生労働省は、複数企業が集まって設立している厚生年金基金への加入事業所が基金の積立金を使って独立し、確定給付企業年金を導入することを認める。2005年10月にも実施予定。基金から脱退しても、受給者の債務が基金に残るため、新たに企業年金をつくるための十分な積立金を持てなかった。このため、企業が確定給付企業年金をつくることを条件に、資産を持ったまま脱退することを認めた。脱退には厚生年金基金の代議員四分の三以上の同意が必要で、移管できる積立金は脱退企業の上乗せ年金の債務に相当する分。代行部分の資産・債務は現在の厚生年金基金連合会に移管する。
(2004.5.22)


過去最高に達した企業年金運用成績の影響

過去最高の運用利回りと2004年金改革の導入から、将来分の代行返上を決めた基金の中には、過去分の返上を先送りする動きが出てきている。代行を極力温存し、運用益を稼ぐ考えだ。また、退職給付を見直す予定であったところも、新制度への移行をやめたり、給付削減の幅を縮小したりと、軌道修正の構えだ。「代行割れ」で解散できなかった基金も、相場の回復で「戻り解散」の話も聞かれる。明るさを取り戻した環境変化から、財政再建を狙った「年金リストラ」に区切りをつけて、制度の魅力を増す積極策を練る時期に来ているのではないか。
(2004.5.9)


確定拠出年金導入企業の転職者に手続きの周知徹底を

確定拠出年金は転職時に資産を転職先の確定拠出年金に移管できるのが特徴。転職先に確定拠出年金がない場合は、自営業者が加入する個人型に加入する。ただし、移管手続きは転職者自身がしなければならない。6ヶ月以内に手続きをしないと、企業が個人型の資産管理をしている国民年金基金連合会に強制移管する。強制移管された場合は資産運用がされない。その上、強制移管された期間は年金を受け取るのに必要な加入期間(10年)と認められず、老後に年金を受け取れない事態も予想される。手続きを説明する義務は事業主にある。転職者に必要な手続きの周知徹底が求められる。
(2004.3.31)


企業年金の給付水準見直しは「同意者だけで減額」が可能に

厚生年金基金など企業年金の給付減額はすでに「三分の二の同意が必要」との規定がある。しかし、同意しなかった人も減額するかどうかには触れていず、規定があいまいだった。厚生労働省は同意した人だけを対象に減額できるルールをまとめた。その場合、同意した人だけが減額されることを加入者に事前に十分に説明することが必要としている。今回のルールでは、減額を拒否した受給者には、制度見直し時に、給付水準を維持した場合と減額後の受給見込み額の差額を一時金として支払うことを明記した。従来は給付水準を維持した場合の受給見込み額前後を一括で払う例が多かった。
(2004.3.17)


厚生年金基金の「代行部分」、退職給付債務計算の算定対象外へ

代行部分が退職給付債務計算の対象外となり、企業は代行部分の運用悪化で、追加負担を避けられる可能性が出てきた。2004年年金改革法案の中で厚生労働省が盛り込んだのは@最低責任準備金が給付現価に対して大幅に減少した場合はその一部を国が財政支援するA最低責任準備金の計算方式を厚生年金本体利回りで付利する元利合計方式にするーーなど。この改正案を受けて日本年金数理人会は代行部分を退職給付債務計算の算定基礎からはずすことを要請している。実現すれば相次ぐ代行返上や解散など企業の厚生年金離れに歯止めをかけることが出来る。
(2004.3.4)


確定拠出年金の脱退一時金受給条件を緩和

厚生労働省は企業型の確定拠出年金の加入者が会社を辞めた場合に脱退一時金を受け取れる条件を緩和する方針で、2004年の年金制度改革案に盛り込むこととなった。現在は原則60歳まで積立金は引き出せないが専業主婦などは積立金が一定額以下なら、全額を一時金で受け取れるようにする。また、個人型に移って積み増しできる場合でも、積立金が少額なら一時金を認める。手数料で積立金が目減りするのを防ぎ、普及を促すのが狙いだ。基準額は50万円を軸に調整する見通しだ。
(2003.11.10)


厚生年金基金の積立不足は7割

2003年8月1日時点1633基金を調査。厚生年金基金が解散する場合に必要な積立金の水準(非継続基準)を下回っている厚生年金基金は2001年度調査の46.8%から24.6ポイント増えて71.4%になった。掛け金の引き上げが必要な厚生年金基金の割合も2001年度調査の21.4%から33%に急増した。今後の財政健全化への取り組みを複数回答で聞いたところ、掛け金の引き上げ(48.8%)と年金給付水準の引き下げ(48.7%)の回答が多かった。企業と加入者とが痛みを分担する事例が増えているようだ。
(2003.10.28)


確定給付企業年金の採用企業100社を超す

2003年10月1日現在での採用企業数は108社に達した。このうち年金額が長期金利などに連動する「キャッシュ・バランス・プラン」の導入を決めた企業も41社になった。確定企業年金の採用企業を運営形態別にみると、規約型が81社、基金型は28社になった。2003年9月から代行部分の資産を完全に国に返上することが可能になり、代行返上した厚生年金基金の多くが基金型に移行した。
(2003.10.22)


混合型年金の導入増える

厚生年金基金連合会が2002年10月に厚生年金基金を対象に実施したアンケート調査(1708基金中1461基金が回答)では、混合型年金を導入、検討している基金は428基金と全体の3割に達する。実際にコーセーや花王など大手企業で相次いで導入しており「来年度に混合型を導入する企業はこの調査を上回る」といった見方が出ている。混合型年金は積立金に付与する運用利率を国債の利回りなどに連動できるので、達成可能な利率を設定でき、企業にとって多額の不足金が発生しにくい。なお、2003年8月末現在で確定給付企業年金の認可を受けた73社のうち、キャッシュ・バランス・プランを導入した企業は検討中も含めると24社になる。
(2003.8.31)


厚生年金基金の4割が解散・給付減額

厚生年金基金で年金給付の引き下げや解散の動きが止まらない。厚生労働省によると、2002年度中に年金給付を引き下げたのは99基金で、累計は447基金に達した。解散も累計235基金にのぼり、全基金の4割近くでサラリーマンが老後の生活設計の見直しを迫られている。受給者の年金削減には反発が強いので2002年度に実施したのは3基金、累計でも10基金だけ。過去に引き下げたものの、さらに2回目の引き下げを実施したのは15基金、3回目も2基金あった。減額設計が可能となった1997年度時点で厚生年金基金は1800あったが、延べ37%で解散・給付減額が行われたことになる。今年度も積立不足が発生しない確定拠出年金に移行する基金が増えそうだ。
(2003.8.13)


キャシュ・バランス・プランの導入、広がる

長期金利などに連動して年金額が変わる新たな企業年金制度を導入する企業が増えている。松下電器産業や花王などがすでに導入したほか、日立製作所、NEC、伊藤忠商事なども導入を決めた。金利連動型のこの年金は、運用成績が低迷した際のリスクを企業と従業員が分担して負うのが特徴。年金資産の積立不足に悩む企業が多いなか、今後の年金制度の柱になりそうだ。この年金制度は昨年4月から導入可能になり、現在導入済み、導入を表明した企業は30社以上になっている。
(2003.7.15)


年金資産の想定運用利回り、上場企業の4割引き下げ

2003年3月期の上場企業1286社を対象に日本経済新聞社が集計したところ、今期に期待運用収益率を変更した企業は570社。そのうち98%の558社が引き下げた。平均は3.15%から2.66%に低下した。引き下げ幅は、0.5%引き下げた企業が185社と最も多く、1%下げた企業が136社と続いた。期待運用収益率を下げると、資産運用によって得られると見込まれる収益が減少するため、企業が負担する退職給付費用が増加することとなる。半面、期待運用収益率を引き下げたことで実際の運用利回りとの差による新たな積立不足は減少する。
(2003.7.3)


企業年金の積立不足、13%増

2003年3月期末時点で上場企業1280社の積立不足は11兆7000億円と、1年前と比べ13%増えた。集計企業の年金債務は37兆8600億円と前期より9%減った。国の厚生年金の運用・給付の代行業務を返上する企業が相次ぎ、その分の債務がなくなったからだ。半面、年金資産や引当金で手当てしていない積立不足が増えたのは、株安による運用悪化のほか、債務の計算に用いる割引率を低金利に合わせ厳しく見直したため新たな不足が発生した。集計企業では年間1兆円前後(前期の経常利益の10%)の減益要因になる。費用増を避けるため、制度を見直して給付減額などに踏み切る企業も相次ぎそうだ。
(2003.6.30)


退職給付債務の割引率、700社超が引き下げ

2003年3月期決算企業で過去2年間、連結決算短信に割引率の記載がある1395社を対象に日本経済新聞社が調査。割引率を変更した企業は745社。うち709社が引き下げており、割引率の平均は前期の2.83%から2.52%に低下した。引き下げ幅をみると、0.5%引き下げた企業が455社と最も多く、1%下げた企業も126社あった。最も引き下げ幅が大きかったのは3.5%を1%(下限)に下げた自動車電機工業。割引率が最も低かったのはキョウデンで0.75%。前期も1.5%と最低水準だったが、さらに引き下げた。
(2003.6.20)


確定給付企業型年金、転職先へ移管可能に

厚生労働省は確定給付型の企業年金に加入するサラリーマンが、年金を転職先に持ち運びできる新制度の検討に入った。新制度は退職時に元の勤め先の企業年金の脱退一時金を、厚生年金基金連合会に移し、ここから新しい勤め先の企業年金に資金を引き継ぐ。企業間に合意があれば、連合会を経由せず直接資金を移すこともできる。転職先が厚生年金基金のように資金を一括運用する制度の場合は、引き継ぐ際の条件は転職先の企業年金が個々に決める。転職先に確定拠出年金や混合型年金など個人勘定のある企業年金であれば、以前の年金資産は100%引き継がれる。老後の年金であまり不利にならない環境を整え、雇用の流動化に対応するのが目的。2004年度の年金制度改革での実現を目指す。
(2003.6.13)


確定給付企業年金、44社が導入

2002年度からスタートした確定給付企業年金制度を採用した企業が、初年度は44件に上がった。適格退職年金から移行した例が35件と最も多く、新規に設立する企業も8件あった。給付設計では「混合型」が全体の4割に達した。運営形態別にみると、規約型が42件と多かった。基金型は2社にとどまった。給付別に見ると、混合型が18件、確定給付型が26件だった。加入者数は現在、約11万人、ほぼ同時期にスタートした確定拠出年金では企業型で約30万人となっている。
(2003.6.3)


厚生年金基金の「代行返上利益」200社で1.2兆円

企業年金の代表的存在である厚生年金基金の「代行返上」を決めた企業200社で、返上による特別利益が税引き前利益の36%を占め、合計で1兆2360億円にのぼることが分かった。株式市場では「売り圧力」と悪役視されている代行返上も、企業の利益底上げには貢献し、業績の「V字回復」を後押しした形だ。しかし、その影で、返上余力のない基金が、積立不足のまま取り残されているという問題もある。中小企業が業界ごとに作っている総合型基金(600基金、加入者560万人)の積立不足は6兆円あるとみられ深刻である。加入者1人あたりの不足額は平均100万円、従業員100人の企業では不足額を埋めるには1億円が必要だ。
(2003.5.27)


確定拠出年金361社が導入

2003年3月末日現在で導入した企業は361社、参加事業所数では1318社になる。361社のうち57%が中小企業で、これまで企業年金制度がなかったところが新たに導入している。運用商品のうち最も資産残高の割合が高いのは株式投信で46%だった。しかし、これは東証株価指数などに連動するパッシブ運用が中心で積極的に高利回りを狙う商品ではない。次に多いのが預貯金で32%。利付き保障証券などの保険商品が8%、公社債投信が6%など元本割れのリスクが少ない商品に集中している。株式への直接投資は4%にすぎない。元本確保型商品では手数料などを取られると、実質的に利回りがゼロになる可能性が高い。
(2003.4.28)


2002年度厚生年金基金の解散数過去最高の73基金

2002年度の厚生年金基金の解散数は過去最高だった2001年度の59基金を超えて73基金になり、総数で1700を割り込み、加入者数も1.000万人を下回る見込みである。資産運用利回りの低迷などで9割の基金が積み立て不足の状況になっているのが原因である。厚生労働省は1月末に規制緩和し、解散したくても積み立て不足が大きくて解散できなかった基金の解散に道を開いた。解散するには厚生年金の代行部分に相当する積立金を返上しなければならないが、最長10年以内に穴埋めする計画を立てれば返上が認められる。
(2003.4.7)


確定拠出年金企業型の規約承認は2004年4月に800件

企業型の承認規約は2004年4月にも800件を超える見通しだ。2003年1月末時点で250件承認されているが、現在申請中、あるいは申請準備中の案件が150件あり、4月には累計で400件の規約が承認される見込みだ。4月以降も高水準の規約申請が予想され、2004年4月までに400件上乗せして800件に達しそうだ。廃止が決まっている税制適格年金の受け皿に活用する動きに加え、急激な運用環境の悪化から確定給付年金から確定拠出年金への移行が加速しようとしている。さらに、ひとつの年金規約で複数の企業が制度を導入する「総合型」や、大企業の関連会社をひとまとめにした「連合型」を導入する動きも活発になりそうだ。
(2003.3.28)


退職給付債務の割引率、2社に1社が引き下げ

上場企業の2社に1社が退職給付債務の割引率を引き下げる方向にあることが、日本経済新聞社が行った主要100社調査(2003年2月実施)で分かった。「来期にかけて割引率引き下げを検討しているか」の質問に「引き下げる」と回答したのは13社。「引き下げを検討中」(33社)を含めると、回答企業81社のうち56%を占めた。「引き下げる」と回答した企業の平均の割引率は現行で2.7%。引き下げ後の割引率は平均で2.3%だった。割引率は将来にわたって支払う必要のある年金・退職金を現在価値に置き直した退職給付債務の算出に使う。割引率を下げると退職給付債務は膨らみ、企業が追加で処理をしなければならない負担が増し利益を圧迫し、企業業績の回復ピッチを鈍らせる要因になりかねない。
(2003.3.20)


個人型確定拠出年金加入者の3割を損保会社2社が占める

2002年1月に開始された個人型確定拠出年金は、2003年1月までに加入者数が約11000人にまで増えた。うち損保ジャパングループが2380人、東京海上が約1300人の加入者を取り込んでおり、損保2社で3割以上を占めている。この制度には自営業者や企業年金制度を持たない中小企業の従業員などが加入できるが、大手損保が重視するのが中小企業の従業員への働きかけ。企業が給与天引きで確定拠出年金に加入できるようにすれば多くの従業員の加入が見込めるとして、取引先の企業への説明を強化している。損保ジャパングループでは、これまでに2500社を超える企業の確定拠出年金事業所登録を支援してきた。従業員の福利厚生の一環として、個人型の加入者に補助金を支給する企業も出てきていて、今後個人型加入が増える見通しだ。
(2003.3.12)


厚生年金基金の8割が代行返上の可能性

厚生年金基金連合会が2002年10月に実施した調査によると、企業がつくる厚生年金基金(単独・連合型)の5割超が代行部分を国に返上しようとしていることが分かった。すでに代行返上の方針を決めたところを合わせると、8割以上が代行返上する可能性がある。厚生年金基金の代行部分の資産は約30兆円。厚生年金基金の資産の3分の2を占める単独・連合型の8割が代行返上すると代行部分の半分に当たる16兆円が年金資金運用基金に移ることになり、株式など金融市場にも影響を与えそうである。また、年金給付水準の削減については全体の41.5%が検討。2001年4月以前に実施済のところをあわせると56%が年金給付を削減している。解散も12.9%が検討しており、厚生年金基金制度を縮小する動きが浮き彫りになっている。
(2003.3.7)


確定拠出年金導入企業は従来型年金との併用が目立つ

確定拠出年金は2002年末までに233社が厚生労働省から導入認可を受けたが、従来からの制度も併存しているのは39%の90社。導入前に他の年金制度がなかった企業が72社あり、これを除く161社でみると、56%が厚生年金基金や適格年金などの確定給付年金を併存させていることになる。従来の制度をなくして確定拠出型に一本化したのは71社。一方、どの制度から資産を移管したかについては、「なし」が123社と最多でまったくの新制度として確定拠出年金を導入した企業が多い。次いで適格年金からの移管が65社、退職金からの移管が23社、適格年金と退職金の併用からの移管が17社などと続いた。厚生年金基金からの移管は、他制度との併用型を含め5社に過ぎなかった。複数の企業年金制度を併存させる企業は今後も増えそうだ。
(2003.3.3)


生保各社、確定拠出年金「総合型」で中小企業を囲い込み

大手生命保険会社が確定拠出年金で、中小企業の規約を共通にし運営負担を軽くする「総合型」サービスを相次ぎ始めた。確定給付年金を持つ中小企業などが確定拠出年金に移行する際の受け皿にする方針で、中小企業の取引先の囲い込みを狙う。第一生命保険は今月から、取引先の中堅・中小企業に対して新たなサービスの営業を始めた。2003年度中に加入企業100社、従業員1万人から契約獲得を目指す計画だ。昨年末から営業を始めている日本生命保険は、これまでに12社の内定を獲得し、今後も受託企業を増やす方針。住友生命保険も昨年9月末から営業を始めている。確定拠出年金制度が始まった当初から中小企業向けサービスを始めていた東京海上は、1月末までに28社から受託している。
(2003.2.17)


公的年金の給付、4月から0.9%減

2002年の消費者物価指数の下落幅が公表されたのに伴い、今年4月から公的年金の給付額が0.9%減ることが確定した。厚生年金に加入するサラリーマンの夫婦のモデル年金(40年加入、妻は専業主婦)は月額23万5992円と現在より2133円少なくなる。国民年金に加入する自営業者夫婦(40年加入)の年金額は1200円減の13万2834円。年金額を消費者物価に連動させる「物価スライド」で給付額を下げるのは初めて。公務員らが加入する共済年金、各種福祉手当も0.9%下がる。
(2003.2.3)


企業年金利回り、3年連続マイナスへ

企業年金の運用悪化に歯止めがかからない。2002年度の平均運用利回りは12月までの9ヶ月間でマイナス10.4%となり、3年連続のマイナスはほぼ避けられない情勢だ。国内株式に加え外国株式の下落が響いた。目減りした年金資産の穴埋めで企業の負担は一段と重くなる。四半期ベースでも10−12月はマイナス0.8%と4−9月のマイナス9.7%より改善したものの3・四半期連続でマイナスになった。企業年金全体では、このままだと2000年度のマイナス9.8%を下回り過去最悪の成績に終わる懸念がある。
(2003.1.24)


確定拠出年金加入者の運用姿勢は堅実志向

厚生労働省はこのほど確定拠出年金制度の実施状況をまとめた。それによると2001年度末で導入企業は233社、加入者は27万人を超えた。低迷する株価への懸念から株式投資は全体の1〜2%にとどまり、株式投資信託と預貯金への資金振り向けがそれぞれ3割台で慎重な運用姿勢が目立っている。預貯金など元本確保型商品に7割以上資産を振り向けている実例も最近報告されている。導入企業規模は100人未満が80社で最も多く、全体の6割が300人未満の中堅・中小企業だ。個人型加入者は9900人。企業型の加入者1人当たり掛け金月額の平均は12031円、個人型は17245円。加入者毎の資産管理や運用記録などのかかる手数料は企業型で導入時に一人当たり平均1813円、毎月293円の費用がかかっている。
(2003.1.18)


年金リストラで、確定拠出へ全面移行

企業のリストラが退職後の生活にかかわる年金にまで及び始めた。代表的な企業年金である厚生年金基金を解散し、確定拠出年金に全面移行する企業が相次いでいる。国に代わって厚生年金の一部を運用・給付する代行業務を返上する企業が増えている。代行返上は今年4月の法改正で可能になったが、12月16日現在で認可を受けた基金は246に上り、全基金数(約1700)の1割強に達した。基金解散まで踏み込まないものの、確定拠出年金を導入する企業は増え続けている。昨年10月の法整備で解禁されて以来、今年11月末までに厚生労働省から確定拠出年金の導入を認められた企業は203社に達する。長引く不況で各企業の事業リストラも限界に近づき、聖域とされた年金リストラに踏み込まざるを得なくなっているのが実情だ。
(2002.12.20)


中退共の2001年度運用利回りが、最低の1.77%

中小企業退職金共済(中退共)の運用資産が悪化している。2001年度資産運用利回りは1.77%と、1959年度の制度発足以来の最悪を更新した。中退共は資産運用悪化を受け、3.0%だった予定利率を11月から1.0%に引き下げた。2001年度末の積立金は3兆463億円。加入者数が減少(前年度比2.4%減の)する一方、退職者への支払いが増加(一時金で前年度比7.4%増の31万件)して、前年度より1.7%減った。掛金は財政投融資資金への預託や債券購入のほか、生命保険会社や信託銀行への委託などで運用している。全体の運用利回りは2000年度より0.56ポイント低下。89年度の6.04%をピークに下がり続けている。
(2002.12.5)


適格年金から中退共へ、7ヶ月で543社が移行

2002年4月から10月までに自社の税制適格年金を解散し、特殊法人の勤労者退職金共済機構が運営する中小企業退職金共済に加入する企業が543社に達した。従業員の年金・退職金を単独で運用するのはリスクが大きいと判断する中小企業が増えていることが背景だ。適格年金は企業が独自に掛金を積立て、年金や退職一時金として従業員に支払う制度。今年4月の確定給付企業年金法施行から10年の経過期間を経て、廃止することが決まっている。積立金は新しい確定給付企業年金など他制度にも移せるが、運用が悪化すれば企業が掛金を追加拠出するなど自社制度を運営するのは負担が重い。中小企業を対象とする中退共は運用が悪化した場合は給付を減らし、加入企業には追加負担がない。
(2002.11.18)


公的年金の保険料が「確定拠出」型に

厚生労働省は2004年度の年金制度改革案の骨子をまとめた。出生率などの変化で公的年金の財政計画に見込み違いが生じても、保険料は計画のまま固定し、計画とのブレは年金水準を下げて調整する新方式を導入する。将来の負担増に対する若年世代の不安を和らげる狙い。厚生年金や国民年金など公的年金は、決まった年金水準を払う「確定給付」で、受給者数に対する現役世代の人数が減ると一人当たりの保険料負担は重くなる。新方式は給付ではなく将来の保険料を確定する「確定拠出」とする。出生率などが計画を下回っても保険料は変更せず、年金の給付水準を下げて帳尻を合わす。標準ケースは厚生年金保険料(現在は年収の13.58%)の上限を20%とし、2025年度に上限に達するよう順次引き上げていく。給付水準の調整は数年程度の経過期間をおく案が有力だ。すでに年金を受給している人の給付水準を調整対象に含めるかも合わせて検討する。
(2002.11.5)


住友生命が中小企業の制度導入手続き代行業務を開始

住友生命保険は2003年1月から、中小企業の確定拠出年金導入を支援するため、規約の作成などの手続きを複数企業から一括して請け負うサービスを始める。これにより単独で導入するより費用を2〜6割減らせるという。新サービスは従業員100人未満の中小企業が対象。加入者が少ない中小企業は費用負担がかさみ、導入を断念するケースが多かった。新サービスでは住友生命が中小企業共通の規約を用意し、厚生労働省との折衝も一括代行する。この結果、加入者一人当たりの企業負担は年5000円を下回るという。ただ、確定拠出年金の運用対象はどの中小企業も共通で、運用商品は原則として住友生命の保険商品か同グループが組成している投資信託に限られる。同様のサービスが広がれば確定拠出年金の普及につながりそうだ。
(2002.10.25)


企業年金の運用利回り、4〜9月マイナス9.5%

格付投資情報センターが全国の厚生年金基金や税制適格年金など約170の企業年金の運用状況をまとめた。2002年度上半期(4〜9月)の平均運用利回りはマイナス9.5%となった。2001年度下半期(昨年10月〜今年3月)はプラス6.4%。年金資産のうち平均3割を占める国内株式の運用成績はマイナス12.8%。同2割を占める外国株式もマイナス33.3%。債券は国内債がプラス2.0%、海外債も同8.5%とともに堅調だった。下半期に運用成績が改善しないようだと年度ベースで3年連続のマイナスとなり、企業は運用資産の目減りを埋めるための負担が一層重くなる。上場企業は昨年度、新たに発生した積立不足の償却に1兆3千億円の費用処理を迫られた。今年度は1兆5千億円を超えるとの試算もある。
(2002.10.23)


確定拠出年金企業型は8月末で155社が導入決定

企業型の実施状況は8月末で155プランの規約が承認されている。申請中の70プランが控えている。6月末時点で導入した121社の実態を分析してみると、従業員300人未満が75社で6割強を占め、うち50社が退職金制度として企業型年金のみの制度。一般的に大手企業は既存制度はそのまま維持するか減額して残し、退職一時金部分を企業型年金に移行する形を採用している。個人型は7月末時点で加入者は3173人、内訳は第1号は1729人、第2号は1444人。個人型の掛金を給与天引きする事業主の登録を済ませた企業は2085社に達している。個人型を全社員に推奨することにより、全員に近い加入状況になれば企業責任のない企業型年金に類似した制度になる。個人型第2号加入者数は増える可能性がある。
(2002.10.8)


企業の半数超が確定拠出年金導入を検討

日本経済新聞社と格付投資情報センターは全国の有力企業などを対象にした「日経企業年金実態調査」をまとめた。企業に今後採用したい年金制度は何かを聞いたところ、回答の5割以上が確定拠出年金と答えた。年金資産の積立不足が発生しないことなどが好まれたようだ。企業が将来採用したい制度で最も多いのが確定拠出年金で54.5%。次が2002年度から既存の税制適格年金を改良する形でスタートした規約型企業年金(41%)。退職一時金や企業年金に相当する金額を在職中に前払いする制度が20.2%と続いた。
(2002.10.7)


厚生年金基金連合会の積み立て不足1兆円。

転職者などの年金資産を引き継いで運用し、年金を支給する厚生年金基金連合会の積み立て不足が2001年度末で1兆円を超えた。不足額は保有資産の18%に相当する。連合会は全国の厚生年金基金から脱退したり、基金の解散で継続加入出来なくなったりしたサラリーマンを対象としており、積み立て不足が生じても穴埋めする母体企業がない。基金からの脱退者は2001年度末で延べ2400万人、解散基金からの加入者は50万人に達している。連合会はこれら対象者の年金資産を年5.5%の利回りを前提に運用しているが、2000、2001年度とマイナス2−5%程度。その結果、2001年度末の資産残高は5兆6919億円。これに対し将来の年金給付に必要な計算上の額は6兆6205億円。積み立て不足は1兆86億円となった。
(2002.9.16)


確定拠出年金向け投資信託が急増。

確定拠出年金向けの国内の投資信託の設定本数が、7月末で公募型投信全体の1割強に達した。同年金の加入者は長期投資を想定して株式での運用を求めるケースが多く、預金などと比べて投信の人気は高い。モーニングスター社が7月末現在で集計したところ、確定拠出年金向けの投信の設定本数は225本だった。昨年7月は19本であった。純資産は851億6400万円と全体の0.58%にとどまっている。投信の種類別で最も多かったのは、国内外の株式や債券に分散投資するバランス型で103本だった。2番目に本数が多いのは国内株式型で54本。確定拠出年金の導入企業は6月末の121社から2002年度末には700社を超える見通し。すでに導入している日立製作所などでは投信を選択した割合が5割を超えている。
(2002.8.29)


確定拠出年金の導入企業が700社を超える見通し。

確定拠出年金の導入企業が2002年度末に700社を超える見通しとなった。現在の確定給付年金の債務負担が運用実績の低迷で重くなっていることから、中小企業だけでなく、大企業や中堅企業でも年金・退職金制度を見直す動きが相次いでいるためだ。年金運用は依然として厳しく、確定拠出型への移行は一段と加速しそうだ。確定拠出年金は今年6月末までに121社が厚生労働省から導入の承認を受けている。日本経済新聞社が確定拠出年金の管理を手掛ける主な金融機関グループ21社に調査したところ、7月以降に年度内導入を固めた企業が183社にのぼることが分かった。現在、年度内導入へ最終調整中の企業も多く、金融機関の受託企業数は2002年度末までに700社超に拡大する見通しだ。
(2002.8.26)


トヨタ自動車グループが「連合型」確定拠出年金を導入。

トヨタ自動車グループは2002年度中にも、グループ各社がまとまって加入できる「連合型」の確定拠出年金を国内で初めて導入する。制度を共通化して資産を一体運用することでコストを引き下げ、中堅・中小を含む傘下企業が新型年金に加入しやすくする。他の企業グループも追随するとみられる。確定拠出年金を単独で導入する企業の場合、運営コストは加入者1人当たり年間5千数百円かかるケースが多い。連合型では単独型より2割程度コストが安くなる見通しだ。また、運用資産が膨らむことでスケールメリットが働き、金融機関に支払う運用手数料が割安になる。350社を超えるトヨタの連結子会社のほか数百社規模の関連企業すべてが連合型の加入対象になる。
(2002.8.23)


厚生年金基金の2割が年金給付水準を引き下げ。

代表的な企業年金である厚生年金基金で年金給付水準を引き下げる動きが広がっている。厚生労働省によると、2001年度末までに累計で全基金の2割以上の366基金が引き下げた。株価下落などで資産運用利回りが低迷、基金の財政が悪化しているためで、下げ幅が2割以上に達する例も多い。7基金は現役を引退し、支給を始めている人についても減額に踏み切っており、老後の生活設計の見直しを迫られるサラリーマンが増えそうだ。年金財政の悪化に伴って、給付の引き下げどころか解散する基金も増えている。2001年度は過去最高になる59基金が解散した。
(2002.8.10)


確定拠出年金加入者の過半数が投信運用を選択。

確定拠出年金を導入した企業で、株式投資信託など価格変動リスクを伴う金融商品を選ぶ動きが広がっている。サラリーマンは一定のリスクを覚悟しても、老後に備え長期的に高い運用利回りを求めているようだ。日立製作所では投信の選択割合は50%に上った。オラクルでは内外の株式や債券に分散投資する投信が87%に達した。サンデンでは投信を選んだ割合は52%で、安全性を重視するとみられていた50歳代でも半分以上が選んだ。日商岩井では全体の69%が株式を中心とする投信を選んだ。日興コーディアル証券は投信の選択率が70%、証券会社の社員で投資知識が豊富なのに加え拠出額が少ないこともあり、リスクがあっても高収益が狙える商品を選ぶ社員が多い。
(2002.8.3)


公的年金の給付額を物価下落率に連動。

厚生労働省は2003年度に、公的年金の給付額を消費者物価の下落に連動して初めて引き下げる方針を固めた。下げ幅は今年の物価下落率とする方向で、現時点では1%弱。制度上は2000年度は0.3%、2001年度と2002年度はともに0.7%引き下げる必要があったが、高齢者に配慮して特別に据え置いてきた。来年度の下げ幅はこれまでの保留分1.7%と今年を合わせて引き下げる案もあるが、今年の物価下落分に止める方向。試算では平均的なサラリーマンが40年加入した場合で妻の基礎年金を含め約24万円となっている厚生年金のモデル年金額で1%の引き下げとなった場合、約2400円減ることになる。
(2002.8.1)


企業年金の確定給付離れ加速。

企業が将来の給付額を約束する確定給付型の企業年金を縮小・廃止する動きが広がっている。約束通り給付するために追加負担する仕組みを避けているからだ。企業年金は資産の運用成績によって給付額が変わる確定拠出年金に移行しつつある。厚生年金基金の昨年度の解散数は59件と、前年度(29件)から倍増し過去最多。もうひとつの確定給付型企業年金である税制適格年金の解散も急増している。厚生年金基金が国に代わって運用給付する代行部分を返上する動きも拡大し、すでに61基金が返上している。この4月に「確定給付企業年金」の制度が導入されたが、3ヶ月経過しても設立はゼロ。対照的に確定拠出年金は昨年10月の制度発足から9ヵ月で121社が導入。加入者数も5月末時点で11万人弱に達した。
(2002.7.11)


中小企業に普及し始めた確定拠出年金。

確定拠出年金が中小企業を中心に普及している。厚生労働省がまとめた「確定拠出年金の施行状況について」によれば、5月までに同年金制度を導入した95社・グループのうち6割の57社・グループが従業員300人未満だった。57社の中で厚生年金基金など既存の企業年金を持っているところは約3割の18社。残りの約7割の39社はこれまで企業年金を持っていなかった。確定拠出年金は個人が年金資産の運用に失敗しても企業に穴埋めの義務はない。このため、企業のコストが小さい制度といわれるが、専門家の中には「教育のコストまで惜しむと必要な年金資産を積み立てられず、従業員の老後にしわ寄せがあるのでは」と懸念する声もある。
(2002.7.4)


公的年金受給予想額を50歳以上に開示。

厚生労働省は老後に受け取る公的年金について加入者個人への情報提供を拡充する。このため、厚生労働省・社会保険庁は情報提供拡充策の第一弾を8月末までにまとめ、2003年度中の実施を目指す。この情報拡充策では、全国の社会保険事務所窓口で老後の年金見込み額を試算してもらえるサービスの対象者を現在の「原則58歳以上」から「50歳以上」に広げる。また、加入者全員に58歳の誕生日時点で過去の保険料納付実績を郵便で通知するサービスも始める。2004年に予定されている年金制度改革では、保険料納付実績点数(ポイント)で示し、獲得ポイント数から自分の年金額を簡単に予測できる制度を導入することを検討する。
(2002.6.21)


確定拠出年金で、損保各社は中小企業・個人層に照準。

大手損害保険会社が、確定拠出年金で中小企業や個人層の開拓を急いでいる。東京海上は多数の企業がまとめて導入可能な総合型規約を設定した。また、通常は企業ごとに選ぶ運用商品を統一することなどで、導入コストを抑えた。安田火災は従業員教育や運用商品の選定、個人別の口座管理などをまとめて実施できる体制を整えた。個人型の年間管理手数料も5736円と最低水準にした。三井住友海上は確定拠出年金向け専用商品として、元本保証の積み立て傷害保険を投入した。損保各社は個人型については、代理店を通して情報提供や加入受付をする戦略をとっている。生保や信託銀行は大企業向け市場で強みを持つため、代理店網を活用して地域の中小企業や個人顧客を開拓する考えだ。
(2002.5.23)


厚生年金保険料、2025年に年収の25%。

厚生労働省が新人口推計に基づきまとめた厚生年金と国民年金の保険料試算によると、サラリーマンの保険料負担(労使合計)は将来、年収の25%に達する。少子化が最も速く進む最悪シナリオ(低位人口推計)を前提にすると、全国民共通の基礎年金の国庫負担を5割に上げたとしても、2025年度の厚生年金保険料は年収の24.8%(現行13.58%)に達する。給付額で調整するという発想で作り直すとどうなるか。保険料率を年収の15パーセント程度に据え置いた場合、2025年度の給付水準は現在(夫婦二人のモデル世帯で238.000円)の3〜4割減になるとみられ、受け取りは大幅に減る。抜本改革を先送りしてきたツケが露呈、2004年の次期年金改革では負担増への歯止めが待ったなしの課題になる。
(2002.5.16)


代行返上で特別利益を計上する企業が相次ぐ。

厚生年金の一部を国に変わって運用・給付している代行部分を返上することで、特別利益を計上する企業が相次いでいる。デンソーが2003年3月期に1121億円、セコムも260億円前後計上する見通しだ。積み立て不足の償却が進んでいないと特別損失が発生する場合もあり、代行返上が企業業績に大きな影響を与えている。国への代行返上は4月施行の確定給付企業年金法で認められた。企業は公的年金の原資として国に最低責任準備金を返上することになる。一方で、企業は退職給付会計の導入により代行部分も含めて積み立て不足の償却を始めている。将来の給付に備えた年金資産を計算する際の割引率が違うため、早めに償却した企業は最低責任準備金との差額が特別利益になる。
(2002.5.9)


厚生年金基金の代行返上、4月に37件。

厚生年金基金が国に変わって厚生年金を運用・給付する代行部分を国に返上する例が相次いでいる。返上は4月1日から可能となったが、同月だけで37件に達した。返上すれば企業は代行部分の資産の積み立て不足を穴埋めする必要がなくなり負担が減るためだ。厚生労働省では今後も毎月5〜10件程度の返上があるとみており、年間で100件を超える可能性もある。厚生年金基金は全国で1700あるが、全体の3割以上が代行返上を検討しているとの調査結果もある。返上は今後代行部分して積み立てていく分の返上と、過去に積み立ててきた分の返上に分かれる。4月から可能になったのは今後の積み立て分である。
(2002.5.8)


団体年金保険の配当、連続見送り。

日本生命保険、第一生命保険など大手生保7社は、2002年度の団体年金保険(一般勘定)の配当を2年連続で見送る方針を固めた。超低金利と株価低迷で運用実績が落ち込んだのが原因。2001年度は国内株下落の影響で運用実績が低迷、配当を出せる運用水準に達しなかった。各社は7月から9月にかけて、保証利回り(予定利率、現行1.5%)も一斉に引き下げる意向。超低金利で運用環境が厳しく、1.5%の予定利率は高すぎると判断している。各社とも0.75%引き下げ、過去最低の0.75%にする考え。中堅生保の太陽生命保険と富国生命保険も今秋以降、現在1.75%の予定利率を1.0%とする方針だ。
(2002.5.6)


適格退職年金の401K移行に新手法。積み立て不足解消数年で。

安田火災海上保険は、税制適格退職年金を運用する企業が確定拠出年金を導入する際に、積み立て不足を一括償却しなくても移せる新しい仕組みを考案した。負債である責任準備金を年金資産と同額まで圧縮したうえで、同資産を401Kに一括して移管。その後の数年間で積み立て不足を解消する。国税庁もこれを承認した。これによって、企業は401K導入時の償却負担を軽減できる。一括償却に比べて一時的に年金資産額は減るものの、受取額には響かないため、従業員にとっても不利益変更にならない。10年後には現行の適格退職年金制度が廃止されることから、安田火災は401Kの導入を検討する企業が増えるとみている。
(2002.5.4)


厚生年金収入が1兆8000億円不足。

厚生労働省が24日まとめた厚生年金と国民年金の2000年度財政状況によると、サラリーマンが入る厚生年金の収入が政府の財政計画を1兆8000億円下回った。2000年度の総収入実績は31兆3000億円となり、政府が1999年に作った財政計画(33兆1000億円)を1兆8000億円下回った。総収入のうち保険料収入は20兆512億円と前年度に比べ1586億円減少した。景気低迷で企業が人員を削減し、加入者が計画より200万人強少なかったのが主因。将来の年金給付に備える積立金の運用収入は4219億円減。金利低下に伴い運用利回りが3.22%に下がり、政府計画の4.0%に届かなかった。政府計画に比べ年金財政が悪化しているため、2004年度の次期制度改革では保険料や給付水準の見直しが焦点になる。
(2002.4.25)


年金課税を給付段階で強化。高齢者優遇見直し。

政府税制調査会は基礎問題小委員会で、国民年金や厚生年金など公的年金の受給者が実際に年金を受け取る段階での課税強化を検討することで一致した。年金収入から一定額を差し引ける公的年金等控除を減額する方向。若年世代に比べ手厚い高齢者への税優遇を減らし、世代間で不公平が生じないようにするのが狙いだ。現行の税制では65歳以上の場合、最低でも140万円を控除でき、夫婦で受給する場合に所得税を納める課税最低限は354万円と給与所得者の夫婦の220万円に比べて高く、税負担が抑えられている。年金課税の強化を検討するのは所得税の各種控除見直しの一環。年金収入で暮らす高齢者にも負担を求めることになる。
(2002.4.20)


企業年金運用利回り、2001年度はマイナス4.1%。

企業が年金財政の健全化を急いでいる。2001年度の資産運用利回りは国内株式相場の下落などが響いて、平均でマイナス4.0%と2年連続マイナスとなった(格付投資情報センターが約160の厚生年金基金と税制適格年金を調査)。資産の目減りを防ぐため、保有株式を信託銀行に新たに拠出したり追加したりする動きが目立つ。費用負担増を避けて国からの運用代行部分を返上する例も相次ぎそうだ。企業年金の資産総額は70兆円前後といわれる。多くの企業では予定利回りをプラス3〜4%前後に設定していたため、単純計算で新たな積み立て不足が5兆円前後発生したことになる。2000年度も10兆円前後の積み立て不足が生じていたとみられ、企業の負担が拡大している。
(2002.4.16)


年金多様化、企業身軽に。401K導入70社。

企業が従業員のために運営する年金が多様になってきた。運用次第で年金額が決まる確定拠出年金(日本版401K)は昨年10月制度発足から半年で70社が導入。従来の企業年金よりも掛け金負担が小さいため、企業年金のなかった中小企業にも導入の動きが広がっている。従来型と確定拠出年金を折衷した混合型年金を導入する企業も出ており、企業が自社にあった年金を独自につくる時代に入った。しかし、既存の制度での年金給付額が多い大手企業の場合は、掛け金の非課税枠が従業員一人当たり年43万円までに制限されており、その枠内だと従来より年金額が減る可能性が大きい。このため確定拠出年金は補完的な年金にとどめざるを得ず、制度の改善が必要との声が多い。
(2002.4.4)


日商岩井が年金を401Kに全面移行

日商岩井は4月から退職金・年金制度を大幅に変更し、年金を確定給付型から確定拠出型(日本版401K)に全面移行する。退職一時金は3月末に廃止し、成果に応じて月給に上乗せする方式に改める。日立製作所、トヨタ自動車など日本版401Kを導入した企業の大半は確定給付年金との併用型を採用している。日本版401Kへの全面移行は珍しい。日商岩井の退職給付制度は退職一時金(三分の一)、厚生年金基金(三分の二)で構成してきた。廃止する退職一時金のために積み立ててきた金額は3月末に確定し、金利分を上乗せして退職時に別途支払う。厚生年金基金は解散する。国の代行部分は返上し、加算部分は清算しOBに分配、社員には今後8年間にわたり年金口座に分割して振り込む。
(2002.3.28)


中小企業向け確定拠出年金システムを開発。

金融機関向けシステム開発などを手掛けるPFPS研究会はインターネットを活用した中小企業向け確定拠出年金システムを開発。このシステムは、加入者登録、拠出金業務などの運営管理業務をネット上で実施することで、運営コストを低く抑えられる。システム運営には同社と契約するコンサルタントも参加、運営をサポートする仕組み。同社はNECネクサソリューションズ社と提携し、7月を目途に確定拠出年金の運営管理機関となる金融機関向けにシステムを売り込む。確定拠出年金は既存の退職金制度からの移行や具体的な拠出額の算出などが必要となるが同社ではこれに対応する「退職給付設計提案システム」も開発。また、投資商品情報もネット上で受けられる。
(2002.3.15)


国民年金の未納率が最悪の27%

公的年金の財政悪化が加速している。社会保険庁が発表した2000年度の社会保険事業概況によると、自営業者らが加入する国民年金の保険料がどれだけ支払われていないかを示す未納率は27.0%と1961年度の制度発足以来の最悪を更新した。サラリーマンが加入する厚生年金も企業のリストラで保険料を負担するサラリーマンが減り、収入から支出を差し引いた収支残(黒字)が約2兆円と前年度と比べて半減した。所得が低いため保険料を免除されている約378万人を含めると加入者の3割以上が保険料を払っておらず、制度の空洞化が加速している。厚生年金の収入は失業の増加で加入者が減ったのに伴い、ピークの97年度の3割弱に落ち込んだ。戦後ほぼ一貫して拡大していた黒字がほぼ25年前の水準に戻った。
(2002.3.9)


混合型年金の指標金利を国債などの4種に指定

厚生労働省は4月から導入が認められる混合型年金のルールなどを定めた確定給付企業年金法の施行規則を公布した。混合型年金は指標となる金利に応じて将来の年金額が変わる仕組みで、厚生労働省は指標金利を1.定率 2.国債利回り 3.定率と国債利回りを組み合わせたもの 4.定率や国債利回りの組み合わせに上限や下限をつけたものの中から選べることにした。指標金利が具体的に示されたことで、企業の導入準備が加速しそうだ。混合型年金は企業が加入員のために支払った掛け金と指標金利分の利息が保証されるうえ、将来金利が上昇すれば年金額も増える。確定給付年金と確定拠出年金の双方の特徴を併せもつもので、今後の企業年金の有力な選択肢になる。
(2002.3.8)


国民年金基金の予定利率を4月から1%下げて3%に

自営業者らを対象にした年金制度である国民年金基金は、あらかじめ見込んでいる積立金の運用利回り(予定利率)を4月から1%下げて年3%とする。これに伴い4月以降の加入金は従来と同額の年金を受給するためには標準ケースで30%程度掛け金が上がる。超低金利や株価の低迷が続いているための措置だ。国民年金基金は、満額でも月7万円弱しかない国民年金にさらに年金を上乗せする制度。サラリーマンのための厚生年金基金は予定利率を年4%程度に設定していることが多い。公的な制度である国民年金基金が予定利率を3%にまで下げることは厚生年金基金にも影響を与えそうだ。
(2002.2.26)


厚生年金基金の解散数、2年連続最高へ

代表的な企業年金である厚生年金基金の解散が止まらない。2001年度の解散件数は今年1月末までで25基金に達し、2年連続で過去最高を更新するのは必至の情勢だ。株安など資産運用実績が低迷していうえ、母体企業も長引く不況で年金財政を支えられなくなっている。200年度の厚生年金基金の運用利回りはマイナス9.83%にまで落ち込んだ。2001年度12月までの運用成績はマイナス5.3%と低迷が続いている。確定拠出年金が導入されたことも、厚生年金基金の解散を増やしている面がある。確定拠出年金法が施行された後にこの制度を決めた企業は30社あり、退職給付制度を厚生年金基金から確定拠出年金に切り替える企業も多い。
(2002.2.8)


確定拠出年金を郵便局が1月末から取り扱い

郵政事業庁は1月28日から郵便局で確定拠出年金の取り扱いを始める。東京中央郵便局など全国50の郵便局で、運用する金融商品の売買や掛け金の収納などを受け付ける。手数料は年間約6,300円。郵便局が取り扱う確定拠出年金は個人事業主や中小企業の従業員などを対象とした個人型年金。顧客は郵便局の窓口で確定拠出年金に組み込んだ投資信託や預貯金など金融商品の売買を指示できるようになる。インターネットや電話で運用相談したり、運用している金融商品の時価を問い合わせることもできる。取り扱い郵便局は3月末までに673ヵ所に拡大。地方の中小都市でも体制を整える。
(2002.1.15)


混合型年金の年金額は国債利回りなどに連動

厚生労働省は2002年度から企業に導入を認める「混合型年金」について、制度の詳細を固めた。主な特徴は1.従業員毎の個人勘定を設ける 2.給与の一定割合など将来の年金額として個人勘定に積み立てる 3.年金額を国債利回りなどに応じて変動させるなど。国債利回りなどが下がると年金額を少なく出来る仕組みなので逆ざやが生じる恐れが無く、企業の負担を軽減できる。導入を認めるのは、米国で「キャッシュ・バランス・プラン」と呼ばれるタイプで、個人勘定の年金額に付与する金利を国債利回りに連動させる方式のほか、定率や定率と国債利回りを組み合わせた指標とすることも可能。
(2002.1.11)


中小企業退職金共済の予定利率1.5%以下に

厚生労働省は全国42万の中小企業が加入する退職金共済について、約束した運用利回り(予定利率)を現行の年3.0%から年1.5%以下に引き下げる。株式相場の低迷などで運用実績が予定利率に届かず、累積損失が増えているため。10年加入のモデル例で退職金支給額は5%以上減額される見込みだ。予定利率を機動的に変更できるようにする法改正案を通常国会に提出、2002年度中の施行をめざす。予定利率を下げるのは中小企業退職金共済。中退共は特殊法人の勤労者退職金共済機構が中小企業から掛け金を集め運用、退職金を支払う仕組み。昨年3月時点で270万人が加入、資産総額は3兆1千億円。
(2002.1.5)


銀行窓販に個人年金を解禁

金融庁は2002年度に銀行窓口での生命保険商品販売の規制を緩和する。個人年金保険を販売の対象に加えるほか、銀行の生保子会社などに限定している商品調達面での規制も撤廃する。消費者が貯蓄性の高い保険商品を銀行の窓口で購入できるようになれば、預金商品や投資信託などと組み合わせた総合的な資産形成がしやすくなる。あらかじめ受け取る年金額が決まっている定額個人年金、運用成果を年金額に反映する変額年金保険とも銀行窓販の対象となる見込みだ。解禁時期については調整を続けているが、準備も必要なため、2002年10月となる公算が大きい。
(2002.1.1)


【2001年度のニュース】


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