THE RULES OF DIPLOMACY


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<注意> このルールは、ボードゲームに添付された英文ルールの非公式翻訳版です。

[1] プレーヤーと担当国
ディプロマシーは、プレーヤーが7人いると最適ですが、2人からゲームすることができます。
プレーヤーは、第一次世界大戦前夜のヨーロッパにおける7つの大国(イギリス、ドイツ、ロシア、トルコ、オーストリア−ハンガリー、イタリア、およびフランス)から1つの国を担当します。

プレーヤーがどの大国を担当するかはゲームの開始の前に行われるくじ引きにより決定します。(このくじ引きはプレーヤーの運が試される唯一の機会です)
[2] ゲームの目的
1つの大国が支配する供給センターが18箇所に達した時、「ヨーロッパの覇者」の称号と共に勝利者であることが宣言されます。
あるいは勝利者が決められる前に、プレーヤーは相互の合意によってゲームを終結させることもできます。(この場合、終結の時点でユニットを所有しているプレーヤーでの「引き分け」となります。)
[3] ショート・ゲーム
18の供給センターの支配を手に入れるためには、長い時間を要します。プレーヤーはある期間でゲームを終了することを前もって同意することができます。その場合、ゲーム終了時に最も多くのユニットを所有するプレーヤーが勝利者と見なされるでしょう。
[4] 外交 (diplomacy)
[4−1]
プレーヤー間の組み合わせおよび合意は、ゲームの成り行きに大きな影響を及ぼすでしょう。これらは外交交渉によって決められます。交渉期間はスタート時点で30分、その後それぞれのターンで15分間行われます。すべてのプレーヤーが合意すれば、外交期間はすぐに終わることができます。
[4−2]
外交時期中、プレーヤーは自由に他国との交渉をして下さい。

通常、プレーヤー達は室外や部屋の片隅へ行き、外交交渉の内容が他のプレーヤーに伝わらないようにようにします。あるプレーヤーは会話をもれ聞くよう試みるかもしれません。通常、会話は取り引きや軍隊の共同作戦から構成されます。しかしこれらの情報交換には、非難すること、脅すこと、噂を広げること、もっと先までのことまで含むかもしれません。
公表の有無はプレーヤーが選択しますので、公式発表がもたれたり、文書が作成されたり、公式や非公式のものとして取り扱われたりするかもしれません。

プレーヤーの発言がルールに縛られることはありません。状況を見極め、誰を信頼すべきかを決めることはゲームの一部分です。
[5] ゲームにおける経済構造
ボード上には黒丸のある地域が全部で34箇所あります。これらは「供給センター」です。供給センターは、陸軍あるいは海軍を設立・維持するのに十分な物資を作り出します。各国は、供給センターの支配数と同数の陸軍あるいは海軍を持つことができます。したがってボード上で、陸軍および海軍(以下「ユニット」と呼びます。)が34以上になることは決してありません。

各国は支配する供給センターの数に従ってユニットを手に入れたり、または失ったりすることになります。
[6] ボード、およびセット
[6−1] ボード
海岸線を除き、ボードに記された地理的な特徴は純粋に装飾です。国々は太くて黒いラインによって区別されます。そして細くて黒いラインによって「地域」に分割されています。小国はそれぞれで1つの「地域」です。海は細くて黒いラインによって「海域」に分けられています。それぞれの地域、海域は「スペース」です。
[6−2] ユニット
「陸軍」は正方形のブロックによって示され、陸軍による地域の支配を表します。「海軍」は長方形のブロックによって示され、軍艦による海域の支配、あるいは彼らと行動を共にする陸上部隊による「海岸を持つ地域」の支配を表します。

セットはそれぞれの大国のための陸軍ユニット8個および海軍ユニット8個、合計112のマーカーを含みます。もし、マーカーを使い果たすほど強国に成長した国があるなら、たぶんゲームから取り除かれている国があるはずなので、そのマーカーを使用することができます。
[6−3] 初期配置
ゲームのスタートでは、ロシアを除く大国は3つの供給センターを支配し、3つのユニットを持ちます。ロシアは4つの供給センターを支配し、4つのユニットを持ちます。これらのユニットは以下のポジションでプレーを始めます。(Aが軍隊、Fが海軍を意味します):

イギリス(紺) F ロンドン,F エジンバラ,A リバプール
ドイツ(黒) A ベルリン,A ミュンヘン,F キール
ロシア(白) A モスクワ,A ワルシャワ,F セントペテログプルス,F セバストポリ南海岸
トルコ(黄色) A コンスタンチノーブル,A スミルナ, F アンカラ
オーストリア-ハンガリー(赤) A ウィーン,A ブダペスト,F トリエステ
イタリア(緑) A ローマ,A ベニス,F ナポリ
フランス(水色) A パリ,A マルセーユ,F ブレスト

残りの12の供給センターはどの国からも支配されていません。
[7] 行動命令と移動のルール
[7−1] 行動命令
それぞれのターンでそれぞれの大国は支配下のすべてユニットに対して行動命令をすることができます。そして、行動命令は1つのユニットが1つの行動をするためだけになされます。
陸軍に対する行動命令は、移動、維持、支援の3種類であり、海軍に対する行動命令は、移動、維持、支援、輸送の4種類です。
陸軍、海軍を問わず、1つのスペースには1つのユニットだけが存在できます。

陸軍は(他の部隊と衝突しない限り)隣の地域へ移動することができます。同様に海軍は(他の部隊と衝突しない限り)隣の海域・隣接する「海岸を持つ地域」へ移動することができます。
海軍が「海岸を持つ地域」にある時には、軍艦はその地域の海岸に沿って行動し、上陸部隊は船からその地域の海岸に降りることができると考えて下さい。

海軍は、海岸線に沿って隣だという場合にだけ、隣の「海岸を持つ地域」に移動することができます。
例えば、海軍は、ローマからTuscany、あるいはローマからナポリへ移動することができますが、ローマからベニスへは移動できません。なぜならこれらの2地域は、たとえ隣であり共に海岸だとしても、海岸線に沿ってではなく内陸部の境界線に沿ってのみ隣接しているからです。

ユニットは、イングランド以外の島に、スイスに、あるいはボード上で明確に名付けられていない場所には移動できません。
[7−2] 攻撃
移動命令は、ルールの中で時折、移動先のスペースに対する攻撃と呼ばれます。
[7−3] 特殊な地域
  [a]  キールとコンスタンチノーブル

これらの2つのエリアは、海軍はその中を通る水路のおかげで、陸軍はこれらの水路に自由に橋をかけて、他の地域と同様に出入りすることができます。なお、ユニットがこれらのスペースを飛び越えることを意味しないことに注意して下さい。
  [b] 海岸が2つある地域 
ブルガリア、スペイン、およびセントペテルスブルグに入る海軍は、海岸に沿って移動するか、その海岸に隣接する海域から移動することができます。そしてそれは地域全体の占領を意味します。これらの地域へ移動を試みる海軍は、どちらの海岸へ移動するのかを明示しなくてはいけません。そうでなければ海軍は移動することができません。

これらの地域に移動可能な海軍は、海岸線の分離に関わらずその地域の活動を「サポート」することができます。([9]支援を参照して下さい。)

マルセーユの海軍はスペイン南海岸に移動が可能ですので、たとえその活動がスペイン北海岸の海軍に対するものだとしても、スペインでの活動をサポートすることができます。逆は真ならずです。スペイン北海岸の海軍は、1回の移動でマルセーユに移動することができないため、隣接しているとは認められず、マルセーユでの活動をサポートすることができません。
  [c] スウェーデンとデンマーク 
陸軍あるいは海軍は、スウェーデンからデンマーク(あるいはその逆)へ移動することができます。
バルト海からスカゲラク海域(あるいはその逆)に海軍を移動させるためには、スウェーデンあるいはデンマークにまず移動しなくてはいけません。
デンマークの境界線はスウェーデンの海岸を2つに分けません。
そして、デンマークはベルリンに隣接しません。
[7−4] 作戦命令書
それぞれのプレーヤーは、通常それらを秘密にしたまま、陸軍および海軍への「作戦命令」を細長い紙片に記入します。そして、これらの命令書は一斉に公開されます。他のプレーヤーは、1人が命令書を読み上げている間に、その人が実際には書いたものを読んでいることを確認して下さい。

ルールに反する命令書は従われず、そう命令されたユニットは単に立っているだけです。誤って書かれた命令書でも合法ならば従われなければなりません。2つの意味を有している命令書は従われません。ひどい書かれようの命令書であっても1つの意味だけを持つものは従われなければなりません。
[7−5] ゲームマスター
もし人数が十分ならば、命令書を集めてそれらを読んだり、必要な場合に応じて起こっている状況や部隊増強などのルールを裁定する第8の人「ゲームマスター」がいれば便利です。その役割は厳密に中立であるべきです。彼はまた、外交時期のための時間を管理したり、供給センターの所有権やユニットの管理をすることができます。
[7−6] 日付
最初のターンの日付は、「1901年の春」です。第2ターンは「1901年の秋」、第3ターンは「1902年の春」です。以降、順次繰り返します。
[7−7] 書式
最初にそれぞれのユニットの種類と現在地を記入します。そしてユニットに対する命令が次に続きます。会議の間に容易に参照するために、ユニットとその現在地のリストを作り、同じリストを命令書として書くと便利です。

“Nor”で始まる地名を除けば、各地名の最初の3文字を用いることで、大抵の場合、簡単明瞭な省略形にすることができます。このルールブックでは“Nor”に関して、次の省略形を用います。
北海→Nth ; ノルウェー海→Nrg ; ノルウェー→Nwy ; 北大西洋→NAt ; 北アフリカ→NAf
[8] 紛争
もし2つ以上のユニットが、同じスペースに移動するよう命令されるならば、双方とも移動できません。

もしあるユニットが、移動の命令をされていないか、その移動が阻止された場合、そのスペースへ他のユニットが移動するよう命令されたとしても移動することができません。

もし2つのユニットが、お互いが占めるスペースへ移動するよう命令されたら、双方とも移動できません。
これらの3つの状況は、「スタンドオフ」と呼ばれます。

紛争のルールは、陸軍、海軍の区別なく適用されます。陸軍と海軍は動くことができる場所が違うだけでパワーについては本質的に等しいものだからです。
また紛争のルールは、自国の軍隊であるか他国の軍隊であるかに関わらず適用されます。
なお、このルールには[9]支援において述べられる幾つかの留意事項があります。
[9] 支援のルール
[9−1] 支援命令  
ユニットは移動しないことで、スペースの保持やスペースへの進入を試みる他のユニットを支援することが可能になります。

サポートを与えることのできるスペースは、(他のユニットにより阻止されない限り)、サポート行動をするユニットが移動することのできる場所であり、サポートを与えるスペースと、サポートをするユニットが置かれるスペースが隣接している場所です。サポートユニットは陸軍または海軍のどちらでもかまいません。

サポートを命令するためには、サポートをするユニットとその現在地、「支援」の明示(あるいはその同等のもの)、およびサポートを受け取るユニットの現在地および目的地の両方を書く必要があります。「S」は、サポートを意味するように使用できます。

例 A Tyr-Mun, A Bur S A Tyr-Mun.
他国のユニットの支援の場合には、A Sil S ロシア A War-Pru.


海軍は陸軍をサポートすることができますし、その逆もまた同様です。しかし、サポートをするユニットが移動できない場所にはサポートを与えることができません。海軍は内陸の地域にサポートを与えることができませんし、陸軍は海上にサポートを与えることができません。
[9−2] 支援の効果
ユニットは自身およびすべての有効なサポートの力によって行動しますので、支援を受けることによって、目的地のスペースが、同等かそれ以上のサポートを受けていない限り、スタンドオフのルールを無視して移動することができます。

より多くのサポートを受けたユニットによって攻撃されたユニットは、スペースから追い出されて退却するか、または解散されなければなりません。もちろん各ユニットが受け取るサポートが等しければ、[8]〈紛争〉で説明された状況におけるルールに従います。
[9−3] 自軍の撃退禁止
[8]章の紛争に関して例外があります。それは、仮に自軍の第2ユニットがある地点への到達に失敗していたとしても、自軍による同一地点への移動命令は受けつけられないというものです。
また、自軍のユニットが占めるスペースに対して、別の国による攻撃をサポートするよう命令されても、自軍による自軍のユニットを撃退する動きは禁止されます。ただしこの命令は他の国のユニットによるサポート付き攻撃を阻止するためには、まだ有効かもしれません。

Example 1. 
イギリス: F Den-Kie(失敗), F Nth-Den(失敗), F Hel S F Nth-Den.
ロシア: A Ber-Kie(失敗), F Bal S F Ska-Den, F Ska-Den(失敗).

イギリスは、自国のユニットを撃退することができません。しかし、彼のサポート付きのデンマークに対する攻撃はサポートされたロシアの同じスペースに対する攻撃に対抗するのに十分です。

Example 2.  
フランス: A Bur Holds.
ドイツ: A Mun-Bur(失敗), A Kie S オーストリア A Boh-Mun.
オーストリア: A Boh-Mun(失敗).

オーストリアのユニットがドイツのユニットを撃退することになるため、ドイツはオーストリアのユニットをサポートしません。しかし、もしオーストリアが自国のユニットの1つによってミュンヘンに対する攻撃をサポートしたら、(オーストリア:Tyr S A Boh-Mun)ミュンヘンのドイツのユニットは退却を強制されたでしょう。
[9−4] 自己スタンドオフ
ある国がそれぞれのユニットを撃退できない間、同一地点に同等の攻撃を指令することにより、その国は自らスタンドオフにすることが出来ます。もちろん、攻撃が相手よも多くのサポートを持っていれば、それは成功するでしょう。

Example 3.  
オーストリア: A Ser-Bud, A Vie-Bud(失敗).
ロシア: A Gal S オーストリア A Ser-Bud.

オーストリアの動き A Ser-Bud は、ロシアのサポートのために成功します。ただしブダペストにオーストリアの軍隊がすでにいるなら、それは成功しないでしょう。
外国のユニット、同じ国のユニットに関わらず移動が成功することに注意して下さい。
[9−5] 包囲された守備隊
別のユニットが問題のスペースに入るという時にだけ撃退が起こります。もし2つの等しくサポートされたユニットが同じスペースを攻撃したならば、お互いがスタンドオフとなり移動できず、もともといるユニットは、そのスペースから撃退されません。

Example 4. 
オーストリア: A Ser Holds.
ロシア: A Rum-Ser(失敗), A Bud S A Rum-Ser.
トルコ: A Bul-Ser(失敗), A Gre S A Bul-Ser.

オーストリアの軍隊に何も起こらないことに注意して下さい。もしそれがサポートを与えるよう試みたとしても、どちらかまたは2つの攻撃の両方によってそのサポートはカットされるでしょう。
[9−6] 維持支援の受領
移動を命令されなかった(すなわち、維持している、輸送している、サポートしている、あるいはなんの命令を受けていない)ユニットは、スペース保持の時にサポートを受け取ることができます。
移動するように命じられるユニットは、その試みられた移動先にだけのサポートを受け取ることができます。試みられた移動が失敗した場合は、その場所でのサポートはなされません。

例 A Mun Holds, A Boh S A Mun は有効です。
A Mun-Ber,A Boh S A Mun は Mun が移動を命令されているため無効です。

ユニットがサポートを与えるユニットの隣にある必要がないことに注意して下さい。その場所は、サポートを与えているスペースの隣にあって、(他のユニットから阻止されなければ)そのスペースに移動することができなくてはいけません。サポートは輸送することができません。プレーヤーは、自国のユニットによる攻撃によって、自国のサポートを切ることができません。([10]サポートの切断を参照)
訳注
管理人は、上記ルール解釈として「相互支援」「支援の支援」「輸送の支援」も有効と判断していますが、維持支援と攻撃支援のみを有効とするルールが採用されることもあります。
[9−7] スタンドオフに参加するユニットの撃退
2つ以上にサポートされたユニットが同じスペースへの移動が命令されて、どちらも移動できない場所は、たとえそれらの1つが支援攻撃によって撃退されたとしても、前述のルールに従って下さい。しかし、もし同じスペースへの移動が命令された2つのユニットのうち、そのスペースから移動してきたユニットによって、一方が撃退されたのならば、他のユニットは移動できます。

Example 5.  
トルコ: A Bul-Rum(失敗).
ロシア: A Rum-Bul, A Ser S A Rum-Bul, A Sev-Rum.

ロシアの A Sev とトルコの A Bul は、お互いのスペースに同等の攻撃をしていますが、トルコの A Bul はルーマニアからの攻撃によって撃退されます。
(トルコの A Bul とロシアの A Sev の両方が、ルーマニアへの移動が命令されていますが、トルコの A Bul はルーマニアからやってきたロシアの軍隊によって撃退されるのでロシアの A Sev はルーマニアに移動することができます。)

Example 6.  
トルコ: A Bul-Rum(失敗), F Bla S A Bul Rum.
ロシア: A Rum-Bul, A Gre S A Rum-Bul, A Ser S A Rum-Bul, A Sev-Rum.

たとえそれがサポートを得ていたとしても、撃退されたトルコのユニットは、ルーマニアに移動しようとする(サポートのない)ロシアの移動を阻止することに失敗します。なぜなら、トルコのユニットは、ルーマニアから来るユニットにより追い出されたからです。

前述のそれぞれの例から、もしロシアが A Sev-Rum を命令していなかったとすれば、ルーマニアは空白地となりますので、他ユニットが退却するスペースとして利用できることに注意して下さい。撃退されたユニットは、その攻撃者が来たスペースにいかなる影響も及ぼさないと言えるかもしれません。
[10] サポートの切断
もし、あるスペースをサポートするよう命令されたユニットが、それがサポートを与えているものと違うスペースから攻撃されれば、あるいは攻撃(サポート先からのものを含む)によって撃退されたら、そのサポートは「カット」されます。サポートを受け取ったはずだったユニットは、それを受け取りません。

Example 7.  
ドイツ: A Pru-War(失敗), A Sil S A Pru-War(失敗).
ロシア: A War Holds, A Boh-Sil(失敗).

シレジアの軍隊のサポートは、ボヘミアから攻撃によってカットされます。

Example 8.  
ドイツ: A Pru-War, A Sil S A Pru-War.
ロシア: A War-Sil(失敗).

ワルシャワから攻撃によってドイツのサポートはカットされません。それはサポートが与えられているスペースから来たものだからです。

Example 9.  
ドイツ: A Ber-Pru(失敗), A Sil S A Ber-Pru(失敗).
ロシア: A Pru-Sil, A War S A Pru-Sil, F Bal-Pru(失敗).

シレジアのドイツの陸軍はプロシアから来ているロシアの陸軍によって撃退されますので、シレジアのサポートはカットされます。ドイツの A Ber はロシアの F Bal をスタンドオフにすることだけができます。

Example 10.  
ドイツ: A Ber Holds, A Mun-Sil(失敗).
ロシア: A Pru-Ber(失敗), A Sil S A Pru-Ber(失敗), A Boh-Mun, A Tyr S A Boh-Mun.

ミュンヘンのドイツの軍隊がロシアの攻撃によって撃退されたことに注意して下さい。しかし、それはまだロシアの A Sil のサポートをカットして、ロシアの A Pru がベルリンに入るのを阻止することができます。
[11] 退却
すべての命令書が読まれた後で、紛争は解決されます。そして撃退されたユニットは退却をします。それは陸軍または海軍が(他のユニットに阻止されない限り)普通に移動することができるスペース、すなわち隣接したスペースに動かなければいけません。

ただし、他のユニットが占めているスペース、その攻撃者は来たスペース、スタンドオフによって空白になったままになっているスペースへ退却することはできません。
もし退却できる場所がなければ、撃退されたユニットは「解散」され、そのマーカーはボードから取り去られます。
[11−1] 退却の記述
もし2つ以上のユニットが撃退された場合、退却に関する命令はプレーヤー関係者によって外交なしでただちに書き留め、同時に公表されます。
[11−2] 他の退却ルール
プレーヤーは、退却ではなくユニットを解散することを選ぶことができます。
もし2つ以上のユニットが退却できる場所が1つしかない場合は、1つのユニットだけが退却するように命じられて、その他が解散されるように命じられない限り、すべてのユニットが解散されます。

もし2つ以上のユニットが、同じスペースに退却するように命じられるならば、それらのすべてが解散されます。もし必要な時にプレーヤーが退却を命令することに失敗するならば、ユニットは解散されます。退却は輸送できず、サポートもできません。
[12] 輸送命令
[12−1] 海軍の陸軍輸送
海上の海軍は、その海域に接する沿岸の地域から、その海域に接する他の沿岸の地域へ、陸軍を輸送することができます。

輸送を実行するためには、陸軍は目的の地域に移動するよう命令されなければならず、海軍はそれを輸送するように命じられなければなりません。「C」は、「輸送」を意味するように使用できます。
海軍への命令は、輸送される陸軍の位置および目的地の両方を与えなくてはいけません。命令書に同じ目的地を明示されなければ、陸軍は移動できません。

例 イギリス: A Lon-Bel, F Nth C A Lon-Bel.

外国の陸軍を輸送することができます。明快さのためにプレーヤーは国籍を示した方がいいでしょう。
1つの海軍が輸送できる陸軍は、1ターンにつき1つです。
[12−2] 複数海域での陸軍輸送
もし2つ以上の海軍が、隣り合った海域を支配しているならば、1回の移動でこれらすべて海域を通して陸軍を輸送することができます。

例 イギリス: A Lon-Tun, F Eng C A Lon-Tun, F Mid C A Lon-Tun
フランス: F Wes C イギリス A Lon-Tun.
[12−3] 輸送の中断
もし輸送することを命令された海軍が撃退されれば、輸送されるべき陸軍は、もといた地域に残りますし、移動先の地域にはいかなる影響も及ぼしません。
輸送している海軍に対する攻撃が撃退に至らなかった時は、輸送に影響を及ぼしません。

Example 11.  
フランス: A Spa-Nap(失敗), F Lyo C A Spa-Nap, F Tyr C A Spa-Nap(失敗).
イタリア: F lon-Tyr, F Tun S F lon-Tyr.

Tyrの海軍は撃退されます。したがってスペインの陸軍はナポリへ移動できません。
[12−4] 多義的な輸送ルート
陸軍を目的地まで輸送する際に、もし命令書が複数の輸送ルートを許すなら、命令書はその多義性のために無効とはなりません。
しかし、もし海軍の撃退によって可能なルートのどれかが破壊されれば、陸軍は輸送されません。

Example 12.  
イギリス: A Lon-Bel(失敗), F Eng C A Lon-Bel(失敗), F Nth C A Lon-Bel;
フランス: F Bre-Eng, F In S F Bre-Eng.

通常なら F Nth への命令は成功するでしょう。しかし、輸送を命令されている F Eng が撃退されたために輸送は中断させられ A Lon の移動は失敗します。 F Eng が撃退されかったら輸送は成功していたでしょう。
訳注
管理人の持っている英文ルールには、このように記載されているものの、巷て゛は、「可能なルートのすべてが破壊されない限り、陸軍の輸送は可能」というルールも使用されているようです。恐らく英文ルールには幾つかのバージョン(改訂版)が存在するのでしょう。
[12−5] 輸送された攻撃は輸送中の海軍を保護しません。
もし輸送されている陸軍が、輸送をしている海軍の1つを攻撃している海軍をサポートしている海軍を攻撃しても、そのサポートはカットされません。

Example 13.  
フランス: A Spa-Nap(失敗), F Lyo C A Spa-Nap, F Tyr C A Spa-Nap(失敗);
イタリア: F lon-Tyr, F Nap S F lon-Tyr.

このルールなしでは、フランスは、陸軍がナポリの海軍のサポートをカットしたことにより輸送している海軍を撃退から守ったと主張し、一方で,イタリアは海軍を撃退し、輸送を中断させたので陸軍はナポリに到着することができなかったと主張し、議論になってしまいます。
[13] ユニットの増減
[13−1] 供給センターの占領
秋のターンがプレーされ、退却が処理された後、大国のユニットがその供給センターに位置する時に、その供給センターの占領が発生します。
一旦占領が確立されたら、この供給センターが空のままにされたとしても、秋のターンの終わりで他の大国によって占領されない限り、占領したプレーヤーの支配下となります。

占領が秋のターン終了後のみ起こることに注意して下さい

春のターンの間に供給センターに移動して同年の秋のターンに他へ移動していったユニットは、供給センターの占領に影響を及ぼしません。
それぞれの秋のターン(退却後)の終わりに、センターが空いているか、彼自身のユニットの1つによって占領されている限り、現在の支配者がセンターの占領を保ちます。
[13−2] ユニットの増設と除去(部隊調整)
秋のターンが終了し、退却処理が終わった後、それぞれのプレーヤーのユニットの数は、その国が支配する供給センターの数と同じにするために調節されなくてはいけません。

もしユニットよりも供給センターの数が少なければ、ボードからユニットを取り去ることによって過多ユニットを解散させなくてはいけません。プレーヤーが取り去るユニットは、どれを選んでもかまいません。
もしユニットよりもより多くのセンターがあれば、自国にあるに空いている供給センターに置くことによってユニットを構築することができます。(このような供給センターが彼の管理下でまだあるという条件で)。

海岸の供給センターでは、海軍あるいは陸軍を明示しなくてはいけません。(もしロシアが海軍をセント・ペテルブルクに構築するならば、それが出現する沿岸を指定する必要があります。そうでなければ構築は無効です)

もし自国の供給センターが自軍のユニット、あるいは他のプレーヤーの占領により、すべて塞がっている場合、増加ユニットを調達するためには、この状況が正すことができる来秋のターンまで待っていなくてはいけません。
プレーヤーがすべての自国の供給センターを失っても、管理下に残るユニットおよび供給センターで、まだゲームを続けることができます。しかし、自国の供給センターを取り戻し、それを次の秋の終わりでスペースを空けたままにするまで、ユニットを得ることができません

構築および除去(部隊調整)は、退却と同じように一切外交を行わず、同時に記入し公表されます。
[14] いろいろ
[14−1] ゲームの長さ
ショート・ゲームでさえ、4時間程度の時間がかかると思われます。
外交時期が終えた後、命令書を書くことに許される時間は5分以下です。命令書の記入、発表、移動、退却、あるいは部隊調節の間には外交および他の会話をすべきではありません。

初参加者は初めてのゲームの前に、ゲームのルールを30分程度教えられるべきです。他のプレーヤーが集合する前にルールをよく知っているようになるためには、外交なしで少しだけ動いてみるべきです。それから他国とのゲームします。
[14−2] 6〜2人ゲーム規定
6人ゲーム
イタリアはプレーヤーのいない国となります。イタリアのユニットは初期配置のままを維持しますが、互いにサポートしません。どのプレーヤーの属するユニットによっても、イタリアのユニットの維持を支援することができます。もし撃退されれば、それらは解散させられます。

5人ゲーム
上述のイタリアに従って、イタリアおよびドイツがプレーヤーのいない国となります。なお、最初の年は1801年と考えられるでしょう。また、6人のプレーヤーゲームの最初の年は1870年と考えられるかもしれません。

4人ゲーム
プレーヤーの1人はイギリス、その他の3人はペアでゲームします。
オーストリア/フランス、ドイツ/トルコ、イタリア/ロシア。

3人ゲーム〜2つの案があります。
1)プレーヤーの1人はロシア、その他の2人は以下の3つの国を担当します。
イギリス/フランス/ドイツおよびオーストリア/イタリア/トルコ
2)1人目がイギリス/ドイツ/オーストリア、2人目がロシア/イタリア、3人目がフランス/トルコを担当します。

2人ゲーム(第一次世界大戦)
1人のプレーヤーがイギリス/フランス/ロシア、もう1人がオーストリアドイツ/トルコを担当します。
イタリアは中立です。イタリアの領土は侵入できません。ゲームは1914年に始まります。1914年秋のターン部隊調整の前に「コイントス」をします。イタリアは1915春のターンから、コイントスの勝利者に加わります。勝利基準は24ユニットです。これは、ルールを知るためにはよいゲームです。

4人、3人、および2人ゲームで、供給センター所有権はたとえ2以上が同じ人によってプレーされるとしても、それぞれの国ごと個々に計算されることに注意して下さい。部隊調整は供給センターの規則に従って、それぞれの国ごとに行われなくてはいけません。
[14−3] 文民政府の混乱
もしプレーヤーがゲームを中座するか、または春や秋のターンに命令書を提出することに失敗するならば、その国の文民の政府が混乱したと見なされます。彼のユニットは現在地を保ちますが、お互いのサポートをしません。撃退されたユニットは解散されます。新しいユニットはこの国のために増設されません。

一時的にオーダーを提出しそこねたプレーヤーはもちろん、もし彼がゲームに帰ってまだ幾つかのユニットが残っていれば遊びを再開できます。

もし十分な人が出席するならば、ゲームを中断したプレーヤーは、以前に国がなかった人(あるいはその国がすでにプレーから取り除かれたプレーヤー)と交替させることが望ましいでしょう。
プレーヤーは、ゲームを始めることに先立ち、この点をどんな方針で臨むかを決めるべきです。
[14−4] 政府の混乱とユニット除去
もし文民政府が混乱している国が、供給センターを失ったという理由でユニットを取り去る必要があれば、自国から最も遠くの(最も近い自国供給センターから輸送を含む最も短い可能なルートによって計算される最も遠い)ユニットが、最初に除去されます。陸軍の前に海軍です。

もし幾つかのユニットが同じ条件で除去対象になるならば、優先度はそれらが置かれるスペースの名前(アルファベット順で最も早いもの)によって確立されます。
[14−5] 補足
キールとコンスタンチノープル、およびどのような他の海岸の地域の海軍でも、海岸の海軍は輸送はできません。

「もし2つのユニットが、もう一方が占領するスペースへ移動が命令されたら、それぞれが移動できません」とのルールは、回転でポジションを交換する3ユニット以上には適用されません。あるいはどちらかまたは両方が輸送されたら、2つの部隊が場所を交換することができます。

例 イギリス: A Hol-Bel , F Bel-Nth, F Nth-Hol.
例 イギリス: A Lon-Bel, F Nth C A Lon-Bel. フランス: A Bel-Lon, F Eng C A Bel-Lon.

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