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・夫から妻への名義変更 Q1

・夫単独名義を妻との共有名義にする登記(1)Q2

・夫単独名義を妻との共有名義にする登記(2)Q3

・相続財産である不動産について、兄が勝手に単独名義に登記をしてしまった。Q4

・買戻特約の登記 Q5

・購入マンションの持分について(税金)(1)Q6

・購入マンションの持分について(税金)(2)Q7

・他の共有者が行方不明? Q8

・相続人の居場所が不明(相続登記)Q10

・相続登記の仕方について Q12

・遺産分割のやり直し Q13 (平成14年7月17日追加)

・敷金の返還について Q9

・罹災都市借地借家臨時処理法 Q11

注)平成11年から随時、掲載していますが、回答した時点後の、法改正等については、フォローできていない個所があるかもしれません。

Q1、私名義のマンションを妻名義に登記を変更するのは簡単にできるのでしょうか。

A1、質問が簡潔で、意図がすこしわからないのですが、以下一般的な回答をしておきます。

登記名義を変更するということは、所有権を移転するということになります。所有権移転にはその原因(売買・贈与等)が必ず存在し、どのような意図でそうするのかが問題となります。

登記手続自体は、比較的簡単ですが、まず原因がきっちと存在すること(もちろん妻は承知していること)が必要、それから、税金の問題をクリアーしているかが問題となります。

贈与であれば、贈与税、売買であれば譲渡所得税などの課税の問題が出てきます。登録免許税や不動産取得税なども考慮する必要があります。

その辺の税金の問題も最初に考える必要があります(例えば、贈与税については、一定の要件を満たせば、配偶者控除というものがあり、相続税対策でそうするのかなど)。

それと、ローンを組んでいて、その返済がまだであれば、担保を設定している金融機関との関係も問題になってくるでしょう。

その辺りの問題をクリアーして、例えば、夫名義のマンションを妻へ贈与(又は売買)を原因として所有権移転登記をするのであれば、近くの司法書士へ依頼されたらいいと思います。

(もし仮に(あくまでも仮にです)、借金が多くあり、債権者からの財産隠しのために名義変更を考えているとしたら、それは詐害行為として否定される可能性があり、後々問題が生じる恐れがあります)

Q2、マンションを購入し、登記名義は私個人の単有としたのですが、実は、売買代金の半分ぐらいを妻の預金から出しており、税金の関係で、登記名義を妻との共有にしたいと考えています。名義変更登記に関して、どのような方法があるか教えてください。マンションには、ローンを組んだため、抵当権が設定されています。

A2、2つの方法が考えられます。

(1)1つは、所有権更正登記といい、錯誤を理由として現在単独名義である所有権登記を、妻との共有名義に訂正する登記です。ただ、この登記をするためには、抵当権を設定している金融機関の協力が必要になります。更正登記をする際、金融機関の承諾書が必要になるためです。それと、妻の持分に抵当権の追加設定登記をする必要があります(そうしないと金融機関が了承してくれません)。さらに、中古マンションなどの購入の場合は、所有権移転登記がされているので、前の所有者の協力も必要となります。100条2項による所有権保存登記の更正の場合は、表題部所有者(通常、分譲業者)の譲渡証明書や承諾書が必要となります。

(2)もう1つは、真正な登記名義の回復を原因として、夫から妻へ、所有権一部移転登記をする方法です。この場合は、抵当権に関する登記は不要になります(抵当権がついたまま移転します)。また、前の所有者や分譲業者の協力が必要ということもありません。ただ、不動産の価額(課税価格)や妻の持分によって異なるのですが、登録免許税が(1)の更正登記より高くなる可能性があります。

いずれにせよ、抵当権を設定している金融機関に相談する必要があります。参考 shoyuukenkousei.htm

贈与税等の課税の問題は、税務署とよく相談してください。

(参考―登録免許税)

所有権更正登記(錯誤更正)は、不動産1個につき1000円、抵当権の追加設定(妻の持分につき)不動産1個につき1500円かかります。真正な登記名義の回復(所有権一部移転)の場合は、課税価格(妻の持分について)の1000分の25かかります。

Q3、昨年末にマンションを購入し、先日、登記簿の抄本と権利書が送られてきました。登記名義は私個人の単有としたのですが、家内も資金を出しているので、名義を変更しようと考えています(私11分の10、妻11分の1に変更する予定)。名義変更に関して、錯誤を理由としたものと、真正な名義回復を理由としたものの2種類あると聞きました。以下質問です。

1、錯誤と名義回復では登記にかかる費用は異なるのですか?

2、金融機関からは名義回復でやって欲しいといわれているのですが、名義変更にかかる費用はどれくらいでしょうか?私個人の単有から、私11分の10、妻11分の1に変更する予定です。マンションの購入価格は5000万円程度で、課税価格(何を意味しているのか私は分かりませんが)は、建物が400万円くらい、土地が200万円くらいだったと記憶しています。

A3、費用は、異なります。まず、手続が、錯誤更正の場合、所有権更正登記をするだけでなく、住宅ローンを組んで、抵当権がついている場合、妻の持分について抵当権の追加設定登記が必要になります。真正な登記名義の回復登記の場合は、所有権一部移転登記をして、妻へ所有権の一部を移転しますが、抵当権に関する登記は不要です。

費用の点は、登録免許税を考えると、錯誤更正は、不動産1個につき1000円、抵当権の追加設定(妻の持分につき)不動産1個につき1500円かかります。真正な登記名義の回復(所有権一部移転)の場合は、課税価格(妻の持分11分の1について)の1000分の25かかります。課税価格によって異なりますが、登録免許税については、真正な登記名義の回復の方が高くなると思います。司法書士の報酬については、錯誤更正がどうしても2件になりますので、トータルでは、そんなに大きな差はないと思います。

錯誤更正の場合、金融機関が承諾書を出してくれないとできません。「金融機関からは名義回復でやって欲しいといわれている」ということで、金融機関の協力が得られない場合は、真正な登記名義の回復になります。

仮にマンション(専有部分)の課税価格が600万円だとすると、11分の1ですので、54万5000円、これに1000分の25をかけると、登録免許税 1万3600円 司法書士の報酬約25000円、その他謄本代等 合計約4万円ぐらいみておけばいいと思います(単純に計算しましたので、事案によっては変動があります)。ただし、課税価格が上記のようであればということです。(購入価格が5000万円のマンションで、課税価格が600万というのはすこし安いような気がします)

正確な費用は、その登記を依頼した司法書士に相談すれば、教えてもらえると思います。

参考)課税価格 土地の場合、課税価格は、平成12年3月31日までは、固定資産課税台帳に登録された価格の100分の40とされています。建物の課税価格は、固定資産課税台帳に登録された価格か、または新築などで未登録の場合は各法務局の登録免許税課税標準価格認定基準による価格をいいます。だいたい公示価格(時価に近いもの)の5割から7割ぐらいだといわれています。

できるだけ正確に回答しているつもりですが、メールでの質問であり、勘違いしている点があるかもしれません。その点ご了承ください。

Q4、父所有の土地と建物があるのですが、父が死亡し、私と母と兄が相続しました。その土地と建物には母と兄夫婦が住んでいます。先日登記簿を確認すると父から兄への相続登記がされており、兄単独名義になっていました。兄に私の実印と印鑑証明を預けた記憶があり、私や母に内緒で、兄が勝手に登記したものと思われます。私としては母が相続するものと思っていました。このような場合どうすればよいのでしょうか。

A4、遺言はなく、相続人は、質問者とお母さんとお兄さんであり、お兄さんが他の相続人(質問者・お母さん)に相談なく勝手に単独名義に登記をしてしまったというのを前提に回答します(お兄さんになぜ実印と印鑑証明書を預けたのかが気になりますが、それは遺産分割とは関係なく預けたとしておきます)。

おそらくお兄さんは、印鑑と印鑑証明書を使って、虚偽の遺産分割協議書をつくり、勝手に登記してしまったと思われます。本人の知らない間に協議書がつくられた場合、それは無効ですので、無効の協議にもとづく登記も無効ということになります。したがって、そうであれば、お兄さんは刑法上は、公正証書原本不実記載罪になり、また民事上は、あなたとお母さんは、お兄さんに対して相続回復請求権などを理由としてお兄さん単独名義登記の抹消を請求することができます。

刑法上の問題は、身内でもあり、責任を問うのは本意ではないと思いますので、民事の問題だけにしぼって回答します。

身内のことでもありますので、まず話合いをして、お兄さんの単独名義の登記を抹消し、正式に遺産分割協議をするというのが望ましいのですが、もしお兄さんが話合いに応じてくれない場合は、法的な手続をとるということになります。(お兄さんが任意に抹消登記に応じるのであれば、近くの司法書士へ抹消登記の依頼をしてください)

一般的には、裁判所に「お兄さん名義の登記を抹消せよ」という抹消登記手続請求の訴えを提起するということになります。それと、お兄さんが不動産を処分(売却や担保設定)してしまわないように裁判所に処分禁止の仮処分の申立もしておく必要があります(訴えを提起すれば、裁判所の方で、予告登記をしてくれますが、仮処分をしておいた方がいいでしょう)。担保などがつけられ第三者がからんでくるとやっかいなことになります。また、いきなり訴えではなく、処分禁止の仮処分をしておいて、簡易裁判所へ調停の申立をすることも考えられますが、調停の場合は、お兄さんが簡易裁判所へ出てくれるというのが前提となります。

相続争いは、感情的になったり、こじれる恐れがありますので、慎重にことを運ぶ必要があります。いきなり訴えではなく、お兄さんがその不動産を処分してしまう恐れがある場合については、裁判所へ処分禁止の仮処分の申立をしておいて、ある程度時間をかけて話をした方がいい場合があります。こじれそうな時は、近くのもしくは知合いの専門家(弁護士等)に相談されることをすすめます。知合いの専門家がいない場合は、弁護士会もしくは司法書士会に相談すれば紹介してもらえると思います。

ちなみにその後の手続ですが、上記の訴えを提起し、勝訴判決が出れば、その判決を添付して、お兄さん名義の登記を抹消することができます。その後、正式に遺産分割協議をすることになりますが、お兄さんが話合いに応じない場合は、家庭裁判所へ遺産分割の調停の申立か、遺産分割の審判の申立をすることになります。

できるだけ正確に回答しているつもりですが、メールでの質問であり、勘違いしている個所があるかもしれません。その点ご了承ください。

Q5、住宅供給公社からマンションを購入したのですが、登記する際、買戻しの登記というものが必要ということでその費用も払ったのですが、これはどのような理由で必要なのか教えてください。

A5、公団や公社からマンションを購入する際、だいたい買戻特約の登記をすることになっています。これは、5年間(私が経験したものではすべて5年です)転売を禁止する意味でするものです。公団や公社からの住宅の供給は、その買主が実際に住むというのが前提になっており、転売目的で購入するのを防ぐ意味があります。もし5年以内に転売をすれば、契約違反で買戻しされてしまう(売買代金を返還して)ということです。公団や公社の優良物件を転売目的で購入する人がいたのでしょう。5年を過ぎれば売ってもかまわないということになります。

Q6、このたび、初めてマンションを購入しようと思っています。夫も私も会社員で、共働き夫婦です。マンションの登記について教えていただきたいと思います。6000万円のマンションを購入しようと契約をしましたが、金融機関からの借り入れ額の割合が、夫と私では、5:1となります。しかし、年収などはお互いに同じくらいですから、今後の返済を考えると、お互いに半分ずつの負担で行っていくと考えられます。そこで、登記を2分の1ずつにしようと思ったのですが、それでは、税務署の方から、借り入れ額との割合がおかしいと言うことで、夫から妻への贈与とみなされ、贈与税がかかるだろうと、知り合いの人が教えてくれました。そこで、教えていただきたいのですが、

1、登記を夫:妻=5:1にした方が良いのか?

A6、登記の質問というより、税金の質問ですね。登記の持分割合は、出資割合(頭金も含め)を考慮して決定するというのが原則になります。したがって、借入れの割合が夫5:妻1ということですので、マンション購入の出資割合が頭金なども含めて、そのようであれば、夫6分の5・妻6分の1にするのが一般的ということになります。知合いの人が言われるように、マンション購入に際して、出資割合と違う持分を登記した場合(夫2分の1、妻2分の1)、夫から妻への贈与として、贈与税が課税される可能性があります。しかし、夫6分の5・妻6分の1にした場合で、事実上、返済が半分ずつということは、夫の借入金の一部を妻が返済しているということになりますので、この点は妻から夫への贈与とされる可能性があります。夫婦共働きで返済が半分ずつになるという場合は、収入按分(夫2分の1、妻2分の1)で持分登記したほうがいいということも考えられます。このあたりは、将来の返済割合の見込みなどの問題などがありますので、素直に税務署に相談されたらいいと思います(下記参照)。

持分の決め方について motibunwariai.htm

2、登記を夫:妻=1:1にした場合、いくら位の贈与税がかかるのか?

もし仮に、夫の出資分から、妻へ6分の2の贈与ということで、贈与税がかかるとすれば、単純に計算するとかなりの贈与税がかかる恐れがあります。2000万円の贈与として、800万円ぐらいの税額になると思われます。

3、贈与税がかかっても、夫:妻=1:1にした方がよいのかどうか?

4、共同名義にした場合、税制上で有利だと聞きましたが、それは5:1の場合と、1:1の場合では違ってくるのかどうか?

共有名義の有利さは、例えば、そのマンションを売る場合、譲渡所得税について3000万円特別控除が夫・妻両者に使えるということがあげられます。単純化して説明すると、6000万円でマンション購入、10年後1億円で売却、差引4000万円の譲渡益が出るので、課税される。夫単有だと、3000万円控除しても1000万円の利益が残る。これを共有にしておけば、1億円のうち、夫の利益分から3000万円控除でき、妻の利益分から3000万円控除できます。6分の5・6分の1にしておくのと2分の1・2分の1にしておくのとではどちらが有利かというと、前者では、4000万円の利益のうち、夫分3333万円妻分666万円、3000万円特別控除しても夫の利益分333万円が残ります。多少後者の方が有利になります。(細かい要件などは無視して、あくまでも単純化して説明しています。)ただ、現状はマンションが購入価格より高く売れるというのはあまりなく、しかも将来のことなので不明な点も多く、あまり気にしても仕方がないと思います。また、婚姻期間20年以上の夫婦については、贈与税の配偶者控除 haiguushakoujyo.htm がありますので将来?検討されたらいいと思います。その他としては、相続税対策になるとか言われています(配偶者への移転が持分の分終了している)。住宅ローン控除との関係も問題となる場合があります。motibunwariai.htm

具体的な税額などは、税理士か税務署にご相談下さい。

できるだけ正確に答えているつもりですが、メールでの質問でもあり、勘違いしている点があるかもしれません。その点ご了承ください。

Q7、マンション購入に際しての持分登記に関してお伺いしたいのですが。簡単な事例を書きますと、前提はマンションの価格は5000万円・頭金(自己資金)2000万円・ローン3000万円 夫婦共稼ぎ(夫700万・妻600万)頭金は2分の1ずつ出資、ローンは夫名義で借り入れ。

こういった場合に、夫の持分5分の4、妻の持分5分の1とした場合、妻から夫への贈与が発生している、となってしまうのでしょうか。夫名義でローンを組んでいても、共稼ぎの場合は、その収入割合で持分を按分した方がいいのでしょうか。

A7、上記前提でいけば、この持分(夫の持分5分の4、妻の持分5分の1)がすなおということになります。夫名義(債務者)でローンを組んでいる場合、そのローン分は、夫の出資ということになります。しかし、税務では、そのローンの返済が、事実上共稼ぎの夫婦の収入によって共同でされたと認められるときには、その収入按分で負担したものとして、返済の都度、妻から夫へ贈与があったものとして取扱われるとなっています。そこで、収入按分で持分登記をするということも考えられます。このあたりは、一度税務署で相談してみてください。

贈与税がかからないようにするための持分の登記

原則、出資割合で登記の持分割合を決める(負担する人が負担分の所有権を取得)。夫名義でローンを組んでいる場合、そのローン分は夫の出資となる。親から資金援助をうけている場合は、親との共有名義とする(住宅取得資金の贈与の特例 zouyotoku.htm で、300万円までであれば贈与税は非課税なので、その範囲内であれば必ずしも共有名義にする必要はない)。

(平成13年改正 基礎控除額 110万円、特例、非課税限度額 550万円)

夫名義でローンを組んでいても、夫婦共働きで、事実上ローンの返済を夫婦共同でする場合は、夫婦の収入割合を考慮して、登記の持分割合を決める(金融機関でローン申込者の持分制限がある場合があります)。その際、将来の返済割合(退職の可能性など)を考える必要があります(税務署等で相談)。例えば、5年ぐらいは共働きで、半分ずつの返済が可能でも、子供の出産により、妻が退職し、その後の返済は、夫の収入のみでするようなときは、持分を2分の1ずつにしていると、夫から妻への贈与の問題がでてきます。夫婦共働きでも、ローンを組んだ夫に、返済に十分な収入があれば、夫名義にしていても、夫の収入で返済しているということで贈与税の問題はでてこない。

夫婦が連帯債務者としてローンを組んでいる場合は、原則、夫婦の収入割合で、持分をきめる(夫婦共同で返済する)―もちろん頭金の負担も考慮して。将来の返済割合が変わるような場合は、それを見越して持分割合を決める場合もあります。持分の決め方について motibunwariai.htm

Q8、共有の土地であることを知らずに土地を買ってしまいました。共有持分は私が2分の1・相手が2分の1です。相手のことはなにも知りません。先日A市からこの土地を道路として買収したいという話がありました。どうしても買収したいA市は相手を捜索したらしいのですが、どうしても発見できなかったとのことです(行方不明)。A市は共有者の代表として私さえ納得すれば共有地を売却できると言ってきました。私はどこの誰かも知らない共有者の代表として売却の約束は出来ないと断っている状況です。そこで、2つ質問があります。共有者が不明なときはどのようにすれば私100%所有にできるのでしょうか。また、共有地に増築でもして20年経てば私の土地になる、という人もいますが本当でしょうか?

A8、A市が道路として買収したいということは、その土地は現状道路なのでしょうか?私道部分が共有になっているということはよくあります。その土地の現状の用途や、買った際の状況がよくわかりませんので、一般的に回答します。

他の共有者からその土地の持分を取得する方法ですが、その人が行方不明であれば、家庭裁判所に不在者の財産管理人選任の申立をして、財産管理人を選任してもらい、裁判所の許可のもと、その財産管理人と共有物分割の話合いをするという方法があります(共有持分をあなたが買取るなど)。

それともう一つは、時効取得のことですね。たしかに20年たてば、時効取得になりますが、登記名義を移転する(持分移転)には裁判手続が必要になると思います(時効取得を原因として登記手続を請求する訴え提起)。わざわざ増築して時効取得を試みるというのは、あまり現実的ではないと思います。

A市の事情や「共有者の代表として私さえ納得すれば共有地を売却できる」ということの具体的な内容などはメールでは不明であり、手続的にそれで本当に支障なくできるのかどうかはよくわかりませんが、A市に納得のいく説明をもとめてください。

できるだけ正確に答えているつもりですが、メールでの質問でもあり、勘違いしている点があるかもしれません。その点ご了承ください。

Q9、ホ−ムペ−ジで無料相談とありましたので、メ−ルさせていただきました。

特定優良賃貸住宅(新築)に9ヶ月間入居しましたが、この度、転勤の為、退去する事になりました。退去跡修理チェック立会い時に、キズ、汚れ等指摘されました。生活する事による変色・汚損・破損は退去者負担とされる基準をもらっていたのですが、そういう事は仕方ないのでしょうか?(ク−ラ−の跡・照明の跡・冷蔵庫跡)それと、全室ホ−ムクリ−ニング一式代と畳表替代も言われたのですが、それは納得できません。そういうのは入居している者の負担なのでしょうか?敷金は30万円ほど入れており、これらの費用が引かれるとほとんど返ってきません。

A9、賃貸住宅の敷金の返還や原状回復についてのトラブルは以前から多く存在し、また最近増えてきています。それに関して建設省の委託にもとづき、不動産適正取引推進機構が、判例の動向などを参考に、ガイドラインを作成していますが、それは賃貸人にとって厳しいものとなっています。

通常敷金は、賃貸借契約終了時に、滞納家賃と自然損耗・通常生活損耗以外の費用を差引いて賃借人に返還するものです。ガイドラインによると、

1、建物の自然的な劣化・損耗(経過変化)

2、賃借人の通常の使用による損耗等(通常損耗)

一般的に自然損耗・通常損耗とされるもの

・テレビ・冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ・壁に貼ったポスターや絵画の跡・エアコン設置による壁のビス穴、跡・クロスの変色(自然現象によるもの)・家具設定による床、カーペットのへこみ、設置跡など

3、賃借人の故意・過失によるもの、善管注意義務違反もしくは通常の使用を超えるような使用による損耗等

1と2は、家主の負担、3については賃借人の負担となっています。

したがって、次の入居者確保のためのホ−ムクリ−ニングや畳の表替えの費用は、通常、賃借人が負担するものではなく、敷金から差引かれるものではないということになります。「生活する事による変色・汚損・破損は退去者負担とされる基準をもらっていた」これは最初の契約のときに契約書に記載されているのでしょうか。敷引きの額が最初の契約の際、取り決めてあるとかいうことはあるのでしょうか?合意の下での特約があればまた別ですが、一般的には、上記のような取扱になります(特約があってもそれが合理的かどうかで問題となることはあります)。

ただ、通常損耗でも、賃借人の管理が悪いため損耗が拡大したとみられるものについては、賃借人も負担しなければならないとされています。

これを念頭に家主と交渉してみてください。もし納得がいかず、あくまで返還を求めるのであれば、少額訴訟などを検討することになります。

Q10、前回は根抵当権抹消登記についてお答え頂き、ありがとうございました。今回は、不動産の相続登記のことでお伺いしたいことがあります。昨年春、義父(私の夫の父)が亡くなりました(同居しておりました)。マンションが義父と主人との共同名義になっております。将来、買い換える可能性もあり、今の内に、名義変更(できれば夫名義に)しておきたく思います。主人には妹がおります。(主人の母はすでに亡くなっております)また、義父の先妻の子、すなわち主人の姉もおりますが、居所はわかりません。共同名義といっても、ローンの4分の1くらいはまだ残っており、事実上返済してきたのは、主人と私です。その事については、主人の妹もわかっているので、相続放棄を口頭で同意してもらっています。上記のような場合でも、遺産分割協議書は必要でしょうか?また、居所のわからない姉についても、戸籍謄本、住民票が要りますか?仮に居所がわかっても、主人も会ったことのない人なので、そのようなことを頼みに行きたくないのですが・・・。よろしく、ご教授頂けますようお願いします。

A10、亡くなられた義父の相続人は、ご主人と、妹それに居場所がわからない姉の3人ということでコメントします。

基本的には相続人間で遺産分割協議をするのが筋ということになります。了承してくれている妹さんについては、問題はないと思いますが、遺産分割協議をして、ご主人の名義にするためには、遺産分割協議書に、居場所がわからないというお姉さんの、署名・押印(実印)が必要になります。(残念ながらその居場所がわからないお姉さんの協力なしにはできません)また、戸籍謄抄本・印鑑証明書などの書類は必要になります。手紙などで事情を説明し、遺産分割に協力してもらうよう働きかけるということになりますが、居場所がまったくわからないということであれば、家庭裁判所で不在者の財産管理人を選んでもらうという手続が必要になり、裁判所の許可を得て、その財産管理人と遺産分割協議をすることになります。

(相続登記事件を扱っていて、たまに問題となるのが、把握していない相続人の出現です。例えば、父親が亡くなり、相続人は、母親と子どもである自分のみと思っていたところ、父親は実は再婚で、前の妻との間に、子どもがいたなどのケースです。そして、その前の妻との間の子どもが生きており、居場所もはっきりしていればいいのですが、戸籍の附票を調べ、住民票の住所が判明しても、そこに居ないとか、すでに死亡しており、さらに相続人が増えてしまうというケースもでてきます。そして遺産分割協議をするのが非常に困難になってしまう。こういうことを回避する手段としては、生前に遺言書を作成しておくことが考えられます。きちっと遺言書を作成しておけば、遺産分割協議をしなくても登記名義の変更が可能です。)

Q11、阪神大震災で神戸市などが「罹災都市借地借家臨時処理法」の適用を受け、建物倒壊時最後の借家人は、跡地に建てられた建物を優先的に借りられると思いますが、これは当該法令施行後、無期限に適用されるのでしょうか?(借地は期限がありますよね。)被災から5年経った現在でも、被災地にはまだ更地も多いそうですし、これから建物を建てようとする人も増えると思いますが、もし当該法律(借家人保護)が継続適用されるなら、法的には、たとえ今後何十年経っても、更地に建物を建てる人は、建物完成までに申し込んできた、以前の借家人に優先的にその建物を貸さなければならないのでしょうか?(借家人保護はわかりますが、逆に復興に際する土地活用の妨げになるような気がします。たとえば以前貸家をしていた地主が、建物滅失後、その土地を戸建て用地として売却しようとするときに自由に売れるのでしょうか?)

A11、むずかしい質問ですね。事案ごとに対処していくしかないように思います。震災当時の借家人が、現在どういう状態か、(わからない場合も多いでしょうね)調べるなど

震災から5年以上たてば、多くの場合、旧借家人は、別に住居を確保して、生活しているのですから、もし14条の申出があったとしても、拒絶の正当事由として考慮されると思います。また、14条借家申出をするかどうか催告し、それにもかかわらず旧借家人が申出をせず、建物完成間際で、建築主としては利用方法などを決めてしまった時期に申出をするなどの場合は拒絶の正当事由として考慮されるようです。

罹災都市借地借家臨時処理法(阪神淡路大震災に適用。平成7年2月6日施行)

滅失建物の借家人が、滅失後最初にその敷地に建築された建物について、その完成前に賃借の申出をし、他の者に優先して、相当な借家条件で借家権を取得できる(14条)

Q12、家と土地を残して、父親が亡くなりました。その家と土地の相続登記の仕方を教えて下さい。

A12、相続にはいろいろなケースがありますので、一概には言えませんが、一般的なケースの概略を説明します。まず、亡くなったお父さんの戸籍類を集めます。死亡時の戸籍謄本(又は除籍謄本)から、さかのぼって、だいたい12歳ぐらいまでの戸籍類(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本)を集めます。そして、相続人を確定し、相続人の戸籍謄・抄本を集めます。亡くなったお父さんの住民票の除票(役所での保存期間は5年間です)や戸籍の附票も取寄せ、又各相続人の住民票(の写し)も取寄せます。

遺産分割が必要であれば、相続人全員で協議(話合い)をして、だれが遺産をどれだけ取得するか決めます。そして、遺産分割協議書を作成し、それに相続人全員が署名押印(実印)します。

これら、戸籍類や住民票、遺産分割協議書(付印鑑証明書)が相続証明書となります。

不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)や固定資産の評価証明書を取寄せ、登録免許税を計算し、登記申請書や相続関係説明図(家系図みたいなもの)を作成します。相続関係説明図は必ず必要というわけではありませんが、登記申請の際、相続関係説明図を添付すれば、戸籍類は返還してもらえます。

登録免許税は、土地については、評価額の3分の1が標準となり、それの1000分の6になります。建物については、評価額の1000分の6です。(平成14年)

お父さんが土地・建物を取得されたのが、かなり前で、住所移転があるにもかからず、登記簿上、前の住所のままになっている場合は、書類上(住民票の除票や戸籍の附票から)住所の沿革がつかず、上申書や権利証書の添付を要求されたりするケースがあります。

以上の説明は、一般的なケースでの概略です。相続登記については、お近くの司法書士に依頼されることを薦めます。

Q13、父親が死亡し、父親名義の土地と建物について、相続人で遺産分割協議をし、私名義に登記をしました。相続人は、母と兄と私です。この建物には、母が住んでいるのですが、私は近くに住んでおり、今後、私が母の面倒をみることになるだろうということで、母も兄も了承の上、私名義にしました。しかし、最近になって、母が、私名義にしたことについて、文句を言うようになりました。私も、この土地と建物については、利用しているわけではなく、私名義にしているメリットもなく、文句を言われるのであれば、名義変更してもかまわないと思っています。遺産分割協議をし、私名義に相続登記をしてから、5年ぐらい経っているのですが、遺産分割協議をやり直すなどして母名義に変更することはできるでしょうか。

A13、母親名義に変更する方法としては、遺産分割協議のやり直しが考えられます。登記手続としては、まず、あなた名義の相続登記を抹消し、いったん亡 父親名義に戻します。そして、あらためて、相続人全員で遺産分割協議(母が取得する内容)をし、あなた名義にしたのと同様の手続で、母名義に相続登記をします。これは、相続人全員の協力があれば可能です。ただし、これには注意が必要です。登記手続上は、遺産分割協議のやり直しは可能ですが、税務上は、原則これを認めておらず、贈与とされる可能性があります。本当に、やり直す前の遺産分割協議が、詐欺、強迫によるものであるとか、相続人の意思を無視してなされたものであるとかなどの無効原因がある場合は、贈与とはされないと思いますが、相続人間で、任意に遺産分割協議をやり直す場合は、贈与とされ、贈与税が課税されます。すなわち、あなたから、母親への贈与とされるということです。それ以外、名義を変更する方法としては、売買などが考えられますが、もちろんこれは母親が買取るということで、売買契約の成立、売買代金の支払が必要になります。また、この場合も税金の問題が出てきます。あなたのケースでは、遺産分割のやり直しは、税金面で大きな負担が生じる可能性があるということをふまえ、本当にやり直す(母親名義に変更する)必要があるのかどうかを慎重に検討する必要があります。

以上、税金に関しては、一般的な回答であり、具体的事案によっては、異なる場合がありますので、その場合は、最寄の税務署、税理士にご相談下さい。