index 02.12.21

GIS(地理情報システム)が最終的なキーワードになるのかどうか不明だが[下記囲み内参照]、地図的表現、ないし位置関係としての空間情報の表現と分析、といった分野がある。(※本ページはCSSを多用しております)

■ 世界測地系への移行関連情報をまとめました(01.11.28)。

GIS:地理情報システム

 GIS(Geographic Information System)はデータベースの表現型の一つと考える(一種のグラフである…ただし、リアルな地表の事物と一定の精度の関連を保つ)。データベースであるから、必要なデータは統合的に管理される。
 GISには(データベースとは言い難いような)小規模なものから、(ものすごく)大規模なものまで、様々なケースがありうる。GISにはシミュレーションの側面もあるが、それはデータベース機能を前提とした応用と考えてよいだろう(Excelがシミュレーションに有効なのと同じである)。
 GISは(ビジュアルな)オブジェクトが意味を持ったCG(Computer Graphics)ともいえる。オブジェクトの属性はデータベースに格納され、データベースの変更が、異なる描画結果をもたらす。
 具体的なGISには4つの側面がある[02.12.5]。
  1. 地図のデジタル化
  2. データバインダー
  3. ファシリティマネジメント
  4. 分析ツール
 データバインダーとは、分布図に各種台帳やドキュメントを関連づけて、ドキュメントデータベースの構造を整理する手法を意味する。ファシリティマネジメントは、施設の管理台帳としてデータ入出力や履歴管理を担うシステムを意味する。
 空間統計学的な分析ツールとしてのGISは、あくまで1側面にすぎない。その意味で「GIS」は、手垢がつきすぎたキャッチコピーになってしまったのかもしれない。

GIS参考リンク

GIS取組みの現状

関連情報


 1997年以来、奈良文化財研究所で毎年2月頃『遺跡GIS研究会』が開かれている(当初は『遺跡地図情報システム研究会』→[活動状況])。この研究会の参加社(発表者の所属が企業の場合)は以下の通りである(但し測量部分に関わると思われる発表分は除き、リストは発表順とした)。無論、ここに挙がっていないGISプレイヤーも多数存在する。

 以下、気付いた範囲で関連プレイヤーを紹介する。

行政の取組み

 以前から、一部の自治体(埋文担当)では遺跡地図のコンピュータ化が行なわれており、実績はある。インターネット時代や情報公開に対応したモダーンな遺跡データベースは、現在計画が進行中のようである。

遺跡台帳GISの導入

 当面の目標の一つである、遺跡地図の電子化については、測量会社系の業務用ソリューションを導入するというのが模範的な解答であろう。ただ、本格的でありすぎるため、全国的に導入が進むには相当の年数が必要になるだろう。自治体レベルで全庁的にGISが導入されれば、それに参加するのが一番望ましいが、特定の部署が先行している場合だと、意外と庁内の部署間の風通しは悪いらしい。

簡易な地図システム

 特にGISアプリケーションを用意しなくても、GISは一種のハイパーメディアだから、理論的には、HTMLやPDFの機能を生かすことでも実現できる。クリッカブルマップを使えば、見かけ上はGISと変わらない。

 問題は地図画像データと、生産性である。地図は、力技でも作成できる。PDFなら、一つのパッケージとしてまとめられる。

 仮にHTML/Webの場合を以下で考えてみる(思考実験である)。


●地図のエンドレスな表示
 ラスター化した地図(GIF)を、ブロックにスライスして4つ表示する(9や16でもよい)。移動方向は8方向、拡大は4つのスライスの内どれかを拡大することになる(無論、あらかじめ用意しておく)。地図の階層は、3階層くらいで充分だろう。クリッカブルマップで、遺跡以外の部分をクリックした場合に拡大版の地図を表示することにする。遺跡をクリックすると、直接、遺跡のデータに飛ぶようにする(そこで、地図を隠さなくてもいい→target=_blank)。

●遺跡の表示
 輪郭は、レイヤーに表示し、地図と重ねればよい。これなら、JavaScriptで表示の出し入れも可能。JaMaPSと同じ機能である。

●遺跡の検索
 検索は、文字入力を要求することになるので、必ずしも賢明ではない。当面は、あらかじめ一覧表を用意しておけば充分。いろいろな基準でソートした表を用意しておけばよい。

●ヒットした遺跡のハイライト表示
 JavaScript(OnMouse...等で表示)で可能。拡大していけば、調査終了の調査区まで表示できる。


関連情報 似たようなシステムが実在しました

簡易GISの可能性

 OLEをハイパーリンクとして活用すると、VBないしVBAなどで、簡易GISが組める可能性がある。実装例も存在する。

 ささやかだが、いくつか分布図を作ってみた
東京湾岸北西部の貝塚分布 (99.2.27)
東京の古墳分布 (00.8.12)

製品としてのGIS

 製品としてのGISはいずれも高価な業務用ソリューションとして提供されている。インフォマティクスのSIS、パスコのARC/INFO、ArcViewなど一連の製品(開発元:ESRI)、アジア航測のGeoMedia、オートデスクのAutoCAD Map、BentleyのMicroStation関連製品 ドーンのGeoBase、三井造船システム技研のMapInfo など、多数存在している。

 ネットワーク時代に対応した互換性ということに関しては、OpenGIS(OpenGIS コンソーシアム)が標準化を担っている。またG-XMLも注目される。

 ハイエンドのRDBMSでも、例えばIBMのDB2では、地理情報エクステンダー(有料オプション)が用意されている。

 パーソナルレベルでは、例えばゼンリンの電子地図帳Z II、インクリメントPのMapFan、住友電工のAtlasMateなど、最近の地図ソフトでは、多角形が描画でき、属性をデータベース化でき、それらのデータをユーザ同士で交換できるものがある(あくまでクローズドなものなので、一般性はない)。

関連情報

フリーウェア・シェアウェア

 フリーウェアとして著名なものは、GRASSである。IDRISIは安価に入手可能(元々教育用)で、様々なライセンスがある。ESRIからもいくつかフリーウェアがリリースされている。

関連情報


<WebSiteTop   筆者へのレスポンス.