撮影機材について

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撮影機材

撮影に使用する機材で皆様のヒントになりそうな話
*2016/02/02但し書き。ここに書かれている内容は2012年当時のものです。現在ではレンズの設計技術やレンズコートの見直しなど大分変っています。

カメラ
このサイトをご覧になっている方は殆どがデジカメをお使いでしょう。新製品が出ると一喜一憂されている方も多いのでは?そこで
メーカーが触れたくない話とは?
それは
「撮像素子には寿命がある」ということです。大体1万ショットを過ぎる辺りから画質が低下していきます。(執筆当時、現在はアマチュアが使う分には問題ない)症状としては「色が冴えない」「暗部のノイズが多くなる」等です。デジカメは消耗品とお考え下さい。そうしますと必然的にカメラの選び方が変ってきます。当然「不必要なスペックは要らない」ということです。高価イコール長持ちでは無いところに注意して下さい。
フィルムカメラの場合は事情が変ります。持っておられる方は別にして、これから始めてみようと思う方は当然中古品という事になります。信頼のおける店で購入するのは勿論ですが、フィルムカメラは基本的に上位機種は堅牢に作られています。デジカメと違い感光材料(つまりフィルム)は常に新品です。(あたりまえですが)ですのでいわゆる名機と呼ばれるカメラで比較的新しい物がお勧めです。ニコンは今でもフィルムカメラを販売していますので、新品という手もあります。但し特殊な理由で人気があるカメラには手を出さない方が良いでしょう。例えばオリンパスのOM-3です。これはもともと生産台数が少ない上にメカニカルシャッターだったことが人気の理由です。重度の収集癖がある方(ほとんど病気の方)以外にはお勧め出来ません。同じ時代ならOM-4Tiの方をお勧めします。むしろこちらの方がマニュアル露光時のシャッター速度は正確です。
(*追記OM-3とOM-4Tiのメーカーでの修理受付は2012年で終了する様です。お持ちの方は注意して下さい。)またライカも有名ですが、こちらはどちらかというと「コレクターズアイテム」実際に動くとしても、やはり飾っておく部類に入ります。ペンタックスも一世を風靡しましたが、まあ一般的にはニコンかキャノンの上位機種という所に落ち着くと思います。
最後にデジカメが普及してもこれだけは残るだろうと言われているカメラがあります。それは「リンホフ」です。大判カメラに属しますが
「アオリ」が使えることが最大の理由です。山岳写真などには無くてはならぬ存在で、すべてメカニカルで動きますので寒冷地などでも安定して動作します。デジタルで置き換えることも理屈では可能ですが、重量という問題と気温という問題はクリアー出来そうにありません。(かつてニコンやキャノンのメカニカル機は低温にて問題なく作動するようグリスなどの交換サービスを行っていました。リンホフなどのレンズシャッターは殆ど問題ありません)アオリレンズは35ミリにもありますが皮肉なことにすべてマニュアルでの撮影となりますし、可変の幅が狭いです。

レンズ

レンズにもやっぱりメーカーが触れたくない部分があります。
基本的な事柄をおさらいしましょう。我々が写真を撮ると言うことは、物体をレンズを通して感光体に(撮像素子を含む)結像させるという行為です。すなわち光は必ずレンズを通ります。光が空気中からレンズという異種の物体に入る時、必ず「界面」が生じます。問題は
光が界面を通過する際に微細な情報が失われてしまうのです。1枚のレンズにつき界面が2カ所出来る事になります。もちろんメーカーはマルチコーティングなどの処理をおこなって最小限の影響に止める努力はしています。
皆さんはレンズのカタログの中で「4群6枚」といった言葉をご覧になったことがあると思います。群というのはグループといった様な意味で使われます。マニュアルフォーカス最盛期のシングルレンズの内、「名レンズ」と呼ばれた製品は4群6枚構成が多いです。これは「広角タイプ」でも「標準タイプ」でも「望遠タイプ」でも同じです。これらに共通して言えることは
「無理のない設計」だということです。従ってこれより多い枚数のレンズを使った製品はどこかで無理をしているということなのです。最初は明るくするために無理をした製品が多く見られました。例えば200mmF2.8とか、次に小型化するための無理があります。望遠レンズなどはどうしても大きく、また長くなってしまいます。そこで名称はメーカーによって異なりますが「異常分散ガラス」などの高価な高屈折率のレンズを使い、全長の短縮化と大口径化をはたしたのです。ここまで位でしたらレンズの枚数もそう増える事は無く「空気感とか雰囲気」などの測定器では測れない情報も残っています。多くのプロやハイアマチュアがシングルレンズにこだわる理由がここにあります。
ニコンやキャノンなどのプロやハイアマチュアに好まれるメーカーでは、いまだにシングルレンズを販売しています。というよりやめられないと言った方が正解でしょうか。

問題はズームレンズです。ズームレンズのレンズ構成は通常11群14枚位(これよりレンズ枚数の多い製品も多々あります)の製品が多いようです。「界面」の数が先程のシングルレンズに比べて極端に多くなってしまいます。もともと1本のレンズの中で焦点距離を変えるという
無理(特に高倍率な物ほど)をしている訳ですから、仕方の無い話ではあります。しかし界面の数が増えるという事はそれだけ微細な情報が失われるということでもあります。当然メーカーが触れたくない話です。メーカーは測定器で測れる部分ばかり強調してさも高性能であるかのように宣伝しています。勿論昔に比べれば格段に進歩はしています。しかし「界面」の数においては何ら変らないのです。昔、著名なフォトコンテストではズームレンズを使ったという理由だけで落とされていました。カメラ雑誌でもコンテストに応募する際はシングルレンズを使うよう指導していました。

ズームレンズにはもうひとつ問題点があります。使い方にもよりますが「バックフォーカス」が狂ってくるのです。
見分け方はまずレンズの最望遠側で山などの無限遠に近い物体にピントを合わせます。次にピントはそのままで、レンズの最広角側までズームバックします。この状態で無限遠にピントが合っていなければ「バックフォーカスが狂っている」状態です。通常2~3年で狂ってきます。修理に出せばまともなレンズであれば直ります。最近は新品でも狂っている事があるようですが。
マニュアルフォーカス最盛期の頃はすぐにユーザーが気がつきますから、修理などの対応をすれば済む話です。ところがオートフォーカス全盛の今日では、この
狂った状態の中で機械が強引にピントを合わせてしまう訳で「何処が悪いのか判らないが写りが悪い」という状態になってしまうのです。写真の閲覧サイトなどでも「明らかにバックフォーカスが狂っている」と思われる作品を散見します。このことにもメーカーはダンマリを決め込んで何らアナウンスがありません。カメラ店の店員も知識不足なのでしょうか?
業務用のシネレンズには最初から本体にバックフォーカス調整ノブが付いている製品もあります。この分野はカメラ本体(ビデオカメラ等)とレンズメーカーが別なのが一般的です。カメラ本体のメーカーとして有名なのが池上通信機やソニーなど。レンズで有名なのが富士フイルムやニコンです。
追記 「樽型歪み」にご用心!
最近ネットなどで「樽型歪み」が出ている写真をよく見かけます。広角側で目立ち、レンズの価格に関わらず発生します。新品でも見かけるので要注意!
見分け方は簡単「格子」状の物を撮影してみて下さい。ちゃんと格子状に写れば良いですが歪んでいたらそのレンズは要修理です。
単焦点の広角レンズだったら「不良品」の世界です。
これもメーカーはダンマリを決め込んでいて、カメラの付属ソフトに「補正ツール」をこっそり付けています。(画像ソフトに補正機能が付いているのは判るが、カメラメーカーのソフトにこの機能が有るのは自社の製品(レンズ)に自信が無い証拠!)

最近はズームレンズにもやたら高価な製品が増えました。先程にも触れましたが「無理」をしたから高価になったためで、決して高性能を意味する訳では無いので要注意です。要はそのスペックが自分に必要かどうかです。
近所に買い物に行くのに高価なスポーツカーが必要か?というレベルの話です。まあそれがマニアの心理といえばそれまでですが。
ではどうやってズームレンズと付き合っていくか?という命題ですね。確かにズームレンズなら1本で済むし、軽いし、格好いいし(大口径ズームの場合)
まず
「高価なズームレンズを使ったからと言って、写真が上手くなるわけではない」という大前提に立ち返り、必要なスペックの物を購入したら良いと思います。その上で先程紹介したバックフォーカスの確認を行って下さい。安物のレンズだと修理がきかず、消耗品となってしまうかも知れませんが。

画像ソフト
いわゆる Photo shop 等の画像編集ソフトです。デジカメが一般化してにわかに必要性が増しました。最近はデジカメを買うとオマケで付いてくる例も多いようです。色々な製品がありますが、やはりアドビのPhoto shopが業界標準です。最初が高価ですが、身内に学生、教職員がいれば安価に買えます(年齢制限はありません)またフリーソフトではGIMP(ジンプ)が有名です。もともとUNIX(ユニックス)用のソフトですが、Windows移植版も出ています。(日本語版もあります)使い方ですが、Photo shopは多数のガイド本が出版されていますし、アドビのホームページでも使い方の解説があります。(追記、PhotoshopCS4からはAdobeオンラインに使い方を教えてくれるラーニングビデオがあります。判りやすいのでお勧めです。)カメラに付属のソフトは各メーカーがWebで説明していますのでご覧下さい。
なぜここで画像ソフトの話を取り上げたのか?それは最近
「撮りっぱなし」の画像が蔓延しはじめているからなのです。各カメラメーカーではユーザーサービスの一環として「作品投稿サイト」を運営していることが多いですが、先程の「撮りっぱなし」の画像が目をひきます。ビギナーの方の作品は仕方ないとしても、構図やシャッターチャンスが決まった「明らかにベテラン」の方の作品の場合「もう少し手を入れてあげればプロ並みの仕上がり」となることが目に見えているだけに残念でなりません。
昔モノクロ写真の頃はプリント時に写真屋さんが腕を振るっていました。ネガの調子を判断し、印画紙の号数を決め「覆い焼き」などの焼きのテクニックを使い作品に仕上げていました。カラープリントの時代になっても似たようなことが行われていました。
ところがデジカメの世の中になって
「すべてユーザーが補正を行う」事になってしまった訳です。シャッターを押しただけですべて綺麗に撮れるカメラなぞ存在するはずもなく(各メーカーも努力はしていますが)逆に各シーン毎にプリセットしたモードを用意するなど、絞りとシャッター速度の組み合わせしか無かった昔のカメラと比べるとかなり煩雑でさえあります。(ご丁寧に各メーカーごとに操作や呼び方が違うというオマケ付きで)
カメラ店での補正が期待できなくなった今、カメラメーカーは各種ソフトをオマケで付け、プリンターメーカーはパソコン無しで印刷出来るようにするなど涙ぐましい努力はしていますが。
プロの現場でも印刷用途に使用する場合はスキャナーでの読み込み時に詳細な調整が行われますし、版組みの時にも必要であればさらに調整されます。
カメラメーカーのカタログやWebで見られる
「プロの作例」とは「完璧に補正された写真」なのです。残念なことに写真屋さんでは画像ソフトに対する知識、ノウハウがありません。そのことも原因のひとつかも知れません。まあプロと言ってもレベルは千差万別で印刷物に関わってこなかったプロの中には明らかに取り残されている方がいるのも事実ですが。印刷関係は製版のために古くからPhoto shopを使っていたため(Ver5位から、現在のCS5はVer12にあたる)今日の変化にも対応出来たのでしょう。(註、現在はPhotoshopCC 2014になっています)

三脚

最近は持っていない方もお見受けしますが、やっぱり必需品でしょう。昨今はカーボンファイバー製の物が大流行ですね。注意点はあまりに軽いため倒れやすいことです。ストーンバッグなどを使い、安定を図って下さい。さもないと足を引っかけて高価なカメラを壊してしまう恐れがあります。
カメラ店に行くといろんな商品が並んでいますね。有名メーカーの物であればそこそこ使えるとは思います。ただ基本的に長持ちする物ですから、ある程度良い物を買われた方が結局はお得なのでは?カーボンファイバー製の物は新素材のため耐久性は未知数です。
オススメはやっぱり定番ジッシオか
ハスキー(クイックセット)でしょう。いずれも世界的に有名なメーカーです。どちらも3段クラスで充分です。3段でもいっぱいに伸ばしたときは高さ2メートル近くになり、脚立を持っていればかなり高い位置から撮影できます。有名なお立ち台等で他の人より高い位置で撮影できて便利です。安定性はお墨付きです。耐久性でも定評があり、30年、40年といったスパンでの使用が可能です。また日本製品と違い長く使っても修理が出来ます。これは日本と違って「良い物を長く使う」という発想が根付いているためと思います。(いまや日本は使い捨て文化の国ですから)私はスリックの物をもう30年以上使っています。壊れないのでそのままです。やはり伸ばすと2メートル近くなりますので、通常は3段のところを2段引き出しただけで使っています。

三脚使用時の便利グッズ
ケンコーからレベルアジャスターなるものが販売されています。三脚と雲台の間に挟んで使います。鉄道ばかりでなく「水平、直角を出す」のは写真の基本です。特に鉄道の撮影現場では水平な場所で三脚を設置できることは希だと思います。そこでまず三脚を設置したら脚を調節して大体の水平を取ります。その上でこのレベラ-できちんと水平を出します。水準器が内蔵されていますので、簡単に出来ると思います。このようにすれば、パンした時に架線柱が傾くような事も無くなります。私はベルボン製の物を使っていますが、今は販売されていないようです。
雪景色を撮影する時に便利なのが「スノーシュー」ついでに「かんじき」も持っていると歩くのが楽です。また晴れていると雪景色は適正露出を決めるのが非常に難しくなるため、単体露出計、平面受光板、反射光アタッチメント、標準反射板(18パーセント)が必要になります。
単体露出計を持っていない方は、せめて標準反射板だけでもお持ち下さい。露出に迷ったら被写体と同じ光が標準反射板に当るようセットし、カメラのレンズを標準反射板しか写らない状態で露出を計れば適正露出となります。私はコダックの製品を使っていますが、現在はセコニックやケンコーなどから販売されているようです。

スキャナー
フィルムからデジタル化しようとすると、どうしてもスキャナーのお世話になります。私はEPSONのGT-X970を使っています。エプソンのフラッグシップ機だけあってかなり高性能です。読み込みソフトもかなり進化しており「退色復元」機能を使うといわゆる「青カブリ」や「マゼンタカブリ」も一発で補正できて後が楽です。またAdobeR PhotoshopR Elements 7.0がバンドルされていて、通常のPhotoshopCSにアップグレード出来ます。(有料)やはりフォトショップは必需品なのでこうした機会を利用されたら良いと思います。
さてインターネットのスキャナーのレビューなどを見ていても、基本的な使い方を知らない方が多いようなので、簡単に説明します。
まずフォトショップなどの画像ソフトを立ち上げます。
ファイルメニューから読み込みと進み目的のスキャナーを選択します。
読み込みソフトは「プロフェッショナルモード」などの自由が効くモードにします。
次に「原稿種類」をから「カラーポジフィルム」を選択します。
サムネイルを表示させてスキャンする原稿を選びます。
読み込む大きさを設定します。(仕上がりの寸法のことで、大きく引き伸ばして飾りたい場合は大きな値を、通常のプリントやWebに使う場合は余裕を見てもキャビネ判位で充分でしょう。これでも下記の解像度で読み込むと5メガピクセル位になります。
次に解像度を設定します。通常は印刷物(標準的なオフセット印刷)の解像度である350dpiで充分です。ここで大きな値を設定しても意味なく巨大なファイルが生成されるだけです。ディスク容量を圧迫するし、すべての動作が遅くなったりしますので止めた方が無難です。
ちなみに仕上がりの寸法を「A3ノビ」に設定し、解像度を350dpiにすると2200万画素を超えます。ファイルサイズは保存形式にもよりますが、フォトショップ形式の場合約63メガバイトあります。いくらスキャナの最大解像度が6400dpiだからといっても、それは原稿を読み込むときの(35ミリフィルムに対して)解像度であり、仕上がりでは無いということに注意して下さい。
注意 こうした作業をする場合パソコンには積めるだけメモリーを増設しておいて下さい。通常電気店で売られているままの状態ではまともに作業出来ません。買い換えを検討の方は64ビットのOSも検討された方が良いと思います。(アドビはCS5で64ビットに正式対応しました)


いかがでしたでしょうか?ご質問等ご遠慮なくお問い合わせ下さい。

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