3.作成から廃棄まで
3-3.保存と保管

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保存と保管の違いは?
普通は あまりこの言葉の違いを意識してはいません。言葉は違っていても同じ意味なのでしょうか。
 
     

【保存】
  そのままの状態を保って失わないこと。原状のままに維持すること。「遺跡の―」「―食」 (広辞苑)
漢文のように読むと、「存スを保つ」ということで、存在することを保つとの意味になります。ものが変化しないようには注意しますが、日常的に利用することを考える必要はありません。
【保管】
  大切なものを、こわしたりなくしたりしないように保存すること。「書類を金庫に―する」 (広辞苑)
「管理しながら保存する」といったところで、単に保存するだけでなく、必要な時にはすぐに取り出せるようにしたのが保管です。
   
書類の保存と保管
 

書類について言えば、ダンボール箱に入れて倉庫に放り込んでおくのは保存であり、特定の書類を探そうとすると、ホコリにまみれながら肉体労働をする羽目になります。
これに対して利用することを前提に、書類棚などに整理しておいておくのが保管です。必要になった時には簡単に取り出せるように配慮されています。
理想的には、上に述べたような状態で在るべきですが、実際には保管されるべき書類が、全く管理されていないことが良くあります。保存と保管を区別していないと言うより、ただ書類を単に捨てないだけ、適当に棚または倉庫に放り込んでいるだけの状態になっています。これと同じことで保存と保管の言葉は明確には区別されていないようです。

書類の保存で最近話題となったものに、「電子帳簿保存法」(正式名称:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)があります。これは、所得税法、法人税法で帳簿書類を7年間保存するように義務付けたものです。国税局の査察で、帳簿などを提出するように指示されなければ通常は使用する必要も無く、ただあれば良いだけであり、まさに保存することが必要なだけです。
ただし、大蔵省令として出された「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則」では、記録事項の検索をすることができる機能を確保しておくこと、となっていますので、保管を念頭に入れていることが分かります。

これに対して、経済産業省が平成17年5月6日に発表した「文書の電磁的保存等に関する検討委員会報告書」での保存要件の一つとして「検索性」(電磁的記録に記録された事項につて必要な程度で検索することのできるよう、事項を体系的に構成する措置を講じていること。)を挙げていますが、必須としているわけではありません。さらに、ここの資料1にある用語の用例の中に、保存として「法令の規定により書面又は電磁的記録を保存し、保管し、管理し、設け、備え、備え置き、備え付け、又は常備すること。ただし、裁判手続等において行うものを除く。」とあり、保存と保管の区別があまりつけられていません。

JIS X 0902-1:2005の解説の部分で、以下のように説明が書かれています。

3.4 "保管"、"保存"、"保有"について 用語の定義の中では、"保存"(preservation)しか取り上げられておらず、"保管"、"保有"については明確に定義されていない。参考として、日本のファイリングシステムでの定義を記す。
  参考 保管: 記録の置いてある場所が事務室で、利用頻度が比較的高い記録の保有を意味する。
    保存: 記録の置いてある場所が書庫等で、利用頻度が比較的低い非活用状態の記録の保有を意味する。
    保存: 保管と保有の期間を総称。記録の置いてある場所及びその利用頻度にかかわりなく、広く保持している状態を指す。

 

ここで「日本のファイリングシステム」とありますが、これは日本にファイリングの概念をアメリカから持ち込み、「ファイリングシステム」の本を書いた三沢仁氏の教えの流れをくむ考え方です。海外ではこのように厳密には区別していないため、このJISのベースとなっているISOでは、"保存"しか用語を定義していません。

   
【参考-1】 JIS X 0701(情報及びドキュメンテーション−用語)による定義
  【保存】
    資料及びコレクションの健全性を保持し、寿命を長くする他のすべての方策で、財政的、政策的決定も含む。
  【保管】
    (1).後の利用に備えるため、データ並びに資料の配置及び保持にかかわる過程。
    (2).資料を規定の条件下に保ち、その検索又はその中に含まれる情報の検索を可能にするための保存方法。
     
【参考-2】 JIS X 0902-1:2005(情報及びドキュメンテーション−記録管理)による定義
  【保存】
    真正な記録を長期にわたり技術的、内容的に存続し続けられるようにするためのプロセス及び運用。

文書管理のコンサルティングの多くは、事務所にある書類を整理し、事務所においておくものを保管とし、倉庫に持っていったものを保存と明確に区別しています。しかし電子データの場合に、はどのような整理状態であっても保存の言葉が用いられるため、このような区分を用いることはできません。 このため、電子文書は対象とせず、紙の文書のみを対象とした指導をしてしまい、紙と電子が別々に管理されることにもなりかねません。
電子文書が中心となっているところでは、保存と保管について、あまり厳密な解釈も区別も必要がないと思えます。

ただし、一つの管理システムで多量のデータを管理しているシステムでは、検索などの応答に時間がかかる場合もあり、この場合は日常利用しないデータを別に管理することで処理速度を上げることもあります。この時に別に管理するデータを「保存」解釈できないこともありません。

 

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| 4.書類の整理 | 5.書類の電子化 | 6.電子化書類の活用 |

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Updated on 2013/09/28