3.作成から廃棄まで
3-5.書類の廃棄 (「ファイリングの部屋」アーカイブ)

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まず不要な書類を廃棄することがファイリングの第一歩です。不要な書類まで、保存の対象としないように、まず不必要な書類を削減する必要があります。しかし、削減に重点を置いてしまうと、本当の目的である、「必要な書類をすぐに取り出すことができること」がおろそかになってしまいます。

ファイリングの重要な目的の一つに、保管場所の削減が挙げられます。書類廃棄の基準として、次のようなものが考えられます。

 
一過性の連絡文書
  会議案内、書類の提出依頼状などの連絡文書は、その期限が過ぎれば、直ちに廃棄しても問題はありません。しかし、人事・総務部門などで、毎年同じようなスケジュールでこれら文書を出す必要のある場合は、1年間は保存するべきです。
   
推敲を重ねる上で作成された書類
  報告書などを作成する際、何度も修正を重ねて完成させていきますが、修正前の文書は、よほどの事情が無い限り、書類が完成した後は、直ちに廃棄するべきです。
   
コピーした書類
  オリジナルの原紙は、作成者あるいは受領者が、責任を持って必要な期間だけ保存する必要がありますが、なんらかの必要があってこれをコピーしたものは、いつ廃棄してもかまいません。このようなコピー書類は、書類増加の最大の原因であり、なるべく早く廃棄するようにしなければなりません。
   
保存期間が過ぎた書類
  保存期間が明確に定められた書類は、その保存期間が過ぎれば、直ちに廃棄します。
   
古いカタログなど
  カタログなどは、技術資料として非常に役立つもので、増える一方になりがちです。しかし、新しいものを入手した時には、古いものを同時に廃棄しなければ、古い情報を元に仕事をする羽目に陥ってしまいます。

このような基準をもとに、書類の整理を実施し、なるべく書類の量が増えないように注意をするべきですが、業務に必要であれば必要以上に書類を削減する必要はありません。以下は、この失敗例です。

東京・丸の内から、営業部門を除くすべての機能を、品川区の埋立地に移転し、分散していた部門も同じビル内に収容することで、打ち合わせや会議が楽になった。しかし、肝心の会議の中身は希薄なものとなってしまった。原因は、本社移転にあたって、各自の持ち込める書類をダンボール箱で5箱までと制限したためで、制限をクリアするために、誰もが仕方なく、過去のデータやパンフレット類を大量に処分した。ところが、処分の時点では必要ないと思った書類が、意外に必要になることが多く、それで会議が進まなくなってしまった。もちろん資料室には、たいていの書類は保管さているが、その資料の山の中から、各担当者が必要な資料を探し出すのに時間がかかる。
(「こんなはずでは・・・本社移転のばからしさ」 “WEDGE”,2001年10月号)

ファイリングの考えを軽視したまま書類の削減を行うと、このように整理しないほうがまし、といった状況になりかねません。

 

また、2005年に問題化した松下電器の温風機リコール問題も、データ廃棄により問題が拡大したとされています。以下は日本経済新聞の記事(2005年12月 8日)から引用します。

 「顧客名簿が見つからない」-----。石油温風機の事故を公表した今年 4月、顧客の特定を始めた松下社員は頭を抱えた。
 松下はこの 1年、顧客名簿の処分を積極的に進めた。個人情報保護法施行やセキュリティー重視の風潮が高まる中、企業の顧客名簿の紛失や漏洩事件が相次ぎ、過去の顧客名簿の整理がリスク軽減につながると考えたからだ。
 昨年12月末に約 1億1400万件だった顧客名簿数は今年 9月までに半分以下の約 4700万件程度に減った。特に専門店推進本部に全国の系列販売店から提供された返信保証書カード、愛用者カード、修理名簿など「いつか役に立つと蓄積していた」(情報セキュリティー本部)顧客データ 3600万件を 600万件まで減らした。この中に回収対象となる石油温風機の顧客情報が含まれていた可能性が高いという。
 名簿削減はセキュリティソフトの保守契約料やスペース削減などで 9億円近いコスト減をもたらした。だが今回の事件ではこれが大きなツケとして跳ね返った。

 

| Topページ | 0.はじめに | 1.情報の記録 | 2.増加する書類 | 3.作成から廃棄まで |
| 4.書類の整理 | 5.書類の電子化 | 6.電子化書類の活用 |

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| 10.ファイリングを考慮した書類の作成 | 11.マネジメントシステム |
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Updated on 2013/09/28