愚行連鎖 そして愚か者は…

GB楽器博物館

更に深淵へ墜ちて行く…[1]

>これまでのお話

お盆休み前、仕事帰りに、久々楽器屋を覗いたらウッド・ベースの中古が入ってたんだよね。
ありゃ、珍しい。お値段は…ん?

Hallsttatt Hallstattってぇ、激安通販ショップ等でお馴染みの中国製ですな、コレ。
定価84,000円を特別に弓と松脂とソフトケースおつけして45,000円でご提供!
ってやつ…
どこが定価ナンだか、どこでも6割引以上って…何なんだ、その価格設定。
合板製、塗り指板。激安ショップ専用商品の一つでありますな。
新品見たって、どう考えても8万円も出せる楽器ではない。
販売価格5万円というのは妥当な線。

目立つ大きな傷などはないモノの、よく見ると指板のサイドにキリで穴が空けてある。ポジションマークのつもりだね…
駒がトンでもないところに立ってる…弦長にして4〜5cm短いぞ、コレじゃ。
表板歪んじゃうぞ…
その上、駒が傾いて脚が表板に密着してない…
多分、放っとけば遠からず駒が倒れてエラい事に…
その駒を見ると…弦高を下げたかったんだろうな、嶺を鋸で挽いたのか…
あのね…駒に鋸あてるなよ…

Hallsttatt もう、これは目を覆いたくなるような惨状。

しかし、駒にはFishmanのBP-100 ピエゾPUが付いている…

そして、プライスカードは…まだ無い。


一晩寝て起きたら、いくら安物でも、あの悲惨な状況はとても可哀想で見るに耐えないと思ってしまった訳である。
値段がそこそこだったら、引き取って手を入れて「楽器」に戻して上げようと、見に行った。
PUと弓(珍しい仏式だった)買ったと思えば楽器本体はオマケで、と考えれば、新品平均市価5万しないモノだから、あの状態、現状渡しなら2万円台下の方が良いところだろう。
充分衝動で愚かれる金額だね。
駒を直して、ナットを一寸いじってやればスラップの練習用位には充分使えそうだし。
PU拾いが前提なら、ボディは鳴らない方が都合は良いしね。

Fishman BP-100 再度見に行ったら、FishmanのBP-100外してあった…
で、肝心のお値段は…

ちょっと待て、なんだこの値段は!

現状渡し税込み32,800円。


馬鹿言っちゃぁいけないよ!
担当と一寸話をしたが、全く状況を理解していない。
この店も、昔は楽器好きがちゃんと商売やってたのにな…
人事異動でしょっちゅうあちこち回されちゃ、本気で商売やる気もなくなるわなぁ…

話が分からないなら、私はもう興味がないが、こんなモン、こんな値段で素人さんに売りつけたらお店の信用に傷が付くよ…I楽器サン…

私ゃ、「これが欲しかった」訳じゃなくって、「こんな目に遭っててあんまり可哀想」だから連れて帰って「とりあえず楽器に戻して上げよう」としただけだからね。
ポケットマネーで、半分死んじゃってて、もう長くない「元」楽器を助けたかっただけだからね。
現状、楽器じゃねーもんな、ありゃ、廃材だわ。

お盆休みが終わり、またその楽器屋に寄ったら…まだあった。
価格はPUを付け直して(クリップも追加されていた)20,780円(確か。何だ、この半端な額は)に下がっていた。

ネックサイドの穴を除いてはボディそのものにはダメージはないようだが、楽器の状態は現状のまま。
駒の嶺を切り落として弦高を下げているので、正常位置に駒を戻すと弦高が…低いどころではなく、指板に当たってしまう程。
駒の交換、もしくはアジャスターを入れるなどをして高さを上げないと使い物にはならない。
このレベルの楽器に新しい駒を買って付けるのは無駄だが、アジャスターなら自作加工で何とかなりそう…

ただ、前にも書いたように、私ゃ、「これが欲しい」訳じゃなくって、「こんな目に遭っててあんまり可哀想」だから連れて帰って「とりあえず楽器に戻して上げたい」だけなのだな…
可哀想だから、何とかしてあげたいのだが、まず家に持って帰っても置き場所が…
価格的には中古のフレンチ弓とFishmanのBP-100を買ったと思えば後、楽器本体はどうでも良い金額なんだけどな…
(つーか、ちゃんとしててもどーでも良いレベルの楽器だし)
ウッドベースは欲しいけど…現場で使う予定もつもりもないしなぁ…

居場所がないってのはやっぱり諦めるしかないかな。
でも、可哀想だなぁ…


いや、手を出す気はないんだけどね…
はっきり言って、PU使ってPA通しして音を出すんだったら、今使っているYAMAHAに勝るアドバンテージはウッドベースにはないしね。
生は弾いて気持ちいいけど、現場ではエレアプの方がずっと有利。
敢えてウッドベースを現場に持ち込むメリットはほぼゼロ。

あまりに可哀想だったし、相場から言って、シャレで済む金額だと思ったから交渉してみたのね。
しかし、だめだわ、ありゃ…

と、思っていたら、幸か不幸かこの楽器は誰かの手元に嫁いでいった。



あう゛ねぇ事夥しい。

Universal SB-100 何だか分からないが、満たされない気分のままネット・サーフィン(死語)してたら、こんなの見つけてしまった…
チャイニーズだが総単板、一応(染めは間違いないが…)黒檀指板らしい。
なんかちょっとかなり危ない価格…

仕事帰りに、Kバイオリンショップへ寄ってみた。

「同一メーカーのでガンバのならありますが…」
ガンバじゃ要らないや。
でも一寸触ってみようかな…
造りは中国製の悪いところが一寸出てるが…
自分で手を入れればそれなりに綺麗になりそう…
音は悪くない。弦高を調整して貰えれば…
PU付けてf穴塞いで使うというのは吉かも。
高級ではないけれど、木目はそこそこ綺麗だし

Bassのシェイプ
Bassのシェイプ:左からガンバ・ヴァイオリン・ブセット

でも、ガンバ・シェイプじゃ要らないや。
バイオリン・シェイプのがあれば連れて帰っちゃうんだけどな…
とつぶやいたら、店員氏、しばし消える。
「ごめんなさい…同じメーカーので合板製は結構入れるのですが、単板仕様は数本しか…系列店のどこにももう在庫は…」
ふぅん…
「この手は次にいつ入ってくるかは全く分からないんです」
あ、そう…

いや、良かった、良かった。(何が良かったんだか…)

まぁ、やっぱりご縁がない、と言うことで。

まず、これは…

ウッドベース、高いのなんか要らないんだよね。
私が欲しいのは、そこそこ音がちゃんと出て、なにより「抱き心地がよい」モノ。
生音はね、適当に出てればそれで良いんだ。どっちにしろPUで鳴らす前提だし。
つーことで、これが入荷したら考えるけど、これ以上のは買いませんのよ。
どうもね、ウッドベースってのはベニヤ板で出来た箪笥みたいなの(数万円)のクラスと中級(数十〜100万円未満クラス)、そして一寸ゴメンよのお値段のクラスが主たる販売層の様である。
とりあえず、ベースのカタチしてればいいってのと、楽器の蘊蓄を語れるクラスね。

合板の安い楽器はPU付けてひっ叩いたり乗っかったりにも需要があるだろうし、良いのはもちろん、それなりに売れるだろうし。

中途半端なクラスなんだろうな、これ。
あんまり売れないんだろうな、ヲヂサンが衝動で買っちゃう(Martinの安いの位の)楽器って。
で…
調べたら、チャイニーズではなく、コリアンだった。
たぶん、これはウチのEliちゃんを作ったのと同じ工房。

逃したご縁はいかほどのモノだっただろうか?

ところが、である…
Carlo giordano SB‐300 件のガンバモデルの隣に鎮座していた君が古色仕上げで凄く渋かったんで、試奏させて貰ったら…
Carlo Giordano SB‐300
これが結構お安くなるんだ。

音は価格からするとかなり良いんだけど…
何でこんなに重たいんだ?
他の楽器の、少なく見積もっても1.5倍以上の重さに思える。
K楽器のお兄ちゃんも「これ、音は評判良いけど、とてつもなく重いんですよね…」
何でだろ?

販売店サイトの写真には

オール単版、削りだしモデル。風格のあるアンティーク仕上げ。ケース、弓、松脂つき

とあるが
ケース、弓、松脂つき
は間違え。
コントラバスは、大体このクラスの楽器から付属品は一切付かないことが多い。
Universalの方は、メーカー出荷時にケース、弓、松脂を同梱しているようだ。
付属品が付いているかどうかが、俗に言う「初心者向け」かそうでないかの一つの判断基準にはなりそうである。
>続く


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