武者小路実篤入門


 「カボチャの絵は知っているけど、実篤についてはよく知らない」という人のために、実篤入門をつくりました。ここを出発点にして、いろいろなことに興味をもっていただけるとうれしいです。

1.武者小路実篤ってどんな人?(略年譜)

 武者小路実篤(むしゃこうじさねあつ)は1885(明治18)年に東京で生まれました。1976(昭和51)年に90才で亡くなるまでを、簡単な年譜にまとめてみました。
 文庫本の末尾に年譜がついているものもありますが(角川文庫が比較的充実しています)、より詳しく知るには『新潮文学アルバム 武者小路実篤』(新潮社)などがあります。

略年譜を見る。

2.実篤作品、読むならコレ(読書ガイド)

 現在入手しやすい実篤作品(文庫本)の中から3冊選んでみました。初めて読まれるならここから始められてはいかがでしょうか。

1.『武者小路実篤詩集』(新潮文庫、角川文庫)
 実篤は小説家、画家、思想家といろいろな活動をしましたが、詩人としてもすぐれた作品を残しています。実篤の詩は、ことばが簡単で誰でも読めます。かと言って平板でつまらないかというとそうではなく、独特のリズムがあって着想のおもしろさや言葉の適材適所に引きこまれると思います。詩には美しい詩だけではなく力強い詩もあることを、この詩集で知りました。どちらも制作年順に作品が並んでいますが、個人的には新潮文庫版の方がおすすめです。

2.『友情』(岩波文庫、新潮文庫、角川文庫、集英社文庫など)
 実篤と言えば『友情』というほど有名な作品ですが、多くの人に読まれていると同時に、あまり有名すぎてかえって敬遠されているところがあるのではないかと思います。恋愛と友情というテーマやその語り口には実篤の特色がよく出ていますし、前半は三人称/後半は手紙のやりとりと構成にも工夫が見られます。結末を知ってから読むと登場人物の動きをサスペンス風に楽しむこともできますし、漱石の「こゝろ」や「それから」との対比で読むこともできるでしょう。心理的にプレッシャーのかからない本の薄さですので、気軽に手に取ってページをめくってみてください。

3.『真理先生』(新潮文庫)
 実篤晩年の連作に「山谷五兵衛(さんやごへえ)もの」というシリーズがあります。ほとんどの話に山谷五兵衛という男が出てきて物語のきっかけをつくるのでそう呼ばれているのですが、年老いた画家・書家・小説家の交流を、美への尊敬・感謝をこめて描いています。登場人物さえおさえればどの作品から読んでもかまいません。今文庫で手に入るのは長編の『真理先生』だけになってしまいましたが、各社の文学全集に入っている短編でも読まれると、その浮世離れした世界が好きになると思います。

【番外編】戯曲作品
 実篤作品のおもしろさは、その会話の妙にあると思います。それを存分に味わうには戯曲を読まれるのがよいでしょう。それも「愛慾」や「その妹」といった悲劇ではなく、「或る日の一休」「人間万歳」「だるま」「桃源にて」などがおすすめです。文庫では出ていないので文学全集などから探してみてください。

◎これらの作品以外でも文庫で手に入る実篤作品はまだあります。「文庫で読む白樺派」に整理してありますので、そちらもご参照ください。

「文庫で読む白樺派」を読む。

3.インターネット上の武者小路実篤(リンク集)

 インターネットからでも実篤の活動のあとをたどることができます。「インターネット上の白樺派」というページを作成中ですので、適宜ご参照ください。

「インターネット上の白樺派」を読む。


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「記念館」のページ
調布市武者小路実篤記念館の展示案内等があります。毎年夏休みには実篤入門に最適な「人間万歳〜実篤の生涯〜」展が開かれます。ときどき展示替えをしていますので、興味のある展示のときに見学されるのがよいでしょう。

「勉強勉強勉強」のページ
まだ少しだけですが、私の書いた白樺関係のレポートがあります。「人間万歳」展など実篤記念館の見学レポートは「記念館」のページにあります。



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