ビールとは麦酒なり

ビール

アルコール。人間の精神に作用し、興奮と幻想と快楽と酩酊をもたらしてくれる。 恋人とホテルのラウンジでお洒落にカクテル。夜行列車でスルメをかじりつつ日本酒。 風呂上がりや野球観戦にはビール。九州でとことん飲むなら焼酎、沖縄だったら泡盛。 コタツに入ってブランデーをロックでやるのも乙なもの....。 時と場所により相応しい種類は異なるが、私の場合、ビールはほぼいかなる場合でも大歓迎である。

『麦100%は○○○○』というコピーがある。『麦酒』というくらいだから麦芽とホップで作るのが当たり前だと思っている人も多いだろう。ところが「酒税法」によれば麦芽やホップ以外の副原料を三分の一混ぜても「ビール」なのだという。事実、瓶や缶に記された原材料を見れば、今よく売れているというビールは麦やホップのほかに「米」「コーン」「スターチ」などと記載されている。「でんぷん質を発酵させるんだから、なんだっていいじゃん」と言う向きもあろうが、やっぱりそれは納得いかない。「麦酒」という看板に偽りあり、と言うべきであろう。『麦100%だから泡までうまい』というのも大袈裟だけど....。

くだんのコピーを使っているビール、小売店では他の多くのビールと同じ値段で販売されている。が、他の「麦100%」ビールはどのメーカーでもプレミアムなどと称して、高級感ある?金色の缶やラベルを用い、価格も20円ほど高くなっている。逆な見方をすると、麦100%にすると原料費が嵩む、だから比較的安価に入手できる米やジャガイモやとうもろこしなどを副原料として使っているのかも知れない。しかし、いっそそれならばビールの名を捨て、麦の使用量を67%未満に落として酒税を安上がりにした発泡酒の方が潔いとは言えまいか。25%未満までに落としてしまった某発泡酒など、天晴れでさえあると思う。味がもう少しまともなら良いのであるが。

そのビールの値段の大要を占めるのが酒税、すなわち税金である。先の酒税法によれば、1キロリットルあたり222,000円。1リットルで222円である。我々が代金として払っているうちの実に3分の1が税金なのだ。店によってはこれに消費税が上乗せされる。ガソリンや軽油などもそうなのだが、税金に対して税金をかけるのはスッキリしない。

さて、ビールの味と言えば程良い「苦味」である。しかし、今いちばん売れているというビールの味はどうもいただけない。まるでスプーンを舐めているような感じがする。ピリピリとした感覚を美味しいとは思えない。しかし、居酒屋などで出されるビールは大方この「スプーン味」ビール。ヤレヤレ、困ったものだ。

などなどあれこれ言いながら、今宵もお気に入りのビールを飲む私なのでした。(1999年11月 記)

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