相続登記困難事例

1、

亡夫名義のマンション。妻が居住。子供はいない。

亡夫には、子供はおらず、両親等直系尊属はすでに死亡している。

妻は、亡夫は韓国人だと思っていた。被相続人が韓国人の場合、韓国の法律が適用され、このケースでは、妻のみが相続人となると考えていたgaikokusouzoku.htmところ、実は、夫はすでに帰化しており、日本国籍であった。

日本国籍であるため、日本の民法が適用される。そのため亡夫の兄弟姉妹も相続人になる。

妻は自分が住んでいるマンションなので、自分名義にしたいと思っている。

夫の戸籍(韓国での戸籍も含む)を調査したところ、韓国に兄弟がいることが判明。

その夫の兄弟の数がなんと6名。韓国の兄弟を全員探り当て、協力を求めなければなりません。

対費用効果との関係で、相続登記を断念。その妻は、そのまま、だれからも文句を言われることなく居住を続ける。ただし、登記は、亡夫名義のまま。

2、

実家(いなか)の自宅、田んぼや畑など。

子供は全員実家を離れ、それぞれ他のところで生活を営んでいる。

実家には、亡父名義のままの自宅、田んぼや畑、山林がある。母も亡くなる。

実家の不動産については、子供は誰も無関心で、相続したがらず、遺産分割が成立しない。

その不動産の時価は安く、相続登記の費用を考えると登記するのがばかばかしい。なおのこと相続登記をするという方向へ進まない。

相続人がだれも取得したがらない不動産。費用倒れになるような相続登記。

3、

戦前に生じた相続などで、相続人調査で2年を要し、取得した戸籍類は200通を超え(戸籍が保存期間経過で処分されており、たどれなくなっているところも出てくる)。多数の相続人との交渉に3年、4年、その間、相続人が死亡、新たな相続人が出てくるという具合に、相続登記をするのに何年もかかる場合があります。それでも最終的に相続登記ができればよいのですが、相続人の中に意思能力のない方(認知症の方など)がいれば後見人の選任が必要となったり、行方不明であれば裁判所で不在者財産管理人選任 fuzaisha.htm が必要となったり、相続登記完了までなかなかたどり着けない場合もあります(>_<)。相続する不動産に比し、膨大な手間や費用がかかる場合があります。相続登記は後世に禍根を残さないようできるだけ早期にしておきましょう。

(つづく)

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