追加)登録免許税の税率が、相続人への遺贈の場合、相続と同じになりましたので、その点の差は、現在はありません(平成164月追記)。

「相続」となるのか「遺贈」となるのか

遺言書の解釈によって異なる

相続人に「甲土地を与える」とか、「全財産の3分の1を与える」などという表現がされている遺言書があります。この「与える」というのは、遺言者の意思として、「遺贈する」ということなのか、また遺産分割・相続分の指定として「相続させる」ということなのかが問題となります。

遺言に基づいて不動産の所有権移転登記をする場合、登記手続上、遺贈を原因とする場合と、相続を原因とする場合で異なってきます。

相続を原因とする場合

・単独申請(相続人・遺言執行者が選任されていても申請人は原則、相続人)

・添付書類に相続証明書を要する

(遺言書による相続登記の場合、被相続人の戸籍謄本、除票又は戸籍の附票、相続人の戸籍謄本(抄本)、住民票、遺言書などが必要

・登録免許税の税率が1000分の2(平成154月〜平成183月まで)

遺贈を原因とする場合

・共同申請(遺言執行者もしくは法定相続人全員と、受遺者)

・添付書類に、登記済証・印鑑証明書(遺言執行者もしくは法定相続人全員の)が必要となる

(遺言執行者がいる場合、遺言執行者の資格を証する書面(一般的には、遺言者の戸籍謄本、遺言者の除票又は戸籍の附票、遺言書)が必要。相続人の場合は、相続証明書が必要)

(遺言執行者がおらず、法定相続人全員が義務者となる場合、遺言書の添付は不要)

・登録免許税の税率が1000分の10(平成154月〜平成183月まで)相続人への遺贈は、相続と同じ

・農地の特定遺贈の場合、農地法所定の許可書を要する

登録免許税などを考えると「相続」で手続したほうがよい場合が多い(要望として)。

遺言書の全文から、遺言者の意思を読み取るということになりますが、

登記実務としては、基本的には、遺言書の文言で判断します。遺言書の記載が「相続させる」となっていれば、「相続」、「遺贈させる」となっていれば、「遺贈」になります。

例外として、相続人全員に包括的に「遺贈させる」という場合は、「相続」として取扱います。

それでは、「与える」「譲る」などとなっている場合は、どうであろうか。

これも、基本的には、遺言書の全文から、遺言者の意思を読み取るということになりますが、おおむね次のような取扱だと思われます。

・公正証書遺言で特定の財産を「与える」「譲る」となっている場合は、「遺贈」

・全財産とか、3分の1とか、包括的な場合は、「相続」 (公正証書遺言の場合は不明)

・特定の財産でも自筆証書遺言の場合、「相続」でいける(ケースバイケース)

このように、遺言書の文言で、違いが出てくるので、相続人に対して遺言をする場合「相続させる」と表現しておいた方がいいと思われます。

相続登記 souzoku.htm 遺言 yuigon.htm 不動産 fudousan.html

遺言書による登記といっても、遺言の内容、受遺者が相続人かどうか、により「相続」登記でいける場合と、「遺贈」による移転登記でする場合(遺言執行者がいる場合、いない場合)があり、それぞれ必要書類が異なってきます。遺言書の中身を検討する必要があります。

自筆証書遺言の、特定の不動産を相続させる旨の遺言で、その不動産の特定があいまいなため、遺言書で相続登記できない場合があります。遺言する場合(特に自筆証書遺言)、不動産は特定できるように記載する必要があります(登記簿どおりに記載するのが望ましい・地番、家屋番号の記載)。もっとも「すべての財産を相続させる」というような包括的な場合は特定する必要はなく、遺言書で相続登記ができます。