住宅ローン控除(住宅取得等特別控除)についての注意点

1)適用開始年は、入居した年から。

2)繰上げ弁済などで、償還期間(返済期間)が10年未満となった時は、適用がなくなります。

(もともと償還期間が10年以上であれば、通常の返済を続けた結果、残りの返済期間が10年未満となった場合、それで適用がなくなる訳ではありません。繰上げ弁済、借り替えで、契約をし直して償還期間が10年未満となった場合のことです)

3)「床面積50u以上」という要件は、登記簿の面積によります。マンションの場合は、専有部分の面積ということになり、共用部分の面積は含みません。

4)平成11年度改正で、土地部分も含むとなりましたが、あくまでも建物が主ですので、例えば、建物は夫名義で、土地は夫婦共有とした場合、ローン控除の適用があるのは夫だけです。

5)住宅金融公庫での借入の場合、ローンの承認日とローン契約(金銭消費貸借契約)の日が異なっているため、住宅購入が年末なる場合は注意が必要です。

例えば、平成11年12月中に、居住した場合(住民票を移動した)、平成11年12月中(年内)にローン契約が終っていれば、その年(平成11年)のローン残高は、出る(残高証明書発行)ので、平成11年からローン控除の適用があります。しかし、平成11年中に居住し、ローン契約が年明けになる場合は、平成11年度はローン残高がありませんので、平成11年度はローン控除なしになります。したがって、1年目は控除なしとなり、1年適用が少なくなってしまいます。

ローンの承認日・ローン契約日(金銭消費貸借契約)・実際お金が出る日(実行日)がそれぞれ異なり、ローンの承認がおりた時点で、入居可となる場合があるためこのようなことが生じます。

実際お金が出る日(実行日)が年明けでも、年内にローン契約を済ませておけば、その年内でのローン残高は出す取扱になっています。

6)床面積の2分の1以上が居住用であることが必要ですが、例えば、居住用7割、店舗用3割の場合、ローン控除は、その不動産の取得金額とローン残高どちらか少ない額の7割が対象となります。

7)ローンの返済を滞納していても、残高証明書での残高でローン控除が受けられます。

8)居住年と控除額

・平成6年から平成8年中に居住の用に供した場合

当初2年

1000万円までの部分×1.5%+1000万円を超え2000万円までの部分×1%+2000万円を超え3000万円までの部分×0.5%=控除額(最高30万円)

3年目〜6年目

(1000万円までの部分+1000万円を超え2000万円までの部分)×1%+2000万円を超え3000万円までの部分×0.5%=控除額(最高25万円)

年末残高は、建物部分が限度となります。

・平成9年中に居住の用に供した場合

平成9年分〜11年分各年分(年末残高について)当初3年

1000万円までの部分×2%+1000万円を超え2000万円までの部分×1%+2000万円を超え3000万円までの部分×0.5%=控除額(最高35万円)

平成12年分〜14年分各年分(年末残高について)残り3年

(1000万円までの部分+1000万円を超え2000万円までの部分)×1%+2000万円を超え3000万円までの部分×0.5%=控除額(最高25万円)

年末残高は、建物部分が限度となります。

・平成10年中に居住の用に供した場合

平成10年分〜12年分各年分(年末残高について)当初3年

1000万円までの部分×2%+1000万円を超え2000万円までの部分×1%+2000万円を超え3000万円までの部分×0.5%=控除額(最高35万円)

平成13年分〜15年分各年分(年末残高について)残り3年

(1000万円までの部分+1000万円を超え2000万円までの部分)×1%+2000万円を超え3000万円までの部分×0.5%=控除額(最高25万円)

年末残高は、建物部分が限度となります。

・平成11年から平成13年6月までに居住の用に供した場合(但し、平成11年1月から3月までの間に居住の用に供した場合は、旧制度との選択適用可)

初年度を含む6年間

5000万円以下の部分×1%(最高50万円)

7年目〜11年目

5000万円以下の部分×0.75%(最高37・5万円)

12年目〜15年目

5000万円以下の部分×0.5%(最高25万円)

年末残高は、土地部分も含みます。

9)平成11年1月から3月まで入居した場合は、旧制度を選択することもできます。借入金額が少なく、返済期間が比較的短い場合は、旧制度を選択した方が有利な場合があります。旧制度を選択した場合でも、土地部分も含んでの適用などの点は、新制度と同様です。

10)社内融資などで、金利1%未満の場合は、適用がありません。

11)共有の場合の計算方法は、自分の共有持分に基づいた取得金額を計算し、それとローンの残高を比較して、少ない方が基準となります。例えば、住宅ローン残高2000万円、購入金額3000万円、持分5分の4の場合(平成11年居住)、3000万円×5分の4=2400万円、住宅ローン残高2000万円が基準となり、それの1%が控除額となります(建物の床面積の9割以上が居住用の場合)。

(以上 平成12年1月26日作成)

追加 平成13年

12)新住宅ローン減税制度(平成13年7月1日から平成15年12月31日までの間に住居の用に供した場合)

控除期間は10年・控除率は1%(5000万円まで)

追加 平成15年

13)平成16年入居の場合、控除期間は10年・控除率は、1%

注)この制度は、毎年議論されており、改正により変更される可能性があります。

平成11年度税制改正 11zeisei.htm ローン控除 ro-nn.htm 持分の決め方 motibunwariai.htm

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追加(平成16年8月)

増改築のためローンを組んだ場合も、要件を満たせば、この住宅ローン控除(住宅取得等特別控除)の適用は可。

ただし、例えば、父親所有(父親名義)の家屋に息子がローンを組んで増改築するケースで、もともと父親所有なので、要件である「自分が所有しかつ居住している住宅」にあてはまらないため、住宅ローン控除(住宅取得等特別控除)を受けられない場合があります。増改築分は息子がローンを組み費用を出しているので息子負担分として所有が認められ、そのような登記もすることになります(錯誤による所有権更正登記・真正な登記名義の回復による移転登記・代物弁済による移転登記などが考えられます)。しかし、事前(工事着工前の原因日付)に息子名義にしておかないと適用が否定されるようで、事前にした場合、贈与とされ贈与税課税が心配されます。このような場合で、住宅ローン控除(住宅取得等特別控除)の適用を受けるため、事前に一部息子名義にしておくという方法としては、以下の方法が適当かと思われます。

1、贈与税基礎控除の範囲内で息子へ贈与による(一部)移転登記をする(息子の住所は当該家屋)。贈与の原因日付もしくは登記日付は工事着工前。

2、工事完了後、増改築による建物表示変更登記をする。

3、その後、増改築の価格に応じて「代物弁済」(又は「真正な登記名義の回復」)を原因として息子へ(一部)移転登記をする。

(注、現在、租税特別措置法73条の適用は「売買又は競売」に限られています)

住宅ローン控除(住宅取得等特別控除)という変な税制のため、このような配慮が必要となります。

14)親族等からの取得の場合、適用なし。