所得控除と税額控除

所得から控除されるものを所得控除といいます。所得とは、その年の収入から、その収入を得るための必要経費を引いたもの、または法律で定められている一定の控除額(経費に該当する)を引いたものをいいます。給与所得の場合、収入から給与所得控除(みなし必要経費)を引いたものが所得になります。

その所得から所得控除を引いたものに税率をかけたものが所得税額になります。

所得控除と違い、税額そのものから差し引くことができるものを税額控除といいます。住宅取得等特別控除(ローン控除)は、税額控除で、税金から直接差引くことができるものです。

・所得控除

「雑損控除」「医療費控除」「生命保険料控除」「損害保険料控除」「扶養控除」「配偶者控除」「配偶者特別控除」「基礎控除」など

・税額控除

「配当控除」「住宅取得等特別控除」など

<所得控除の主なもの>

「雑損控除」

災害、盗難又は横領によって資産に損害を受けた場合や、災害に関連してやむを得ない支出をした場合に控除されます。詐欺・強迫による損失、保証債務の履行により生じた損失は、雑損控除の適用はありません。メルクマールは、「不可抗力」です。

雑損控除の対象となる資産は、原則として納税者本人及び本人と生計を一にする配偶者その他の親族(所得制限あり)の保有する生活に通常必要な資産に限られます。

例えば、夫が本人で、妻の所得が38万円を超えている場合は、妻の資産は、雑損控除の対象にはなりません。

例えば(1例)、100万円盗難にあった場合(総所得金額400万円の場合)

控除額 100万円(損失の金額)−400万円(総所得金額)×10%

100万円−40万円=60万円(雑損控除額)

雑損控除の金額を差引いただけで所得金額に赤字が残る場合は、その金額を翌年以後3年間に繰り越し、翌年以降の所得計算に際して差引くことが認められています。

「医療費控除」

支出医療費−保険金等−総所得金額等×5%か10万円の少ない方=医療費控除額(200万円が限度)

単純に10万円を超えないとダメと思っている人がいますが、所得金額の5%も基準となっていますので、収入の少ない人で、税金を払っている人は、自分の支払った医療費(生計を一にする親族(所得制限はありまへん)の分含む)を計算してみると、意外と控除できるケースがあります。

通院や入院のための交通費は含まれる。(自家用車のガソリン代は不可)

虫歯の治療費、金歯、義歯の費用、治療としての歯列矯正費は含まれる。

出産費用は含まれる。

私の知合いで、税金に詳しい人が、子供が病気になった際、病院までの交通費を細かくメモしていたのを見たことがあります。この医療費控除のことを考えてのことでしょうね(非常にまめというか細かい人です)。

控除しなくてもよい保険金等

傷病手当金・出産手当金など

「生命保険料控除」

一般の生命保険

支払保険料が10万円を超えている場合、5万円控除(最高)

個人年金保険

支払保険料が10万円を超えている場合、5万円控除(最高)

両方合わせて、10万円控除が最高

「損害保険料控除」

短期保険

支払保険料が4000円を超えている場合、3000円控除(最高)

自動車保険は対象外

長期保険(満期返れい金等のあるもので、保険期間が10年以上のもの)

支払保険料が2万円を超えている場合、1万5000円控除(最高)

両方合わせて、1万5000円控除が最高

例えば、夫婦共働き(同一生計)で、夫の方で控除しきれない保険料支払がある場合、妻の方へ割り振り(妻の支払い分とし)、妻の税金を下げることもできます(保険の名義は関係なし)。

「扶養控除」

納税者に扶養する親族がいれば扶養控除が適用できます。配偶者には配偶者控除が認められているので、扶養控除の対象からは除かれています。扶養親族に該当するかどうかは、原則として、その年の12月31日(途中で死亡している者についてはその死亡の日)の状況で判断します。例えば、年内に出産した子であれば、その年の扶養親族に含めることができます。

その年中の合計所得金額が38万円を超える扶養親族は、扶養控除の対象から除かれます。

収入ベースだと、アルバイトやパート等で103万円、65歳以上の方の公的年金で178万円がボーダーとなります。

「配偶者控除」「配偶者特別控除」

扶養控除の場合は、例えば、15歳の扶養する子供がいれば、控除額38万円、その子供がアルバイトをして、所得が38万円を超えると控除なしになりますが、配偶者の場合は、配偶者控除と配偶者特別控除との関係で、配偶者の所得によって段階的に控除額が少なくなっていきます。

配偶者の所得が5万円未満であれば、配偶者控除38万円、配偶者特別控除38万円、合計76万円が控除されます。

配偶者の所得が76万円以上で合計控除額が0になります。

「雑損控除」や「医療費控除」は確定申告が必要となります。

通常2月16日から3月15日までですが、還付申告の場合は、その前(1月・2月)にすることができます。

<税額控除>

税額から直接差引くことができる控除をいいます。

「住宅取得等特別控除」ro-nn.htm 11zeisei.htm 注意点ro-nn2.htm

金融機関からの借入金により一定の住宅(平成11年からは土地部分を含む)を取得した者は、その年の借入金残高に応じて住宅取得等特別控除を受けることができます。

税額控除の住宅取得等特別控除は、サラリーマンの場合、最初の年だけ確定申告すれば、2年目以降は年末調整で還付を受けることができます。