印鑑証明書について(不動産登記申請につき)

所有権に関する登記名義人が登記義務者として登記申請する場合、その義務者の印鑑証明書の添付が必要。また、所有権以外の場合でも、登記済証・登記識別情報を添付・提供しない場合(事前通知か資格者代理人による本人確認情報の提供などが必要)は、登記義務者の印鑑証明書が必要となります(規則第48条、規則第47条)。この印鑑証明書については、作成後3ヶ月以内のものでなければなりません。原本還付は不可。それ以外の印鑑証明書については、新しい方が望ましいと思いますが、法律上は期間の制限はありません。例えば、相続登記に添付する遺産分割協議書に付する印鑑証明書(原本還付可)、利益相反の場合の議事録に付する印鑑証明書(原本還付不可)、承諾書(例えば、仮登記権利者の単独申請の場合に添付する仮登記義務者の承諾書)に付する印鑑証明書(原本還付不可)などについては、期間の制限はありません。

所有権登記名義人がその住所をA・B・Cと順次移転したが、登記上Aから直接Cに表示変更の登記を経由した後、登記義務者として登記を申請する場合において、申請書添付の印鑑証明書が中間住所B(旧住所)を記載してものであっても(発行後3ヶ月以内である限り)、別途前記住所移転の経過を明らかにした戸籍の附票等を添付すれば、当該申請は受理される。(先例)

原本還付可の印鑑証明書

@ 遺産分割協議書、特別受益証明書、相続分譲渡証明書に押印した印鑑の印鑑証明書

A 所有権登記名義人住所変更の登記で住所の沿革がつかない場合などに添付する「上申書」に押印した印鑑の印鑑証明書

所有権登記名義人住所変更の登記で住所の沿革がつかない場合などに添付する「上申書」に押印した印鑑の印鑑証明書については原本還付できる(上申書については法定の添付書類ではなく第三者の同意書・承諾書にはあたらない)

B 資格者代理人作成の「本人確認情報」に押印した職印の印鑑証明書(3ヶ月以内のものが必要)

 

印鑑証明書を「住所を証する書面」(住所証明書)として使用することは可

所有権移転登記(売買)の買主(権利者)の「住所証明書」として、買主の印鑑証明書を添付することができる。この住所証明書としての印鑑証明書は原本還付「可」なので、後件で住宅ローンなどの抵当権設定登記がある場合、その抵当権設定登記に添付する同じ買主(抵当権設定では義務者)の印鑑証明書をコピーして原本還付で添付することができる。したがって、この場合、印鑑証明書は1通で足りる(抵当権設定登記で添付する義務者の印鑑証明書は原本還付不可なので原本は抵当権設定登記に添付する)。

1、所有権移転登記(住所証明書として印鑑証明書を添付(原本還付))

2、抵当権設定登記(義務者の印鑑証明書の原本を添付(原本還付不可))

相続登記の際、遺産分割協議書に付ける印鑑証明書を取得者の住所証明書とすることができる。ただし、この場合、遺産分割協議書に付ける印鑑証明書と、住所証明書として添付する印鑑証明書は添付する根拠が異なるので、同じ印鑑証明書(1通)だが、両方原本還付を受ける場合(両方とも原本還付可)、遺産分割協議書に付ける印鑑証明書用と住所証明書用にコピーを2通つけて(原本と相違ない旨、氏名を記した上、押印し)原本還付を受けることになる。一つの申請に同じ印鑑証明書を2通コピーしてつけるのは不経済な感じはする(あまり深く考えずコピー1通で申請したこともあるが、法務局によっては、補正なしでそのままいけたときもある。取得者が1名で、その取得者の遺産分割協議書に付ける印鑑証明書が必ずしも必要でなかったときだったのかも。同じ印鑑証明書だから1通コピーがあればそれでいいとされたのかも?)。

ただし、実務としては、相続人の本籍記載の住民票を取得し添付するのが望ましいと思われる。

souzokusenrei.htm

souzoku.htm

余談、住宅用家屋証明書を取得する際、住民票の写し(コピーでも可)が必要となるが、印鑑証明書で代用したことがある。事前に電話で役所へ確認したところ「印鑑証明書でもいいですよ」と回答をもらったが、住宅用家屋証明書の交付を受けた後、「次回からは印鑑証明書ではなく住民票でお願いします」と言われた。

住宅用家屋証明書 jyuutaku.htm

 

参考)なお、商業登記で代表者変更の際、議事録等に付ける印鑑証明書には期間の制限はありません(ただし、印鑑届出書に付ける印鑑証明書には3ヶ月以内という期間の制限があります、現在はこの印鑑証明書は原本還付可になっています)

 

index.htm