雑談(平成121月〜12月分)

49、平成12121

「特定調停」経済的に破綻する恐れのある(もしくはすでに破綻している)多重債務者などが、債務の整理に利用できる制度である。援助者がいるとか、収入が一定しており、今後の債務の返済がある程度確保できる人にとっては有効なものである。調停であるから原則、債権者との話合いになるが、関係文書の提出を命ずることができるなど調停委員会の権限が明確であり、債務者にとって利用価値の高いものである。運用としては、利息制限法に基づき今までの返済を再計算し、債務額を圧縮・縮小させ、3年から5年で分割返済(今後利息はつけない)として調停を成立させるケースが多いようだ。

大阪簡易裁判所の受付センターというところへ、申立書の雛型をもらいに行ったところ、特定調停に関する相談者が非常に多い。「司法書士の方が申立書の見本をもらいに来ているから対応して」と大きな声で、職員が叫んだため、注目をあびてしまった。調停ということで、弁護士などの専門家に依頼することなく、本人でやろうという人が多いようだ。それにしても大阪の裁判所はでかい。

(大阪の簡易裁判所では、各相手方(債権者)ごと申立書が必要。神戸の場合は、申立書1通で一括申立てできるようになっている。相手方(会社)の資格証明書(登記簿謄本)の要否については「原則、すべて付けてもらいます」と言われたが−司法書士だから?(-_-)、この辺りの取扱いは裁判所によって異なる。不要となるケースが多いようだ。大手の消費者金融会社などは省略可とする取扱いが多い)

48、平成12116

最近、いわゆる休眠担保というやつに3件遭遇した(それぞれ別事案)。大正・明治時代の抵当権で、相続登記をきかっけとして発見。相続人は、まったく知らない。先代が隣近所の人や親戚からお金を借り(金額は1,000円以内)、抵当権を設定、そのままで現在に至っている。抵当権者がまったくの行方不明であれば、供託して抹消する方法がとれるのだが、隣近所のため、抵当権者が判明、すでに孫の代までいっているようである。しかも1つは、抵当権者が4人もいる。その不動産を担保にローンを組みたくても、休眠担保が付いているので金融機関がOKを出してくれない。抹消するにしても相続人を全員探り出し、それぞれに説明し、押印をもらわなければならないため、時間と費用がかかってしまう。依頼者にとっては、債権額が1,000円に満たない担保の抹消のため、なぜそんな手間暇かけないといけないのか理解し難いようである。実務的には、抵当権者の行方不明を証する書面をなんとか手に入れることができれば、何とかなりそうな、しかし行方がある程度判明している抵当権者についてはそういう訳にもいかず、いずれにせよ手間暇はかかりそうな、依頼者(本人)にとっては、やな感じである(実務的にはおもしろそうなのでじっくり取組んでみたいのだが)。

休眠担保の抹消についての事柄はこのHPでまとめてみたい(いつになる?)。

47、平成12111

司法書士に対する裁判所の対応が変わりつつある?。私の経験したものとして、自己破産の債務者審尋は、申立人といっしょに行っても、その部屋に入れてもらえなかったが、最近は、裁判所(書記官)の方から「債務者審尋には司法書士の先生も来て下さい。書類を作成した人がいないとわからないことがありますから」と言われてしまった(「来られますか」と問われ、「行かないと思います」と言ったから−依頼者からいつも5分ぐらいで終ると聞いていたので)。

また、訴訟で、不明な点があれば、傍聴席にいる司法書士に裁判官の方から話し掛けてくるケースもあり、和解のテーブルに司法書士もつくように指示されるケースもあるようである。

46、平成121015

ある人から、最近、税理士の間では、ダンピングが多く、「顧問料が月1万円、なんて馬鹿な税理士がいる」「月1万円で顧問としての仕事がどれだけできるのか?」という話を聞いた。

司法書士は、現在、不況業種の1つだが、報酬規定より高く取っているケースは聞くが、ダンピングという話はあまり聞かない。(銀行依頼の謄本取得など、例外はあるが)

その理由を考えると、

書士会など(支部を含む)の組織がしっかりしている。協調性がある。

報酬を支払ってくれるお客さんと、仕事を依頼してくれるところが分離している(不動産登記の多くは、仕事の依頼は銀行や不動産屋からだが、司法書士報酬を支払うのはそのお客である)。

不当なダンピングは、自分で自分の首を絞めることになり、業界全体がゆがんでくる。

45、平成12831

・最近、「カバチタレ」(講談社)という漫画を読んで、かなりの力作に感動した(商工ローンの借金地獄に落ちていく様も描かれている)。

・海の日に淡路島で、司法書士190歳対談(100歳の現役司法書士と90歳の現役司法書士の対談)があったらしく(私は直接には聞きに行っていない)、その中で両者とも、一番楽しかったことに仕事が忙しかったことをあげられ、一番辛かったことに仕事が減ったことをあげておられる。田中角栄の列島改造ブームの時・昭和30年代後半から40年代にかけて、非常に仕事が忙しかったようだ。最近はやはり仕事がかなり減っているということ。

確かにばたばたしながらも仕事が忙しい時はなんとなくテンションが上がり、うきうきした気分になる。逆に仕事がないときは、うつうつしながらホームページの更新や、経理作業などをして過ごすことになる。しかし100歳でも現役で仕事ができるという司法書士という仕事は、その点でも魅力があると思う。

44、平成1284

自己破産の申立をする際、受付の段階での裁判所の対応(申立人に対する応対)が同じ裁判所なのになぜ異なるのか。

1年ぐらい前であるが、ある年老いた老人が、消費者金融からの借入で、多重債務に苦しんでおり、多重債務に陥った事情も多分に同情の余地のある事案で、破産申立書を提出した際、裁判所の受付で言われたこと

「本日受付けましたが、業者(債権者)からの問い合わせには、裁判所の方は一切なにも答えませんし、破産申立を裁判所で受付けたからといって、現在の取立の状況はまったく変わらないと思います。(略)それから仮に免責が認められたとしても、これは自然債務となるだけで、お金ができたらあなたの方で支払うことはできますので誤解のないように。(きつい感じの言い方)」

一般の人に「自然債務」なんて言ってもわかるはずないし(専門家でもわからん)、かなり不安になり、落ち込んだようである。

最近、同じような案件で、破産申立書を提出した際、裁判所の受付で言われたこと

「破産申立を受付けました。これが事件番号です。もし債権者から問い合わせがあれば、この事件番号を債権者に言って下さい。業者であれば、これで取立はやめるはずです。あなたの方から各債権者へ文書で通知してもいいと思います。その際、この予納金の受領書かもしくは受付票をコピーして同封すればいいと思います。もし不明な点があれば裁判所の方へ問い合わせてもらってもいいですし、おそらく司法書士の先生がよくご存知だと思います。」

同じ裁判所なのになんでこんなに異なるの?

43、平成1268

最近、登記案件や破産事件に関しての相談事例で、離婚後、母親が幼い子どもを引き取った場合で、父親が子どもの養育費を支払わないというケースをよくみかける。

日本の場合、協議離婚というものが認められており、役所への届出だけで離婚することができる。子どもが幼い場合、養育費の取り決めがなされるのだが、割と安易に決めているケースが多いのではないかと思われる。口約束だけで決めている場合も多い。

離婚の際、例えば母親が子どもを引き取り、父親が養育費を毎月いくらか支払うという話合いがついたら、それをきちんと公正証書にしておくのがいいと思う。強制執行認諾の文言の入った公正証書にしておけば、養育費の支払を滞納した場合、判決などがなくても強制執行することが可能である。

また、離婚については争いがなくても、子どもの養育などを考えると、家庭裁判所の調停にもちこんで、調停調書をきちんとつくっておくのもいいと思う。

42、平成12510

現在、大阪法務局の商業登記部門では、登記のコンピュータ移行作業が行われている。以前は、入ったところに待合室(椅子が並べてあるだけ)があり、正面に、謄本や印鑑証明書の交付申請受付が区ごとに分かれてあったが、今は、それは左手の隅のほうに追いやられ、正面の囲いの中に、コンピュータがずらっと並べられ、なにやら入力作業が行われている。入力しているのは、ほとんどが女性で、法務局の職員なのか、どこかからの派遣社員なのかよくわからない。ずらっと並んで、もくもくと作業する様を見るとあらためて「手作業なんだな」と思う。量が多いので大変な作業だと思われるが、すこし心配なのが移記ミスである。手作業であるためデータを帳簿からコンピュータへ移記する際にはどうしても間違いは生じるのであろう。開業してから他の法務局で移記ミスは1度ならず、数回見つけているので、少なくはないと思う。

インターネットで登記情報を見ることができるようになる!

41、平成1251

最近、外国人の相続登記や、不動産の売買にからんで、不在者の財産管理人選任を要するものなど、経験したことがない仕事の依頼が多い。開業2年でこのような仕事が経験できるのは恵まれているといっていいのであろうか。それに関する書籍や資料探しから始めて、いろいろやっていくとおおよその輪郭はつかめるものである。こういう時、気軽に質問できる経験豊かな先輩司法書士が知合いにいると非常に助かる。

23月は忙しかったが(開業後バブル)、4月後半には、落ち着いてきた(暇になる?)。暇になるとまた、収入に関して不安になる。なかなか定期収入(少ないながら)のアルバイトはやめられないのである。司法書士業のみで食べていけるのはいつの日か。

40、平成12317

登記に関しては、一般の人があまり知らないうちに負担(税金など)が増えている場合が多い。例えば、謄本代・閲覧代、この手数料の値上げは、尋常なものではない。たしか私が司法書士の補助者をしていた時は、謄本1200円だったと思うが、現在は1000円である。商業登記がコンピュータ化されるのは歓迎するが、それに伴い代表者の資格証明書がいつのまにか500円から1000円になっている(なぜ?)。また、平成12年度税制改正案の共有物分割の登録免許税が原則1000分の6から1000分の50になるなども不当な値上げだと思う。12zeisei.htm 司法書士などが立替えて(または代行して)支払っている場合が多く、一般の人はあまり意識していないが、かなりの負担増である。

39、平成12315

一般の人にはあまり知られていないが、司法書士は、司法書士の過失などによって生じた業務上の損害を補償するために、保険への加入が義務づけられている。基本部分は、司法書士会の会費でまかなわれるが、上乗せ部分があり、不動産など高額なものを扱う職業であるので、多くの司法書士が上乗せしているようである(確か2億円ぐらいまでできる)。実際に保険金が支払われた例は少なく(あってもそんなに高額ではない)、その分保険金は安い(保険会社にとってもおいしいと思う)。

38、平成12311

最近、仕事依頼が増加し(うれしい悲鳴)ホームページの更新があまりできていない。

開業して、初めて登記申請で補正(事前)が付いた。相続登記で、被相続人の住所の沿革が、公文書(住民票の除票や戸籍の附票)でどうしてもつかない(すでに廃棄されている)ため、相続人全員の上申書(印鑑証明書付)と権利証書のコピーを付けて申請した。以前同じようなケースで、権利証書のコピーは付けずに、上申書だけでいけたので、今回は、権利証書のコピーまでつけているのだから大丈夫だろうと思っていたところ

登記官曰く「上申書を補完するものとして、権利証書の原本を提出して下さい」

へたに権利証書のコピーを付けたから、「原本をみせろ」となったのかなと思いつつ、依頼者から権利証書を預かり、添付することになる(権利証書を他人に渡すのを嫌がるお客さんで、受領書と登記完了後即返還する旨の文書を渡してやっと権利証書を預かる)。

それにしても、消除されたり改製されたりした住民票や戸籍の附票の保存期間が5年というのは短い。

37、平成12126

不動産登記との関係で、不動産に関する税金の質問は、依頼者からよくなされるが、最近、住宅ローン控除についての質問が多い。名称は、住宅借入金等特別控除とかローン控除とかいわれているが(このHPでは、住宅取得等特別控除(ローン控除)といっている)、この手の質問は、専門外だからといって、まったく無視するわけにもいかず、わからないところは調べてから後で答えるようにしている。単純な税制のようだが、細かいところは結構ややこしい。特に適用年と控除率との関係は、見る本によって書いてあることが異なり、「いったいどれが正しいのか?」わからなくなる。どうも改正が頻繁にあるため、ごちゃごちゃになっているようである。税理士の先生の話では、「今年から土地部分も含むようになったので、建物部分の価格を計算する必要がなくなり、少し楽になる」ということである。税額控除であり、ローンを組んで住宅を購入した人にとっては、かなりの減税となるため、神経質に気にする人が多い。参考 ro-nn2.htm

36、平成12121

・現在、近畿司法書士連合会で新人研修が行われている(ブロック研修)。ある研修に、一般会員として、参加させてもらったが(本来は新人として受講すべきところ・・・)、受講生の雰囲気が「若い」。女性の数も3割程度だということで、なんとなく華やかな感じである。研修内容は、かなり充実しており、もりだくさんである(期間が18日間ということで、すこし消化不良にならないかなと思った)。講師の方にいわせると「一般会員の方にもぜひ聞いてもらいたい内容である。むしろ実務を長年経験されてきた先生の方が、有意義な研修となるだろう」ということである。古い先生にいわせると「今の新人はうらやましい。わしらの頃は研修など一切なく、最初は訳がわからないまま手探りの状態で、業務をしていた」ということである。講師の方は、司法書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、建築士、弁護士、税理士、現役の裁判官などである。

・司法書士には、司法書士会へ年間の受託件数と報酬額の報告が義務づけられている。おそらく、これが元となって「司法書士の平均年収」というものが出てくるのだと思う。ただ、これは経費込みの売上げに相当するもので、事務所維持費、備品維持費、人件費などを差し引くと実際の所得はかなり低くなる。受験雑誌などに「司法書士の平均年収1500万円」などとよく書かれているが、一般のサラリーマンと比較した場合、司法書士の平均年収は、サラリーマンの年収の500万円から700万円程度に相当すると思われる。確定申告の前に、この業務報告を書くことになるので、これで年間の報酬がおおよそはっきりする。私の開業2年目の売上げは?サラリーマン時代の年収の半分程度にとどまる。報酬の内訳でいくと不動産登記が7割程度、商業登記が2割、裁判関係が1割といったところである。

司法書士になってよかったところ

自分の好きな仕事ができる(基本的に司法書士業務は好きである)・自営なので、時間の融通がきく・人脈がすこしずつ広がる・事務所内で仕事をする際、好きな音楽を聴きながらできる

司法書士になってよくなかったところ

収入が一定せず、常に不安である(あまり考えないようにはしているが)・本来の司法書士業務以外に営業(広報)活動や経理などの総務をすべて自分でしなければならないところ

zatudan.htm