ALCYONE LEGEND For 239馬力への挑戦Vol 01


ここに足かけ2年間暖めてきた悪魔のプロジェクトを発表出来る運びとなりました。

内容はヒトラーもびっくりの悪魔の技術といえば大げさですが本来、設定の無いエンジンにターボチャージャーを装着する事になりました。

プロジェクト名は「ディアブロ プロジェクト」、サブネームは「239馬力への挑戦」としますがディアブロはご存じのとおり、イタリアのスポーツ
カーメーカーのランボルギーニ社の生産するカウンタックの後継車に命名された名前でラテン語で悪魔という意味なのですがまさに今回の
無謀な計画にぴったりだと思っています。

239馬力はVXの後継ともいえるジウジアーロデザインのSVXが3,3リッターのDOHC24バルブエンジンが240馬力なのでこの数値より
1馬力低い数字を目指すというものです。


元来、筆者はターボが好きです。

ターボエンジンの持つ暴力的な加速力は大排気量エンジンの加速感とはひと味違った麻薬のような物があると思います。

筆者が駆け出しの頃に勉強がてらALL NEW レオーネを購入してタービンを交換したりインタークーラーを付けたりして遊んでいました。

インタークーラーは当時のスタリオンのGSR−V?の物を配管を加工してスペアタイヤのある部分に搭載していました。

現在のレガシィーやWRXが付けている場所と同じ所ですが、メーカーがレガシィーを発表する数年前からインタークーラーの設置場所はここ
しかないという感じでボンネットをくり抜いて、エアスクープを付けたり、果ては停車時でも冷えるように裏に電動ファンを付けたりしてかなり
勉強しました。

一番わかったのはターボエンジンがバカだということでしょうか。

もともとターボというのは太平洋戦争当時に空気の薄い高度を爆撃機が悠々と飛んでノーマルのレシプロ機では飛んでこれない場所から爆
弾を落とす為のエンジン性能補助アップ的な所から発明されました。

アメリカのB−29に搭載されていたのは有名な話ですが日本でもある程度の研究はされていまして陸軍の戦闘機「雷電」に試作装着されて
いたのですが当時の日本の金属加工技術、ターボ云々の技術が遅れていて実用化には至らなかったという経緯があります。

エンジンのパワーというのは排気量もさる事ながらシリンダーヘッドがいいものでないとパワーは出ません。

人間と同じで頭、すなわちシリンダーヘッドの出来不出来でエンジンそのものの性能を決定するといっても過言ではないでしょう。

シリンダーヘッドにはカムシャフトを含めた、燃焼室、水路、点火プラグといった様々なな要素が複雑に入り込みエンジンの一部として成り
立っています。

一昔前のターボエンジンは従来からあったエンジンに小改良を施して単に付けましたという感じのエンジンばかりでベースエンジンの出来自体
があまりよくないので馬力も現在ほど高いものではなかったのですがノーマルに比較して2割、3割位の出力アップにとどまっていたのが現状で
す。

現在では初めからターボエンジンとしての設計がなされ、材料や電子技術の向上でベースエンジンに対して、5割以上の馬力が上乗せされ
たものがゴロゴロあります。

筆者がターボエンジンがバカと書いたのは当時のエンジンにターボを付けただけでは低速トルクがあまり無く、回転が上昇してくるといきなり
ドカーンと加速していくフィーリングのエンジンが多かったからです。

現在では可変吸気や電子マネージメントの組み合わせ、ターボとのマッチングが最適な状態でメーカーから出荷されてきていますので低速から
高速迄の全域でターボが有効的に効いているエンジンがほとんどになっています。


上記画像は筆者がレオーネのEA82をしゃぶりつくしていた時に新しいコンセプト?で組んだエンジンです。

現在、日産の現行スカイラインが高圧縮仕様のRB25DETでアクセルレスポンスやトータルでの性能向上を見込んで
販売していますが、筆者も当時からエンジンはやはり高い圧縮比で最適なブースト圧がベストと睨んで開発?をして
いました。

ターボが加給を始めると、燃焼室はかなりの高温になりノッキングが出やすくなってしまいエンジンを破壊してしまう
可能性があったのでピストン頂部の形状や燃焼室の形状を変更してわざと圧縮比を落としていました。

圧縮比を下げるとエンジンとしての熱効率が下がり、パワー、燃費、レスポンスの全てがマイナス思考になるので
バカなエンジンなのです。

筆者もタービンを変更したりしながらブースト圧を上げてパワーを求めていましたがパワーが出ると、ノッキングの問題
で点火時期を下げる、燃料の噴射量を増やすといった悪循環になり、これではあまり意味がないと悟りました。


初代レガシィーが発表された時にピストンサイズを見てこれはイケるのではと調べるとピストン寸法はボア径は92ミリと
同じでピストンピンより上の長さが1ミリ長いのとピストンピン寸法が太いという事でした。

それまではレオーネのSE車「170馬力の挑戦で使用したピストン」用のピストンで高圧縮ターボを研究していたのですが
素材的な問題と走りとのバランスからくるブースト圧に耐えきれずによく壊れていました。

壊れるといってもエンジン本体が壊れるのではなく、ピストンの頂部の淵が溶けたようになりシリンダー壁を傷付けるような
感じなのですが俗にいう「タナ落ち」という現象です。

画像のエンジンはレガシィーのRS用のピストンを加工して組んだものです。

当時は筆者にはピストン頂部での燃焼プロセスに関するノウハウは持ち合わせていなかったので平気でピストン変更をし
ていました。

要はピストンが溶けずに持てばいいというだけで4バルブの逃げのリセスが燃焼にどう関与するかというのは組んで走って
からのお楽しみでこの時の圧縮比は9,0位にしていましたが当時のブースト圧が0.8キロをかけていました。

単にピストンを変更して乗った時のフィーリングはレスポンスが無茶苦茶いいというもので、走りの方は圧縮比が高い分、
少し点火時期やブースト圧を下げたので悪くなったものの燃費が格段に向上しました。

それでも当時のRSと遜色ない走りを示していました。

その後、このエンジンはVR、ツーリングワゴンと車体とオーナーを変えながらも壊れる事なく稼働していましたが車体の方が
ポンコツになり現役を引退する事になりましたが、最適なセッティングを行えば高圧縮ターボでも壊れる事はないという自信
に繋がっています。


ここからが本題ですが、今回のプロジェクトには出来るだけお金をかけずに達成するというコンセプトがあります。

従来からの枯れた技術?だけでターボエンジンにするという発想なのですが元々ER27自体が4気筒のターボエンジンが
ベースという事あり、高い圧縮比を目指して壊すよりか保守的に4気筒用のノーマルピストンを用いて安全パイで作業を
進める方向でやっていきます。

エンジンはカミナリVXに搭載されていたもので17万キロを走行していました。

シリンダーの内径を測定するとメーカーの基準値の範囲に入っていましたのでボーリングも何もせずにそのまま4気筒
のターボ用ピストンを組み込みました。


ノーマルのピストンは圧縮比を下げる為に中央部全体がへこましてあります。

ちなみにVR系の圧縮比は7.7でVXは9.5になっています。


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