ALCYONE LEGEND For 170馬力への挑戦Vol 20


バルブを摺り合わせています。

バルブにコンパウンドと呼ばれる研磨剤を少量塗布してヘッドのバルブシートと当たる場所に叩きつけるように回します。

言葉で説明すると少し難しいのですが、子供の頃に竹トンボを飛ばした事は誰でもありますのでこの竹トンボを飛ばす時に飛ばす
瞬間に手のひらで棒を一気に回した筈ですが、バルブをシートに叩きつけた瞬にバルブラッパーという棒を一気に回すのですが、
押しつけた瞬間だけ回して直ぐに引き上げます。

要はバルブシートとバルブが確実に密着するようにシコシコと作業します。


左側画像で矢印部分が円周にそって右側画像のオレンジ部分に当たります。

これがバルブシートの当たり面と言われる部分で大きすぎるのもダメで細くてもダメという矛盾した感じなのですが、これはバルブ
の冷却をこのシートに当たる事によってヘッド側へ熱を逃がしている為に吸気バルブはそんなに熱くならないので細く仕上げ、排気
バルブはかなり高温になるので幅を広くして仕上げます。

大体の目安として1ミリ前後程度と覚えておけばいいと思います。

右側画像でオレンジ色になっている部分がバルブと接している部分です。

この1ミリ程度の幅の密着で圧縮を保っていると思えば凄いですね。

走行距離を重ねた車はこのシートの部分にカーボンが付着して隙間が大きくなったり、当たる部分自体が広くなってきて密着が不良に
なり圧縮漏れを起こしてパワーダウンする原因になります。


バルブ廻りの部品一式です。

バルブスプリングは大小を組み合わせていますが最近ではシングルのスプリングで適正な張力をかけているエンジンが多くなっています。

スプリングはカムシャフトで押された後に素早くバルブが閉じて、ヘッドの方に密着するようにする役目をしていますが一昔前ではスプリングをとにかく固くして強化する方向にありましたが、最近ではバルブの材料の見直しやカムシャフトのプロフィールの改善で柔らかいス
プリングでも機能を果たすようになってきています。

当然、固いスプリングは駆動のロスになります。

赤色でコレットと図示してあるのはバルブの抜け止めみたいな物で別名コッターピンとも言います。


左側画像で矢印で図示してある部分のスプリングの巻きの密度が違っていますがこれは高速でスプリングが運動している
時に同じ巻き密度ですと共振してスプリングが果たすべき機能が失われる為にわざと密度を変えて共振が起こりにくいよう
にしています。

この共振現象を車業界ではサージングといい、エンジンを高回転で回しすぎるとこのスプリングの動きがついてこられずに
バルブの正確な開閉運動が阻害され、ピストンとバルブが接触したりします。

ちなみに密度の小さい方がヘッド側へ向きます。

右側は先ほどのコレットをバルブの端面に付けた所です。抜け止めの作用は下記画像にて。


リテーナーの中心穴がとコレットのテーパー度と合っていて上方向には抜けないようになります。

このリテーナーはスプリングを押さえる役目もあり、強度は抜群ですが重いのが欠点です。

最近ではチタンのリテーナーを採用した車もあり、チタンは軽い反面コストが跳ね上がるのが欠点です。


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