ALCYONE LEGEND For 170馬力への挑戦Vol 18


さて、問題のあったシリンダーヘッドです。

赤矢印の2気筒分がクラック「ひび割れ」が入っていた部位ですが掃除している時はただの傷だと思っていましたがよく見る
とひび割れに見えましたのでとりあえず、面研磨を加工屋でしてもらうのについでに詳しい検査を依頼しました。


左側画像は正常な部位ですが、右側画像で各バルブシートとの間に細い亀裂が入っています。

バルブシート付近の形状が変わっているのは詳しい検査の為にバルブシートと呼ばれるリングを全て削り取っているからです。

表面だけでなくバルブシートリングが入る全体及び、ポート迄に渡って亀裂が入っています。


右側の正常なものと比べると一目瞭然ですね。

検査してもらった部分は赤色染炭法と呼ばれるA液を亀裂に染み込ませてからB液を廻りに付着させると亀裂の部分がはっき
りと浮かび上がってくるやり方なのですが、まあここまでしなくてもシートリングを削っただけで判定出来たのですが分かり易
いようにあえてしてみました。


ここまで亀裂が入るとこのヘッドは使用不可能で、新品交換になります。

こうなった原因は度重なるオーバーヒートがもたらしたものです。

筆者のVXは高速を10分位、飛ばしていると水温計の針がグングンと上昇してきて通常よりか高めを常に指示していました。

これはラジエターの中の水が通るチューブが目詰まりを起こしているのは分かっていたのですが日常での使用には支障がな
かったので1年間位、そのままで走っていました。

ラジエターの水が噴き出す事もなかったので全く気にしていませんでしたが、実際にこういう弊害があるとは思ってもみません
でしたね。

よく某メーカーの軽の3気筒エンジンは一回、ヒートしただけでもこういう事になるエンジンがありますが、ターボエンジンでも過
剰なブーストアップでピストンが大丈夫でもこういう所に負担がかかりますのでチューニングする場合は冷却系統を見直す必要
があります。

ちなみに今回のこの場所は右側シリンダーの後方、2気筒ぶんです。

すなわち、ウォーターポンプから一番遠い場所です。


余談ですがこちらは筆者がEA82のターボエンジンでチューニングをしていた時のヘッドです。

右側画像でもバルブとの間に亀裂が入っているのが確認出来ます。

本来はオーバーヒートしたエンジンのシリンダーヘッドは全体が歪みますのでいくら面研磨を施してもカムシャフトを支える部分
がゆがんだりしていて正常な作動が出来なくなる物もありますので再使用はしない方がいいと思います。

でも経済的事情でそんな事は言っていられないので片側のヘッドは再使用です。


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